side:綾瀬夕映/図書館島・????
数多のトラップをくぐり抜け、崖のような本棚を登ったり降りたり、湖を横断したりしてついに魔法の本の安置所の手前まできたです。
あとは、今のアホみたいに狭い通路?を抜ければ、今まで私達中等部の力量では来ることのかなわなかった秘密の書庫があるのです!
もう一度マップを確認。薄暗いのでペンライトを咥えながら地図を開き、ここまでの道順と現在の目視できる書架番号を照らし合わせてみても、問題ない。
「ゆ、夕映ちゃん! まだなのー!」
バカレンジャー仲間の神楽坂さんの声が後ろの方から聞こえる。
「いえ……、もうすぐそこです」
そう、もうすぐなのです。普段は鉄面皮なんて呼ばれる私ですが、この時ばかりは心が躍るです。
そんな雰囲気が伝わったのか、木乃香さんが隣から、
「夕映けっこう燃えてるやろ~」
と、言った。
「ふ。わかります?」
未知なる物への探求はいつだって私を駆り立てる唯一にして無二の原動力なのですから。
そんなこんなしていると、少し光が漏れている隠し扉が見えてきた。
「ここまで来れたのはバカレンジャーの皆さんの運動能力のたまものです。おめでとうです。さあ、この上に目的の本がありますよ」
隠し扉から顔をだして辺りを見渡すと、そこは石造りの聖堂のような重厚な建築様式の部屋だった。図書館らしく部屋の両側はギッシリと本が詰まった本棚がある。
部屋の奥には、なぜか図書館には不釣合いな巨大な石像が2体ほどあるですけど、なんかのインテリアかな?
「す、すごすぎるーっ! こんなのありー!?」
「私こーゆーのみた事あるよ! 弟の
「ラスボスの間アルー!」
バカレンジャーの同志達の感想はこんなかんじ。
内装も確かに驚くべき所ですが、ここの蔵書が激しく気になります。
あと、ジュースの自販機ないですかね? 魔法書の部屋限定のレアものの珍しい味のジュースがあったりしないかな。
「見てっ! あんな所に本が!」
佐々木さんの指差す先には意味ありげな台座の上に凄そうな本が……っ!
「あ! あれは!」
「ど、どうしたの! ネギ!」
こっそり「知っているのかネギ電」とつぶやいておくです。
「あれは伝説の『メルキセデクの書』ですよ! 信じられない、僕も見るのは初めてです」
微妙に言い回しが気になるですね。
まるで他の伝説級の書物を見た事があるとも取れるです。
ま、イギリスには大英博物館もあるですし、割と古書に縁があるのかな。アンティークの物品の収集が趣味という話も前に言ってた気がするですし。
でもそんな事より、本の内容が気になるですよ!
「あれは最高の魔法書ですよ! 確かにちょっと頭を良くするくらい簡単かも!」
まじです?! ヤバイです。あれさえあれば、学力も気にせずに――今でもあんまり気にしてねーですけど――本が読み放題ってことですね!
「やったー!」
「これで最下位脱出よー!」
「一番乗りアルー!」
「一番乗りは私です!」
「あー、あたしもー!」
駆け出す私を含むバカレンジャーの同志たち。
後ろでネギ先生が何か言ってるきがするですが、気にして……って!
台座の手前の通路の床がっ! 無くなった!
「落ちっ!」
「イタ!」
「キャー」
勢い良く地面にたたきつけられた。
うう、私としたことが。極レア本の存在に舞い上がってしまうとは。
ま、致死性のトラップじゃなくて良かったと思うべきですね。
しかし、妙ですね。
「これって」
「アレよね?」
「「「「ツイスターゲーム?」」」」
私達が書かれた50音のひらがなが書かれた床を見つめていると、声が聞こえてきた。
『にゃはははは!』
なんか微妙に照れが入ってる気がするですが。
『この本がほしくば、わ、我の質問に答えるのです!』
声の方向を見ると、先ほどの2体の石像が動いて本への道をふさいだ。
「ななな、石像が動いたー!」
「いやーん!」
「おおお!!」
そして、躍り出る人影。なぜかフリルがこれでもかと過剰にくっついたヒラヒラした服装の女の子。
「えっ?」
その女の子は蝶の意匠の仮面をつけているのですが、髪の毛の色とか顔の造詣とかで正体がバレバレなんですが……。
「「「「「「「なにやってるの、リズちゃん(音無さん)」」」」」」」
ものすごい挙動不審にあたふたする音無さん。
『にゃ!? わわわわ、私はリーゼロッテさんなんて知りません!』
「いやいや、さすがにそれはムリがあるでゴザルよ?」
「リズちゃんって、そんな趣味があったん?」
「ラスボスはリーゼロッテだったのか! 勝負アル!」
『いや、その、あの、わ、私は……じゃなかった、我は書の番人! この本が欲しくばこれから出す質問に正解するのです!』
「リズちゃん、カンペちらちら見ながら言っても迫力もなんもないわよ?」
あからさまに手元のセリフ表らしきものを見ながら喋る音無さんに神楽坂さんがつっこんだ。
『いーから! そんなのはどうでもいいから! わ、私だって原稿憶えようとしたけど、ムリだったのよ! お芝居だってやったことないし!』
「あ、自分が音無さんだって事を認めたです」
『あ』
私達の間に不思議な静寂が生まれた。
なんというか、こっちまでなんか気まずい感じです。
『うがーー! 第一問! 「
あ、やけっぱちになって、無理やり進行したです。
5/6:タイトル微調整