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■麻帆良観察ファイルその7『観察対象03リーゼロッテ・音無について』
先方からの情報通り、旧世界に4人しかいない錬金術師のなかの一人で、『次元の錬金術師』の弟子、リーゼロッテ・音無は麻帆良学園の女子中等部に編入した。
観察対象01と観察対象02の同じクラスになった事は私の情報収集の上で、大変好ましい。なぜなら、私もまた、2-Aの一員であるからだ。
さて、ここからは1日彼女を観察していて、分かったことを述べておく。
観察対象03……以下03、は学習分野においては特に秀でた点は見当たらない。
むしろ劣等生といえる。英単語の意味を当てるゲームにおいて、真っ先にゲームオーバーになっていることが確認された。
また、社会科の授業では遅刻し、さらには教師からの出題に対して珍解答を連発し、クラスに笑いの渦を起こした。
さらには理科の授業で、授業とはまったく別の事を考えているようで、突拍子もない奇行を披露した。
以上の事だけであれば、一般的な「頭の悪い生徒」である。
だが、5時間目と6時間目の間の休憩時間において、真祖の吸血鬼「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」と屋上で接触。
学園側はこの事に関して、情報を取得しているもよう。接触の際、魔法先生用の『職員室』に動きがあったとの報告を協力者から得ている。
エヴァンジェリンの性格上、03へ何らかのアクションを起こすと予測されていたようだ。
また、なにやらその取引後に03が重そうなトランクケースを持ち帰った事を見るに、03からの取引・情報提供が行われたのは確実だと思われる。
錬金術師としての能力は、魔法使いの魔法秘匿の原則の為か確認できなかった。
現状では03への観察機会が非常に少なく、今後も観察の継続が必要と断定する。
最近は01の動きが少ないが、02・03と立て続けに観察対象が増え、観察対象のすべての情報を収集する事が難しくなっている。
今度、ホームのナカマに増援要請すべきだろうか。
以上、03の転入初日の観察レポートとする。
追記:本当にどうでも良い蛇足であるが、03はスタイルにコンプレックスがあるらしく、大浴場にて数名の発育の良いクラスメートの身体を恨めしそうに眺めていた。
非常に腹立たしい事だ。一度じっくりと鏡を見てほしい。
豊満ではないが非常に均整のとれた肢体は彫像のようで、端整で華のある顔立ちはかなりのハイレベルだ。
整っただけの人物であればそうでもないのだけれど、コロコロと変わる03の表情を見ているだけで胸のあたりからポカポカとした気持ちが広がってくるのが不思議だ。
「……やっぱり、追記部分はあとで消そう」
ワタシはノートパソコンを閉じ、外出の準備を始めることにする。
03……じゃなかった、音無さんやネギ先生・神楽坂さんが動き始める頃合だ。
「往こう、図書館島へ」