side:ネギ/学園長室
「え! 転校生ですか?!」
麻帆良学園にも慣れ、2-Aの皆さんとも親しくなって、先生らしくなったんじゃないかと思えるようになった。
そんなある日、学園長先生に呼び出された。
なぜかその場には瀬流彦先生もいた。
「うむ、分校から転校してくる生徒なのじゃ」
そう学園長先生は言うと、手元の資料を眺めながら、
「ウチは広いからのぉ、迷ってしまうかもしれん」
「なるほど、僕も始めて来た時は迷いそうになりました」
「それで、中等部までの道案内をお願いしようと思っての」
「なるほど。では、どんな方なんですか?」
「リーゼロッテ・音無といっての、目印に真っ赤なコートを着ておるらしい」
学園長先生が手元の資料を僕に差し出した。
資料にはウエーブがかかった桃色の髪の毛が印象的で、ふんわりとした表情をした青い瞳の女の子の写真が張ってあった。
「それでは、ネギ君。よろしくたのんだぞい」
「わかりました! 任せてください!」
そう言って、僕は学園長室から退出した。
side:瀬流彦/学園長室
学園長先生とネギ君の会話を横で聞いていたが、少し気になって事があったので、聞いてみることにした。
「なんでまた2-Aに? あのクラスは色々と個性のある生徒が多いのに、ネギ君大変になっちゃいますよ?」
「ちょっとばかし訳アリでのぉ」
「訳アリと、いうと?」
ふむ、と、学園長先生はあごをなでて『もう一枚の資料』を眺めた。
「錬金術師」
「は? れん――」
「卑金属を貴金属に変え、死すら退ける『賢者の石』を精製する為に研究する者たちの総称じゃな」
「はぁ」
とてもじゃないが信じられない。漫画やアニメでしか聞いたことの無いような話だ。
「それともう一つ」
学園長先生はそう言うと『もう一枚の資料』を僕に見せた。
その書類には“リーゼロッテ・音無 ※三億円の借金アリ”と書かれていた。