ヨーロッパは一人の英雄が命を掛けた事で被害を免れたが、被爆地は大変な事になっていた。
ロサンゼルスには連邦軍の陸、海、空の基地があり壊滅的なダメージを負っていた。
日本では自衛隊の主要基地である、千歳がこれまた壊滅的なダメージを受け、食糧庫と言われる北海道が汚染された事により食糧難が予想されていた。
南米のジャブローはそれ程の人が住んでいる場所では無かったので人的被害は少なかったが、基地事態まだ未完成であったため、施設は司令部など完成していた部分を除き破壊された。
特に宇宙船用ドッグ、居住地区などは再建も出来ない状況であり地表も焼き尽くされ、汚染もひどかったことから地球連邦の司令部は移動を余儀なくされた。
一次被害だけで200万を超え2次被害まで入れると、どの位になるか予測しただけでも恐ろしい事になった。
このような事をしたイスラム国から声明が発表され、今回の事は、世界を支配しているつもりの連邦政府への鉄槌であり、清浄なる世界を作るまで戦い続け、本当の意味での独立を掴むと宣言してきたのであった。
当然、連邦政府もそんな訳のわからない宣言等認めるはずもなく、世界中の軍に指令を出し中東目掛け配備を始めた。
それから直ぐに各国首脳とコロニー使節団とで会議を開いていた。
世界中の首脳がモニター越しに口論を繰り広げ、まず被害のあった三ヶ所への人道支援はコロニーを中心に行い、食糧や医療団、救助隊などを編成する事になった。
このためギレンとドズルは、直ぐに宇宙に戻り用意する事になり、今回の視察は大きく方向を変える事になった。
モビルワーカーもあるパーツで組み立て用意し、送る事も決定した、それぞれが出来る支援をする為の準備に入った。
さすがに少し時間が掛かる為、それまではオセアニア地区から支援をする事が決定した。
月や他のサイドからも支援の約束が取れたので、降下し再離脱出来る形のHIVを各サイドから支援品などを積み、連邦の戦艦が地球軌道まで運び降下させる、という何とも不思議な光景を見る事になるのであった。
大きな困難があると世界は纏まる事が、出来るという事がわかり地球と宇宙が手を取り合う未来が不可能ではないのがわかる一面であった。
余談だが戦争はもしかしたら、苦しい情勢の国が共通の敵を作り国を纏め、内政を安定させるという狙いもあったのかもしれないと思う。
話は地球に戻るが、中東には連邦軍は四万人程、配備されていたが、今回の騒動後連絡が付かず基地が攻撃され占拠されているか、もしくは半数の中東人が同調しクーデターを起こしているのかわからない状態であった。
どちらにせよ中東での戦争はもう避ける事が出来ず、地上の軍は次々と、移動を始め包囲網を作るのであった。
今回は自国が被害にあったため、日本も軍を出して来た。
その中には日本の秘密兵器である四つ脚の戦車が、沢山見られていた。
三菱重工業で生産されたそれは「白蜘蛛」という名で四つ脚での高速移動に加え、ホバークラフトに寄る移動も出来るのが特徴であったため、戦線を駆け回り、地雷などの従来の戦車対策しかしていない、イスラム軍には脅威となる事が、期待されていた。
そんな情勢の中に巻き込まれた形となったサスロ達、使節団はまず被害にあった国を視察しながら、北米を目指して行った。
日本では北海道が致命的なダメージを受けたにも関わらず、天皇陛下、総理大臣、閣僚からの出迎えを受け、自分らの出来る限り復興に手を貸したいと伝えていた。
ヤシマ氏も母国であるため、惨状を見ると凄く落ち込んでいた様だが、ヤシマカンパニーの力で出来ることをやろうと強い視線を感じた。
ヤシマ氏からもモビルワーカーは復興支援には欠かせないので協力を求められたが、それはこちらとしても望むところだったのでモビルスーツの製造を中断してでもやる事になった。
そうして何日間か日本を、視察していたら宇宙からの支援部隊の第一陣が数時間後に降下する事が出来るとの連絡が入ったため、出迎えるために、デギン、アストライア、サスロ、キシリアで移動する事になった。
そして3時間後・・・
「あれだな無事着いたようだな」
降下ポイントに向かうと先に着陸していたので早速向かったところ、向こうより大佐のマークを付けた人物が走ってきたのがわかった。
「報告致します、私ダグラス・ローデン率います。第一次災害救助部隊405名、全員無事に降下成功致しました。
この後はこの地域にベースキャンプを張り救助活動を始めますが何か変更点ございますか」
デギンが一言
「良く来てくれた、地球の惨状はとても酷い、君達の救助を待つ者はとても多いぞっ!! 活躍を期待する。
まずは現地で救援部隊と合流して指示を仰いでくれ、ではダグラス大佐、後は任せるぞ」
そう言い一言激励をしてから皆を見送り、その足で天皇陛下というこの国の象徴、と言われてるお方に会う事になっていた。
移動中の車の中で同席していた、キシリア、ヤシマと話をし始め
「今回、キシリアの功績は大きいな、まさかモビルワーカーを工業機械として輸出しようとお父さんと話をしていて、すでに生産にこぎつけていたとは恐れ入る、そのおかげで今回50機程用立てれた上にまだラインで生産される分を考えれば、連邦への貸しは大分、大きいな、なんと言っても工業機械で対放射線用コクピットなぞ、何処も作っていないからな」
「確かに私もキシリアさんからその話を持ちかけられた時に、ギレンさんやサスロ君に内緒と聞いて少し悩みましたが、作って正解でした。
祖国の為に出来る事はとても嬉しいものです。」
「正直これからはどの様な世界になるか分かりませんもの、財は蓄えるべきと私は考えましたので、1番売れそうな物を作っただけですわ」
その様な話をしていると周りの風景が凄く綺麗になり見とれていると
「間も無く東北平泉別邸に着きます、皆様方にはそちらで陛下とお会いして頂く手筈になっております」
「一つお聞きしたいのだが、別邸と言ってたきがしましたがここは天皇陛下の御住まいなのですか」
「はいっ陛下には幾つか各地に御住まいがありまして、皇居の他に京都御所、太宰府御所、鎌倉御所そして平泉別邸となっております。
陛下は殊の外、平泉別邸がお気に入りでして、こちらには毎年2ヶ月は来られております。
あっ陛下が玄関までお出でになり、皆様をお出迎えになるようです」
「宇宙の友人達よ、ようこそお出で下さいました。
わたしが今上 幸仁です」
「これはこれは陛下自らお迎え頂き光栄の極みです。
わたしはアストライア・ダイクンと申します。
私の亡くなった夫、ジオン・ズム・ダイクンの志を継ぎ宇宙と地球の平和を願いやってまいりました。
後ろにいる者達は同じ意思の元に集まった者達です」
「そうですか、ジオン・ズム・ダイクンさんとは実は1度知人を通して話をした事あります。
彼の死を聞いたときは、私も悲しく追悼の意を伝えさせて頂いたものです。
良き指導者であった彼の熱い思いを、貴女やその方々が継いだのですね。
それを聞き安心しました。
あの想いが無くならずにいた事は、今後の問題をクリアする上でも大きな力になるでしょう。
今日は時間は沢山ありますので、まずはこちらの部屋で少し休み用意をして下さい。
30分後に隣の部屋でお話をしましょう」
そう言い一度別れて、部屋に入り少し座っていたらキシリアが
「なんて物腰が柔らかい方なんでしょうか、でも一つ一つの動作が優雅で気品を感じられる方ですね」
何千年もの歴史がある一族の重みを味わっていた所に、ある一つの話が入ってきた。
イスラム軍がまた声明を出して来たとの事であった。
内容を聞くとまず、地球の平和を乱して居るのは連邦であり即刻、解散しそれぞれの国へ自治権を返し、自由を確保出来るようにせよさもなくば、更なる悲劇が訪れるとの声明であった。
今上天皇との会談でも終始その話題になり、歴史上唯一の3度の核爆弾の悲劇に会った国として、イスラム国のやり口はどんな事があろうと許されないと陛下がお話になると、皆が強く思いを話し一つになった。
国の象徴としてで、特に政治的な役割は無い陛下だが、何かあれば前に出皆を纒めるカリスマ性はさすがな物であった。
その後に今回の救助隊の編成や支援物資の事などを話をし、一通り話が終わったので、天皇制度の歴史を聞くことになった。
神武天皇から始まり三千年近い歴史を持つ天皇制度には、大変参考になる部分や面白い話もあり、時間はあっという間に過ぎていった。
夜には天皇の専用料理人による素晴らしいご飯を頂き、一同は圧倒されっぱなしのまま1日は過ぎて行くのであった。
翌日、救助隊が各地に到着し作業を開始したとの報告を聞き、その後、閣僚とも今後の支援の内容を話をし、ホットラインも結び全ての日程を終わらせ、日本を後にした。
移動の前に中東に忍び込んでいた、サイクロプス隊より、現地の情報が入り、サスロは北米に行き大統領と話をせねばと思った。
さすがに日本に核がまた落ちる話は、重すぎて深く書けませんでした。
復興の、話はまだ続きますが、そろそろ宇宙に戻り結婚式をやらせたいです。