LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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今さらですが、当作品におけるリリカルキャラたちの設定を書きましたので、興味のある方は下記のURLへアクセスしてください。


http://id26.fm-p.jp/322/bakatesu555/index.php?module=viewbk&action=ptop&stid=3


もしアクセスできない場合はお申し付けください。


六魔将軍

 

 

 

 

地方ギルド定例会の決定により、闇ギルド最大勢力〝バラム同盟〟の一角…六魔将軍(オラシオンセイス)を討伐するべく、4つの各ギルドから選出されたメンバーで構成された連合軍。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)からはナツ、グレイ、エルザ、ルーシィ、ティアナ、スバル、ハッピーの7名(実質6名)

 

青い天馬(ブルーペガサス)からは一夜、ヴァイス、ヒビキ、レン、イヴの5名

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)からはリオン、シェリー、ギンガ…そして聖十大魔道のジュラの4名

 

 

そして最後に、化猫の宿(ケット・シェルター)から送られてきたメンバーは……何とウェンディ、エリオ、キャロと名乗る……3人の子供達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五十九話

六魔将軍(オラシオンセイス)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「子供!!?」」」

 

 

危険な討伐作戦であるにも関わらず、やって来たのが3人の子供だということに驚愕するメンバー達。

 

 

「ウェンディ……」

 

 

そんな中、ナツは聞き覚えがあるかのようにウェンディの名前を呟いた。

 

 

「これで全てのギルドがそろった」

 

 

「「話進めるのかよっ!!!」」

 

 

ただ1人、まったく動じず話を進めようとするジュラにグレイとヴァイスのツッコミを入れた。

 

 

「この大がかりな討伐作戦にこんなお子様3人をよこすなんて……化猫の宿(ケット・シェルター)はどういうおつもりですの?」

 

 

「あら、子供だけじゃないわよ、ケバいおばさん」

 

 

すると、シェリーの問い掛けに答えるように、入り口からまた新たな来訪者が現れた。

 

 

「あれ? この声って……」

 

 

「シャルル!?」

 

 

「ついてきたの!?」

 

 

「当然よ。アナタ達だけじゃ、不安でしょうがないもの」

 

 

そこに立っていたのは、しゃべる白いネコであった。

 

 

「「「ネコ!!?」」」

 

 

「(キュピーーン!)」

 

 

シャルルと呼ばれた白いネコを見て驚愕するトライメンズと一目惚れをしたハッピー。

 

 

「ねえルーシィ、あのコにオイラの魚あげてきて」

 

 

「きっかけは自分で作らなきゃダメよ」

 

 

ハッピーの心情を察したルーシィは諭すようにそう言った。

 

 

「あ…あの……私…戦闘は全然できませんけど……みなさんの役に立つサポートの魔法、いっぱい使えます」

 

 

「わ…私もっ……サポート魔法しか…できませんけど……」

 

 

「で、でもその代わり!! 戦闘が出来る僕が2人の分も一生懸命戦います!!!」

 

 

「だから仲間はずれにしないでくさい~」

 

 

「そんな弱気だからなめられるの! アンタは」

 

 

今にも泣きそうな声を出すウェンディをシャルルが叱咤する。そんなウェンディを安心させるように、エルザが口を開く。

 

 

「すまんな……少々驚いたが、そんなつもりは毛頭ない。よろしく頼む、ウェンディ、エリオ、キャロ」

 

 

「うわわ…エルザさんだ……本物だよキャロ、シャルル」

 

 

「雑誌の写真で見るよりもキレーだね!」

 

 

「思ってたよりいい女ね」

 

 

「オ…オイラの事知ってる? ネコマンダーのハッピー!!」

 

 

シャルルにそう問い掛けるハッピーだが、対するシャルルは興味無さそうにプイッと顔を背けられてしまった。

 

 

「照れてる……かわいい~」

 

 

「相手にされてないようにも見えるけど」

 

 

「って言うか、完全に眼中にないわよね」

 

 

それを違う方へと捉えているハッピーにルーシィとティアナが呆れるようにツッコム。

 

 

「あの娘たち、将来美人になるぞ」

 

 

「今でも十分かわいいよ」

 

 

「さ…お嬢さん方、こちらへ……」

 

 

「えっ…あの…」

 

 

「な…なんですか……?」

 

 

「こらこらヒビキ!! 手が早ぇっ!! つーか見境無しかお前!!?」

 

 

先ほどのエルザとルーシィにした事と同じように、ウェンディとキャロを持て成そうとしているヒビキにツッコミを入れるヴァイス。

 

 

「あの娘達と少年……なんという香り(パルファム)だ……ただ者ではないな」

 

 

「気づいたか一夜殿。あれはワシ等とは何か違う魔力だ……エルザ殿とヴァイス殿も気づいているようだが」

 

 

「さ…さすが」

 

 

一方で連合軍の中でも実力者である面々は、化猫の宿(ケット・シェルター)の3人から何かを感じ取っていた。

 

 

「ウェンディ……」

 

 

「どうしたのナツ?」

 

 

「どこかで聞いた事あるような、ないような……うーむ…思い出してくれねーか?」

 

 

「無理だよ!!」

 

 

ナツとスバルがそんな会話をしていると、ナツはトライメンズに持て成されているウェンディと目が合う。

 

そしてナツと目が合ったウェンディは何も言わず、ただ可愛らしい笑顔を浮かべただけであり、それを見たナツも訝しげな表情を作るだけであった。

 

 

「あ…あの!!」

 

 

「ん?」

 

 

すると、そんなナツに化猫の宿(ケット・シェルター)の赤髪の少年……エリオが声をかけた。

 

 

「えっと…妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツさん……ですよね?」

 

 

「そーだけど?」

 

 

「あの僕、化猫の宿(ケット・シェルター)のエリオ・モンディアルと言います!! 実は僕……ナツさんの大ファンなんです!!!」

 

 

「オレの…」

 

 

「「「「ナツのファンーー!!!?」」」」

 

 

エリオのその言葉にナツが驚くよりも先に、周囲に居た妖精組が驚愕した。

 

 

「オイオイ!! マジかよボーズ!! お前こんな奴のファンなのか!!?」

 

 

「やめといた方がいいわよ!! あいつは人の家に勝手に上がりこんで来るような奴だし!!」

 

 

「仕事先で色んなモノ壊すし!!」

 

 

「半壊してたギルドは壊すし!!」

 

 

「どこにファンになる要素があるのかまったく分からないけど、一言で言ったらコイツはただの乱暴者よっ!!!」

 

 

「テメェらケンカ売ってんのかー!!?」

 

 

上からグレイ、ルーシィ、ハッピー、スバル、ティアナが口々にそう言うと、キレたナツが怒鳴る。

 

 

「あ…あはは……まぁ確かに、週刊ソーサラーでは色んなモノを壊していると書かれていましたが……」

 

 

それを聞いたエリオは苦笑いを浮かべる。

 

 

「でも…ナツさんが僕の憧れである事には変わりありません!!!」

 

 

そう言って純粋な笑顔を向けるエリオに、一同は何も言えなくなった。

 

 

「……とんだ物好きもいたもんだな」

 

 

グレイのその呟きに、他の面々は深く頷いたのであった。

 

 

そして彼らがそんなやり取りをしていると、一夜からの作戦の説明が始まろうとしていた。

 

 

「さて……全員そろったようなので、私の方から作戦の説明をしよう──とその前に、トイレの香り(パルファム)を」

 

 

「オイ」

 

 

「そこに香り(パルファム)ってつけんなよ……」

 

 

 

閑話休題

 

 

 

「ここから北へ行くとワース樹海が広がっている。古代人たちはその樹海に、ある強大な魔法を封印した。その名は、ニルヴァーナ」

 

 

「?」

 

 

「ニルヴァーナ」

 

 

「聞かぬ魔法だ」

 

 

「ジュラさんは知ってますか?」

 

 

「いや……知らんな」

 

 

ニルヴァーナの名前に、ほぼ全員が首を傾げる。

 

 

「古代人たちが封印するほどの破壊魔法という事だけはわかっているが」

 

 

「どんな魔法かはわかっていないんだ」

 

 

六魔将軍(オラシオンセイス)が樹海に集結したのはきっと、ニルヴァーナを手に入れる為なんだ」

 

 

「オレたち連合軍はそれを阻止するために、六魔将軍(オラシオンセイス)を討つ!!!」

 

 

口々にそう説明する青い天馬(ブルーペガサス)の面々。

 

 

「こっちは18人、敵は6人。だけどあなどっちゃいけない。この6人がまたとんでもなく強いんだ」

 

 

そう言うと、ヒビキは魔法を展開して、敵の顔写真を空中に映し出す。

 

 

「毒蛇を使う魔導士『コブラ』。その名からしてスピード系の魔法を使うと思われる『レーサー』。天眼(てんげん)の『ホットアイ』。心を覗けるという女『エンジェル』。この男は情報は少ないのだが『ミッドナイト』と呼ばれている。そして奴等の司令塔『ブレイン』」

 

 

「こいつ等はたった1人でギルドの1つくらいは簡単に潰せるほどの魔力を持ってる。だからオレたちは数的有利を利用するんだ」

 

 

「あ…あの……あたしは頭数に入れないでほしいんだけど……」

 

 

「私も戦うのは苦手です」

 

 

「私も……」

 

 

「ウェンディ!! キャロ!! 弱音はかないの!!」

 

 

「ルーシィ、あんたもいい加減覚悟決めなさい」

 

 

ヴァイスの説明を聞いて弱音を吐くルーシィをティアナが、ウェンディとキャロをシャルルが叱咤する。

 

 

「安心したまえ、我々の作戦は戦闘だけにあらず。奴等の拠点を見つけてくれればいい」

 

 

「拠点?」

 

 

「今はまだ奴等を補足していないが、樹海には奴等の仮説拠点があると推測される」

 

 

「もし可能なら、奴等全員をその拠点に集めて欲しい」

 

 

「どうやって?」

 

 

「殴ってに決まってんだろ」

 

 

「結局戦ってるじゃないの」

 

 

「それで、奴等を拠点に集めてどうするの?」

 

 

ギンガがそう問い掛けると、ヒビキが天を指差しながら答える。

 

 

「我がギルドが大陸に誇る天馬、クリスティーナで拠点もろとも葬り去る」

 

 

「おおっ!!」

 

 

「天馬が持つと言われている、あの魔導爆撃艇!?」

 

 

それを聞いて、リオンとギンガは驚愕の声を漏らす。

 

 

「てか……人間相手にそこまでやる?」

 

 

「そういう相手なのだ。よいか……戦闘になっても決して一人で戦ってはいかん。敵一人に対して、必ず二人以上でやるんだ」

 

 

ジュラのその言葉を聞いて、ルーシィの顔からサァーっと血の気が失せる。

 

 

「おしっ!!! 燃えてきたぞ。6人まとめてオレが相手してやるァー!!!!」

 

 

そう言って、いの一番に屋敷を飛び出していくナツ。

 

 

「えっ、ちょっ…ナツ!!?」

 

 

「作戦聞いてねーだろ!!」

 

 

「仕方ない、行くぞ」

 

 

「うえ~」

 

 

「ったく、あのバカナツ!!」

 

 

そう言って飛び出して行ったナツを急いで追いかける妖精メンバー。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)には負けられんな。行くぞギンガ、シェリー」

 

 

「はい!!」

 

 

「私もスバルには負けてられないわ」

 

 

「リオン!! ギンガ!! シェリー!!」

 

 

妖精メンバーに続いて飛び出したのは、ジュラを除く3人の蛇姫メンバー。

 

 

「オレたちも行くぞ!!」

 

 

「うん!!」

 

 

「エンジェルかぁ♪」

 

 

「おいコラ!! お前ら待てって!!!」

 

 

ヴァイスの静止も聞かず、屋敷を飛び出していくトライメンズ。

 

 

「あっ!! ま、待ってください!!!」

 

 

「エ…エリオ君!!!」

 

 

続いて彼らを追うように屋敷を飛び出すエリオ。

 

 

「あわわわ…」

 

 

「どうしようウェンディちゃん…」

 

 

「大丈夫…!! オイラがついてるよ」

 

 

戸惑うウェンディとキャロを励ますようにそう言うハッピーだが……

 

 

「ウェンディ、キャロ、行くわよっ!!」

 

 

「わっ、わっ」

 

 

「シャルル! 引っ張らないで~!」

 

 

「あ!! 待ってよ~」

 

 

見事に無視され、ウェンディたちを追ってハッピーも屋敷を出て行った。

 

 

「やれやれ」

 

 

「どいつもこいつも…」

 

 

「メェーン」

 

 

そして屋敷に残ったのは、ジュラ、ヴァイス、一夜の3人。

 

 

「なにはともあれ、作戦開始だ。我々も行くとしよう」

 

 

「そっすね。その前に、あの先走ったバカどもを落ち着かせる必要がありそうっすけど」

 

 

「その前にジュラさん」

 

 

出て行ったメンバーを追おうとするジュラとヴァイスを、一夜が呼び止める。

 

 

「かの聖十大魔道の一人と聞いていますが……その実力はマスターマカロフにも匹敵するので?」

 

 

「滅相もない。聖十の称号は評議会が決めるもの。ワシなどは末席、同じ称号を持っていてもマスターマカロフと比べられたら天と地ほどの差があるよ」

 

 

「ほう」

 

 

「んな謙遜しなくても、聖十の称号に選ばれただけでも十分スゴイっすよ?」

 

 

「そういうヴァイス殿こそ、貴殿の狙撃の腕はワシの耳にも届いておるよ」

 

 

「いやいや、昔っからそれだけが取り得みたいなモンなんすわ」

 

 

「しかし、それを聞いて安心しました。マカロフと同じ強さだったらどうしようと思いまして」

 

 

「!」

 

 

「おい一夜…お前なに言って──うっ!!?」

 

 

その瞬間…ツンッとした臭いがジュラとヴァイスの鼻腔を刺激した。

 

 

「な…何だこの臭いは……!!?」

 

 

「相手の戦意を消失させる魔法の香り(パルファム)……だってさ」

 

 

「テ…テメェ……一夜じゃねぇな……一体!!?」

 

 

ドスッ! ドスッ!!

 

 

「ぐほっ」

 

 

「がっ」

 

 

ヴァイスがそう問い掛けたその瞬間……一夜がジュラとヴァイス…2人の腹部にナイフを深く突き刺した。

 

 

すると一夜はポンっと音を立てて、まるでぬいぐるみのような2体の生物に姿を変えた。

 

 

「ふう」

 

 

「戻ったー」

 

 

「…………!!」

 

 

「一夜って奴、エロい事しか考えてないよ」

 

 

「考えてないね! ダメな大人だね」

 

 

「はいはい! 文句言わない」

 

 

すると、部屋の置くから白い羽毛のような服を着た1人の少女が現れる。

 

 

「こ…これは…」

 

 

「あー…あのキタナイ男ねぇ……コピーさせてもらったゾ。おかげでアナタたちの作戦は全部わかったゾ」

 

 

「「僕たちコピーした人の考えまでわかるんだー」」

 

 

「テ…テメェは……エンジェル!!?」

 

 

そう……その少女こそ、六魔将軍(オラシオンセイス)の1人『エンジェル』であった。

 

 

「は~い♪まずは3人しとめたゾ」

 

 

「く…そ……」

 

 

「無念…」

 

 

そしてヴァイスとジュラの2人は腹部のダメージで意識を手放し、その場に倒れたのであった。

 

 

 

「邪魔はさせないゾ、光の子たち。邪魔する子は天使(エンジェル)が裁くゾ」

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃…屋敷を飛び出したメンバーたちはワース樹海目前までやって来ていた。

 

 

「見えてきた!!! 樹海だ!!!」

 

 

「待てよナツ」

 

 

「やーだねーーっ」

 

 

「アンタ連合軍の意味わかってんの!?」

 

 

「一人で先走るんじゃない」

 

 

「やっと追いつきました…」

 

 

「おおっ、エリオ!! お前足速ぇなぁ!!」

 

 

「あはは…スピードだけが取り柄ですから」

 

 

「ウェンディ!! もたもたしない!! キャロも急いで!!」

 

 

「だって~」

 

 

「みんな…足速いんだもん~」

 

 

「オイラもがんばるからね!!」

 

 

そう言いながら全員、眼前へと迫ったワース樹海に向かって走っていく。

 

 

「!!」

 

 

「なに?」

 

 

すると、そんな彼らを上空から巨大な影が覆った。

 

 

「っ!!」

 

 

「ちょっ、ナツさん!!?」

 

 

「おわっ!! 急に止まるんじゃねえ!!」

 

 

「ぐお」

 

 

「うわぁっ」

 

 

「……何やってんのよ」

 

 

突然足を止めたナツに、その後ろを走っていたエリオとグレイがぶつかり、3人は地面に倒れ、その様子をティアナが呆れた表情で見ていた。

 

 

「おお!!!」

 

 

「あれって…!!」

 

 

「魔導爆撃艇クリスティーナ!!!!」

 

 

「スゴーイ!! おっきい~!!!」

 

 

「あれが噂の…天馬!!!」

 

 

その影の正体は、先ほどの作戦の説明にもあった青い天馬(ブルーペガサス)の天馬を模した艇…クリスティーナであった。

 

それを見たメンバーたちは歓喜の声を上げる。

 

 

しかし……

 

 

 

ボン! ボボン!!

 

 

 

「え!?」

 

 

「爆発!!?」

 

 

「そんな……」

 

 

突然クリスティーナが爆発を起こし、その爆炎は瞬く間にクリスティーナを包み込み……

 

 

「クリスティーナが……!!」

 

 

「落とされたァ!!!!」

 

 

そのまま地面へと墜落し、爆発していったのであった。

 

 

「どうなっている!!?」

 

 

「どうしてクリスティーナが……!!?」

 

 

突然落ちたクリスティーナに、リオンとギンガが疑問に思っていると、爆煙の中から複数の人影が現れる。

 

 

「誰か出てくる……」

 

 

「ウェンディ! キャロ! 隠れて!!」

 

 

その人影を見て、エリオはウェンディとキャロを近くの岩の陰へと隠れさせる。

 

 

「数は……目測で6人」

 

 

「6人……って、まさか……!!!」

 

 

ティアナとスバルの予想通り……煙の中から姿を現したのは……討伐対象である闇ギルド〝六魔将軍(オラシオンセイス)〟の面々であった。

 

 

六魔将軍(オラシオンセイス)!!!!」

 

 

「うじどもが、群がりおって」

 

 

彼らの司令塔であるブレインが鬱陶しそうにそう声を漏らす。

 

 

「君たちの考えはお見通しだゾ」

 

 

「ジュラと一夜とヴァイスもやっつけたぞ」

 

 

「どーだ」

 

 

「何!!?」

 

 

「ジュラさんが!!?」

 

 

「バカな!!!」

 

 

実力者である3人がやられたと聞いて驚愕する蛇姫メンバーと天馬メンバー。

 

 

「動揺しているな? 聞こえるぞ」

 

 

「仕事は速ェ方がいい。それにアンタら…邪魔なんだよ」

 

 

「お金は人を強くするデスネ。いい事を教えましょう、〝世の中は金が全「お前は黙ってろ、ホットアイ」」

 

 

「なんか、眠ってる人いるんですけど……」

 

 

浮遊している絨毯に乗り、寝息を立てているミッドナイトを見てそう呟くルーシィ。

 

 

「まさかそっちから現れるとはな」

 

 

「探す手間がはぶけたぜーーーーっ!!!」

 

 

「ちょっ、ナツ!!!」

 

 

「グレイさん!!!」

 

 

真っ先に六魔将軍(オラシオンセイス)に向かって飛び出すナツとグレイ。

 

 

「やれ」

 

 

ブレインがそう言うと、レーサーが目にも止まらぬ速さで2人の前に現れ……

 

 

「モォタァ!」

 

 

「ぐあぁっ!」

 

 

「うあっ!」

 

 

これもまた目にも止まらぬ速さで攻撃され、吹き飛ばされるナツとグレイ。

 

 

「「ナツ!!! グレイ!!!」」

 

 

「ん?」

 

 

「え?」

 

 

「ルーシィが…2人!?」

 

 

いつの間にか、ルーシィの隣にはもう一人のルーシィが存在していた。

 

 

「ばーか!!」

 

 

「な…何コレェ!!? あたしが…え? えぇ!?」

 

 

「クス」

 

 

ルーシィ(偽)に鞭で滅多打ちにされるルーシィ(本物)。それを見て怪しく笑うエンジェル。

 

 

「くっ…行くわよスバル!!」

 

 

「うん!!」

 

 

そう言ってティアナとスバルはクロスミラージュとリボルバーナックルを構えて戦闘態勢に移るが……

 

 

「遅い」

 

 

「なっ!? きゃあっ!!!」

 

 

「ティア!! うわぁっ!!!」

 

 

レーサーの目にも止まらぬ攻撃に成す術なく吹き飛ばされる。

 

 

「スバル!!」

 

 

「ちっ」

 

 

それを見たリオンとギンガ、そしてシェリーは迎え撃とうと動き出すが……

 

 

「愛など無くとも金さえあれば!!! デスネ」

 

 

「きゃああっ!」

 

 

「な…何だ!!? 地面がっ!!!」

 

 

「引っくり返って……!!!」

 

 

ホットアイの魔法により、地面が引っくり返り、3人は動きを封じられる。

 

 

「がっ」

 

 

「うあっ」

 

 

「ばっ」

 

 

そしてトライメンズも、レーサーのスピードの前に倒される。

 

 

「舞え!!! 剣たちよ!!!!」

 

 

エルザは天輪の鎧に換装し、何本もの剣をコブラに向かって放つ。しかし、コブラはそれを余裕の笑みを浮かべながら回避していた。

 

 

「くっそぉ!!! お前何寝てんだコノヤロウ!!!!」

 

 

復活したナツの目の前には、未だに眠っているミッドナイトがいた。

 

 

「起きろーーーっ!!!」

 

 

そんなミッドナイトに向かって、ナツはブレスを放つが……

 

 

ぐにゃん

 

 

「!!!」

 

 

「スー…スー」

 

 

なんと、ナツのブレスはまるでミッドナイトを避けるかのように曲がってしまった。

 

 

「よせよ、ミッドナイトは起こすと怖ェ」

 

 

「!!! んがっ!!」

 

 

驚愕しているナツの背後にレーサーが現れ、再び彼によって吹き飛ばされるナツ。

 

 

「ナツさん!! くっ…ストラーダ!!!」

 

 

それを見たエリオは、自身の武器である槍……『ストラーダ』を換装で出して構え、レーサーに向かって行った。

 

 

「オォォオオオ!!!!」

 

 

「ガキか……」

 

 

一直線に向かってくるエリオを殴ろうと拳を構えるレーサー。すると……

 

 

ビィン!

 

 

「何っ!!?」

 

 

突然黄色い閃光と共に、エリオの姿が消えた。

 

 

「たぁぁぁあああ!!!」

 

 

そしてレーサーの背後に姿を現したエリオはストラーダをレーサーに向かって振るう。

 

しかし……

 

 

「小僧、中々のスピードだな」

 

 

「!!?」

 

 

そんなエリオの背後に、いつの間にか目の前にいたレーサーが回り込んでいた。

 

 

「だが、まだ遅い」

 

 

「ぐあぁぁぁああああ!!!」

 

 

そしてそのまま、エリオは殴り飛ばされた。

 

 

「なっ…」

 

 

「ぐあぁ!」

 

 

「きゃああっ!!」

 

 

「うあああ!!」

 

 

「ぐっ…うあ……」

 

 

「ひぃい……キャロォ…」

 

 

「ウェンディちゃん……」

 

 

六魔将軍(オラシオンセイス)の力の前に次々と倒れていく連合軍のメンバーたち。それを岩陰から見ていたウェンディとキャロは恐怖で身を寄せ合う。

 

 

「つぁっ!!!」

 

 

そんな中、ただ一人倒れていないエルザはコブラに向かって剣を振るうが、軽々とかわされる。

 

 

そして頭上からのレーサーの攻撃と、コブラの毒蛇の攻撃を飛翔の鎧に換装しながら回避し、2人に向かって剣を振るうが、またもや避けられる。

 

 

「ほう……これがエルザ・スカーレットか」

 

 

一人で立ち回るエルザを見て、ブレインは感心の声を漏らす。

 

 

「見えたデスネ。ネ!!!」

 

 

「くっ!」

 

 

しかし、ホットアイの天眼によって動きを先読みされ、足場を崩されて動きを止める。

 

 

「はァ!!!」

 

 

「うっ」

 

 

その状態でも何とかレーサーの攻撃を受け止めるエルザだが……

 

 

「聞こえるんだよ、その動き」

 

 

「!!!」

 

 

その瞬間、エルザの手首にコブラの毒蛇がカプリと噛み付いた。

 

 

「はあ!!」

 

 

「そいつの毒はすぐには死なねえ……苦しみながら息絶えるがいい……」

 

 

「う…あ……」

 

 

毒蛇の毒によって、ついにエルザまでもが倒れてしまった。

 

 

「うう……」

 

 

「強ェ…」

 

 

「これが…六魔将軍(オラシオンセイス)……」

 

 

「はあ…はあ……」

 

 

「おのれ~…」

 

 

「ぐっ…うあ……」

 

 

呻き声を上げながらその場に倒れ伏す連合軍のメンバーたち。

 

 

「ゴミどもめ。まとめて消え去るがよい」

 

 

そう言うとブレインは持っていたドクロの杖に、まるで怨霊のような黒い魔力を集束させる。

 

 

「な……なんですの? この魔力……」

 

 

「大気が震えている」

 

 

「まずい…」

 

 

「この状態であんなの喰らったら……」

 

 

何とか回避しようとするが、ダメージによって思ったとおりに動くことが出来ない。

 

 

常闇回旋曲(ダークロンド)

 

 

魔法名を呟き、今まさに集束した魔力を放とうとしたその時……

 

 

「!!!」

 

 

岩陰に隠れていたウェンディとキャロを見た瞬間、ブレインは魔力を霧散させた。

 

 

「どうしたブレイン!! なぜ魔法を止める!!?」

 

 

レーサーの問い掛けに答えず、ブレインはウェンディとキャロを凝視する。

 

 

「……ウェンディ…キャロ……」

 

 

「え? え?」

 

 

「ど…どうして私たちの名前を……?」

 

 

突然自分達の名前を呟かれ、怯えながらも呆然とするウェンディとキャロ。

 

 

「どうしたブレイン」

 

 

「知り合いか?」

 

 

「間違いない。〝天空の巫女〟と〝真竜の巫女〟だ」

 

 

「天空の…」

 

 

「巫女?」

 

 

「それに…真竜の巫女って……?」

 

 

聞いた事のない2人の呼び名に、仲間たちも戸惑う。

 

 

「これはいいものを拾った。来い」

 

 

「「きゃあ!」」

 

 

「っ…ウェンディ!! キャロ!!!」

 

 

ブレインの魔法によって2人が捕まり、エリオが悲痛の叫びを上げる。

 

 

「やめろ!! 2人を放せっ!!!」

 

 

そう言ってストラーダを構え、ブレインに向かって駆け出すエリオ。

 

 

「金に……上下の隔て無し!!!!」

 

 

「うわぁぁあ!!!」

 

 

しかし、ホットアイに地面を引っくり返され、その場に倒れる。

 

 

「「エリオ君!!」」

 

 

「エリオ!!」

 

 

それを見て、捕まった2人とシャルルが声を上げる。

 

 

「ぐっ…うぅ……!!!」

 

 

するとエリオは、呻きながらもゆっくりと体を起こし……

 

 

 

「2人を放せって…言ってるだろぉおおお!!!!!」

 

 

 

ピシャアアアアアン!!!!!

 

 

エリオが雄叫びを上げたその瞬間……彼の身体から強大な電撃が迸り…バチバチと轟音を上げながら身体中を駆け巡る。

 

 

「雷竜の……」

 

 

その身体から放出された電撃を自身の口の中へと吸い込むように集束させ、頬を膨らませるエリオ。

 

 

「なにっ!?」

 

 

「これって……!!」

 

 

「エリオ…お前まさか!!」

 

 

それを見たグレイ、ティアナ、ナツは驚愕し目を見開く。

 

 

 

「咆哮!!!!!」

 

 

 

そしてエリオの口から……強烈な雷のブレスがブレインに向かって放たれた。

 

 

しかし……

 

 

「リキッドグラウンド!!!」

 

 

「なっ!? うあぁあ!!!」

 

 

ホットアイの魔法により、足元を陥没させられて体制を崩したエリオ。それによりエリオが放ったブレスは上空へと逸れてしまい、ブレインに当たる事はなかった。

 

そしてその間にも、ウェンディとキャロはブレインたちの方へと引き寄せられる。

 

 

「シャルルー!!!」

 

 

「ウェンディー!!!」

 

 

互いの手を掴もうと必死に手を伸ばすウェンディとシャルル。

 

 

「あ」

 

 

「あれ?」

 

 

だが、ウェンディは何故かハッピーの手を掴んでいた。

 

 

「「きゃあああああ!!」」

 

 

「ナツーーーーうわーーー!!!!」

 

 

「ウェンディーー!!!」

 

 

「キャローーー!!!」

 

 

「ハッピー!!!」

 

 

黒い魔力と共に消えた3人を見て、シャルルとエリオ、ナツは悲痛の叫びを上げる。

 

 

「うぬらにもう用はない。消えよ!!!」

 

 

そう言って、今度こそ倒れているメンバーに向かって魔法を放つブレイン。

 

 

「ふせろォーーっ!!!」

 

 

「ティア!! 来い!!!」

 

 

「ナツ!! きゃあっ!!!」

 

 

少しでもダメージを減らすために、全員一斉にその場に伏せる。

 

その時……

 

 

 

「岩鉄壁!!!!」

 

 

 

ズガガガガガガガ!!!!

 

 

突然いくつもの岩の壁が突き出し、ブレインの放った魔法を全て防いだ。

 

 

「この魔法は……ジュラさん!!!」

 

 

そう言うギンガの視線の先には、魔法を防いだ張本人……ジュラが立っていた。

 

 

「スゴイ!!」

 

 

「これが…岩鉄のジュラ……」

 

 

その魔法を見たスバルとティアナは感心の声を漏らす。

 

 

「ティア、大丈夫か?」

 

 

「えぇ、ありがと」

 

 

「あいつらは!!? いねえ!!! くそっ!!! 逃げられた!!!」

 

 

ティアナの無事を確認したナツはすぐさま辺りを見回すが、そこに六魔将軍(オラシオンセイス)の姿は無かった。

 

 

「ウェンディ…キャロ……」

 

 

「シャルル……ゴメン…僕が頼りないせいで」

 

 

「ううん、アンタのせいじゃないわ」

 

 

謝罪するエリオに優しくそう言うシャルル。

 

そこへ、ヴァイスが駆けつける。

 

 

「お前ら、無事か?」

 

 

「ヴァイス!!」

 

 

「やられたと聞いたけど、思ったよりも大丈夫そうだね?」

 

 

「大丈夫なモンかよ。オレもジュラの旦那もこのザマだ」

 

 

ヒビキの問いに答えながら、ヴァイスは刺された腹部の傷を見せる。一応包帯は巻いてあるが、結構な血が滲んでいた。

 

 

「そのキズ……」

 

 

「ジュラさんも…酷い……」

 

 

「今は一夜殿の〝痛み止めの香り(パルファム)〟で一時的に押さえられているが」

 

 

六魔将軍(オラシオンセイス)め、我々が到着した途端に逃げ出すとは、さては恐れをなしたな」

 

 

「あんたボロボロじゃねーか!」

 

 

到着した3人の中でも、一夜が一番ダメージを受けていた。

 

 

「みなさんにも、私の痛み止めの香り(パルファム)を」

 

 

そう言うと、一夜は腰に身に着けていた試験管の栓を抜き、その中に詰められていた香りを辺りに漂わせる。

 

 

「いい匂い」

 

 

「痛みが…やわらいでいく……」

 

 

「さすが先生!!!」

 

 

「また呼び方変わったね」

 

 

「放っときなさい」

 

 

「あいつら~…ウェンディとキャロとハッピーを…どこだーーー!!!」

 

 

「あっ!! 待ちなさいナツ!!!」

 

 

ティアナの静止も聞かず、ナツは六魔将軍(オラシオンセイス)を探して駆け出した。

 

 

ギュッ

 

 

「んが!」

 

 

が…突然誰かに後ろからマフラーを掴まれ、そのまま後ろに倒れてしまった。

 

 

そしてそこには、ナツを止めた張本人…背中に羽を生やしたシャルルが飛んでいた。

 

 

「羽!?」

 

 

「猫が飛んでる」

 

 

「これは(エーラ)っていう魔法。ま…驚くのも無理ないですけど「ハッピーとかぶってる」何ですって!!!」

 

 

ナツの一言に憤慨するシャルルだが、すぐに落ち着きを取り戻して話を始める。

 

 

「とにかく、ウェンディとキャロ…あとオスネコの事は心配ですけど、やみくもに突っ込んでも勝てる相手じゃないってわかったでしょう」

 

 

「シャルル殿の言う通りだ。敵は予想以上に強い」

 

 

「……そうですね。それに…一番ヤバいのは……」

 

 

「!!」

 

 

そう言うティアナの視線を追いかけた先にあったのは、毒蛇の毒によって苦しんでいるエルザの姿であった。

 

 

「エルザ、しっかりして!!!」

 

 

「エルザさん!!!」

 

 

「う…うあ……」

 

 

「ダメだ…一夜の痛み止めの香り(パルファム)も効いてねぇ」

 

 

「エルザ!!」

 

 

「ルーシィ…すまん…ベルトを借りる……」

 

 

「え? きゃあああ!!」

 

 

いきなりエルザにスカートのベルトを抜き取られるルーシィ。その際にスカートが落ちてしまったが、それは余談である。

 

 

「な……なにしてんのよ……」

 

 

「このままでは戦えん」

 

 

そう言うと、エルザは噛まれた腕にベルトを巻き、そして自分の目の前に一振りの剣を投げ出すと……

 

 

「斬り落とせ」

 

 

毒が回っている腕を差し出してそう言った。

 

 

「何言ってるんですかエルザさん!!!」

 

 

「バカな事言ってんじゃねえよ!」

 

 

スバルとグレイが抗議の言葉を口にするが、エルザの意思は変わらない。

 

 

「わかった、オレがやろう」

 

 

「リオン、テメェ!!!」

 

 

「やれ」

 

 

剣を拾うリオンに、迷い無くそう言い放つエルザ。

 

 

「よせ!!!」

 

 

「今、この女に死んでもらう訳にはいかん」

 

 

そう言って剣を振り上げるリオン。

 

 

「ギン姉!!! リオンさんを止めて!!!」

 

 

「……残念だけどスバル、今はこれが最善の方法なのよ」

 

 

「けど…」

 

 

「どんだけ甘いんですの!? 妖精さんは」

 

 

「あんたに何がわかるっていうのよ!!」

 

 

「やるんだ!!! 早く!!!」

 

 

「やめろリオン!!!」

 

 

「よさないか!!!」

 

 

「そんな事しなくても」

 

 

「エルザ殿の意思だ」

 

 

メンバーが口論している間に……ついにリオンがエルザの腕に向かって剣を振り下ろした。

 

 

 

ガキィィィィイイン!!!

 

 

 

しかしその直前で、グレイの氷とスバルのリボルバーナックルが割って入り、剣を止めた。

 

 

「貴様等はこの女の命より、腕の方が大事か?」

 

 

「そんな訳ない……私たちだって、エルザさんの命の方が大切だよ」

 

 

「他に方法があるかもしれねえだろ? 短絡的に考えるなよ」

 

 

「あ…」

 

 

リオンとグレイとスバルが言い争っている間に、ついに腕以外にも毒が回り始めたのか、エルザがその場に倒れる。

 

 

「エルザ!!」

 

 

「マズイわね……毒が体中に回るのも時間の問題…何か方法は……」

 

 

「方法ならあります!」

 

 

「そうね、ウェンディなら助けられるわ」

 

 

ティアナの言葉に答えるように、エリオとシャルルがそう言うと、全員の視線が2人へと向く。

 

 

「今さら仲間同士で争っている場合じゃないでしょ。力を合わせてウェンディとキャロを救うの。ついでにオスネコも」

 

 

「あの娘が解毒の魔法を?」

 

 

「すごいなぁ」

 

 

「解毒だけではありません。ウェンディは解熱や痛み止め、さらにはキズの治癒まで出来るんです」

 

 

「あ…あの……私のアイデンティティーは……」

 

 

エリオの説明を聞いて一夜はそう言うが、今は誰も取り合わなかった。

 

 

「でも治癒魔法って確か、失われた魔法(ロストマジック)だったはずよ」

 

 

「もしかして六魔将軍(オラシオンセイス)が言ってた、天空の巫女っていうのに関係あるの?」

 

 

ギンガとスバルがそう問い掛けると、シャルルは一呼吸置いてから答えた。

 

 

 

「あの娘は天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)…天竜のウェンディ」

 

 

 

「ドラゴンスレイヤー!?」

 

 

シャルルのその言葉に、ナツだけでなくその場にいたエリオ以外の全員が驚愕した。

 

 

「ついでに、もう気がついてる人もいるかもしれないけど…そこにいるエリオも滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)よ」

 

 

そう言うと、全員の視線がエリオへと移る。

 

 

「ナツと同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が2人もいるなんて……」

 

 

化猫の宿(ケット・シェルター)って一体……」

 

 

「い…今は僕の事よりも、ウェンディとキャロの救出です!! 敵も目的はわかりませんが、ウェンディとキャロを必要としているんですから!!!」

 

 

ルーシィとスバルの疑問を遮ってエリオがそう言うと、全員が頷く。

 

 

「……となれば」

 

 

「やる事は一つ」

 

 

「ウェンディとキャロを助けるんだ」

 

 

「エルザの為にも」

 

 

「ハッピーもね」

 

 

「おっし!!!!」

 

 

上からリオン、ヒビキ、エリオ、グレイ、ティアナがそう言うと、ナツが意気揚々と拳を突き出す。

 

 

 

 

 

「行くぞォ!!!!」

 

 

『オオォッ!!!!!』

 

 

 

 

 

ナツの号令と共に全員が拳を突き出し合い、雄叫びを上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

つづく


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