LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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神鳴殿

 

 

 

 

 

マグノリア中心部・カルディア大聖堂。

 

 

そこでは、ラクサスが目の前に表示された情報を眺めていた。

 

 

「エルザ復活に、リィンフォースとミストガン…クロスケも参戦か……オレを含めて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のトップ4が揃ったわけだ。やはり祭りはこうでなきゃな」

 

 

情報を眺めながら不気味にそう呟くラクサスの声が……大聖堂に静かに響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五十一話

『神鳴殿』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃…バトル・オブ・フェアリーテイルに新たに参戦したリィンフォースは、ラクサスと雷神衆を探して一人街中を走っていた。

 

 

「おーい、リィンフォースちゃん。そんなに急いでどうしたんだい?」

 

 

「アンタんトコの若いのがそこら中でケンカやってて迷惑してるんだよ」

 

 

すると、二人の老夫婦に話しかけられる。

 

 

「申し訳ありません。ファンタジアの為の準備をしておりまして……」

 

 

「ずいぶん変わった準備だねぇ」

 

 

「えぇ、まぁ……ファンタジアを楽しみにしていてください」

 

 

「もちろんだともー」

 

 

「ケンカもほどほどにねー」

 

 

そんな会話をしたあと、リィンフォースは老夫婦とわかれ、再びラクサスと雷神衆を探して走り出す。

 

 

そしてしばらく走っていると……

 

 

「!!」

 

 

突然上空から何本もの槍が降ってくる。

 

 

「盾!!」

 

 

ガキィィィイン!!!

 

 

リィンフォースは咄嗟に魔力の盾を張り、槍を全て弾き落とす。そして槍が飛んで来た方向に視線を向けるとそこには……

 

 

「あーら誰かと思ったらアンタだったの、リィンフォース」

 

 

「……エバーグリーンか」

 

 

はやてとシャマルを石にした張本人……エバーグリーンが立っていた。

 

 

「ホント、ムカツク。なにが〝祝福の風〟よ、呪われた一族の分際で」

 

 

リィンフォースを見下しながらそう言うと、エバーグリーンは背中に身につけた妖精の羽を広げ、そのままクルリと宙返りをする。それと同時に、羽から落ちた粉がリィンフォースに降りかかる。

 

 

「粉?」

 

 

リィンフォースは落ちてきた粉を眺めながら首を傾げる。すると……

 

 

「妖精爆弾グレムリン!!!」

 

 

ドドドドドド!!!!

 

 

突然その粉が大爆発を起こす。すると、その爆炎の中から黒翼を広げたリィンフォースがすぐさま飛び出してきた。

 

 

「テヤァァア!!!」

 

 

そしてリィンフォースは拳に魔力を纏わせ、そのままエバーグリーンに向かって拳を振るう。

 

 

ドガァァア!!!

 

 

しかし、エバーグリーンはその拳を軽々避け、代わりにその背後にあった煙突が粉々に砕け散る。

 

 

「やるじゃない」

 

 

「まさかお前の方から現れるとは好都合だ。お前を倒せば、我が主と他のみんなを元に戻せる」

 

 

「できるかしら?」

 

 

そう言ってメガネを上げて石化眼(ストーンアイズ)でリィンフォースを見つめるエバーグリーン。しかし……

 

 

「無駄だ」

 

 

「!!」

 

 

リィンフォースは意にも介さず、そのままエバーグリーンに殴り掛かった。そしてそれをギリギリでかわしたエバーグリーンは近くの屋根に着地する。

 

 

「くっ……どうして石化眼(ストーンアイズ)が……」

 

 

「簡単な事だ。私はギルドを出る前に、目から受けるあらゆる魔法を無効化させる魔法…〝眼鎧(アイズシャッター)〟を施してきただけだ」

 

 

「なるほど……味なマネしてくれるじゃない。だったらこういう魔法で」

 

 

そう呟くと、エバーグリーンは両手をクロスさせ……

 

 

「妖精機銃レブラホーン!!!」

 

 

大量の針のような弾丸を撃ち出した。

 

 

「!!」

 

 

それを見たリィンフォースは咄嗟にそれらをかわし、エバーグリーンに向かって駆け出す。

 

 

「この無数の針……かわしきれるかしら?」

 

 

さらに針の弾丸が増え、避ける事が難しくなってきたリィンフォースは魔力を纏った拳で弾丸を弾き始める。そしてそのままエバーグリーンに向かって拳を放つが……

 

 

「そぉれっ」

 

 

エバーグリーンは妖精の羽を広げてその場から飛び立ってしまう。

 

 

「逃がすかっ!!!」

 

 

それを見たリィンフォースも黒翼を広げ、エバーグリーンを追った。

 

 

しかし、エバーグリーンは飛びながらも針の弾丸を放ち、リィンフォースはそれを防ぎながら追っている為、中々距離が詰まらない。

 

 

「この数の針を防ぎ切ってるとはね、やるじゃない。でも、〝倍〟ならどうかしら」

 

 

そう言うとエバーグリーンはさらに多くの針の弾丸を放ち始める。

 

 

「なっ……!!?」

 

 

リィンフォースはそれに驚きながらも何とか防ぐ。

 

 

 

「うっ……くぅ……!!」

 

 

だが、いかんせん数が多いため次第に防ぎ切れなり、腕や足などに掠り始める。

 

 

「あはははっ!!! 所詮アンタ程度じゃ、私に勝つことなんてできないのよ!!!」

 

 

自身の勝利を確信したエバーグリーンは高笑いを上げながらそう叫ぶ。

 

 

だがその時……

 

 

 

「封縛」

 

 

 

「え?」

 

 

突然エバーグリーンの妖精の羽に、黒いリング状の魔法陣が巻きつく。そして……

 

 

 

「吼えよ!!!」

 

 

 

ドゴォォォォオン!!!

 

 

「きゃぁぁああああ!!!」

 

 

掛け声と共に魔法陣が爆発し、羽をやられたエバーグリーンは地面に転がる。

 

 

「ブラッディダガー!!!」

 

 

続けてリィンフォースはそんなエバーグリーンに向かって二本のブラッディダガーを投げつけ、彼女の服を壁に縫い付けて動けなくした。

 

 

「くっ……!!」

 

 

エバーグリーンは何とか動こうとするが、深く縫い付けられている為、それは叶わない。すると、リィンフォースがゆっくりと口を開く。

 

 

「お前は先ほど…私に向かってムカツク…と言ったな………笑わせるな」

 

 

そう言うと、リィンフォースはギロリとエバーグリーンを睨みつける。

 

 

 

「大切な我が主と仲間を危険にさらされて……頭にきているのは私の方だ……!!!」

 

 

 

今までに見た事がないほどの怒りに満ち溢れた表情でそう語るリィンフォース。

 

 

「ひっ……!!」

 

 

その射殺すかのような眼差しに、さすがのエバーグリーンも小さく悲鳴を上げる。

 

 

「さぁ…早く我が主と他のみんなを元に戻せ。そうすればお前をキズつけはしない」

 

 

リィンフォースはエバーグリーンに石化を解くように要求するが、エバーグリーンは何故か笑みを浮かべている。

 

 

「うふふ……ちょっと甘いんじゃないの? 私の石化眼(ストーンアイズ)にはもう一つの力があるのよ。遠隔操作……服を脱ぎなっ!!! 素っ裸で私の前に跪くんだよ!!! さもないと今すぐ石化しているお前の主や女どもを粉々に砕いてやるよ!!!」

 

 

エバーグリーンはリィンフォースに向かって叫びながらそう脅迫すると、リィンフォースは無言のまま目を伏せたあと……

 

 

 

「そうか。命より勝ち負けが大事だと言うのなら……それもいいだろう」

 

 

 

そう言ってリィンフォースは手を前にかざして、漆黒の魔法陣を展開する。

 

 

「え?」

 

 

予想外のリィンフォースの反応に、目を点にするエバーグリーン。

 

 

「我らの主をその手にかけた罪は……お前の命で償ってもらう」

 

 

そう言いながら、段々と魔法陣に魔力を収束させるリィンフォース。それを呆然としたまま滝のような汗を流しながら見ているエバーグリーン。

 

 

「せめてもの手向けに…チリも残さず消してやろう!!!」

 

 

そしてついに…魔力の集束が完了する。

 

 

 

「永遠の闇へと消えろ!! ナイトメア!!!!」

 

 

 

「きゃああああああ!!!!」

 

 

エバーグリーンの断末魔とともに…漆黒の閃光が放たれる───

 

 

 

 

 

ゴッ!!!

 

 

 

 

 

──ことはなく、代わりにリィンフォースの拳がエバーグリーンの顔面に深くメリ込んでいた。

 

 

「ハッタリを言うのなら、これくらいはするんだな」

 

 

「ま……参りました」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

リィンフォースがエバーグリーンを降した同時刻。ギルドでは、石像になったメンバーがパキィィンと言う音を立てて元の姿へと戻った。

 

 

「!?」

 

 

「あれ? 何これ」

 

 

「一体何が……」

 

 

「あら?」

 

 

「ジュビア、どうしたのでしょう?」

 

 

「何だか記憶が飛んでる感じがするの……」

 

 

「何が起こったんや?」

 

 

「???」

 

 

「私たち……」

 

 

「んん?」

 

 

石化が解けたメンバーは状況が理解できずに呆然としている。

 

 

「おおっ!!! 元に戻ったーーーっ!!!」

 

 

「ティアナーー!!!」

 

 

「え!? ハッピー!?どうしたのよ!!?」

 

 

そんなメンバーを見て、ナツは歓喜の声を上げ、ハッピーは涙を流しながらティアナに抱きつき、そんなハッピーをティアナは戸惑いながらも受け止める。

 

 

そして入り口前には、新たな情報が表示される。

 

 

【リィンフォースVSエバーグリーン】

【勝者:リィンフォース】

 

 

「(よくやったリィンフォース。人質は解放された。さあ、どうするラクサス)」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「………!! クソが……!!」

 

 

その頃カルディア大聖堂では、ラクサスが怒りの表情を浮かべていた。

 

 

「なんでエバがリィンフォースごときにやられんだよ、ア? いつからそんなに弱くなったぁエバァ!!!」

 

 

柱を殴りながら怒りの言葉を口にするラクサス。そんなラクサスに、フリードが歩み寄る。

 

 

「リィンフォースの力を甘く見過ぎたな。オレかビックスローが行くべきだった」

 

 

「なぜ戻ってきたフリード」

 

 

「ゲームセットだからな。人質が解放されたら、マスターはもう動かない」

 

 

フリードがそう言った瞬間、ラクサスはキッとフリードを睨みつけ……

 

 

「!!」

 

 

ズギャアア!!!

 

 

彼のすぐ横に雷を放った。

 

 

「ラクサス…」

 

 

「終わってねえよ。ついて来れねえなら消えろ、アイツのようにな。オレの妖精の尻尾(フェアリーテイル)には必要ねえ」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「バトル・オブ・フェアリーテイル!?」

 

 

「ラクサスが…そんな事を?」

 

 

一方、石像にされていた面々は、マカロフから事情を聞いて驚愕する。

 

 

「……が、それも終わりじゃ。お前たちが石から戻ればラクサスのくだらん遊びに付き合う事もあるまい」

 

 

「……ラクサス……!!」

 

 

マカロフの言葉を聞いて、ギュッと拳を握り締めるフェイト。

 

 

「でも……フリードの罠にかかってキズついたみんなは……」

 

 

「せや!! いくら何でも今回は許されへんでマスター!!!」

 

 

特にはやては本当の家族とも言えるシグナム、ヴィータ、ザフィーラの三人がやられているのだ。この中で一番憤慨しているのは彼女である。

 

因みにシャマルは現在、医務室でシグナムの治療中である。

 

 

「わーっとるわい。後でワシが最大級の仕置きをする。ラクサスめ…今回ばかりはただではすまさんぞ」

 

 

「ちょっと待ってくれ」

 

 

憤慨しながらそう言うマカロフに、ナツが突然待ったをかけた。

 

 

「確かにアレだ…仲間同士、無理矢理戦わなきゃならねーって状況はどうかと思ったが……妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強を決めるっていうラクサスの意見には賛成するしかねえだろ」

 

 

「いや、そんなの考えてんのアンタだけだから」

 

 

ティアナはそうツッコムが、ナツは意にも介さない。

 

 

「まあ…あまりラクサスを怒らねーでくれって事だ、じっちゃん」

 

 

「(ナツ……お前と言う奴は~)」

 

 

ナツの言葉に、ジーンとするマカロフ。しかし……

 

 

「つー訳で、今から第2回バトル・オブ・フェアリーテイル開始だぁー!!! 全員かかってこいやー!!!」

 

 

『はいい!!?』

 

 

「やめーーい!!!」

 

 

この発言でそれもなくなった。

 

 

「だってオレたち何もしてねーじゃん!!! ホラ!!! バトルしよーぜ!!!」

 

 

「やめてよ……アンタが言うと冗談に聞こえないから」

 

 

「どうしてもってんなら相手にならなくもないよ」

 

 

「カナちゃん、乗らんでええの」

 

 

「ナツ……女の子相手にバトルとかはないと思うよ」

 

 

「男とか女とか関係ねーし!!」

 

 

「うわっ、すげームカツク顔」

 

 

「アンタ最低ね」

 

 

そんな会話をしていると、何やら黒い笑顔を浮かべたなのはがナツにレイジングハートを突きつける。

 

 

「ナツくーん……いい加減にしないと私が相手になるよ?」

 

 

「ごめんなさい!! 調子に乗りました!!!!」

 

 

「ナツが土下座したーーー!!?」

 

 

『あはははは!!!』

 

 

そんな和気藹々としたメンバーを、元ファントム組みが遠めで眺めていた。

 

 

「どうしたのガジルくん?」

 

 

「別に……」

 

 

ジュビアの問にぶっきらぼうに答えるガジル。

 

 

「楽しいギルドだよね」

 

 

「イカれてるぜ」

 

 

「素直じゃねーなお前」

 

 

「……ガジル……照れてる?」

 

 

「うるせー!!」

 

 

ガジルたちがそんな会話をしていると……

 

 

 

ビー!! ビー!! ビー!!

 

 

 

突然ギルド全体に警報のような音が鳴り響き、そこら中にはドクロマークの情報ボードが出現する。

 

 

〈聞こえるかジジィ、そしてギルドの奴等よ〉

 

 

すると、そこからラクサスの声が響いてきた。

 

 

〈ルールが一つ消えちまったからな…今から新しいルールを追加する。バトル・オブ・フェアリーテイルを続行する為に、オレは〝神鳴殿〟を起動させた〉

 

 

「神鳴殿じゃと!!?」

 

 

「まさか……そこまで……!!!」

 

 

それを聞いて驚愕するマカロフとフェイト。

 

 

〈残り1時間10分。さあ、オレたちに勝てるかな?それともリタイアするか? マスター。ははははっ〉

 

 

その言葉を最後に、情報ボードは消えてしまった。

 

 

「何を考えておるラクサス!!!! 関係のない者たちまで巻き込むつもりかっ!!!!」

 

 

ラクサスの行動にマカロフは怒り叫ぶ。だがその時……

 

 

「んぐっ」

 

 

突然胸を押さえ、苦痛の声を上げる。

 

 

「じっちゃん!!」

 

 

「マスター!!」

 

 

「どうしたの!!?」

 

 

「うう……」

 

 

そのまま胸を押さえて倒れこむマカロフ。

 

 

「大変!! いつものお薬!!」

 

 

それを見たミラは急いで薬を取りに行った。

 

 

「マスター!! しっかりして!! マスター!!!」

 

 

「フェイトちゃん!! あんまり動かしちゃダメなの!!!」

 

 

「ひとまず落ち着きぃ!!」

 

 

「神鳴殿って何だよ!!?」

 

 

「ううう…」

 

 

「じっちゃん!!!」

 

 

マカロフが倒れた事によりうろたえる一同。すると、薬を持ったミラが慌てて駆け込んできた。

 

 

「大変……!!! みんな……外が!」

 

 

ミラにそう言われ、一同は急いでギルドの屋上へと上がった。

 

 

そして空を見上げると、そこには無数の黒い球体が浮かんでいた。

 

 

「あれが神鳴殿だよ」

 

 

困惑している一同に、フェイトが口を開く。

 

 

「高電圧の雷を帯電させた雷の魔水晶(ラクリマ)を浮かべて、それらを一気に放電させて無数の落雷を落とす。それが神鳴殿」

 

 

「じゃあ、このままじゃマグノリアの街が……!!!」

 

 

フェイトの説明を聞いて、驚愕する一同。

 

 

「そんな事はさせないわ!! スナイパーライフル換装!!!」

 

 

「私もやるの!! ディバインシューター!!!」

 

 

それを聞いてビスカはライフルを、なのははレイジングハートを構えて魔力弾を五つ生成する。

 

 

「いけない!! 二人共待って!!!」

 

 

ドドドドン!!!

 

 

フェイトはそんな二人に慌てて静止をかけるが、すでにビスカは一個、なのはは五個の魔水晶(ラクリマ)を破壊していた。

 

 

「やった!!」

 

 

「やるじゃないビスカ、なのは」

 

 

「こんなの全部私たちが」

 

 

「撃ち落してあげるの!!」

 

 

そう言って再びライフルとレイジングハートを構えるビスカとなのは。しかし……

 

 

ビビ……

 

 

「「!!」」

 

 

ズギャァア!!!

 

 

「あああああっ!!!」

 

 

「きゃああああ!!!」

 

 

突然の二人の体に電撃が走り、二人はその場に倒れた。

 

 

「ビスカ!!」

 

 

「なのはさん!!!」

 

 

そんな二人にティアナとはやてを始めとした全員が駆け寄る。

 

 

「アレに手を出したらダメだよ。あの魔水晶(ラクリマ)には生態リンク魔法がかかってるの。アレに攻撃を加えたら、そのダメージがそのまま自分に返って来てしまう」

 

 

「そんな!!!」

 

 

その言葉に再び驚愕する一同。

 

 

「このままじゃ街の人まで!」

 

 

「ラクサスをやるしかない!! 行くよっ!!!」

 

 

「あたし……できるだけ街の人、避難させてみる!!」

 

 

「私はここに残るわ。マスターとシグナムの事も心配やし、ギルドも守らなな」

 

 

「雷神衆もまだ二人いる!! 気をつけるんだよ!!!」

 

 

そう言って戦えるメンバーはそれぞれ行動を開始する。すると……

 

 

「何考えてんだあの野郎!!!」

 

 

「ちょっとナツ!!」

 

 

ナツが突然屋根に飛び降り、そのまま下っていく。

 

 

「やりすぎだろ!? そんなにマスターになりたきゃ、じっちゃんと戦ってみろよ!!!」

 

 

しかしその途中で術式の壁にぶつかる。

 

 

 

「いい加減にしろよラクサス!!!!」

 

 

 

ナツは額から血が出るほど術式の壁に頭を打ち付けながらそう叫んだ。

 

 

「ナツ!! 落ち着きなさい!!!」

 

 

「落ち着いてられっかよ!!!」

 

 

暴走するナツをティアナが宥めるが、ナツは止まらない。

 

 

「くそっ!!! こんなトコにも見えねー壁がっ!!!」

 

 

ガンガンと術式の壁を殴りつけるナツ。すると、そんなナツに向かってレビィが口を開く。

 

 

「術式でしょ? 文字魔法の一種だから、私なんとかできるかもしれない」

 

 

それを聞いたナツとガジルは同時にレビィに視線を向けた。

 

 

「本当かレビィ!!?」

 

 

「私…あなたたちならラクサスを止められるって信じてるから」

 

 

「だったら早急に頼むわ!! 神鳴殿発動まで、もう1時間を切ってる!!!」

 

 

「わかったわ!!!」

 

 

そう言ってレビィは急いで術式の解読を始めた。

 

 

 

 

 

だがこの時……誰も気づかなかった。

 

 

 

 

 

ティアナやルーシィたちが元に戻った事によって、バトル・オブ・フェアリーテイルの参加人数が6人から18人に増え、さらにそこから神鳴殿によって倒れたなのはとビスカ…そして参加意思のない、はやてとシャマルとレビィを抜いて13人となっている……はずなのだが……

 

 

 

 

 

【残り13人→14人】

 

 

 

 

 

さらにまた1人……増えている事に誰も気づかなかった。

 

 

 

 

 

つづく


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