今回は作者史上初の試みとして、キャラ同士の恋愛オンリーの話を書いてみようと思って執筆してみました。
ただ作者の恋愛経験は皆無でしたので、思った以上に時間がかかってしまいました。申し訳ありません。
こんなにもお待たせした上に文章もグダグダな感じになっておりますが、どうかご容赦ください。
感想お待ちしております。
あと作者の新連載として『LYRICAL TAIL 番外編』を投稿決定しました!!
初めの1、2話はリリカルキャラの設定集になると思いますが、今後の番外編はそちらに投稿していきます。ただほとんど思いつきになるので、更新は不定期です。
どうぞよろしくお願いします。
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これからお送りするのは、フィオーレ王国にある魔導士ギルドに所属する者たちの恋愛事情である。
数多くの仕事に生きている彼ら魔導士も人間……特に女性魔導士などは色恋に興味津々な年頃が多い。そんな中から選ばれた一部の彼女たちの恋愛模様の調査を行った。
その調査結果を、どうぞご覧ください。
第226話
『妖精の恋愛事情』
①ティアナ・ランスターの場合
《朝》
「ほらナツ!! 朝ごはん作ったからさっさと起きなさい!!!」
「んがー……まだねみぃっつうの~」
「いいからさっさと起きる!! ハッピーもよ!!」
「あいさ~」
朝早くにナツとハッピーの家へと赴き、軽い朝食を作って2人を叩き起こす。
《昼》
「さあ、とっととこの汚い部屋を片付けるわよ──ってコラ、逃げるな!」
「い…いや……ギルド行って仕事しねーと」
「アンタ昨日、今日1日は仕事しないで過ごすって言ってたわよね?」
「オ…オイラは今日シャルルとデートの約束が……」
「シャルルなら昨日からウェンディとエルザさんの2人と一緒に仕事に行って、帰って来るのは明日よ」
「「……………」」
「言い訳は済んだ? じゃあ始めるわよ」
「べ…別に片づけるほど散らかってねーだろ!!」
「んな訳ないでしょ。見なさい、脱ぎっ放しの服に倒れてるタンス! 洗ってない食器にいつ作ったやつかもわからない残飯! あっちこっちに転がってるガラクタとゴミの山! これで散らかってなかったらなんだってのよ」
「あとでやろうと思ってたんだよー」
「じゃあ今やっても問題ないわね。さぁやるわよ」
「でもよ……」
「いいから── や れ 」
「「……あい」」
圧倒的な恐怖政治によって散らかり放題のナツの家の大掃除。
《夕方》
「だっはーーー!! やっと終わったーー!!」
「疲れたよ~」
「普段からちゃんと片づけないからよ。でもまぁ、お疲れ様。そろそろ夕飯の支度するけど、何が食べたい?」
「肉だ!!」
「魚ーー!!」
「はいはい。すぐに作るから待ってなさい」
片付け終了後……ナツとハッピーにちょっとしたご褒美として、彼女はさりげなく2人の大好物を夕食として振舞った。
《夜》
「さてと…そろそろ帰るわ。ハッピー、送って」
「あい」
「ナツ、寝る前にちゃんと歯を磨きなさいよ!」
「わーってるよ。じゃあなティア」
「うん、おやすみ」
その後…ナツと軽い挨拶を交わしてから、ハッピーに自宅に送ってもらって帰って行った。
【調査結果】
恋愛っつーか、もはや通い妻。
②ウェンディ・マーベルの場合
「えっ!? エリオ君、引っ越ししたの!!?」
「うん。大魔闘演武が終わってから、僕を指名する仕事が増えて来てさ。そのおかげで貯金がかなり貯まったから、思い切ってマグノリアで家を買ったんだ。ずっとナツさんの家にお世話になる訳にもいかないしね」
「マグノリアは優良物件で安い家が多いですからね。とてもいい家を見つけちゃいました」
「すごいじゃない。その年でもうマイホームを持つなんて中々できないわよ」
ギルドに入ってからずっとナツの家に居候していたエリオが自分の家を持ったと聞いて、ウェンディは驚き半分、感心半分の声を上げる。
「エリオ君の新しいお家かぁ…どんな所だろうねシャルル?」
「そうね…少なくとも清潔にはしてありそうね。リニスがそういうのうるさそうだし」
「失礼ですね、まだそこまでうるさくは言ってませんよ」
「まだ?」
リニスの言葉にウェンディは若干疑問的な引っ掛かりを感じたが、それを口にして問う事はなかった。
「それにしても…安い物件とはいえ一軒家まで買える額がこんなに早く貯まるなんてね。そんなにエリオを指名する依頼が多かったの?」
「そうですね……捜索依頼や護衛依頼、それに盗賊退治やモンスター退治の討伐依頼といった多くの依頼が殺到してましたね。どうやら大魔闘演武以来、エリオのファンが急増したみたいで」
「そうなの!!?」
その話を聞いた途端、その話題に食いつくようにテーブルに身を乗り出すウェンディ。
「ええ…特に女性ファンが多いようで、この間もいっぱいファンレターが届いてましたよ」
「……ふーん」
「い、いや…全部普通の応援の手紙だったから」
「へー……(-∧-)」
「…………(-_-;)」
女性ファンと聞いた瞬間にジト目で軽く睨んでくるウェンディに、段々といたたまれなくなってきたエリオ。すると……
「それに……」
「?」
「応援してくれるんなら、知らない人よりも……僕はウェンディがいい」
「えっ!?」
突然エリオが言い放ったその言葉に、ウェンディは一瞬で真っ赤になって硬直するが、エリオの言葉はさらに続く。
「前にも言ったけど……ウェンディと一緒なら、僕は戦う勇気をもらえる。そして君が傍ですっと応援してくれたから、僕はここまで強くなれたんだって思ってる」
「エリオ君……」
「だから──これからもずっと、僕を応援してくれる?」
「──うん!!!」
求めるようなエリオのその言葉に、ウェンディは満面の笑顔を浮かべて強く頷いたのであった。
「あははは!」
「えへへ♪」
それからはお互いに頬を朱に染めながら笑い合っているエリオとウェンディ。そんな2人の周りを、何やら桃色の空間が包み込んでいるのは見間違いではないだろう。
そしてその空間から弾き出されたエクシード2人は静かに語る。
「あらあら、すっかり2人だけの世界ですね♪」
「ホント…見てらんないわね」
【調査結果】
信じられるか? こいつらこれで付き合ってないんだぜ。
③高町なのはの場合
「グレイー! 一緒に仕事行こー!」
「ねえグレイ、一緒にご飯食べない?」
「ほら、グレイが脱ぎ散らかした服、ちゃんと集めといたよ♪」
「グレイ!」「グレイー」「グレイ♪」
「………………」
大魔闘演武が終わってギルドが元に戻ってからというもの、なのはがやたらとグレイに構ってくるようになった。以前からもなのはと絡む事が多かったグレイだが、ここ最近は特に多かった。
なので、ギルドのカウンター席になのはと並んで座っていたグレイは直球で彼女に問い掛ける。
「お前さ…何で最近オレに付きまとうんだ?」
「えー?」
「いや何だその顔は」
そう問い掛けた瞬間、なのはから「今更なに言ってんの?」みたいな表情を向けられたグレイ。
「あのさ、グレイはもう私のグレイに対する気持ちは知ってるんだよね?」
「んっ……まぁ…な」
「私は今までグレイに気持ちを伝える為にさりげなーくアピールしてきたけど、もうその必要はなくなったから、これからはこの気持ちを前面に押し出して積極的にアピールしようって決めたの♪」
「……あっそ」
笑顔でそう言い放ったなのはから、逃げるように視線をそらしてぶっきらぼうに言葉を返すグレイ。
「けど悪ィがお断りだ。オレはもうイヤなものはイヤだとハッキリ言う事に決めたからな」
「うん、それでいいと思うよ。どんなにグレイが口ではイヤだって言っても、私は諦めないけどね。もちろん私だけじゃなくてジュビアちゃんも」
「ケッ…いい迷惑だ」
「にゃはは♪」
毒づくグレイの言葉も笑って受け流すなのは。
「覚悟しててよ? 絶対にグレイの心を撃ち抜いてみせるから♡」
「……お前が言うと比喩表現に聞こえねぇ」
【調査結果】
色々身の危険を感じた(グレイ談)
④ルーシィ・ハートフィリアの場合
「ど…どうしよう……!!」
現在……ルーシィはマグノリアの公園のベンチに1人座りながら、何やら焦ったように言葉を漏らした。
そしてその原因は……先の事件の際に未来ローグの手によって致命傷を負わされた未来ルーシィが、死ぬ間際にユーノに対して口にしていた言葉であった。
『ユーノ……あたしの……大…好き……だった…人……』
この時は状況が状況であった為、悲しみ以外の感情が出てくる事はなかったが……今になって思い返してみるとこの言葉は……
「告白…したのよね?」
ポツリとそう呟いたルーシィだが、その瞬間に顔全体の体温がカァっと高くなっていくのを感じた。
「(いやいやいやいや!!! 落ち着くのよあたし!!! 告白したのは未来のあたしであってあたしじゃないわ!!! あれ? でも結局未来のあたしもあたしだからあたしが告白したって事になるんじゃ……あたしがユーノに……!!! うあああああっ!!! これからユーノに会う時どんな顔すればいいのよ~~!!!)」
などと…ルーシィの脳裏に様々な思考が駆け巡り、軽いパニック状態になっていた。すると……
「ルーシィ?」
「わひゃい!!」
「わひゃい?」
不意に声をかけられて思わず変な声を出してしまったルーシィ。そしてすぐにその声をかけた人物に目を向けると……
「ユ…ユーノ!!!」
「やっ」
今の今まで悩んでいた事の中心人物であるユーノが立っていた。
「ど…どうしてここに?」
「散歩だよ。魔法考古学の論文で行き詰ったから、気分転換も兼ねてね。隣いいかな?」
「あ、うん」
ユーノはそう言いながらルーシィが座っているベンチに腰掛けて、彼女と並んで座る。
「ところで、ルーシィも何か悩んでるみたいだったけど……」
「えっ!? えっと……あ、新しい小説のネタを考えてたのよ!!」
「そっか。お互い大変だね」
咄嗟にそんな言い訳を口にしたルーシィだが、ユーノは特に疑う事もなく納得した。
「よしっ!」
「!」
するとユーノは突然ベンチから立ち上がったかと思うと、ルーシィに笑顔を向けながら言い放つ。
「今から遊びに行こうか。2人で」
「え!?」
「アイデアや文章なんて出る時は出るし、出ない時はまったく出ないものさ。そういう時は買い物なり娯楽なりでとことん気分転換を満喫するのが1番なんだよ」
「も…もしかしてそれって……デ…デー……」
「そうとってくれても構わないよ」
それを聞いた瞬間、ルーシィの顔がボフンっと爆発して一瞬で真っ赤になった。そんなルーシィに、ユーノは手を差し伸べながら問い掛ける。
「もちろん迷惑ならやめとくけど……どうかな?」
「……よ……よろしくお願いします」
そう言って顔を真っ赤にして戸惑いながらユーノの手を取り、ベンチから立ち上がるルーシィ。
「行こう、ルーシィ」
「……うん!!」
ユーノの笑顔を見た瞬間、さっきまで悩んでいた自分がバカらしく思ったルーシィも、釣られて満面の笑顔を浮かべる。
そして2人はそのまま互いに手を握ったまま、遊びへと繰り出したのであった。
【調査結果】
ルーシィなのにオチがない……だと……?
⑤キャロ・ル・ルシエの場合
時間は遡り……大魔闘演武最終戦の前日での事。
『その代わり約束して──絶対にみんなで勝って優勝するって』
『もちろんだよ。ウェンディも明日の潜入、気を付けてね』
『うん』
場所はクロッカスの街にある宿屋『ハニーボーン』の前……そこでは互いに誓い合うように手を取り合うエリオとウェンディの姿があった。
時間帯はすでに深夜であり、辺りにまったく人気はなかった。
だがこの時……そんな2人のやり取りを物陰から静かに見守っていた人物がいた。
「エリオ君……ウェンディちゃん……」
その人物こそ……エリオやウェンディと小さい頃から付き合いがあるキャロ・ル・ルシエであった。
キャロは物陰から2人の様子を見守っていると、やがてポツリと言葉を漏らす。
「……私じゃないか」
そう言ったキャロの顔はどことなく複雑な表情をしており、見守っていた2人に気づかれる事無くその場を離れて行った。
キャロはエリオの事が好きであった。しかし先ほどの2人の様子を見て確信した。エリオの心はすでに自分ではなく、ウェンディの方へと向いていると……そしてあの2人の間に割り込むスキがないと。
だが不思議とウェンディに対する嫉妬や怒りの念は湧く事がなかった。ウェンディが自分と同じくエリオの事が好きなのは知っていたし……何よりキャロはエリオと同じくらいにウェンディの事も好きなのだ。
だがそれでも……悲しくないと言えばウソになる。
「っ…うぅ……!!!」
「キャロ姉?」
「!!」
不意に名前を呼ばれて顔を上げると、そこには同じ
「ロメオ君……」
「キャロ姉……どうして泣いてんだよ!? 何かあったのか!?」
「な…何でもないよ!! ちょっと転んじゃっただけで……」
「…………」
隠すように涙を拭いながらそんな言い訳をするキャロだが、ロメオは何となくその言葉はウソだと見抜いていた。
「ロメオ君こそ、こんな時間にどうしたの?」
「……キャロ姉の帰りが遅いから、探しに来たんだ」
「そっか。ごめんね、心配かけて。早く宿に帰らないと」
そう言ってキャロがロメオの横を通り過ぎようとした瞬間……そんなキャロの手を、ロメオの手が強く掴んで止めた。
「ロメオ君……?」
「あのさ……キャロ姉……キャロ姉が泣いてた本当の理由は聞かない……たぶん言いたくない事なんだと思うから。でもオレは、そんな泣きそうな顔をしてる仲間を放っておけない。ナツ兄たちと違ってオレに出来る事は少ないかもしれないけど……」
そんなロメオの行動にキャロが戸惑っていると、ロメオがキャロに対して静かに語る。
「本当に辛い時は……傍にいてやれるくらいはできるからさ」
真っ直ぐとした瞳でキャロを見つめながら強くそう言い放ったロメオ。
「ロメオ…君……」
そしてそれを聞いたキャロは堪えていた涙が再び目尻に貯まるのを感じながら、ゆっくりと口を開く。
「じゃあ…少しだけ……胸を借りても…いいかな?」
「おう!! もちろんだ!! 女が泣いてる時は黙って胸を貸すのが男だって父ちゃんも言ってたからな!!!」
「意味はよくわかんねーけど…」と付け足しながらそう言うロメオの言葉に、キャロは一瞬だけクスリと笑うと……次の瞬間には彼の胸に飛び込んで顔を埋め……泣いた。
「うっ…うぅぅ……うあああああっ!!!!」
キャロにとって初めての失恋……その悲しみを涙として流し、泣き続けた。そしてそんなキャロにロメオは何も聞かず……何も言わずにただ彼女に貸した胸で、その涙を受け止め続けたのであった。
そしてやがて、泣き終わったキャロはそっとロメオから離れる。
「ありがとう…ロメオ君」
「もう大丈夫なのか?」
「うん! 泣いたら色々スッキリした」
そう言うキャロの顔つきは先ほどまでとは違い、確かに吹っ切れたようにスッキリとした表情であった。
「さっ、帰ろう! 明日は大魔闘演武の最終戦だから、私たちも目一杯みんなを応援しないとね!!」
「おうっ!!」
そしてキャロとロメオは頷き合うと、2人一緒に並んで宿への帰路へとついて帰って行ったのであった。
【調査結果】
恋の終わりと新たな始まり(?)
⑥高町ヴィヴィオの場合
場所はとある大きな街にある、有名な高級スイーツ店。
「おいしー♪」
そこのテーブル席で幸せそうな表情でケーキを食べている、金髪のサイドテールに虹彩異色が特徴の少女……高町ヴィヴィオ。
「……食い過ぎじゃね?」
そんなヴィヴィオと同じテーブルに座り、げんなりとした表情で一口サイズのクッキーをつまんでいる新生・
因みにいつもスティングと一緒にいるレクターは、何かに気を遣ったのか今回は留守番である。
「そうかな?」
「そうだよ」
大魔闘演武期間に起きたちょっとした事故が切っ掛けでスティングがヴィヴィオに高級スイーツを奢るという約束をしていたので、約束通りこの高級スイーツ店へとやって来た2人。だがヴィヴィオが注文したスイーツは1つや2つではなく、すでに彼女の前には空になった皿が何枚も重なっていた。
「でもほら、好きなだけスイーツを奢ってくれるって言ったのはスティングだし」
「奢るとは言ったが好きなだけとは言ってねえ」
「別に何個までとも言ってなかったよねー?」
「この……!」
「あ、すいませーん! イチゴタルトも1つ追加でー♪」
「オイ!!」
まったく遠慮なしに追加注文するヴィヴィオに怒鳴るスティングだが、彼女はどこ吹く風といったように鼻歌まじりで残ったケーキを口にしている。
「ったく…あんま食い過ぎるとお前太──」
スティングがそう言いかけた次の瞬間……スティングの喉元には鋭いフォークが突き立てられていた。しかもそれを突き立てているヴィヴィオの顔はニコニコと笑ってはいるが、何か黒いモノも見えていた。
「スティング、女の子には言ってはいけないコトがあるんだよ。覚えておこう……ねっ?」
「イ…イエス……」
「分かればよろしい」
命の危険を悟ったスティングはヘタな反発はせずに素直に頷き、それを聞いたヴィヴィオもすぐにフォークを下して食事を再開した。
「あ、そう言えばスティングってセイバーの新しいマスターになったんだよね?」
「ん? あー…まぁな。オレはゼストの旦那が適任だと思って推したんだけどな、お前の方がふさわしいって言って断られた。しかもここぞとばかりにローグやルーファスたちまでオレにマスターを押し付けやがって……」
「それだけスティングを信頼してるんだよ。私もスティングがピッタリだと思うし」
「……ならいいんだけどよ。けどギルドマスターってやる事色々あるんだな、書類やら何やら……」
「それウチのマスターも言ってたなぁ。特に
「……帰ったらあいつらに仕事先でモノ壊すなよって釘刺しとくか……」
一瞬だけ山のように積まれた始末書を想像してしまったスティングは、若干顔を青くしながらそう決心した。
そしてスティングがクッキーを口の中に放り込み、乾いた喉を潤おそうと紅茶の入ったカップを手にして口をつけると、ヴィヴィオが「あっ」と声を漏らした。
「ちょっとスティング…それ私の紅茶」
「ん? ああ悪ィ、間違えた」
どうやらカップを取り間違えたスティングはヴィヴィオの紅茶を飲んでしまったようで、それを指摘されたスティングは軽く謝罪してカップを戻した。だがヴィヴィオの方は、何やら意地の悪そう表情を浮かべた。
「もう…スティングってばそんなに私と間接キスしたかったの~?」
「なっ!? 違ェよバカ!!!」
間接キスを指摘されたスティングは取り乱したように声を荒げて否定するが、ヴィヴィオはニヤニヤと小悪魔のように笑っている。
「ん~? ホントかな~?」
「お前なァ……!!!」
すぐに反論しようとしたスティングだが、ヴィヴィオの小悪魔のような笑みを見た瞬間、諦めたように「ハァ…」と深くため息をついた。
「あれ? どうしたのスティング? ひょっとして図星──むぐっ!?」
ヴィヴィオが再びからかうような口調でそう言おうとした瞬間、スティングはそんな彼女の口にクッキーを押し込んで塞いだのだった。
「わかったから、もう好きなだけ食いたいモン頼んでいいから、この話は終わりだ……なっ?」
「……う…うん……」
唇をスティングの人差指によって塞がれているヴィヴィオは、顔を赤くしながらも小さく頷いた。
「ならいい」
そしてスティングの指が唇から離れると、ヴィヴィオはそっと自身の口元を手で覆った。
「(なんか……ムカつく……)」
本来ならあのままスティングをからかって終わるハズだったものが、スティングに諭されるような形で終わってしまった事にヴィヴィオは不満そうな表情を浮かべる。だがそんな感情とは裏腹に、彼女の頬は淡い朱色に染まっていた。
「(むー…スティングのくせに……)」
「あ? なに睨んでんだよ?」
「べっつに~」
そう言うとヴィヴィオはプイっとスティングから顔をそらす。それと同時に、先ほど口の中に放り込まれたクッキーを飲み込もうとサクサクと咀嚼する。
「(………甘い)」
そのクッキーは……ヴィヴィオが今日食べたスイーツの中でも一番甘く感じたのであった。
【調査結果】
書いていて砂糖を吐きそうになったのは初めてだ……!!
( ´Д`)・;’.、カハッ!!
以上……調査を終了します。
つづく
フェイトとフリードの話はネタがまったく浮かばなかったので断念しました。