LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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新年あけましておめでとうございます!!!!

今年も『LYRICAL TAIL』をよろしくお願いします!!!!



早いもので、この小説を移転させてもう2年近くになります。2年もあったら、人は変わります。


人とのつながりの中で進学したり、就職したり……それが成長かはわかりませんが、確実に何かが変わっているのです。


成功した事は揺るぎない自信となり…失敗は失敗なりに改善して変わっていきます。


何かが変わるだけで、人もまた何かが少しずつ変わっていくのです。


そう…変わらないものなど無いんです。


つまり、何が言いたいかというと……


この間友人に言われた


「このエリオもう完全にオリキャラじゃね」


という言葉への言い訳です。




という訳で、新年初めての更新です。オリ展開&オリバトルでしたので、手こずった上にいつもより少し短いかもしれませんがご了承ください。


感想お待ちしております。


エリオvsスティング

 

 

 

 

 

誰一人欠ける事無くゼストやジュラなどの数々の強敵たちを撃破した妖精の尻尾(フェアリーテイル)チームの7人。残るは剣咬の虎(セイバートゥース)のスティングただ1人。

 

 

しかしこの状況こそが、スティングが逆転劇を演じる為に願った最高の展開だったのである。レクターを取り戻す為…レクターに己の強さを見せる為…戦いに赴こうとするスティング。

 

 

だがそんな彼の前に立ちはだかったのは……7人の妖精の尻尾(フェアリーテイル)チームの中で唯一無傷と言っていい雷の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)……エリオ・モンディアルであった。

 

 

「エリオ・モンディアル……なんでオレの居場所が……!!?」

 

 

「同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)なら、そんな理由わかるだろう?」

 

 

スティングの疑問に対してそう答えながら、自分の鼻を軽く撫でるエリオ。どうやらエリオは滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)特有の嗅覚でスティングを探し当てたようである。それを察したスティングは舌打ち混じりに口を開く。

 

 

「見つかっちまったモンはしょうがねえ、戦ってやるよ。けどもうちょっと待ってくんねぇかなァ? 今ここにお前の他のメンバー全員を呼び集めて、まとめて相手してやるからよ」

 

 

「君が1人で全員を相手に? 無理だよ」

 

 

「確かにそう思うのも無理はねえ。お前以外全員が負傷しているとはいえ妖精の尻尾(フェアリーテイル)は侮れねぇしな。だが、覚醒した今のオレの力なら──」

 

 

「ああいや、そう意味じゃなくて」

 

 

するとエリオはスティングの言葉を遮り、不敵な笑みを浮かべながらこう言い放つ。

 

 

 

「君はこの場で僕に負けるから、全員と戦うのは無理だって意味だよ」

 

 

 

「──なんだと?」

 

 

エリオのその言葉に、スティングは眉を顰めながらギロリとエリオを睨む。

 

 

「いいぜ、だったらまずは前哨戦として──お前を全力で叩き潰してやる!!!」

 

 

「望む所だ。ただし前哨戦じゃなく──祭の終幕戦としてね」

 

 

エリオは雷を…スティングは白い光を…それぞれ全身に纏いながら互いに強くそう言い放つ。

 

 

今ここに雷竜(エリオ)白竜(スティング)……2人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)による戦いが幕を開けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第212話

『エリオvsスティング』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァアアアアアア!!!!」

 

 

「オォォォオオオオオオ!!!!」

 

 

開始早々…雄叫びと共に突き出される両者の右拳が激突し、とてつもない轟音と衝撃波が響き渡る。

 

 

「くっ…!!」

 

 

「チッ!!」

 

 

すると拳による競り合い末、両者は互いに拳を弾かれ後方へと吹き飛ばされてしまう。

 

 

『おーーっと!!! ここでいつの間にかエリオとスティングが遭遇し、戦っております!!!! これが最後の戦いになるのか!! はたまたスティングの快進撃が始まるのか!!!!』

 

 

『ガズル君とローグ君に続いての滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)対決だねぇ』

 

 

『見物カボー!!』

 

 

ここでようやく実況側が2人の対決に気づき、チャパティの言葉に観客席が歓声を上げる。

 

 

「いけーエリオーーー!!!」

「お前が優勝を決めちまえーーー!!!」

「漢ーーー!!!」

「がんばってエリオくーーん!!!!」

 

 

そして応援席の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々も、エリオに対して声援を送ったのであった。

 

 

「白竜の…咆哮!!!!」

 

 

するといち早く体制を立て直したスティングが、エリオに追い打ちをかけるように白いレーザーのようなブレスを放つ。

 

 

「雷竜の旋尾!!!」

 

 

それに対してエリオは、雷を纏った足で放った回し蹴りを向かってきたブレスに当てると、そのブレスを真横に弾いた。

 

 

「と……角撃!!!!」

 

 

「うぐっ!!!」

 

 

そして次の瞬間には持ち前のスピードで一気にスティングへと接近し、雷を纏った右手を手刀にして鋭い突きをスティングの腹部に叩き込んだ。

 

 

「危ねっ……!!」

 

 

「!?」

 

 

しかしエリオの放った手刀は、腹部に当たる寸前でスティングの手によって受け止められていた。

 

 

「らぁっ!!!」

 

 

「がふっ…!!」

 

 

そしてスティングはそのまま白い光を纏った拳でエリオを殴り飛ばす。

 

 

「まだまだぁ!!」

 

 

殴り飛ばされたエリオを追いかけるように駆け出し、光を纏った両手で追い打ちをかけようとするスティング。

 

 

「こ…のォ!!!」

 

 

「うごっ!!」

 

 

しかしエリオも負けじと足を真上に振り上げ、襲い掛かって来たスティングの顎を思いっきり蹴り上げる。

 

 

「雷竜の…鉄拳!!!」

 

 

「ごはァっ!!!」

 

 

エリオは続けて雷を纏った拳を叩き込み、お返しと言わんばかりにスティングを殴り飛ばした。それからすぐにエリオはその場から高く跳躍すると……

 

 

「雷竜の進撃!!!!」

 

 

雷撃を纏った足を突き出しながら、スティング目掛けてまるで隕石のように降下していった。

 

 

「やべっ……!!」

 

 

それを見たスティングはすぐさま横に飛んで回避する。すると次の瞬間、先ほどまでスティングが居た場所にエリオの足が稲妻のように突き刺さり地面を砕く。

 

 

「っのヤロォ!!!」

 

 

そしてすぐさま体制を立て直したスティングは、強く握り締めた拳でエリオに殴り掛かる。

 

 

「ッ!!」

 

 

それに対してエリオはスティングの拳を左腕を盾にしてガードすると、反対側の右手で作った拳で反撃する。

 

 

「!!」

 

 

だがその拳を、スティングはエリオと同じように左腕でガードする。

 

 

それから両者はしばらく組み交わした両手でギリギリと押し合いながら睨みあう。

 

 

「「っあぁぁぁあああああ!!!!」」

 

 

そして2人が同時に雄叫びに似た叫び声を上げると、エリオとスティングはこれまた同時に今度はお互いに頭突きを繰り出し、2人の額が衝突して鈍い音が響き渡る。

 

 

「ぐぅ……!!!」

 

 

「つぅ……!!!」

 

 

お互いに激突した額から血を流し、顔をしかめながら体をのけ反らせるエリオとスティング。そのまま2人は同時に後ろに大きく飛んで後退し、相手から距離を取った。

 

 

『な…なんという激しい戦いだーーーっ!!! 両者共に一歩も譲りません!!!!』

 

 

チャパティのそんな実況が響く中、観客たちは2人の戦いを映像越しに食い入るように観戦している。

 

 

「ハァ…ハァ……やるじゃねーか。ナツさんと引き分けた事はあるな」

 

 

「君も……ナツさんと戦った時よりはマシになったみたいだね」

 

 

そう言って2人は互いに流れた血と汗を拭い、賞賛の言葉を口にする。

 

 

「ったりめーだ、オレはもうどんな相手だろうが油断も慢心もしねえ。お前こそ、得意の槍は使わねーのか?」

 

 

「いらないよ……この戦いに武器は必要ない。拳1つあれば十分さ」

 

 

己の左手のひらに右拳を強く打ち付けながらそう言い放つエリオ。

 

 

「そうかよ。だったらもっと全力でやり合おうぜ!!!」

 

 

「ああっ!!!」

 

 

そう言うと……エリオとスティングの体から、それぞれ金色(こんじき)の魔力と白色(はくしょく)の魔力が溢れだす。

 

 

 

「ライトニングドライブ!!!」

 

 

「ホワイトドライブ!!!」

 

 

 

そして両者は魔力増幅の術を発動させ、エリオは雷を帯びた魔力を……スティングは白く輝く魔力をそれぞれ身に纏ったのであった。

 

 

「行くぞ」

 

 

そう呟くと同時に、エリオは閃光の瞬きと共に姿を消し……次の瞬間にはスティングの眼前に現れて雷撃を纏った蹴りを放とうとしていた。

 

 

「!!」

 

 

一瞬のうちに目の前へと接近して蹴りを放ってきたエリオに対して、スティングは驚愕しながらも咄嗟の反応で腕を構えて、その腕でエリオの蹴りをガードする。

 

 

「ぐっ……直に見るとやっぱ速ェなぁ」

 

 

「しゃべってると舌を噛むよ」

 

 

するとエリオは再び姿を消すと、今度はスティングの背後に回り込む。

 

 

「チッ…うごっ!!」

 

 

そしてすぐさま振り返ったスティングの頬にエリオの雷撃を纏った拳が叩き込まれる。しかし……

 

 

「!?」

 

 

「捕まえた……!!」

 

 

スティングは殴られながらも咄嗟に腕を伸ばし、逃がさないようにエリオの服を強く掴んでいた。

 

 

「ハァッ!!!」

 

 

「うぐっ…」

 

 

そしてそのままスティングは光を纏った拳をエリオの腹部に叩き込む。

 

 

「知ってるよな? 白き竜の爪は聖なる一撃……聖痕を刻まれた体は自由を奪われる」

 

 

「!!!」

 

 

すると服が破けて露になったエリオの腹部には、先ほどのスティングの一撃によって刻まれた動きを封じる聖痕が浮かび上がっていた。

 

 

「いくら速かろうと、動きを封じちまえば怖くねえ!!!!」

 

 

「がはっ!!!」

 

 

「オオオオラァ!!!」

 

 

「ぐっ!! がはっ!! ごふっ!!」

 

 

さらに光り輝く拳をエリオに叩き込み、続けて何度も拳の連撃を浴びせていくスティング。その攻撃を動けないエリオは黙って受けるしかない。だが当然、そのまま好き勝手されるエリオではない。

 

 

「雷竜の……」

 

 

「!!」

 

 

幕電(まくでん)!!!!」

 

 

「うおぉぉっ!!?」

 

 

エリオは激しい雷電を自身の体から放出し始め、鳴り響く轟雷と眩い雷光がその場を支配する。その余りの激しさと眩さに、スティングは両腕で顔を覆う。

 

 

「デリャァァアア!!!」

 

 

「ぐああああっ!!!」

 

 

そして次の瞬間…エリオの突き出した拳がスティングを捉え、彼を思いっきり殴り飛ばす。それを喰らったスティングは地面を転がりながらもすぐに体制を直して立ち上がる。だがその表情は驚愕を露にしていた。

 

 

「テメェ……どうやって聖痕を!?」

 

 

見るとエリオの腹部には、確かに刻んだハズの動きを封じる聖痕が消えていた。

 

 

「ナツさんと同じ方法だよ……雷にも〝熱〟はあるんだ」

 

 

「……なるほどな」

 

 

そう……エリオは先ほどの全身からの放電でスティングを怯ませるのと同時に、その電熱によって腹部の聖痕を焼き消したのである。

 

 

「今度は…こっちの番だ!!!」

 

 

「!!? うぎぃ……!!!」

 

 

するとエリオはまたもや閃光の瞬きと共に姿を消すと、スティングの背後に姿を現し、同時に背後からの回し蹴りでスティングの体を蹴り飛ばす。

 

 

「ハァァアア!!!!」

 

 

さらに吹き飛んだスティングを追いかけるように駆け出し、飛ばされたスティングの先回りをして打撃を叩き込むエリオ。その行動を何度も繰り返し、エリオはスティングの体に拳や蹴りなどの打撃を目にも止まらぬ速さで叩き込んでいく。

 

 

「調子に……乗んじゃねえ!!!!」

 

 

「!!? がはっ!!!」

 

 

しかしスティングはそう叫ぶと、エリオの頬にカウンターパンチを直撃させたのであった。

 

 

「アァァァアアアア!!!!」

 

 

「オラァァァアアア!!!!」

 

 

それを皮切りに…2人の激しい殴り合いが始まる。互いに負けじと雷と光を纏ったパンチやキックなどの打撃を相手に浴びせていく。

 

 

さらにその打撃の応酬は段々と激しさを増していき……

 

 

 

「「滅竜奥義!!!!」」

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「紫電轟雷撃!!!!!」

「ホーリーノヴァ!!!!!」

 

 

 

 

 

激しい轟雷を帯びた拳による一撃と…白い聖なる光を込めた拳による一撃が──衝突したのであった。

 

 

「「オォォォオオオオオオオッ!!!!」」

 

 

凄まじい衝撃をまき散らしながら衝突する金と白の魔力。その中心にいるエリオとスティングは、雄叫びを上げながら互いに負けじと己の拳に力を込めて押し合う。

 

 

両者ともに一歩も引かず、互角に見えるこのぶつかり合い。

 

 

だが終わりは──突然にやって来た。

 

 

 

「──ふっ飛べぇぇえええ!!!!」

 

 

 

「ぐっ…あぁぁぁあああああああ!!!!」

 

 

拳による競り合いに負けて大きく吹き飛ばされたのは──エリオであった。

 

 

「エリオが押し負けた!!?」

 

 

「何でだ!? 互角だったじゃねーか!!!」

 

 

「いや、よく見ろ!! アレは……!!」

 

 

エリオが押し負けた事に声を荒げながら疑問符を浮かべるエルフマンとヴィータに対して、ザフィーラが映像を見据えながらそう言い放つ。

 

 

するとそこには……体が白く光り輝く魔力に包まれ、さらには全身に白い模様浮かび上がらせているスティングの姿があった。

 

 

「ドラゴンフォース!!!!」

 

 

そう……スティングが身に纏っているのは滅竜魔法の最終形態──ドラゴンフォースであった。

 

 

「ぐっ…う……それがドラゴンフォース…か」

 

 

「そうだ。だがこれはナツさんと戦った時とは違う、覚醒したオレの力!! 真のドラゴンフォースだ!!!」

 

 

先ほどのダメージでボロボロになり、キズを押さえながらも立ち上がったエリオに対し、強くそう言い放つスティング。

 

 

「覚醒?」

 

 

だがエリオは、スティングの言った『覚醒』という言葉に疑問符を浮かべていた。

 

 

「オレは覚醒したのさ、ナツさんと同じ〝想いの力〟を手に入れてな」

 

 

そんなエリオの疑問にそう言って答えるスティング。

 

 

「お嬢は言った、オレの本質は〝想いの力〟……レクターを想う気持ちが力になる!!! それでナツさんをも超える力を手に入れた!!!! この力でレクターに見せてやるんだ!!! オレの強さを!!!!」

 

 

そして声高々に力強くそう言い放つスティング。すると……

 

 

「──ぷっ…あはははははははっ!!!!」

 

 

突然エリオは吹き出し、そのまま盛大に笑い始めた。そんなエリオを見て、怪訝な表情を浮かべるスティング。

 

 

「何がおかしい?」

 

 

「くくく…おかしいさ。仲間を想う気持ちが力になる……それについては間違ってはいない」

 

 

スティングの言葉の一部を肯定しながらそう言うと、エリオはさらに言葉を続ける。

 

 

「けど…その力は特別でも何でもない──当たり前の力なんだよ」

 

 

「なっ!!?」

 

 

そうエリオの言い放った言葉に、大きく目を見開くスティング。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけじゃない。今この大会に出場している人たちはみんな、ギルドの為…仲間の為に戦っているんだ。君の言う〝想いの力〟をぶつけ合って、よりその想いが強い人が勝っていった」

 

 

「………!!!」

 

 

「わかるかいスティング? 君は〝想いの力〟を手に入れて覚醒し、ナツさんを超えたんじゃない──やっと僕たちに追いついただけだ」

 

 

「っ……ふざけんなァ!!!!」

 

 

エリオのその言葉を聞いた瞬間、激昂したように吼えるスティング。

 

 

「オレは強くなった!!! レクターへの想いの力で、誰にも負けない唯一無二の力を手に入れたんだよォ!!!!」

 

 

そう叫びながら駆けだしてエリオの眼前へと迫り、強く握った拳を振り下ろすスティング。

 

 

「くっ…!!!」

 

 

振り下ろされたその拳を、クロスに組んだ腕を盾にして防ごうとするエリオ。しかし……

 

 

「ドラゴンフォースも使えねえテメェが…オレの攻撃を止められるかァ!!!!」

 

 

「がはっ!!!」

 

 

ガードを破られ、振り下ろされたその拳で地面に割れるほど強く叩き付けられるエリオ。

 

 

「オラァ!!!」

 

 

「ごふっ!!」

 

 

スティングはさらに倒れたエリオにすぐさま蹴りを入れて吹き飛ばし、民家の壁に激突させる。

 

 

「消えろ!!!!」

 

 

そしてスティングはトドメと言わんばかりに、合わせた両手に白い輝きを纏い……

 

 

 

「ホーリーレイ!!!!!」

 

 

 

「うあぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」

 

 

スティングの両手から放たれた無数の白い聖なる閃光が、エリオを飲み込んだのであった。

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

 

息を乱しながら土煙が立ち込めている、エリオが倒れているであろう場所を静かに見据えるスティング。

 

 

「オレは強くなったんだ……レクターへの想いが……オレを強く……」

 

 

スティングは息を整えながら静かにそう呟く。

 

 

「確かに──君は強い」

 

 

「!!?」

 

 

するとその時……立ち込める煙幕の中から、そう言いながらエリオが姿を現した。だがその全身はボロボロで、見るからに満身創痍である事は火を見るよりも明らかである。

 

 

しかしエリオはそんな事など意にも介さずに言葉を続けた。

 

 

「君のレクターに対する想いの力は本物だ……だから僕も──それ相応の力で応える」

 

 

エリオがそう言い放ったその瞬間……一陣の突風が吹き抜けた。

 

 

「何だ……この風は……?」

 

 

するとスティングはその風の異変に気がついた。

 

 

「風が…集まってる?」

 

 

その異変とは……今しがた吹き抜けたハズの突風や吹きすさぶ風が、その場を通り過ぎる事無くエリオの周囲に目に見えて集まり始めているのだ。

 

 

「力を借りるよ──ウェンディ」

 

 

すると次の瞬間……エリオの体から凄まじい雷が迸り、同時に吹き荒れる風をその身に纏っていた。

 

 

「おい、アレって……」

 

 

「まさか……エリオも!!?」

 

 

その光景を見てノーヴェとリサーナが驚愕しながらそう口にすると、試合の様子を見守っていたキャロがそっと口を開く。

 

 

「そうです……あれはエリオ君とウェンディちゃんの魔法──天と雷が融合した姿」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──天雷竜(てんらいりゅう)!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




次回決着!!!

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