LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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何気に一番長い2話目です。


空白の7年

 

 

 

 

X791年 マグノリア。

 

 

ナツたちが天狼島から戻ってきたら、アースランドでは7年もの月日が経っていた。

 

 

時間凍結によって7年間一切歳をとっていないナツたちにとってはまるでタイムスリップしたかのような感じだが……すぐに彼らはそんな事気にしなくなっていた。

 

 

そして現在……妖精の尻尾(フェアリーテイル)では、行方不明になっていた天狼組の帰還を祝って、盛大な宴会が開かれていた。

 

 

飲んで歌って踊って……ギルドはまるで7年前に戻ったかのような喧騒に包まれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第166話

『空白の7年』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前も火の魔法使うのかロメオ!」

 

 

「またギルドの温度上がっちゃうねー」

 

 

「冷たい炎も出せるぜ」

 

 

「おおっ、青い炎!!」

 

 

「あと父ちゃんと同じ紫のくっつく炎と、変なニオイの黄色い炎」

 

 

「お前オヤジよりスペック高くねーか?」

 

 

「うん」

 

 

何気に父親であるマカオより様々な炎を使いこなしているロメオにガジルとルーテシアは少々舌を巻く。

 

 

「ん? この魔法どこかで……」

 

 

「あい」

 

 

「そうだよ、それって確か兎兎丸の七色の炎(レインボーファイア)じゃねーか!!!」

 

 

そんなロメオの魔法に見覚えのあったナツとハッピーは疑問符を浮かべ、アギトが驚いたようにそう叫ぶ。

 

そう…ロメオの使う炎は、かつてナツと戦った幽鬼の支配者(ファントムロード)のエレメント4の1人……大火の兎兎丸が使っていた魔法であった。

 

 

「父ちゃんには内緒で、兎兎丸先生の魔法教室行ってるんだ」

 

 

「あいつ……そんな事してたのか……」

 

 

「(珍しいな、嬉しそうな顔しおって)」

 

 

かつての同じギルドだった仲間が現在でも元気にやっている事を聞いてどこか嬉しそうな顔をしているガジルに、リリーだけが気がついていた。

 

 

「懐かしいなー!! オレ…あいつの炎全色食ってねーしな。よし!! オレも会いに行こーかな!」

 

 

「アタシもファントムん時から同じ炎使いとして一目置いてたんだ。久しぶりに会ってみるのもいいかもな」

 

 

「ごめん、アギト姉はともかくナツ兄の話は禁句なんだ」

 

 

「だよね」

 

 

そんな会話を繰り広げているナツたちとは違うテーブルでは……

 

 

「本当に大きくなったね~ヴィヴィオ」

 

 

「あの小さかったヴィヴィオちゃんがこんなに大きくなっているなんて、ジュビア驚きです」

 

 

「えへへ~♪ この7年で私も立派なレディに成長したんだよ~」

 

 

「泣き虫なのは変わってねえけどな」

 

 

「むー…パパ酷い」

 

 

「パパ言うな。今はもうほとんど歳変わらねえだろ」

 

 

「っていうか…スバルと同い年だよね」

 

 

当初は8歳だったヴィヴィオも7年経った今では15歳……18歳であるグレイやなのはの年齢とほぼ変わらないのである。

 

 

「歳なんて関係ないよ。ヴィヴィオがどれだけ大きく成長しても、2人が私のパパとママである事は絶対に変わらないんだから!!」

 

 

「……だってさ、グレイ♪」

 

 

「ったく……」

 

 

「ふふっ♪」

 

 

屈託の無い笑顔でそう言い放つヴィヴィオの言葉を聞いて、なのはは嬉しそうに笑い…グレイも呆れながらも笑顔を浮かべ…隣に座っていたジュビアも釣られて笑ったのであった。

 

 

そしてまた別のテーブルでは……

 

 

「えーーっ!!? お父さんに引き取られたぁ!!?」

 

 

「ああ。アタシらが評議院を出所してすぐ、父さんがアタシとディエチとウェンディとチンク姉を養子として引き取ってくれたんだ」

 

 

そう…ノーヴェを含めた元ナンバーズである4人は出所すると同時にスバルの父親であるゲンヤ・ナカジマに家族として迎え入れられたのだ。なので、今のノーヴェのファミリーネームもナカジマなのである。

 

 

「つまり、今ではスバルとは姉妹って事ね」

 

 

「そういうこった。因みに生まれた順で、アタシとウェンディはスバルの妹って事になる」

 

 

「…………………」

 

 

「? おいスバル、どうした?」

 

 

ティアナの言葉に同意しながらノーヴェがそう説明すると、スバルは何やら顔を俯かせてプルプルと体を震わせる。そんなスバルの様子を見たノーヴェが彼女の顔を覗き込むと……

 

 

「いぃぃやったぁぁあああ!!!!!」

 

 

「うおおお!!?」

 

 

突然スバルがノーヴェの体に思いっきり抱きついた。

 

 

「テ…テメェ!! 何すんだいきなり!!!」

 

 

「私に妹が出来たんだよ!!! お姉ちゃんになったんだよ!!! 嬉しいに決まってるよ~!!!」

 

 

「だーーっ!!! 暑苦しい!!! 言っとくけど戸籍上は姉でも、お前は一番の年下だって事忘れんなよ!!!!」

 

 

「それでも私お姉ちゃんだもーん♪」

 

 

「クソッ!! この姉貴めんどくせぇ!!!」

 

 

しがみ付いてくるスバルをうっとうしそうに引き剥がそうとするノーヴェだが、バカ力の持ち主であるスバルはビクともしなかった。しかしその光景は……2人の顔が似ている分、本当の姉妹のようであった。

 

 

「ところでノーヴェ、1つ聞きたいんだけど」

 

 

「あん? 何だよ? つーか見てねーで助けろよ」

 

 

「イヤよ、巻き込まれそうだし。それよりアンタ、今までフリーの魔導士としてギルドを守ってくれてたみたいだけど、これからはどうするの?」

 

 

「当然妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入るに決まってんだろ。元々ナツとそういう約束をしてたし、お前らが帰ってきた今、アタシがでしゃばる必要もなくなったしな」

 

 

「そう……じゃあこれからよろしくね、ノーヴェ」

 

 

「おうっ!」

 

 

そう言って新たな仲間を歓迎するように微笑むティアナに対し、ノーヴェも笑顔で応えたのであった。

 

 

「ノーヴェ~!! お姉ちゃんともよろしくね~!!」

 

 

「お前はいい加減離れろーーーっ!!!!」

 

 

一方カウンター席の方では……

 

 

「しかし、お前が妖精の尻尾(フェアリーテイル)四代目マスターとはな」

 

 

「なーに言ってんだよ、こんなの代行みてーなモンだよ!! 今すぐこの座返すよ」

 

 

「いや…面白いからしばらくマスター続けてくれい」

 

 

「マジか!!?」

 

 

マカロフの進言により引き続きマスターをする事になり、驚愕するマカオ。

 

 

「先代がそういうならもうしばらく……」

 

 

「このなんとも言えねーガッカリ感がウケんだけど」

 

 

「じゃろ? くぷぷ」

 

 

浮かれるマカオの傍らでは、マカロフとワカバが歴代マスターとの威厳の差に笑っていた。

 

 

「もう…2人ともあんまりマスターをからかってはダメですよ」

 

 

そんなマカロフとワカバをディエチがたしなめる。

 

 

「おおっ、確かディエチじゃったかの? 元ナンバーズの」

 

 

「はい、その節はご迷惑をおかけしました」

 

 

「ディエチは評議院を出所してからは、魔導士から足を洗ってここの従業員として働いてくれてんだ」

 

 

「ほう?」

 

 

ワカバからの説明を聞いて、魔導士を辞めたという事にマカロフは意外そうな視線をディエチに向ける。その視線を受けたディエチは、苦笑しながらその疑問に答える。

 

 

「元々あまり戦う事が苦手でしたし、それに実はこういう仕事にも少し憧れたんです」

 

 

「憧れてたのはミラちゃんにだろ?」

 

 

「マ…マスター!!」

 

 

「なーるほどのう、そういう事か」

 

 

マカオが横からからかうように茶々を入れ、その言葉に恥ずかしそうに赤面するディエチ。そしてその様子を見ていたマカロフはそれだけで全てを察した。

 

 

「私がどうかした?」

 

 

「!! ミ…ミラジェーンさん……」

 

 

するとそこへ、ちょうどタイミングよくミラジェーンがやって来た。

 

 

「ミラでいいわよ。同じギルドの仲間としてこれからよろしくね、ディエチちゃん♪」

 

 

「は…はい!!!」

 

 

そう言って優しく笑いかけるミラジェーンの言葉に対し…ディエチは嬉しそうに微笑みながら返事を返したのであった。

 

 

「け…けけ……結婚したのか!!? お前たち!!!」

 

 

「6年前にね」

 

 

「聞いてよエルザさん、プロポーズ私からなのよ!! アルってば…」

 

 

「その話はよせよ…」

 

 

アルザックとビスカの2人が結婚していたという事を聞いて、驚愕しながら赤面するエルザ。

 

 

「お…おめでとう、不束者だがよろしく頼む」

 

 

「何言ってんだエルザ」

 

 

「自分と当てはめてごっちゃになってるんだね」

 

 

動揺して奇妙な事を口走っているエルザに、呆れるエルフマンと苦笑するユーノ。

 

 

「素敵ね! 子供はいるの?」

 

 

「娘が1人、アスカっていうんだ」

 

 

リサーナの問い掛けに対し、嬉しそうにそう答えるアルザック。

 

 

「結婚といえば……クロノ、君の奥さんとはもう会ったの?」

 

 

「!!…………」

 

 

ユーノが何気なく問い掛けたその言葉に、クロノは一瞬ビクリと肩を震わしたあと沈黙した。

 

 

「え? なにその反応? まさかこの7年の間にすでに再婚されて……」

 

 

「んな訳あるかっ!!! 縁起でもない事言うなっ!!!」

 

 

「じゃあどうしたんだよ?」

 

 

再び問い掛けるユーノに対し……クロノはしばらく黙ったあと、ゆっくりと口を開いた。

 

 

「……さすがに少し泣かせてしまったが、彼女も元気でやっていた。僕がいつか帰ってくるのを、ずっと信じて待っていてくれたんだ」

 

 

「いい奥さんじゃないか……」

 

 

「ただ……」

 

 

「ただ?」

 

 

「……そのあと物凄い形相で怒られたんだ……軽くトラウマになるレベルで」

 

 

「……………」

 

 

その言葉でユーノは察した。先ほど肩を震わせていたのは、そのトラウマのせいだったのかと。それ以降ユーノがその事について追及する事はなかった。

 

 

「リーダスさん、この絵って……」

 

 

「ウィ……オレなりにエリオとウェンディとキャロの7年間の成長を予想して描いてたんだ」

 

 

「わぁ……もしかしたら僕は今頃こうなってたかもしれないんだ」

 

 

そう言ってエリオが手にしている紙には、逞しい青年姿のエリオが描かれていた。予想して描かれた絵とはいえ、未来の自分の姿に感嘆の声を上げるエリオ。

 

しかし、エリオと同じく未来予想の絵を受け取ったウェンディとキャロの表情は優れなかった。

 

 

「あの……リーダスさんこれ……」

 

 

「お胸が……」

 

 

「ん? 何か言った?」

 

 

ウェンディとキャロの絵には、立派な女性へと成長した自分たちの未来の姿が描かれていた。しかしその絵に描かれている2人は……女性としての特徴が決定的に欠落していたのだった。

 

 

「私たち……大きくなっても大きくならないんでしょうか」

 

 

「うう…予想とはいえキズつきます……」

 

 

「ウィ? 何か変なトコある? この絵」

 

 

「どんな感じの絵なの?」

 

 

そう言って落胆している2人の絵を興味本位で覗こうとしたエリオだが……

 

 

「「エリオ君は絶対見ちゃダメ!!!!」」

 

 

「なんで!!?」

 

 

ウェンディとキャロに思いっきり拒否されたのであった。

 

 

「つー訳で──オレがカナの親父だったんだわー!」

 

 

「コラ!! ベタベタ触んな!」

 

 

「だってよう、嬉しいんだもんよォ」

 

 

「その緩んだツラどうにかしろよ! てかおろせ!!」

 

 

また別のテーブルでは、デレデレの緩んだ顔で娘であるカナと戯れるギルダーツ。そしてその様子を見ていたヴォルケンリッターの面々は呆れて苦笑を浮かべていた。

 

 

「……あんな緩みきった顔のオヤジ初めて見たぜ」

 

 

「あのギルダーツにも、親バカな面があるという事だ」

 

 

「だがアルベローナとギルダーツが親子だという話には驚いたな」

 

 

「カナちゃん本人もずっと隠してたみたいだしね」

 

 

「どう思われますか? 我が主」

 

 

「どう思うも何も、近くて遠かった2人がやっと本当の親子になれた……それが1番のハッピーエンドや」

 

 

ギルダーツとカナの様子を見て、はやては優しく微笑みながらそう言葉を口にすると……「まあ…」と言って言葉を続け……

 

 

「もしかしたらカナちゃんも私らの家族になるかもしれへんからな♪」

 

 

優しい笑みが、まるでイタズラっ子のような笑みに変わり……そう言ったのであった。因みにそれを聞いていた他の5人は……

 

 

「「「(まだ諦めてなかったのか……)」」」

 

 

と…思っていたのであった。

 

 

「そういえばエクシードのみんな……7年間ずっと心配かけちゃったかな」

 

 

「エクシードは人間とは〝時〟の感覚が違う」

 

 

「おそらくそれほど大事には捉えていないかもしれません」

 

 

「それならいいんだけど」

 

 

その傍らでハッピーたちエクシード4人がそんな会話をしていると……ギルドの出入り口の扉が開き、新たな訪問者が現れた。その訪問者とは……

 

 

「お前ら!!」

 

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)!!?」

 

 

「みなさんのご帰還……愛を込めておめでとうですわ!」

 

 

悪魔の島で零帝一味としてナツたちと対立し…ワース樹海では共に戦った蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士……シェリー・ブレンディ。

 

 

「おおーん」

 

 

同じく蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士で、かつて悪魔の島で零帝一味としてナツたちと戦った犬耳の男……トビー・オルオルタ。

 

 

「息災であったか?」

 

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士であり、マカロフと同じ聖十の称号を持つ男……ジュラ・ネェキス。

 

 

「7年間歳をとってねえ奴等に言ってもな……」

 

 

シェリーやトビーと同じく蛇姫の鱗(ラミアスケイル)に所属し、悪魔の島でナツたちと戦った眉毛が特徴の男……ユウカ・スズキ。

 

 

「まぁ、無事でなによりだな」

 

 

かつては無限の欲望(アンリミテッドデザイア)のナンバーズの1人であり……現在は蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士として活躍する銀髪に右目の眼帯が特徴の小柄な少女……チンク・ナカジマ。

 

 

「本当によかったわ……」

 

 

スバルの実姉であり、今では6人姉妹の長女となる蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔導士……ギンガ・ナカジマ。

 

 

「また騒がしいギルドに逆戻りか」

 

 

そしてグレイの兄弟子である蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のエース……リオン・バスティア。

 

 

魔導士ギルド〝蛇姫の鱗(ラミアスケイル)〟の中でも妖精の尻尾(フェアリーテイル)と馴染みが深いメンバーがやって来たのであった。

 

 

すると、そんなギンガの姿を見たスバルが勢いよくテーブルから立ち上がる。

 

 

「ギ…ギン姉……」

 

 

「スバル……!!」

 

 

「ギン姉ーーーーー!!!!」

 

 

「スバルーーーーー!!!!」

 

 

スバルとギンガは嬉しそうな笑顔を浮かべながら互いの名を呼び合って駆け出し、そしてお互いの両手を握ったかと思うと……そのまま楽しそうにクルクルと回り始めたのであった。

 

 

そんな姉妹を尻目に、他の面々は話を進める。

 

 

「天狼島の捜索には、天馬にも蛇姫(ラミア)にも世話になったんだよ」

 

 

「そいつは借りが出来ちまったな」

 

 

「気にする事はない。天馬に先を越されたが、実力はオレたちの方が上だしな」

 

 

「そっちかよ」

 

 

そう言ってリオンの言い分に呆れるグレイ。

 

 

「だってこの7年間で私たち蛇姫の鱗(ラミアスケイル)はフィオーレNo.2にまでのぼったんですもの。残念ですわ、ルーシィさん」

 

 

「……って事は、一番は天馬?」

 

 

「そんな訳あるかよっ!!!!」

 

 

「キレんなよ。いや……天馬じゃないんだが……」

 

 

「まあ……そんな話はよかろう。皆、無事で何よりだ」

 

 

「おおーん」

 

 

ジュラがそう言って話を締めくくり、天狼島の帰還を祝福するラミアたち。すると……

 

 

「!」

 

 

「?」

 

 

突然リオンがジュビアの顔をジッと見たかと思うと……まるで衝撃を受けたかのように頬を朱に染めた。

 

 

「これが一目惚れというものか」

 

 

「え? え? え?」

 

 

「んなっ!?」

 

 

「あいたっ」

 

 

「うわ…スゴイ直球なの」

 

 

「まためんどくせー事になってきた!!!」

 

 

どうやらリオンはジュビアに一目惚れしたらしく、彼女の両肩を掴んでそう言い切ったのだった。それを聞いたギンガはショックを受け、彼女と一緒に回っていたスバルは突然手を放されこけてしまった。

 

そしてストレートに言い切ったリオンになのはは赤面し、グレイは妙な展開に絶叫した。

 

 

「ちょ…ちょっとコレって……ジュビア…修羅場!!!!」

 

 

「うん、確かに修羅場っぽいけど落ち着こうねジュビアちゃん」

 

 

「かんべんしてくれ」

 

 

そして動揺するジュビアをなのはが落ち着かせ、グレイは小さく嘆息したのであった。さらにその傍らでは……リオンの一目惚れ発言にショックを受けたギンガがorz状態になっていた。

 

 

「そ…そんな……今まで私がどれだけアプローチしてもまったく気がつかなくて…挙句には女の子に興味がないんじゃないかって思うほど恋愛事とは無関心だったリオン君が……一目惚れだなんて……」

 

 

「ギ…ギン姉? 大丈夫? おーい……」

 

 

「そっとしておいてやれ。ウチのギルドではよくある事だ」

 

 

「チンク」

 

 

1人ブツブツとそう呟いているギンガにスバルが声をかけるが、彼女は一切反応せず、チンクが呆れたようにそう説明した。

 

 

「7年ぶりだな、スバル」

 

 

「私としてはほんの数ヶ月ぶりなんだけどね。久しぶりだねチンク。君も蛇姫の鱗(ラミアスケイル)に入ったんだ」

 

 

「ああ、ギンガの勧めもあってな。ギルドは違うが、同じ魔導士としても、姉妹としてもこれからよろしく頼む」

 

 

「うん、よろしくね! 新しいお姉ちゃん♪」

 

 

そう言って2人は互いに笑顔を浮かべながら、握手を交わしたのであった。

 

 

「ところでチンク、最後に会った時と身長がまったく変わってないんだけど……」

 

 

「………………言うな」

 

 

そんなこんなで、ラミアのメンバーたちも加わって宴会はさらに騒々しさを増したのであった。

 

 

喧騒は止まない……天狼組にとっては1週間程度の時間であったが、残された者たちにとってはあまりにも長い7年という年月。

 

 

そんな月日を埋めるかのように……喧騒はいつまでも続いたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「うぁ~……さすがにもうくたくた……3日間もギルドでお祭り騒ぎだもんね」

 

 

「プーン」

 

 

その後……騒ぎ疲れたルーシィはくたくたになりながら、プルーと共に帰路を歩いていた。

 

 

「自分ん家に戻るのすごく久しぶりだね~」

 

 

「プーン」

 

 

そしてようやく久しぶりの我が家へと辿り着いたルーシィであったが……その家の前には1人の初老の女性が立ち塞がっていた。

 

 

「お……大家さん」

 

 

そう…その女性とは、ルーシィの家の大家であった。

 

 

「帰ってきたって話は聞いてるよ、無事で何よりだ。だけど家賃の話は別!! 7年分!! 588万J!!! きっちり払わないとこの家には入れないよ!!!!」

 

 

「ひゃああああああ!!!?」

 

 

大家にそう言い渡され、ルーシィは自分の家から追い出されてしまったのであった。

 

 

その後……ルーシィは街の川沿いで1人項垂れていた。

 

 

「588万J……そんな大金払えないよう」

 

 

毎月7万の家賃でもヒーヒー言っている彼女にとって、7年分の溜まった家賃を一気に払えというのが無理な話である。

 

 

「ギルドも財政難、女子寮(フェアリーヒルズ)組も7年分払わされたって言うし……他のみんなもそうだよね」

 

 

因みにフェアリーヒルズの家賃は月10万……それが7年分なので840万J。ラキがおまけしてくれ事もあって何とか支払えたのだが、その後フェアリーヒルズ組が真っ白に燃え尽きていたのは言うまでもない。

 

 

「7年かぁ……想像以上に長いんだなぁ。ロメオ君もヴィヴィオも大きくなってて…ジェットとドロイも変わってたなぁ。ノーヴェたち元ナンバーズのみんなも、ちゃんと罪を償って自由に生きてるし…アルザックとビスカなんて子供いるんだもんなー」

 

 

自分たちが凍結封印されていた7年間……その長い年月の間に起きた変化などを感慨深く口にするルーシィ。

 

 

「そういえば、みんなカナとギルダーツの話には驚いてたね」

 

 

「プンプン」

 

 

「お父さんか……あたし…7年も連絡してないって事になるんだよね。心配してるだろーなぁ」

 

 

そう呟くルーシィの脳裏を横切ったのは……溜め込んでいた想いを告げ、本当の親子となれたギルダーツとカナの姿。

 

 

「お父さんに会いに行こうかな」

 

 

そんな2人の姿が浮かんだルーシィは、次に思ったことをポツリと言葉にしたのだった。

 

 

「あたし…お父さんに会いたいって思ったの…初めてかも」

 

 

「プンプン♪」

 

 

そう言って嬉しそうな笑顔を浮かべるルーシィを見て、プルーも釣られて嬉しそうな笑顔を浮かべたのであった。

 

 

「そうと決まれば、ユーノも誘って行こうかなー? そういう約束してたし」

 

 

「ププン?」

 

 

「べ…別にお父さんにユーノを紹介したい訳じゃないんだからね……」

 

 

 

 

 

しかし……失われた7年間は、彼らに空白の現実を押し付ける。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「アカリファに来るのも久しぶりだねー」

 

 

「あい」

 

 

「ユーノはともかく、何でハッピーまでついてくるの?」

 

 

翌日……ルーシィの誘いで商業都市アカリファへとやって来たユーノと、何故かそれについてきたハッピー。

 

 

「オイラもナツもお金がないんだよー! ルーシィパパはおいしい魚の話、いっぱい知ってるんでしょ?」

 

 

「おいしい儲け話だけどね。知ってるかどうかは会ってみなきゃ……ってかナツとハッピーの家は借家じゃないんでしょ」

 

 

「金庫がなくなってたんだよぉ…オイラたちの食費が……どーするのコレ……」

 

 

「エリオたちのお金は?」

 

 

「エリオのお金はリニスが別で管理してたから無事だったんだけど……オイラとナツの食費まで出す余裕がないんだって……」

 

 

「あらら……」

 

 

ルーシィとユーノの問いに涙ながらに答えるハッピー。どうやら昨夜家に帰ったら、ナツとハッピーの家から金庫が消えていたらしい。おそらくこの7年の間に盗まれたのであろう。なのでお金に困ったハッピーは、ルーシィの父親に儲け話を紹介してもらう為について来たらしい。

 

 

「ナツはどうしたの?」

 

 

「ティアナん家の掃除のお手伝いだよ」

 

 

ハッピーの話によると、現在ナツは7年間掃除していないティアナの家の掃除を(強制的に)手伝っているらしい。その話を聞いてルーシィは「コイツ逃げてきたわね」と…察していた。

 

 

「まぁ、とりあえずまずはルーシィのお父さんが働いてる商業ギルドに行ってみようよ」

 

 

「そうね」

 

 

「あい」

 

 

ユーノがそう切り出し、一行はルーシィの父親が働いているという商業ギルドへと足を運んだのであった。

 

 

そして商業ギルド〝ラブ&ラッキー〟へとやって来たルーシィは、さっそく受付で父親の事を尋ねる。

 

 

「あの……スミマセン」

 

 

「はい?」

 

 

「ジュード・ハートフィリアという人を探してるんですが、ここに在籍ですよね」

 

 

「あ…もしかしてジュードさんの娘さん?」

 

 

「はい!!」

 

 

ルーシィが彼女の父…ジュードの娘だと言った途端……受付の女性は何やら顔を俯かせて黙り込んでしまった。

 

 

「どうしたんですか?」

 

 

「もう辞めちゃった?」

 

 

「ここにいないんですか?」

 

 

「え…と…大変……お伝え辛いのですが……」

 

 

そして受付の女性は……言い辛そうにしながらも……ゆっくりと口を開いた。

 

 

 

 

 

「ジュードさんは一月前に亡くなられました。本当に、お気の毒です」

 

 

 

 

 

初めて会いたいと願い……そして会いに来たハズの父親が亡くなったという悲報。

 

 

空白の7年間が……彼女に残酷な現実を突きつけたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後……亡くなった父親と母親の墓参りを追えたルーシィは、ユーノとハッピーと共にマグノリアへの帰路についていた。当然だが……その間ルーシィの表情は暗かった。

 

 

「ルーシィ」

 

 

「ハッピー」

 

 

そんなルーシィに何か言葉を掛けようとしたハッピーをユーノが止め…「今はそっとしておこう」という意味を込めて首を横に振ったのだった。

 

すると……2人の前を歩いていたルーシィがポツリと口を開いた。

 

 

「ゴメン」

 

 

「え?」

 

 

「気……使わせちゃってゴメン」

 

 

「大丈夫? ルーシィ」

 

 

「うん…ちょっとお父さんの事…驚いちゃって…」

 

 

その言葉を皮切りに、ルーシィは父親の事を語り始める。

 

 

「数ヶ月前……いや…違うか……もう7年経ってるんだったね。あの時、アカリファでお父さんに会ったのが最後」

 

 

ハートフィリアの会社が倒産し……また1からやり直す為にアカリファに赴いたジュードと、ルーシィは和解を果たした。その時がルーシィにとって父親との最後の会話だったのである。

 

 

「あたし……小さい頃からずっとお父さんの事好きじゃなかったんだ。その上ファントムの件もあったしね。でも……アカリファの事件があって、これからあたしとお父さんの関係が変わりそうな気がしてた。過労で体を壊しちゃうなんて、あの人らしいな……」

 

 

そこまで言うと……ルーシィは空を仰ぎながら続けて言葉を紡ぐ。

 

 

「何でだろ? 悲しいのに…寂しいのに…涙が出ないんだぁ」

 

 

そう語るルーシィの表情は、確かに悲しそうではあった……だがそれでも、彼女の目から涙は一滴も滲んでいなかった。

 

 

「やっぱりあたし、お父さんの事……」

 

 

「それは違うよ」

 

 

そんなルーシィの言葉を、ユーノが遮った。

 

 

「うまくは言えないけど、涙が出るとか出ないとか……そういう事じゃないと思うんだ」

 

 

「うん、ありがと。ホント……あたしは大丈夫だから」

 

 

その会話を最後に……ルーシィとユーノたちはマグノリアへと戻ったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方その頃、マグノリアにある魔導士ギルド〝黄昏の鬼(トワイライトオウガ)〟では……

 

 

「だからさぁじーさん…今さら話す事なんかねェんだヨ。貸した金、きっちり返してくれればウチらはそれでいい訳ヨ」

 

 

オウガのギルドマスター…バナボスタはそう言って葉巻を吸いながら、目の前に座るマカロフに借金の返済を催促する。因みにマカロフの後ろにはエルザ、ミラジェーン、クロノの3人も控えていた。

 

 

「そう言われてものう……知っての通りビックリするくらい金がなくてのう」

 

 

「それに帳簿を見る限りだと、お金の出入りが明らかに変ですよ」

 

 

「あぁ? イチャモンつけようって言うのかよ」

 

 

「とんでもない!! 借りた金とその正当な利子分は払いますよ。いつか」

 

 

そう言うマカロフの言葉に激昂したバナボスタは、勢いよくイスから立ち上がる。

 

 

「こっちは今すぐ払えっつってんだよジジィ!!!!」

 

 

「いやいやだからね、まずは金利の計算からやり直してですな」

 

 

「こっちは若えモンが5人もケガさせられてんだぞコラァ!!!! 債務者にどつかれて貸した金も返ってきませんってんじゃ、こっちとしてはギルドのメンツに関わるんだヨ!!!!」

 

 

「おや? 今日は〝お金〟の話という事で伺ってきたのじゃが……そっちの話もしますかな?」

 

 

「そっちもこっちもないんじゃワレェ!!!!」

 

 

テーブルを蹴飛ばしながら威嚇するようにそう怒鳴るバナボスタ。

 

 

「『貸したものは返せ』それがおたくのギルドの信条……という事でよいですかな?」

 

 

だがその瞬間……マカロフと後ろのエルザたち3人の雰囲気が一変する。

 

 

「7年間……私たちのギルドへの器物損壊及び、メンバーへの暴行…」

 

 

「その分全てを、私たちもあなたたちに返さねばならなくなりますよ」

 

 

「もちろん……利子分もキッチリとな」

 

 

「7年間…ガキどもが受けた苦しみ……涙が出るわい……」

 

 

エルザ…ミラジェーン…クロノがそう言い放つと、マカロフは怒りの表情でバナボスタをほぼゼロ距離で睨みつけ……

 

 

 

 

 

「おい小僧──戦争って事でいいんだな」

 

 

 

 

 

先ほどのバナボスタの威嚇とは比べ物にならないほどの威圧感でそう言い放ち……次の瞬間にはエルザは煉獄の鎧を身に纏い…ミラジェーンはサタンソウルを発動させ…クロノは片手にデュランダルが握られていた。

 

 

「「「~~~~~~~ッ!!!!」」」

 

 

「ちょ…え?」

 

 

それを見たオウガのメンバーとバナボスタは驚愕し言葉を失う。それと同時に……自分たちは敵に回してはいけないギルドを敵にした事を激しく後悔した。

 

 

「え~~~~~~~っ!!!?」

 

 

その後しばらくは、オウガのギルドから凄まじい破壊音と断末魔が絶えなかったのであった。

 

 

「おいおい、話し合いで解決するんじゃなかったのかよ」

 

 

「やっぱ、かなわねーな」

 

 

「けど……こーゆーの見てると、本当に7年前に戻ったみてーだな」

 

 

「懐かしいよ」

 

 

その光景をギルドの外から眺めていたマカオとワカバは、懐かしそうにそんな会話をしていたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その頃……マグノリアに戻ってきたルーシィは、噴水広場で1人階段に膝を抱えて座り込みながらボーっとしていた。すると……

 

 

「!」

 

 

そんな彼女のもとに、大家がズンズンとした足取りでこちらに向かってくるのが見えた。

 

 

「大家…さん? ひっ」

 

 

何も言わずにただまっすぐに向かってくる大家を見て、少々恐怖を感じて小さく悲鳴を上げるルーシィ。だが大家はそんな彼女の目の前までやってくると、ルーシィの足を掴んで彼女の体を軽々と持ち上げた。

 

 

「ちょっ、何すんのよーーーっ!! 誰か~~~っ!! 助けて~~~!!!」

 

 

それから大家はそのままルーシィの体を引きずりながら、彼女をどこかへと連れ去ってしまったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「きゃっ!!」

 

 

そしてその後、大家に連れ去られたルーシィはどこかの部屋に乱暴に放り込まれた。

 

 

「! あたしの部屋……アレ? 7年間も使ってなかったのにキレイ……」

 

 

その部屋はルーシィが借りている部屋であり、7年間も留守にしていたにも関わらず、部屋の中はキレイになっていた。すると扉の向こうから、大家の声が聞こえてくる。

 

 

「掃除は毎週してたんだよ、さすがに服は何着かダメになっちまったけどね。テーブルの上を見てごらん」

 

 

「!」

 

 

大家にそう言われ、ルーシィは部屋のテーブルへと視線を移すと……そこにはキレイに包装された箱が6つも積み上げられていた。

 

 

「毎年同じ日に送られて来るんだよ」

 

 

そしてその箱についていたメッセージカードには……

 

 

【親愛なる娘へ

 誕生日おめでとう

     パパより】

 

 

と書かれており、それを見たルーシィはその箱の送り主が父親で、送られてきた日付が自分の誕生日の日だとわかった。

 

 

「覚えてて…くれてた……」

 

 

幼い頃は自分の誕生日などまったく意に介さず、キツく当たってきた父親が誕生日を覚えててくれていた事に愕然とするルーシィ。

 

 

「今朝……もう1つ届いてね」

 

 

「!」

 

 

ソファの上には7つ目の誕生日プレゼントが置かれており、それと一緒に1通の手紙も置かれていた。

 

 

その手紙を手に取ったルーシィは、静かにその手紙を読み始める。

 

 

 

 

 

親愛なる娘へ

 

誕生日おめでとう!

 

……と言っても、君はこの手紙をいつ読むのだろうね?

 

君が友達と一緒に姿を消したと聞いてだいぶ経つ。とても心配だが、私は信じているよ。

 

君はレイラによく似ている。たくさんの〝運〟に恵まれた子だ。

 

きっと無事だと思う。また会えると信じている。

 

私の方は近々、西方との大きな商談が纏まりそうでね。忙しいけど、充実した日々を送っているよ。

 

毎日君やレイラの事を思い出す。

 

君は私とレイラの誇りだ。自分の信じる道を強く生きて欲しい。

 

早く君に会いたいよ。

 

 

 

 

 

「お父…さん」

 

 

 

 

 

―ルーシィ……私は君をずっと愛している―

 

 

 

 

 

手紙の最後はそう締めくくられており……手紙を読み終えたルーシィは、ポタポタと手紙に雫をたらす。

 

 

 

「あたしも……大好き…だよ……」

 

 

 

父親の愛を知ったルーシィは……父の死を聞かされた時からずっと流れる事のなかった大粒の涙を流した。まるで溜め込んでいた悲しみと寂しさを吐き出すかのように……

 

 

「~~~~~~~~っ!!!!」

 

 

ルーシィの泣く声が部屋に響く中……ずっと表の扉の前にいた大家はそっとその場から立ち去った。

 

 

「あ…!!」

 

 

「!!」

 

 

しかしその時…ちょうどルーシィを訪ねて来たユーノとハッピーの2人と鉢合わせした。

 

 

「あの…ルーシィは?」

 

 

「今はそっとしておやりよ」

 

 

「オイラたち、仕事を持ってきたんだ」

 

 

「今朝来た手紙に7年分の家賃がついてきたのよ。まったく…こういうのを親バカって言うのかねぇ」

 

 

「そうなんですか……」

 

 

つまりもうルーシィの家賃の問題は解決したという事だ。そしてその話を聞き、その手紙と家賃の送り主を察したユーノは、そっとルーシィの家に視線を向け……

 

 

「(よかったね……ルーシィ)」

 

 

そう心の中で彼女にそんな言葉を送り、優しい笑顔を浮かべたのであった。

 

 

「って事は、足りないのはオイラたちの食費だけ!? ユーノー、どーしよぉー」

 

 

「ハハッ、じゃあ僕と2人で仕事に行こうか。たまにはいいでしょ?」

 

 

「あいさー!!」

 

 

泣きついてくるハッピーにユーノがそう提案し、2人で仕事に向かう事にしたのであった。

 

 

「ルーシィーー!!!」

 

 

そして出発前に、ルーシィの家に向かって叫ぶ。

 

 

「僕たち仕事に行って来るからーー!!!!」

 

 

「シロツメ団子、お土産に買ってくるからねーーーーっ!!!!」

 

 

そう言い残して、ユーノとハッピーは仕事へと向かって行った。

 

 

そしてそんな2人の声を聞いたルーシィは……そっと顔を上げて涙を拭った。そして……

 

 

 

「待って!!!! あたしも行く!!!!」

 

 

 

いつも通りの……元気な笑顔を浮かべながら2人を追ったのであった。

 

 

 

 

 

失われた7年という時はあまりにも大きい。

 

 

だがそれでも彼らは……この世界で生きていくのであった。

 

 

 

 

 

つづく


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