LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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ようやく書けました……やっぱり戦闘シーンを1から考えて書くのは大変です。まあその分楽しいでけどね。

因みに投稿時間は本日のフェアリーテイルのアニメが終わる時間に設定してみました。

あ、それと今回は連続投稿です。続きはまた1時間後に。出来れば1話ごとに感想をいただけると幸いです。

感想お待ちしております。


雷竜vs氷竜

 

 

 

 

「がはっ……!!!」

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

 

諦めずに何度でも立ち上がる不屈の心で強敵であるエスターテに立ち向かい…決死の覚悟で集束砲を放ったなのは。たとえ頑丈な戦闘機人といえども、ほぼゼロ距離から放たれた集束砲に成す術もなく飲み込まれ……なのはは死闘の末に勝利を収めたのであった。

 

 

「やった…の……」

 

 

エスターテが意識を失い戦闘不能になったのを確認したなのはは、安堵したように息を漏らすと、フラフラとした足取りで近くの大樹に身を預け、そのまま地面に座り込む。

 

 

「さすがに…少し疲れたの……ちょっと…一休…み……」

 

 

呟くようにそう言うと、なのははそのままカクンっと首を前に倒し、意識を手放したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第157話

『雷竜vs氷竜』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デリャァァアアアア!!!!」

 

 

「オォォォォオオオオ!!!!」

 

 

その頃、雨が降り頻る森で響き渡るエリオとインヴェルノ……2人の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の雄叫びと、雷を纏った槍と氷で造られた刀が激突する音。

 

そして両者は同時に弾かれるように後方に飛び退き、すぐさま追撃に移る。

 

 

「雷竜の旋尾!!!!」

 

 

「氷竜脚!!!!」

 

 

両者ともに雷撃と氷を纏った蹴りをそれぞれ繰り出すが、その攻撃は再び衝突し、凄まじい衝撃を巻き起こす。

 

 

「オォォオオオ!!!」

 

 

「なにっ!!? チィッ!!」

 

 

しかし両者のその競り合いはエリオが押し勝ち、インヴェルノは後方に飛ばされるがすぐに体制を整えて地面に着地する。だがインヴェルノのその表情は、驚愕に染まっていた。

 

 

「このオレが押し負けただと…!!? こいつのどこにそんな力が……!!?」

 

 

「ハァ…ハァ……進化した滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だとか、新型の戦闘機人だとか、挙句にはオリジナルであるナツさんを超えたとか言ってましたけど……口だけでしたね」

 

 

「何だと……!!?」

 

 

エリオは息を整えながらもニッと笑ってそう言い放つと、それに反応したインヴェルノはピクリと眉をひそめる。

 

 

「僕すら倒せない人が、ナツさんを倒せる訳がありません。そもそもナツさんを超えるのは僕だ……あなたじゃない」

 

 

「……調子に乗るなよ」

 

 

それに対しインヴェルノがそう言い返したその瞬間……彼の冷え切ったその瞳がまるで獰猛なケモノのような瞳に変わり、エリオをギロリと睨む。

 

 

「ならば証明してやろう。マスタージェイルより与えられし竜の力と戦闘機人の力は……オリジナルを遥かに超越しているとな!!!!」

 

 

「……望むところですよ」

 

 

対するエリオも、まるで敵と対峙するケモノのような瞳でインヴェルノを睨み返す。

 

 

「だったら僕は本物の竜から与えられた力と、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の力で……あなたを倒して見せます!!!!」

 

 

互いに強くそう言い放つ2人。もしこの場に第三者が存在していれば、その者の目にはおそらく……雷の竜と氷の竜……2頭の(ドラゴン)が威嚇しながら睨み合っている光景が写っている事だろう。

 

 

そして次の瞬間……ドゴォォォォオンっと、とてつもない轟音が鳴り響く。その理由はエリオとインヴェルノ…両者の拳が互いの顔面を捉えた音だった。

 

 

「がはっ…!!」

 

 

「ごふっ…!!」

 

 

その衝撃で2人は口から血反吐を吐くが、当人たちは気にせずに互いの姿を見据えている。

 

 

「ハァァアアアア!!!!」

 

 

「ゼァァアアアア!!!!」

 

 

それを皮切りに…2人の激しい殴り合いが始まる。互いに防御など一切せずに、それぞれの属性を纏ったパンチやキック…時には肘や膝蹴りなどを使い…両者の攻撃が互いにヒットするたびに凄まじい衝撃が巻き起こっていた。

 

 

「フンッ!!!」

 

 

「がっ…!!!」

 

 

そんな激しい殴り合いの中、インヴェルノの冷気を纏った拳がエリオの頬を捉え、エリオは一瞬仰け反るが……

 

 

「セイッ!!!」

 

 

「ぐほぉ!!!」

 

 

それに怯むことなく放った、雷撃を纏った拳がインヴェルノの顎を打ち上げた。

 

 

「雷竜の……」

 

 

「氷竜拳……」

 

 

すると両者は互いに凄まじい雷撃と冷気を纏った拳を構え……

 

 

「雷槌!!!!」

 

 

「剛雪!!!!」

 

 

それらを衝突させたのであった。

 

 

「「ぐあぁぁあああああああ!!!!」」

 

 

そしてその際に発生した凄まじい衝撃により、互いに後方に大きく吹き飛ばされるエリオとインヴェルノ。

 

 

「かはっ!!!」

 

 

「ぐぅっ!!!」

 

 

エリオは後方にあった岩壁に軽く減り込むくらいに強く叩きつけられ……インヴェルノは吹き飛ばされた勢いで何本もの木々を薙ぎ倒したのち、大樹に衝突する。

 

 

「ハァ…ハァ……まだまだ……」

 

 

「ヤロォ……ハァ…ハァ」

 

 

何とか起き上がる2人だが…両者共に肩で息をし、バテ始めているのは一目瞭然であった。

 

 

「仕方ない……」

 

 

するとインヴェルノは自身の懐をゴソゴソと漁り、何かを取り出す。それは……

 

 

「……魔水晶(ラクリマ)?」

 

 

インヴェルノの手のひらより少し大きいサイズの魔水晶(ラクリマ)であった。

 

 

「ただの魔水晶(ラクリマ)じゃない。氷の魔法を封じ込めた魔水晶(ラクリマ)だ」

 

 

そう言うと、インヴェルノはその氷の魔水晶(ラクリマ)をそのままボリボリと食い始めたのだった。

 

 

「魔力の補給!!? ズルイですよ自分だけ!!!」

 

 

「魔力回復も戦いに勝つ為の手段だ。とやかく言われる筋合いはない」

 

 

そんな言い争いをしている間に、インヴェルノは氷の魔水晶(ラクリマ)を完食する。

 

 

「ふう……オリジナル風に言うなら、喰ったら力が湧いてきた」

 

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)は自分と同じ属性のものを食す事で、自身の体力や魔力の回復…さらには魔法の威力を上げる事も出来る。つまり……

 

 

「氷竜刀・羅雪(らせつ)!!!!」

 

 

「ぐあああああっ!!!!」

 

 

体力と魔力を回復したインヴェルノは、両手に纏った氷の刀でエリオの体に高威力の斬撃を連続で浴びせたのであった。

 

 

「くぅっ……!!」

 

 

「まだだ……」

 

 

そう言って立ち上がったエリオの頭上に向かって、ゆっくりと手をかざすインヴェルノ。

 

 

「氷竜槍・時雨」

 

 

「!!?」

 

 

その瞬間……エリオの頭上から小さな氷の槍が降り注ぎ始める。

 

 

「(まさか…雨を凍らせて……!!?)」

 

 

それを見たエリオはすぐさまその場を飛び退いて氷の槍の雨を回避する。その瞬間先ほどまで彼が立っていた場所が、無数の氷の槍が突き刺さる。

 

 

「逃がさん」

 

 

だがインヴェルノはそれを許さず、さらに降り頻る雨を凍らせて追撃を仕掛ける。

 

 

「くっ……ぐっ…うああ……!!!」

 

 

持ち前の素早さで回避し続けるエリオだが、普通の雨に紛れている降り注ぐ氷の槍を避けるのは難しく、腕や肩などに槍が数本突き刺さる。

 

 

「くそっ……!!」

 

 

そしてエリオは少しでも氷の槍の雨から逃れようと、近くにあった大樹の木陰に入ってやり過ごそうとする。だがその時……

 

 

ドスッ!!

 

 

「──え?」

 

 

なにやら耳障りな音と共に、エリオは自身の腹部に鋭い痛みを感じた。

 

 

「氷竜刀・伸」

 

 

その正体は……インヴェルノが腕に纏った氷の刀を長く伸ばし、エリオのわき腹を貫いていた痛みであった。

 

 

「上にばかり気を取られ過ぎだ。スキだらけだったぞ」

 

 

「ごはっ…!!!」

 

 

そう言い放つと同時にインヴェルノは氷の刀を引き抜き、エリオはわき腹から血を流しながら地面に膝を着く。するとインヴェルノはそんなエリオにゆっくりと歩み寄る。

 

 

「これで終わりだ」

 

 

「!!!」

 

 

そしてインヴェルノは静かにエリオの眼前へと立つ。そして……

 

 

「氷竜拳・雪崩(なだれ)

 

 

「ぐあぁぁぁぁあああああ!!!!」

 

 

ズドドドドドッと…目にも止まらぬ冷気を纏った連続パンチを叩き込む。だがインヴェルノの攻撃はまだ終わっていない。

 

 

「氷竜刀・雪那(せつな)

 

 

「がぁぁあああああ!!!!」

 

 

続けざまに氷の刀を居合い切りの要領で横一文字にエリオの体を斬りつける。さらにインヴェルノは両手に吹雪のような冷気を纏う。

 

 

「滅竜奥義……」

 

 

そして……

 

 

 

蒼蓮氷結刃(そうれんひょうけつじん)!!!!!」

 

 

 

「うあぁぁぁあああああああああ!!!!!」

 

 

ナツの紅蓮爆炎刃のような……螺旋状に振るわれた氷の刃と極寒の吹雪を伴った強烈な一撃がエリオを飲み込んだのであった。

 

 

「がっ…あ…ああっ……!!!」

 

 

あとに残ったのは……体の至るところが凍り付き、ボロボロの姿で地面に倒れるエリオであった。

 

 

「こ…の……」

 

 

「無駄だ。すでにお前の体の体温は奪われた。その凍て付いた体では、指1本動かせない」

 

 

ボロボロの体で何とか起き上がろうとするエリオを見下ろしながら、冷たくそう言い放つインヴェルノ。

 

 

「トドメだ」

 

 

そう言って腕に纏った氷の刀を高々と掲げ……今にも振り下ろさんとするインヴェルノ。

 

 

「(くそっ…くそっ……くそぉっ)」

 

 

そして悔しそうな顔つきで強く目を閉じるエリオに向かって氷の刀を──振り下ろしたのだった。

 

 

「────────?」

 

 

だがしかし……いつまで経っても痛みが来ない事に疑問符を浮かべたエリオは、強く閉じていた目をそっと開く。するとそこには……

 

 

「貴様……!!!」

 

 

「エリオ、大丈夫ですか?」

 

 

「リ…リニス!!!?」

 

 

そう言ってインヴェルノの腕の氷を纏っていない部分を掴んで刀を止めていたのは……エリオの相棒のネコであり、現在は人間形態の女性へと姿を変えたリニスであった。

 

 

「チッ……邪魔をするなァ!!!」

 

 

「あっ…!!」

 

 

インヴェルノは忌々しげに舌打ちをすると、掴まれていた腕を横薙ぎに振るってリニスを引き剥がして投げ飛ばす。それに対してリニスは持ち前の身軽さで難なく体制を立て直す。

 

 

「あなたのその顔について色々聞きたい事はありますが…今はとにかくエリオを守ります!!!」

 

 

そう言うとリニスはインヴェルノに向かって駆け出し、主に蹴りを主体にした打撃を放つが……その攻撃は全てインヴェルノに見切られ、かわされてしまう。

 

 

「無駄だ」

 

 

「!? きゃあっ!!!」

 

 

そしてインヴェルノはリニスの蹴りを防御すると同時に彼女の足首を掴み、そのまま空中に投げ捨てる。

 

 

「氷竜の咆哮!!!!」

 

 

「あぁぁああああああっ!!!!」

 

 

そしてインヴェルノが放った氷結のブレスによって吹き飛ばされ、ボロボロの姿で地面に叩きつけられると元のネコの姿に戻ってしまった。

 

 

「リニス……!!」

 

 

「うっ…うぅ……」

 

 

「ネコ? そうか……こいつが妖精の尻尾(フェアリーテイル)滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)どもが相棒にして連れているというネコか」

 

 

ネコの姿へと戻り、力なく倒れているリニスを見てそう呟くと、インヴェルノは何を思ったのか薄く笑みを浮かべて再び氷の刀を腕に纏う。だがその切っ先はエリオではなく、リニスに向いていた。

 

 

「なに…を……!!?」

 

 

「どうせやるなら、まずはその相棒を葬ってからにしようと思ってな」

 

 

「や…やめ……ろ……!!!」

 

 

それを聞いたエリオは腕を震わせながらインヴェルノへと手を伸ばすが、当然届くハズがない。

 

 

「だが安心しろ。このネコを葬ったらすぐに後を追わせてやる」

 

 

「や…めろ……やめろ……」

 

 

「恨むなら自分の無力さを恨むんだな」

 

 

「やめろ……やめろぉ……」

 

 

エリオの言葉を無視してリニスへと向かって氷の刀を高々と掲げるインヴェルノ。

 

 

「やめろォォオオオーーーー!!!!!」

 

 

そしてエリオの必死の言葉も虚しく……氷の刃はリニスへと振り下ろされたのであった。

 

 

 

だがその時……

 

 

 

──ピシャァァアアアアアアアンッッッ!!!!!

 

 

ズドォォォォォオオオオン!!!!!

 

 

「なっ!!?」

 

 

インヴェルノの刃がリニスを切り裂くと思われたまさにその瞬間……空を覆いつくす雷雲から落ちた雷が──エリオへと直撃した。あまりの出来事に、インヴェルノは思わず振り下ろす手を止めてしまった。

 

 

「落雷……しかも直撃か……運のない奴だ」

 

 

空から落ちた落雷に当たってしまったエリオを見て、インヴェルノは鼻で笑う。

 

 

「!? いや……しまったっ!!!」

 

 

だがそれが大きな間違いであった事は……その直後に思い知らされた。

 

 

何故なら……落雷が落ちた場所には未だに雷が消える事なく、バチバチと音を立てて激しい雷光を放っている。そしてその雷光の中心には……

 

 

「バリバリバリバリ……」

 

 

自身の周りで迸る雷を、吸い込むようにして食しているエリオの姿があった。

 

 

やがて全ての雷を食べ終えたエリオは、動かなくなっていたハズの体を難なく起こし、そのままゆっくりと立ち上がる。

 

 

そして……

 

 

 

「……オオオオオオオオオオッ!!!!!」

 

 

 

エリオが雄叫びを上げた瞬間、彼の体から凄まじい魔力と激しい雷光が溢れ出す。

 

 

「くっ……」

 

 

その雷光の眩さに思わず腕で目を覆うインヴェルノ。だがそれが仇となり……

 

 

「ぐはぁっ!!!!」

 

 

次の瞬間には……エリオの拳が腹部に叩き込まれ、吹き飛ばされていた。

 

 

「(バ…バカな……まったく見えなかった……!!!)」

 

 

先ほどまでと段違いのエリオのスピードにインヴェルノが驚愕している間に……エリオはそっとリニスの体を持ち上げる。

 

 

「エリ…オ?」

 

 

「リニス…ありがとう。おかげで助かったよ」

 

 

「……フフッ、私はあなたの相棒なのですから、このくらい当然です」

 

 

エリオの雰囲気に一瞬戸惑ったリニスだが、彼の感謝の言葉を聞いて、すぐに微笑を浮かべた。

 

 

「あとはゆっくり休んでて。僕はもう絶対に……負けないから」

 

 

「はい……信じてますよ、エリオ」

 

 

そう言ってエリオはリニスを近くの大樹にもたれ掛からせるように置くと……立ち上がったインヴェルノをギロリと睨みつける。

 

 

「まさか落雷が落ちるとは予想外だが……これでオレと貴様はイーブンだという事を忘れるな」

 

 

そう言い放つとインヴェルノはまたもや氷の刀を腕に纏い、エリオへと飛び掛る。

 

 

「氷竜刀!!!!」

 

 

だがその振るわれた氷の刀を……エリオは素手で難なく受け止めた。

 

 

「なにっ!!?」

 

 

「……ストラーダ」

 

 

その出来事にインヴェルノが驚愕している間に、エリオはストラーダを呼び寄せてその手にしっかりと握る。

 

 

「雷竜閃」

 

 

「なっ…がぁああ!!!!」

 

 

そしてそのまま放たれた雷撃を纏ったストラーダによる一閃を喰らい、大きく吹き飛ばされるインヴェルノ。

 

 

「なんだ…この力は……!!?」

 

 

「……不思議だ。今まで感じた事のないくらい力が溢れてくる」

 

 

「(……滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が自然物から生み出された属性のモノを食す場合、その自然物の〝純度〟が高いほどその力を増幅させると言われているが……まさかここまでとは……!!!)」

 

 

そんなインヴェルノの表情には驚愕の他に……この戦いで初めての焦りの色を浮かべていた。

 

 

「(だが…所詮は旧世代の力!!! 怖れるに足らん!!!)」

 

 

するとインヴェルノは自身の周囲にいくつもの氷の槍を造り出す。

 

 

「氷竜槍・氷柱!!!!」

 

 

そしてその氷の槍を一斉にエリオへと向けて放つが……

 

 

「……ハアッ!!!」

 

 

「!!?」

 

 

雷撃を纏った腕の一振り……ただそれだけで氷の槍を全て吹き飛ばしたのであった。

 

 

「チッ……氷竜拳・雪崩!!!!」

 

 

それを見たインヴェルノはすぐさま冷気を纏った目にも止まらぬ連続パンチをエリオに向かって放つが、エリオはその拳の1撃1撃を全て見切り、必要最低限の動きだけで全てかわしている。

 

 

「氷竜拳・剛雪!!!!」

 

 

それに対しインヴェルノは一旦拳を引き、今度は一撃に威力を込めた氷結の拳を放つが……それも難なくエリオの手のひらで受け止められてしまう。

 

 

「この……!!! 氷竜刀・雪那!!!!」

 

 

続けて今度は足に纏った氷の刀でエリオに横一線に斬りかかるが……その氷の刀はエリオの拳により粉々に砕かれてしまった。

 

 

「なっ!!?」

 

 

自分の攻撃がことごとく無力化されてしまうその光景に愕然としていると、エリオはインヴェルノの眼前に一瞬で迫り……

 

 

「ぐぁあっ!!!」

 

 

雷を纏った拳でアッパーを叩き込んだ。

 

 

「あなたはナツさんを侮辱し……僕の相棒であるリニスを傷つけた……」

 

 

「テメェ…!!! 氷竜の咆哮ォ!!!!」

 

 

負けじとエリオに向かって氷結のブレスを放つインヴェルノ。だがしかし……

 

 

「だから僕は……あなたを許さない!!!!」

 

 

そう言って力強く振るわれたストラーダによる一閃……それによりインヴェルノのブレスは切り裂かれ、呆気なく霧散してしまった。

 

 

「バ…バカな……!!?」

 

 

「オォォォォォオオオオオ!!!!!」

 

 

愕然として言葉を失っているインヴェルノを他所に……エリオは全魔力を雷へと変え、それをストラーダへと纏わせる。

 

するとストラーダに纏われた雷は激しい雷光を迸らせる刃へと姿を変える。それはもはや〝槍〟というよりも……とある幻獣の角を彷彿させた。

 

 

「オレは……マスタージェイルから与えられた力で……オリジナルを超えて……!!!」

 

 

「あなたにナツさんは超えられない。あの人を超えるのは……僕だっ!!!!」

 

 

そしてエリオは雷の刃を纏ったストラーダを大きく振りかぶり……目の前に立つインヴェルノへと目掛けて……

 

 

 

 

 

麒麟一閃(きりんいっせん)!!!!」

 

 

 

 

 

「ぐあぁぁあああああああああああ!!!!!」

 

 

 

眩い黄色の閃光と共に……切り裂いたのであった。

 

 

 

 

 

つづく


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