LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

153 / 240
来週から大学が始まるので、中々更新できなくなると思いますが、ご了承ください。


ついにFAIRY TAILのアニメ新シリーズが始まりました!!!!これで毎週の楽しみがまた増えます。


感想お待ちしております。


天狼樹

 

 

 

 

 

カナが授かったギルドの三大魔法の1つ…妖精の輝き(フェアリーグリッター)もブルーノートの重力波の前にねじ伏せられ、絶体絶命のピンチに陥ったナツたち。

 

 

だがそこへ……ギルド最強の男……ギルダーツが駆けつけたのであった。

 

 

「こいつがギルダーツ!!?」

 

 

ギルダーツの事を多少聞いた事があるのか、そう言ってギルダーツを睨むブルーノート。対するギルダーツは、怒りの表情を浮かべながらナツたちに言い放つ。

 

 

「ここを離れろ」

 

 

「何…!!?」

 

 

「あんなに怒った顔のギルダーツ…初めて見るわ」

 

 

ギルダーツの言葉に目を丸くするナツと、彼の今まで見た事のない顔に息を呑むティアナ。

 

 

「行け!!!!」

 

 

そしてギルダーツは、ブルーノートに向かって駆け出す。対するブルーノートは、ギルダーツに向かって手をかざすと……

 

 

ボゴォッ!!

 

 

「!」

 

 

「地面が…」

 

 

「引っくり返ったー!?」

 

 

重力波によってギルダーツの足元の地面を抉り取り、そのまま引っくり返す。

 

 

だがギルダーツは特に慌てた様子も見せず、引っくり返った足場をクラッシュで粉々に粉砕してそのままブルーノートに向かって拳を構える。対するブルーノートも空中にいるギルダーツに向かって飛び上がり、同じく拳を構える。

 

 

そして……

 

 

 

ドゴォォオオオオオオオ!!!!!

 

 

 

両者の拳が激突し、その凄まじい衝撃が2人の周囲にある木や岩を全てを吹き飛ばす。

 

 

「おわぁーー!!」

 

 

「「きゃああー!!」」

 

 

「「あああー!!」」

 

 

当然それはナツたちも一緒であった。

 

 

「すごい…」

 

 

「どっちもなんて魔力なの…!?」

 

 

「じ…次元が違いすぎる……」

 

 

ギルダーツとブルーノートの衝突の際の衝撃波を受けたルーシィとティアナは、そう言葉を口にする。

 

 

「押し負けた!!? このオレが!!?」

 

 

そしてブルーノートは先ほどの衝突で僅かに自分が押し負けた事に驚愕する。

 

 

「言われた通り、ここを離れたほうがいいと思うですけど」

 

 

「う…うん、だけど……」

 

 

「……行こう。私たちがいたら、ギルダーツの邪魔になる」

 

 

「…………」

 

 

カナの事情を知っているルーシィは、そんなカナの言葉に表情を歪ませる。

 

 

「強ェーーー!!!! オレこのケンカ見てーーーー!!!!」

 

 

「バカな事言ってないで、さっさと行くわよナツ」

 

 

子供のように目を輝かせているナツをティアナが強引に引っ張り……ナツたちはその場をギルダーツに任せて急いでキャンプへと向かって走って行ったのであった。

 

 

そして残ったギルダーツはブルーノートと対立し……ポツリと口を開く。

 

 

「大事な試験だった。大人が考えるより、多くの感情がガキにはあった」

 

 

そう言うと、今度は怒りの表情でブルーノートを睨み、さらに言い放つ。

 

 

 

「明日へ歩き出す為のガキなりの決意を、テメェらは踏みにじったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第153話

『天狼樹』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……思わぬ助っ人がやって来たのはナツたちの方だけではない。

 

 

ドゴォォオオン!!!

 

 

「ぐっ…!!!」

 

 

「うあっ!!!」

 

 

1発の青い魔法弾が着弾すると同時に爆発を起こし、その爆風でオットーとディードを吹き飛ばす。

 

 

「これは……!!?」

 

 

「やれやれ……ずいぶんと情けない姿だな……ユーノ」

 

 

その光景を見て呆然としているユーノの耳に聞きなれた声が聞こえた。そしてそれを聞いた瞬間ユーノは表情を歪めて溜息をつき、その人物へと視線を向けた。

 

 

「ハァ……まさか君に助けられるなんて、屈辱の極みだよ……クロノ」

 

 

その人物とは……ギルドのS級魔導士の1人であり、ユーノにとっては悪友にあたる男……クロノ・ハラオウンであった。

 

 

「手を貸してやろうか? フェレットもどき」

 

 

「腹黒の手なんてまっぴらゴメンだ……と言いたいところだけど、ギルドの敵を倒す為だ。少し手を貸してもらうよ」

 

 

そう言うと、ユーノとクロノは2人で並び立つ。すると、ダメージから回復したオットーとディードがゆっくりと立ち上がる。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のS級魔導士…クロノ・ハラオウン。魔力量は決して多くはないが、卓越した魔法技術と戦略で戦う技巧派の魔導士」

 

 

「だけど……私とオットーの敵じゃない」

 

 

そう言ってクロノとユーノと対立するように並び立つ、オットーとディード。

 

 

「お前と組むのは久しぶりだが、ちゃんと合わせられるんだろうな?」

 

 

「それはこっちのセリフだよ。無駄に先走って連携を崩さないでよね」

 

 

「善処しよう」

 

 

ユーノに軽くそう言うと、クロノはS2Uをオットーとディードに向ける。

 

 

「スナイプショット!!!」

 

 

そしてそのS2Uの先端から、青い魔法弾を発射する。

 

 

「『ツインブレイズ』」

 

 

それに対しディードは双剣で魔法弾を切り裂くと、そのままクロノに向かって双剣を振るう。そしてガキィィイイインっと甲高い音と共にクロノのS2Uとディードの双剣が衝突し、そのまま鍔迫り合いをする2人。

 

 

「後ろがガラ空き」

 

 

そんなクロノの背後に、いつの間にかオットーが回りこむ。

 

 

「IS発動『レイストーム』」

 

 

そしてディードと鍔迫り合いをしているクロノ向かって光線を放とうとしたその時……

 

 

「チェーンバインド」

 

 

「なっ!?」

 

 

「僕の存在を忘れちゃ困るよ」

 

 

そんな声が聞こえてくると同時に、ユーノの翡翠色の魔力の鎖が、オットーの体を捕縛する。

 

 

「せーの…!!!」

 

 

「!!」

 

 

そしてユーノはオットーを捕縛した鎖を引っ張り、そのままクロノの方へと投げ飛ばす。

 

 

「行ったよクロノ」

 

 

「ああ」

 

 

「!?」

 

 

ユーノの言葉を聞いたクロノは、鍔迫り合いをしていたディードの双剣を受け流して彼女の体制を崩させ、自分に向かって飛んできたオットーにS2Uの先端を向ける。そして……

 

 

「ブレイズカノン!!!!」

 

 

「うあぁあああああ!!!!」

 

 

青い閃光の砲撃を放ち、オットーは成す術なくその砲撃の直撃を受けて吹き飛ばされた。

 

 

「オットー!! くっ…ハァ!!!」

 

 

そんなオットーを見て僅かに表情を歪ませたディードは、再びクロノへと斬りかかるが……

 

 

「残念」

 

 

「!!?」

 

 

次の瞬間には、ユーノの捕縛魔法により身動きを封じられてしまった。

 

 

「ディレイドバインド……いわゆる設置型の捕縛魔法だよ」

 

 

そう言うと、ユーノは動きを封じられたディードの足元に魔法陣を展開する。

 

 

「ウェイブ・ゲイザー!!!!」

 

 

「あああああああっ!!!」

 

 

そしてその魔法陣から放たれた翡翠色の魔力による衝撃波が、ディードを吹き飛ばしたのであった。

 

 

「……どうなってる?」

 

 

すると、ゆっくりと起き上がっているオットーが、疑問を口にする。

 

 

「ユーノ・スクライアはこの島に存在する妖精の魔導士の中でも最弱の男……いくらS級魔導士と手を組んだからとはいえ、戦力的にはたいしたことはないハズ……」

 

 

そんな疑問の言葉を口にするオットーに対し、クロノが口を開く。

 

 

「確かにこのフェレットモドキは弱い。ナツやグレイどころか、最近は新人のルーシィやウェンディにも劣るんじゃないかと思うほどのどうしようもないザコだ」

 

 

「おいっ」

 

 

「だがそれは……こいつが1人で戦う場合だ」

 

 

横から怒りマークとジト目を浮かべたユーノが茶々を入れたが、クロノは構わず続ける。

 

 

「こいつは味方のサポートが上手い。自分の魔法を最大限に活かし、味方の実力を十二分に発揮できるようにして戦うサポートの天才だ。実際に5年前のS級昇格試験……僕はこいつをパートナーに選んだからこそ合格できたと思っている。あんまりユーノを甘く見ると、痛い目にあうぞ」

 

 

そう言って悪友の事を語るクロノの表情は、どことなく誇らしげであった。

 

 

「……理解した。僕たちも本気で戦う。行くよディード」

 

 

「ええ……オットー」

 

 

そう言いながらオットーとディードは立ち上がり、再びユーノとクロノの2人と対立する。

 

 

「さあ行くぞ……背中は任せたぞ、悪友(ユーノ)

 

 

「わかったよ……思いっきり暴れろ、悪友(クロノ)

 

 

それに対しクロノとユーノはそう言って互いの拳をぶつけ合わせて、戦闘を再開したのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

そしてそれは……ベースキャンプの方も同じであった。

 

 

「ぐっ、はあ!!!」

 

 

突然の乱入者により、吹き飛ばされ地面を転がるラスティローズ。

 

 

「んだテメェ等ァ!!!」

 

 

すぐに体制を建て直し、ラスティローズは乱入者に向かってそう叫ぶ。

 

 

その乱入者とは……フリードとビックスローの雷神衆2人と〝金色の閃光〟の異名を持つフェイトであった。

 

 

「フリード!! フェイト!! ビックスロー!!」

 

 

「なぜお前たちがここに!!?」

 

 

「確か船で先に帰ったんじゃ……」

 

 

歓喜の声を上げるリサーナと、なぜ3人がここにいるのか問い掛けるリリーとスバル。

 

 

「信号弾に気づいてなァ」

 

 

「島で何かあったのか心配になってね」

 

 

「ギルダーツやクロノと共に戻ってきた」

 

 

「ギルダーツとクロノも戻ってきてるの!?」

 

 

心強い味方が戻ってきてくれた事に、リサーナたちは表情を明るくする。

 

 

「フン、ザコが増えようとオレの具現のアークの敵じゃねえな」

 

 

するとラスティローズは右手を黒く鋭い爪…漆黒の剣に変えてそう言い放つ。

 

 

「オレたちはハナッから正々堂々なんてつもりはねえからよォ。3人がかりで確実に消すぜ」

 

 

「私たちの仲間をキズつけたお前たちは……絶対に許さない」

 

 

「貴様にルールは適用しない」

 

 

3人のその言葉を皮切りに、戦いが始まった。

 

 

「バリオンフォーメーション!!!!」

 

 

「我が左手に宿るは全てを退けし黄金の盾!!!!」

 

 

ビックスローが人形を五角形の形に並べて放った砲撃を、ラスティローズは左手に具現化した黄金の盾でガードする。

 

 

「プラズマランサー!!! ファイア!!!!」

 

 

「オレは冥界の王!!! この腕は全てを切り裂く漆黒の剣!!!!」

 

 

フェイトはバルディッシュを構えていくつもの雷の魔法弾を放ったが、それらは全てラスティローズの漆黒の剣の前に切り裂かれる。

 

 

「闇の文字(エクリテュール)〝痛み〟!!!!」

 

 

「我が足に宿るは天馬の翼!!!!」

 

 

フリードが書いた魔法の文字も、ラスティローズが両足に具現した翼を使って空へと回避されてしまう。

 

 

「想像力に勝てるかよ!!! 無限の力に勝てるかよ!!!」

 

 

そう言うとラスティローズはまた新たなるモノを具現化させる。

 

 

「守護聖獣、疾風のベルファースト!!!! 奴等を薙ぎ払えぇっ!!!!」

 

 

「何だこれは……!!?」

 

 

「ルールーと同じ召喚魔法!!?」

 

 

「……違うっ」

 

 

ラスティローズが具現化した怪物を見て、リリーとアギトとルーテシアは愕然としながらそう言葉を漏らす。だがそれに対する3人は、特に慌てた様子はない。

 

 

「セイズ魔法【人形憑(ひとつき)】!!」

 

 

「!」

 

 

「砕!!!!」

 

 

ドゴォォオン!!!!

 

 

「バカな!!?」

 

 

ビックスローの魔法によってあっさりと爆散させられてしまったベルファーストを見て、驚愕するラスティローズ。

 

 

「闇の文字(エクリテュール)…〝絶影〟」

 

 

「バルディッシュ…ザンバーフォーム」

 

 

ドゴォォォォオオオオオ!!!!

 

 

「ぐあぁぁあああああああ!!!!」

 

 

自身の体に文字を書いたフリードは黒い甲冑のような姿となり、フェイトはバルディッシュを大剣型のザンバーフォームへと変形させ、2人同時に攻撃してラスティローズを吹き飛ばす。

 

 

「何と…」

 

 

「さすが雷神衆とフェイト!!!」

 

 

「スゴイ!!!」

 

 

「圧倒的だぜ!!!」

 

 

「これが3人の本気……やっぱり強い……」

 

 

一次試験で落選したとはいえ、敵を圧倒するこの3人の実力は本物であった。

 

 

「まだ終わりじゃないよ」

 

 

「立て」

 

 

「貴様に許される道はない」

 

 

「(こ…このオレの(カケラ)が……恐怖……!!?)」

 

 

怒りの形相で自分の前に立つ3人を見て、ラスティローズの心には恐怖が生まれていた。

 

 

「(……だが……悪くない)」

 

 

「「「!!」」」

 

 

恐怖しつつも笑みを浮かべながら立ち上がるラスティローズを見て、警戒する3人。すると……

 

 

「恐怖がオレの想像力をかき立てる!!!! いでよ!!!! ブリティアの亡霊たちよ!!!! 妖精の魂を喰らえ!!!!」

 

 

ラスティローズはその恐怖心を糧にして、また新たに亡霊のような物体を具現したのである。

 

 

「うお!?」

 

 

「これは…!?」

 

 

「体に纏わりつく!!」

 

 

その亡霊は3人の体に纏わりつき、動きを封じた。

 

 

「フリード…ビックスロー…フェイト……そうか思い出した。テメェら雷神衆とかいう奴等と金色の閃光とか呼ばれてる女だろ?」

 

 

3人の名前を思い出したのか、そう口にするラスティローズ。

 

 

「確か雷神衆の方は、マスターマカロフに下克上を突きつけたが、失敗して破門になった孫の腰巾着だろ。金色の閃光はプロジェクトFで造られた女で、造った母親に捨てられた出来損ない。なんつったっけ? ラクサスとプレシア……だったか?」

 

 

ラスティローズの小バカにしたような言葉を聞き、フリードとフェイトの目が怒りに染まる。

 

 

「貴様のような下劣な男が……」

 

 

「ラクサスと母さんの名を……」

 

 

「「口にするなァ!!!!」」

 

 

そしてフリードとフェイトの怒りの咆哮が、その場に響き渡ったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

ドンッッ!!!!

 

 

場所は戻り……激しい戦闘を繰り広げるギルダーツとブルーノートは、互いに振るった拳が同時にお互いの頬に叩き込まれる。

 

 

「ヤロォ…」

 

 

「コイツァ飛べそうだ」

 

 

ゴッッ!!!!

 

 

そして今度は互いに頭突きを繰り出し、両者の頭が激突すると同時に凄まじい衝撃が周囲に巻き起こったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

その頃、炎の造形魔導士…夏季のエスターテと戦いを繰り広げているなのは。

 

 

「フレイムメイク〝銃乱撃(ガトリング)〟!!!!」

 

 

ズドドドドドドッ!!!!

 

 

「くぅ……!!」

 

 

なのははエスターテが乱射する炎の弾丸を横に走って回避しながらも、レイジングハートの先端をエスターテへと向ける。

 

 

「アクセルシューター!!!」

 

 

そして通常より弾速の速いいくつもの魔法弾を、一斉にエスターテを放つ。

 

 

「フレイムメイク〝(シールド)〟!!!」

 

 

だがその魔法弾は、エスターテの造り出した炎の盾の前に阻まれ、燃やし尽くされた。

 

 

「まだまだ!!!」

 

 

するとなのははその場で足を止め、レイジングハートの先端に桜色の魔力を集束する。

 

 

「無駄だ」

 

 

それに対しエスターテは炎で大砲を造り出して肩に担ぐ。

 

 

「ディバインバスター!!!!」

 

 

火炎砲(フレイムバズーカ)!!!!」

 

 

ドガァァァアアアアアンッ!!!!

 

 

そして両者の放った砲撃が激突し……相殺され……凄まじい衝撃が襲おうとも、2人は依然として互いの姿を見据えていたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

同時刻。無限の欲望(アンリミテッドデザイア)の魔導士、インヴェルノと戦闘を繰り広げているエリオは……

 

 

「ハァアア!!! 雷竜閃!!!!」

 

 

「フン…氷竜刀!!!!」

 

 

ガキィィィィィイイン!!!!

 

 

エリオが雷撃を纏ったストラーダを振るって繰り出した一閃を、腕に纏った氷の刀で受け止めるインヴェルノ。

 

それを見たエリオはストラーダを引いて、今度は雷撃を纏った拳を突き出す。

 

 

「雷竜の鉄拳!!!!」

 

 

「氷竜拳!!!!」

 

 

ドガァァァァアアアアン!!!!

 

 

対するインヴェルノも冷気を纏った拳を突き出し……雷撃と冷気……それぞれの属性を纏った拳が衝突し、凄まじい衝撃を巻き起こした。

 

 

「ぐあぁっ!!!」

 

 

「チィッ!!!」

 

 

その衝撃により互いに後方へと吹き飛ばされた2人は、体制を立て直して地面に着地する。

 

 

「雷竜の……」

 

 

「氷竜の……」

 

 

そのまま同時に魔力を自身の口の中へと集束するエリオとインヴェルノ。そして……

 

 

 

「「咆哮ォ!!!!!」」

 

 

 

雷と氷……2つのブレスが激突し、その衝撃波で周囲の木々が消し飛び……2人の周りは更地と化してしまった。

 

そして衝撃波が止むと……エリオとインヴェルノは互いに多少ダメージを負っている状態で睨みあっていた。

 

 

「……やはりあなたも、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)なんですね」

 

 

「そうだ。オレは体内に竜の魔水晶(ラクリマ)を埋め込む事で竜を滅する魔法を得た魔導士」

 

 

エリオの問いにそう答えると、インヴェルノはさらに続けて口を開く。

 

 

「だが…かつて貴様が戦った六魔将軍(オラシオンセイス)のコブラと一緒にしてもらっては困る。オレはマスタージェイルに与えられた戦闘機人の体に竜の魔水晶(ラクリマ)を埋め込まれた事でさらなる進化を遂げた滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だ」

 

 

「……なんでもいいですよ」

 

 

インヴェルノの言葉を聞いて、臆するどころか逆に笑みを浮かべるエリオ。

 

 

「僕があなたを倒す事には変わりないんですから」

 

 

「……おもしろい」

 

 

それを聞いたインヴェルノも口元に笑みを浮かべ、両者は再び睨みあったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

一方…七眷属のアズマと接触したエルザは、彼との戦闘を繰り広げていた。

 

 

エルザは黒羽の鎧を身に纏い、両手に持った斧をアズマに対して振るうが、アズマはそれを回避し、エルザの足に木の枝を絡ませてそのまま宙に投げ捨てる。

 

 

「くぅう」

 

 

「ブレビー」

 

 

「ぐはぁ!!」

 

 

さらに爆発による攻撃を浴びせられるエルザだが、すぐに体制を整えて木の枝に両足をつけると、明星の鎧へと換装すると同時に一気に蹴りだし、アズマへと飛び掛る。

 

 

「明星・光粒子の剣(フォトンスライサー)!!!!」

 

 

「ぐほぉお!!!」

 

 

そしてそのまま剣先から光線のごとき魔力を放出し、アズマを吹き飛ばす。

 

するとアズマは体制を立て直して木から木へと飛び移って着地すると、その顔に笑みを浮かべた。

 

 

「何がおかしい」

 

 

「お前のような強者を待っていた。楽しいね」

 

 

そう言うと、アズマはさらに言葉を続ける。

 

 

「お前の武勇はよく聞くね。おそらくオレと同じ人種。戦いが全て、ただ強者を求めてきた証」

 

 

そんなアズマの言葉を聞くと、エルザはいつもの鎧姿へと換装し、口を開く。

 

 

「悪いが賛同はできんな。私は強者を求めてなどいない」

 

 

「いいや、求めなければその強さは手に入らんね」

 

 

そう言うアズマに対し、エルザはまっすぐと瞳で強く言い放った。

 

 

 

「私は仲間を守れる力があればそれだけでいい。その力と引き換えならば、私は誰よりも弱くていい」

 

 

 

そんなエルザの言葉に、愕然とした表情を浮かべるアズマ。

 

 

「矛盾……してるな」

 

 

「……烈火の将といいお前といい、面白い奴だ。お前とは正々堂々やりたかったね」

 

 

「どういう意味だ?」

 

 

「時間切れという事さ」

 

 

するとその時……ゴゴゴゴゴゴっと、まるで地響きのような音がエルザの耳に入る。

 

 

「オレの魔法は〝樹〟の魔法。失われた魔法(ロスト・マジック)〝大樹のアーク〟。爆発は大地の魔力を木の実に凝縮して起こしていた。だがこの魔法の真の力は大地に根をはり、その土地に蓄積された魔力を支配する事」

 

 

「土地の魔力を支配するだと!!?」

 

 

「オレが真っ先にこの島に送られた理由はただ1つ。島の魔力を支配下に置く事」

 

 

「お前は何を言って……」

 

 

「オレの本意ではないのだがね、命令とあらば仕方がない」

 

 

「な……何をした!!! 貴様……!!! 私たちの聖地に……何をしたのだ!!!?」

 

 

エルザがそう叫んだのと同時に……天狼島の中心にあった巨大樹が、ゆっくりと傾き始めたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ぐあーーーっ!!!! どうなってんだこりゃあああー!!!!」

 

 

「巨大樹が倒れてきてる!!?」

 

 

「ひいいいいっ!」

 

 

「「きゃああああー!」」

 

 

「シャルル急いでー!」

 

 

「アンタがね!」

 

 

突然倒れ始めた巨大樹の近くにいたナツたちは大急ぎでその場から離れようとする。すると……

 

 

「あ? あれ……」

 

 

「ナツ!? どうし…えっ?」

 

 

「な…なにコレ…力が……」

 

 

「急に力が抜けて……」

 

 

「立って…いられな……」

 

 

「うあっ」

 

 

「そんな…」

 

 

急にナツたちの体から力が抜けていき、その場に倒れてしまった。

 

 

そしてその現象は……現在戦闘を行っているメンバーにも起こっていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「うあっ!」

 

 

「くそぅ…」

 

 

「何だよ…これ…」

 

 

「力が……」

 

 

「フリード!! ビックスロー!!」

 

 

「フェイトさん!!」

 

 

先ほどとは打って変わって、ラスティローズに追い詰められているフリード、フェイト、ビックスローの3人。

 

 

「ハハハハハハ!!!」

 

 

「ど……どうなっている!!?」

 

 

「力が出ねえ!!」

 

 

「それどころか…魔力を感じない」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「『レイストーム』」

 

 

ドガァァァァン!!!

 

 

「うああっ!!」

 

 

「ぐはっ!!」

 

 

オットーの光線により吹き飛ばされ、地面を転がるユーノとクロノ。

 

 

「どうなってるんだ!!? 急に魔力が不安定に……!!」

 

 

「体に力も…入らない」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「きゃああっ!!!」

 

 

一方はやても…突然の不調の影響で、セッテに追い詰められていた。

 

 

「どないなっとるんや……巨大樹は傾いとるし、アンタらが何かしたんか!!?」

 

 

「ハァ!!!」

 

 

はやてのそんな質問にも答えず、巨大ブーメランを投げるセッテ。

 

 

「あーもー!! 待った無しかい……!!!」

 

 

そんなセッテに毒づきながらも、はやてはブーメランを回避したのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ううっ…どうなってるの!? 魔力が……」

 

 

「……チッ、グリモアの奴等……変な水さしやがって」

 

 

突然体の力が抜けて膝をつくなのはを見て、エスターテは倒れ行く巨大樹を見ながら毒づいた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「始まったか……」

 

 

「何…が……?」

 

 

傾く巨大樹を見据えながらそう呟くインヴェルノの言葉を聞いて、苦しげに膝をつきながらも問い掛けるエリオ。

 

 

悪魔の心臓(グリモアハート)の作戦が始まった。これで貴様を含めた妖精に魔導士に、勝機は完全になくなった」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「がっ!!」

 

 

そしてあのギルダーツも、ブルーノートの重力波の前に地面に叩き付けられる。

 

 

「くっそ…どうなってやがる!!?」

 

 

「じじいめ……アズマに妙な指令を出しておきやがったな」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

場所は戻り…巨大樹の根元付近。

 

 

「マスターハデスはこの島の力をよく知っている」

 

 

「!!?」

 

 

「島の中央にそびえ立つ巨木〝天狼樹〟。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を刻んだ者に加護を与え、この島で命を落とす事を防ぎ、魔力を増強させる特別な力があった」

 

 

「(だからマスターはこの島を試験会場に……)」

 

 

アズマの説明を聞いて、この島が試験会場になった理由を察すると同時に、エルザはある事に気がついた。

 

 

「お前はその天狼樹を倒したのか!!?」

 

 

「そうだ。それにより妖精の尻尾(フェアリーテイル)の命の加護が無効化すると同時に、妖精の尻尾(フェアリーテイル)全魔導士の魔力を奪い続ける」

 

 

「そんなバカな事…できる訳が……」

 

 

「もう完了しているね。妖精の尻尾(フェアリーテイル)は全滅するだろう」

 

 

アズマがそう言い放つと同時に……天狼樹は完全に崩壊し、倒れたのであった。

 

 

「だがね、島の魔力をコントロールし、アンタの力はそのままにした」

 

 

「!?」

 

 

「さあ妖精女王(ティターニア)、島中で仲間が瀕死だ。救えるのはアンタだけね」

 

 

目の前のエルザを見据えながら、そう言い放つアズマ。

 

 

「仲間を守れる力がいかなるものか、オレに見せてみろ」

 

 

そんなアズマを…エルザは力強い眼差しで睨み付けたのであった。

 

 

 

 

 

つづく


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。