LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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本編を読む前に……


申し訳ございません!!!!!


実は前回の『ずっと繋がっている』で一番最後に持ってくるつもりだった一番重要なシーンを書き忘れておりました!!!

天狼島編に入る前に絶対必要なシーンだというのに……まことに申し訳ありません。

今更ですが『ずっと繋がっている』修正して書き足しておきましたので、ぜひご確認ください。


本当は今回の最後に乗せようかなと思ったのですが、今回はあまりにもギャグ過ぎる為に断念しました。一応シリアスなシーンでしたので。

このような抜けている駄作者ですが、これからもどうかよろしくお願いしたします。


書き足しの部分も含めて、感想お待ちしております。


間話
チェンジリング


 

 

 

 

 

魔法が人々の生活に根付いた世界……アースランド。

 

 

だがその魔法の中には、誰も知らないとても不気味な魔法もある。

 

 

今回お見せするのはその中でも特に恐ろしい魔法と……その魔法にかかってしまった者たちの話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第135話

『チェンジリング』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マグノリアの街にある魔導士ギルド〝妖精の尻尾(フェアリーテイル)〟は、今日も賑わっていた。

 

 

「んー…どの仕事にすっかなぁ」

 

 

「早く決めなさいよ」

 

 

そんな中、リクエストボードの前で張り出された依頼書を悩みながら選んでいるナツと、それを急かしているティアナの姿があった。そしてその後ろのテーブルにはハッピー、グレイ、ルーシィ、エルザと…いつものチームが控えていた。

 

 

「お? なんか変な依頼があんぞ」

 

 

「変な依頼?」

 

 

するとナツが見つけたのは、他のと違って黒い紙で作られた依頼書であった。ナツはその紙を手に取り、グレイたちのもとへと持っていく。

 

 

「仕事は決まったのか?」

 

 

「いや、何か変な依頼書があってよ」

 

 

「変って、どんな?」

 

 

エルザとルーシィの問い掛けに答えながら、ナツは依頼書の内容を読み上げる。

 

 

「『この文字の意味を解いてください。解けたら50万J差し上げます』……おおスゲェ!! 50万だってよ!!!」

 

 

「あい!」

 

 

「文字の意味を解け? 珍しい依頼だな」

 

 

「おまけに少し不気味ね」

 

 

依頼書の内容に、グレイとティアナが疑問符を浮かべていると……

 

 

「なになに? どうかしたの?」

 

 

「何かあったのか?」

 

 

そこへ騒ぎを聞きつけたなのはとヴィータがやって来る。

 

 

「ナツが変な依頼書を見つけてきたのよ」

 

 

そんな2人にルーシィが事情を説明し、ナツがテーブルに広げた依頼書を覗き込む。

 

 

「ってコレ、古代文字じゃねーか。こんなもん読める奴いんのか?」

 

 

「ユーノ君なら読めるかもしれないけど、今は仕事中でいないしね」

 

 

「でも隣りに現代語訳があるよ」

 

 

その解読すべき文字は古代文字で書かれていて困難かと思われたが、ハッピーがその隣りに記された現代語での訳文を発見した。

 

 

「おお、こっちは読めるぞ」

 

 

「やめといた方がいいんじゃない? なんか嫌な予感がするわ」

 

 

「大丈夫だって、文字の意味を解くだけで50万だしよ!!」

 

 

「あ、ちょっと!!」

 

 

ティアナの警告を気にも留めず、ナツは現代語訳の方の文を読み上げる。

 

 

「えーっと何々……ウゴ・トゥル・ラス・チ・ボロカニア……だーっ!!! 全然わかんねーっ!!!」

 

 

読み上げた言葉の意味が分からず頭を抱えてそう叫ぶナツ。すると……

 

 

 

キィィィィイイン!!!

 

 

 

「「「!!?」」」

 

 

その瞬間……その場にいたナツ、ティアナ、ハッピー、ルーシィ、グレイ、エルザ、なのは、ヴィータの体が…なにやら虹色の輝きに包まれる。

 

 

『なんだなんだ?』

 

 

『どうしたんだ?』

 

 

その様子に他のギルドメンバーたちも気づき、全員の視線がナツたちへと集中する。

 

 

そしてやがて光が止むとそこには、特に変わった様子の無いナツたちの姿があった。

 

 

「「「……………」」」

 

 

一見何事もなかったかのように呆然とするナツたち。すると……

 

 

「さ…寒いの……!!」

 

 

突然グレイが自身の体を抱きながらガチガチと震えだした。それを近くで見ていたエルフマンが怪訝な顔をする。

 

 

「あ? 氷使いが何で寒ィんだよ?」

 

 

「な…なにこれ……体の中が凄く寒いの~!!」

 

 

寒さには耐性があるハズのグレイが寒いと言って震えている姿を見て、ギルドメンバーたちは疑問符を浮かべる。

 

すると次に、なのはが口を開く。

 

 

「な…なんだこりゃ……重てぇ!! 何か胸のあたりが非常に重てぇ!! こ…腰にくる……」

 

 

「な、なのは? どうしたの? いつもと口調や声のトーンが違うけど……」

 

 

いつもと違って荒く、低めの声で苦しげに自身の腰を抑えているなのはを見て、フェイトが心配そうに声をかける。だがそんなフェイトに答えたのは、何故かグレイであった。

 

 

「そ…そんな事ないの──ってアレェ!!?」

 

 

そして何故かなのはの姿を見て、驚愕していた。

 

 

「うおおおおおおっ!!! なんじゃコリャアア!!!!」

 

 

そして次に声を上げたのは、ルーシィであった。

 

 

「胸が…胸がデカくなったぞーーっ!!!!」

 

 

自分の大きな胸を見て、歓喜の声を上げているルーシィ。

 

 

「何か身長も伸びてるし……どうなってんだ!? 成長期か!!?」

 

 

「ど…どないしたんやルーシィちゃん?」

 

 

「何をそんなに喜んで……」

 

 

「あ、はやて!! リインフォース!! 見てくれよ!! アタシこんなに大きくなったぜ!!」

 

 

「「……はい?」」

 

 

近くにいたはやてとリインフォースに自慢げに胸を張ってそう言うルーシィだが、当のはやては様子のおかしい彼女に首を傾げていた。

 

 

いや…様子がおかしいのは彼らだけではない。

 

 

「ちょっ…何コレ!!? あたし小さくなってる!!? どーなってんのー!!?」

 

 

自身の体を見て絶叫に似た声を上げるヴィータ。

 

 

「暑い…何か体中が異様に暑いわ……」

 

 

「おお? 何か体が軽くなったような気がすんぞ」

 

 

ダラダラと暑そうに汗を流して自身の体を仰ぐナツと、その場でピョンピョンと飛び跳ねるティアナ。

 

 

「一体何を騒いでいる!!」

 

 

キリっとした表情で仁王立ちしながら叱咤の言葉を口にするハッピー。

 

 

「うわーナツ、見て見て!!」

 

 

「あん? 何だよ? つーか何か髪が変な感じする」

 

 

そして陽気な声でナツを探すエルザに、何故かツインテールを弄っているティアナが返事を返す。

 

 

「オイラの体にカッチョイイおっぱいが2つついてるよ! ホラ、ホラ」

 

 

「「「おおっ!!」」」

 

 

そう言って自分の胸を持ち上げて誇らしげに見せびらかすエルザに、男性ギルドメンバーたちの興奮の声が上がる。

 

 

「やめんかーーっ!!!」

 

 

そんなエルザに向かって、何とハッピーが飛び蹴りを喰らわせようとするが……

 

 

ガチンッ!!

 

 

「~~~~~!!」

 

 

「あんまり痛くないよ」

 

 

その瞬間エルザは鎧を身に纏ってしまい、ハッピーは逆にダメージを受けてしまった。

 

 

「何なんだこのネコ型体型は……というかコレはネコそのものだ!! 私は換装した覚えなどないぞ……」

 

 

床に膝をついて落ち込みながらブツブツとそう呟くハッピー。

 

 

「これ何がどうなってんの!? どうしてあたしこんなに縮んじゃったの!!?」

 

 

「私の体もとっても寒いのー!! それにどうして私がもう1人いるの!!?」

 

 

「あん? 何の話だ!? つーか何だこの声!?」

 

 

「ひゃっほー!! 夢にまで見たナイスバディだぜー!!!」

 

 

何やらおかしな状況を見て、呆然とした表情で固まる他のギルドメンバーたち。

 

すると、ハッピーが凛とした声で言い放つ。

 

 

「まだ気づかんのか!!? 私たちの心と体が……入れ替わっている!!!!」

 

 

「「「……ええーーーっ!!!?」」」

 

 

そんなハッピーの言葉に、ギルド全体が騒然とする。すると、ティアナがハッピーに問い掛ける。

 

 

「どういう事だハッピー!!?」

 

 

「私はエルザだ!!」

 

 

「ハッピーはオイラだよ!! ティアナ酷いよ!!」

 

 

「ティアナは私よ」

 

 

ティアナにハッピーが怒鳴り、エルザが憤慨し、ナツが冷静に告げるという…よく分からない状況になり、見かねたはやてとフェイトが状況を整理する。

 

 

「えーっと、つまりこういう事やな」

 

 

「ナツとティアナ…グレイとなのは…ルーシィとヴィータ…」

 

 

「そしてあろう事か、私とハッピーが入れ替わったのだ!!!」

 

 

「「「えぇーーーーっ!!!?」」」

 

 

「何であろう事かなんだよぉ!!!」

 

 

ハッピー(inエルザ)の言葉に、再び騒然とするギルド。すると……

 

 

「古代ウンペラー語の言語魔法……〝チェンジリング〟が発動したんじゃ」

 

 

いつの間にかギルドの入り口前に立っていたマカロフがそう言い放った。

 

 

「マスター!!」

 

 

「じっちゃん!!」

 

 

そんなマカロフのもとへと駆け寄る入れ替わってしまった面々。

 

 

「あの依頼書が原因じゃ。ある呪文を読み上げると、その周囲にいた人々の人格が入れ替わってしまう。これぞ……チェンジリングじゃ」

 

 

マカロフの説明を聞いて、愕然とする入れ替わり組。すると、なのは(inグレイ)がティアナ(inナツ)の肩を掴む。

 

 

「お前ナツなんだよな?」

 

 

「ああ」

 

 

「テメェ!! 何てことしやがった!!!」

 

 

「知るかっ!!! 依頼書ちょっと読んでみただけだろーが!!!」

 

 

「やめんかなのは…いやグレイ」

 

 

言い争うティアナ(inナツ)となのは(inグレイ)をマカロフが宥め、続きを説明する。

 

 

「この魔法で入れ替わるのは人格だけではない。魔法も入れ替わるのじゃ」

 

 

「「「はぁ!!?」」」

 

 

「最後にもう1つ。チェンジリングが発動してから30分以内に呪文を解除しないと……未来永劫元に戻る事はない……という言い伝えもある」

 

 

「「「!!!?」」」

 

 

それを聞いて入れ替わり組は愕然とし、ナツ(inティアナ)は慌てて近くにいたミラジェーンに時間を尋ねる。

 

 

「ミラさん!! あれから何分経ちました!!?」

 

 

「16分。あと14分よ」

 

 

つまり、もう制限時間の半分が過ぎてしまったのである。

 

 

「じっちゃん!! 元に戻す魔法は!!?」

 

 

「うーむ…なんせ古代魔法じゃからのう。そんな昔の事は、ワシはよう知らんっ!!!」

 

 

「「「!!!?」」」

 

 

バッサリと言い切ったマカロフに入れ替り組は絶望的な表情を浮かべる。

 

 

「魔法考古学者のユーノなら何か知っとるかもしれんが、仕事先から今日中に帰ってこられるかもわからんしのう。ま、せいぜい頑張ることじゃ」

 

 

そう言ってマカロフはギルドの奥へと引っ込んでしまい、残された入れ替り組は呆然とその場で膝をつく。

 

 

「なんてこったーー!!! ええいこうなったら!!!」

 

 

「「「おおおっ!!?」」」

 

 

「にゃーーーっ!!! 脱いじゃダメーーー!!!」

 

 

半狂乱を起こしたなのは(inグレイ)が脱ごうと服に手をかけ、それを見た男性ギルドメンバーは再び興奮の声を上げるが、それをグレイ(inなのは)が全力で阻止した。

 

 

「そっか、中身がグレイだから脱ぎ癖もそのままなんだね。あっ、そうか!!」

 

 

「ハッピー!? な…なにを!!?」

 

 

「おもしろうだなー、やってみようと!!」

 

 

「や…やめろ!!!」

 

 

何かを思いついたエルザ(inハッピー)を見て嫌な予感がしたハッピー(inエルザ)が止めようとするが……

 

 

「換装!!! うぱーーっ!!!」

 

 

その行為も虚しく、エルザ(inハッピー)は換装を発動し……

 

 

「じゃーん!!」

 

 

スクール水着にツインテールという格好になってしまった。

 

 

「「「うおおっ!!! これはこれでっ!!!!」」」

 

 

「普段のエルザさんからは見られへんあどけない子供のような表情に、子供っぽいツインテールにマニアックなスクール水着を組み合わせるとは……やるやないかハッピー!!!」

 

 

「主?」

 

 

その姿を見て三度興奮の声を上げる男性ギルドメンバーと、何やら専門家のような目をしているはやてと、そんなはやてを見て引き気味のリインフォース。

 

 

「やめろーーーっ!!!」

 

 

そんなエルザ(inハッピー)に殴りかかるハッピー(inエルザ)だが……

 

 

ガンッ!!!

 

 

「ぐはっ」

 

 

「あっ……」

 

 

エルザ(inハッピー)が振り向いた際の肘が直撃し、あえなく床に沈んだ。

 

 

「な…なんという事だ……S級魔導士としてのプライドが……」

 

 

「あれー? おかしいなー? カッコいい鎧にするつもりだったのに」

 

 

そして膝をつき涙目で落ち込むハッピー(inエルザ)と、思った換装が出来なかった事に首を傾げるエルザ(inハッピー)。

 

 

「もしかして……入れ替ってしまった魔法は、中途半端になっちゃうのかな?」

 

 

その様子を見て、フェイトが考察する。

 

 

「つー事はなにか? この体はルーシィのだってのかよ。チッ、しょうもねえ」

 

 

「しょうもないって何よ!!!」

 

 

「うるせえ!! お前に今のアタシの気持ちがわかるか!!!!」

 

 

毒づくルーシィ(inヴィータ)に怒鳴るヴィータ(inルーシィ)だが、逆に凄まじい剣幕で怒鳴り返されてしまった。

 

 

「お前の無駄にナイスバディな体を体験して、元の自分の体との差を感じてるだけじゃなく……自分のそのチンチクリンな体も客観的に見せられてんだぞ!!!!」

 

 

つまり要約すると、精神的ダメージがいつもの2倍なのである。

 

 

「同じ17歳なのにこの差はなんだ!!? 何だってんだよチクショォオオオオオ!!!!」

 

 

「……さっきまであんなに喜んどったのに……」

 

 

「天国から地獄ね……」

 

 

「エグイな……」

 

 

「……なんか……ゴメン」

 

 

号泣して泣き崩れるルーシィ(inヴィータ)の姿を見て、はやてとミラジェーンとエルフマンが小さく呟き……ヴィータ(inルーシィ)も思わず謝罪してしまった。

 

 

「って事ァ、今オレの体はティアの体って事か。ふーん…………おおっ」

 

 

ムニュムニュ←ティアナ(inナツ)が自分の胸を揉む音。

 

 

ガシッ!!←そんなティアナ(inナツ)の胸倉をナツ(inティアナ)が掴む音。

 

 

ギリギリギリ…!!!←そのまま締め上げる音。

 

 

「何してる?」

 

 

「いや……女の胸ってどんな感じかなーって思って……」

 

 

「今確認する必要あんの?」

 

 

「でもティアの胸ってやっぱルーシィとかと比べたら小さ──」

 

 

「放してくださいフェイトさん!!! このバカの頭をカチ割ってやるんです!!!」

 

 

「落ち着いてナツ…じゃなくてティアナ!!! そんな事してもダメージを受けるのはティアナの体だから!!!」

 

 

今にもティアナ(inナツ)を殴り殺しそうなナツ(inティアナ)をフェイトが必死に羽交い絞めにして止めていた。

 

 

「あーもー!! どうしたらいいのよーーー!!!」

 

 

頭を抱えて絶叫するヴィータ(inルーシィ)。すると……

 

 

「ルーちゃん!! 私に任せて!!!」

 

 

「「「!!」」」

 

 

突如としてそんな声が聞こえ、全員の視線がギルドの出入り口へと向く。

 

 

「レビィちゃん!!!」

 

 

するとそこに立っていたのはレビィ、ジェット、ドロイのチームシャドウ・ギアであった。

 

 

「オレたちチームシャドウ・ギアが出てきたからには、必ず元に戻してやるぜ!!」

 

 

「ああ、安心しな!! と言うわけで──」

 

 

「「頼むレビィ!!!」」

 

 

「つまり、何とかするのはレビィちゃんだけやっちゅー事やな」

 

 

「ですね……」

 

 

結局レビィだよりのジェットとドロイに呆れるはやてとリインフォース。

 

 

「ルーちゃんの為だもん!! 頑張る!!!」

 

 

「で、どうすんだ?」

 

 

「私、古代文字ちょっと詳しいんだ。だから、まずはこの依頼書の文字を調べてみる」

 

 

「時間がねえ、間に合うのか?」

 

 

「とにかく、この場はレビィちゃんに任せるの」

 

 

「因みに残り時間は、あと10分や」

 

 

そしてレビィは早速作業に取り掛かり、依頼書の古代文字と関連する文献を調べ始める。

 

 

「もう時間がねえ……もうずっとこのままだったらヤベェぞ」

 

 

「確かに洒落にならないわね。性別まで入れ替るなんてゴメンだわ」

 

 

「ってことは……このままだとルーシィの体がアタシのモノに……それも悪くねえな」

 

 

「コラァ!!!」

 

 

「オイラは気に入ってるよ。もう1回、換そ──」

 

 

「だからやめんかっ!!!」

 

 

そうこうしている間に、レビィはゆっくりと文献を閉じた。

 

 

「どう? レビィちゃん?」

 

 

「何かわかった?」

 

 

そんなレビィにそう問い掛けるヴィータ(inルーシィ)とナツ(inティアナ)だが……

 

 

「………わかんないっ!!」

 

 

返ってきたのは最悪の知らせであった。

 

 

「そうか……私はこれから先、妙な羽の生えたネコとして生きていくのか」

 

 

「オイラは妙じゃないよぉ!」

 

 

「ええいっ!!」

 

 

「だから脱いじゃダメなの!!!」

 

 

「じゃあこの体はもうアタシのモノって事になるのか」

 

 

「嬉しそうな顔すんなっ!!!」

 

 

「一生ティアの体なのかーーっ!!!」

 

 

「最悪……兄さんになんて報告しよう……」

 

 

レビィの言葉を聞いて、さらに取り乱す面々。

 

 

「みんな落ち着いて!!! もっともっと考えるから!!!」

 

 

「残り時間はあと8分や。そろそろ本格的にヤバイで~」

 

 

そう言ってレビィは再び文献を読み漁り始める。

 

その間……入れ替り組は1つのテーブルに纏まって話し合う。

 

 

「もしずっとこのままだったらどうするよ?」

 

 

「あん? どうって何だよ?」

 

 

「この先この状態のまま仕事に行くつもりかよ?」

 

 

「そりゃ、元に戻らなかったらそうするしかねえだろ」

 

 

「オイラはそれでもいいと思うよ。だって、黙ってれば見た目じゃわかんない訳だから」

 

 

「んだな。アタシがこの体になったとしても、いつものルーシィみたいにギャーギャー騒いどきゃバレねーだろ」

 

 

「あたしってそんなイメージかしら!!?」

 

 

「もう2人とも!! そういう問題じゃないでしょ!!」

 

 

「それに……もっと大事な事があるでしょ」

 

 

「もっと大事な事? それは何だナツ…ではなく、ティアナ」

 

 

「さっきフェイトさんが言っていたように、今の私たちは全員魔法を中途半端にしか使えないんですよ。そんな状態で仕事に行って、うまくいくと思います?」

 

 

「「「!!?」」」

 

 

そんなナツ(inティアナ)の言葉に全員が目を見開く。

 

そして全員が各々の魔法を確認する。

 

 

ティアナ(inナツ)→換装空間からクロスミラージュを片方しか出せない。しかも魔法弾の飛距離が短く、破壊力も無い。

 

ナツ(inティアナ)→炎の制御ができない。油断すると炎が口からよだれのように溢れ出す。

 

なのは(inグレイ)→レイジングハートは出せるが、砲撃が細くて弱弱しいモノしかでない。

 

グレイ(inなのは)→氷を造りだそうとすると変な形になる。油断すると口からポロポロと氷が出る。

 

ヴィータ(inルーシィ)→魔法以前にグラーフアイゼンが重くて使えない。

 

ルーシィ(inヴィータ)→魔法以前に星霊の鍵が使えない。

 

エルザ(inハッピー)→実証済み

 

ハッピー(inエルザ)→唯一うまく魔法を使える。ただし戦力的に役に立たない。

 

 

「ヤバイ!!! 確かにそう言われりゃかなりヤバイ!!!」

 

 

「冗談じゃねえ!!! これじゃヴォルケンリッターの一員としてやっていけねー上に、はやてを守る事もできねーじゃねえか!!!」

 

 

「何故そんな単純な事に今の今まで気づかなかったのだ!!?」

 

 

「レビィまだか!!?」

 

 

「1分切ったよー、こらもうホンマにヤバイな~」

 

 

「はやてちゃん……さっきからちょっと楽しんでない?」

 

 

「そ…そんな事あらへん…よ?」

 

 

そう言いつつも、ジト目でそう尋ねるグレイ(inなのは)から露骨に目をそらすはやて。

 

 

「おや? まだやっとるのか?」

 

 

そこへ再び、マカロフが現れる。

 

 

「じーさん、なんか覚えてねえのか!? このままじゃオレたちは……」

 

 

「うーむ……おおっ、1つ思い出したぞ!!」

 

 

「「「!!」」」

 

 

「何ですか!!?」

 

 

なのは(inグレイ)の問い掛けに対して何かを思い出したマカロフ。そんなマカロフのもとに入れ替り組が集まり、ハッピー(inエルザ)が聞き出す。

 

 

「この魔法を解く時は、確か1組ずつしか解けないんじゃ。いっぺんに全員を戻すのは無理だったハズじゃ」

 

 

「「「なにぃーーー!!?」」」

 

 

ここへ来ての衝撃の事実に、入れ替り組全員が驚愕する。

 

 

「どれだけ正確かわからへんけど……あと30秒や。たぶん」

 

 

「たぶんって…主…」

 

 

はやてのアバウトな経過報告にリインフォースは苦笑を浮かべる。

 

 

「どのペアが最初だ?」

 

 

「当然オレとティアだ!! なぁティア!!!」

 

 

「当たり前よ!! このままナツの体で過ごすなんて嫌よ!!!」

 

 

「そうはいかないの!! 最初は私とグレイなの!!!」

 

 

「いーやっ!! アタシとルーシィだ!!! それだけは譲れねえ!!!」

 

 

「そうよっ!!!」

 

 

「待てっ!! 私がずっとこのままだと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)はどうなる!!? 最初は私とハッピーだ!!!」

 

 

「オイラはどっちでもいいよー」

 

 

そう言ってギャーギャーと声を大にして言い争いを始める入れ替り組。

 

 

「み…醜い……」

 

 

「人間追い詰められると怖いわねー」

 

 

「本人たちは必死なだけだけどね」

 

 

「ほらほらー15秒切ったよー」

 

 

そんな様子を見ながらリインフォースとミラジェーンがそう呟き、フェイトは苦笑を浮かべ、そしてはやてが残された時間を告げる。

 

 

「あっ!!! わかったっ!!!」

 

 

「「「!!」」」

 

 

すると、依頼書の謎を解いたレビィがそう叫ぶ。

 

 

「12…11…10…」

 

 

「レビィちゃん!!!」

 

 

「こういう事なの!! つまり説明するとね……」

 

 

「9…8……」

 

 

「はやてちゃんちょっと黙ってて!!!!」

 

 

「ふげばっ!!!」

 

 

カウントダウンをしていたはやてはグレイ(inなのは)によってシバき倒され、床に沈められた。

 

 

「レビィ!! 今は説明してる時間はないわ!!!」

 

 

「早く!!!」

 

 

「わかった!!!」

 

 

ナツ(inティアナ)とティアナ(inナツ)にそう言われ、レビィはすぐさま魔法を解除するための呪文を唱える。

 

 

「アル・ボルヤ・テスラ・ルギゴール!!!!!」

 

 

そしてレビィが呪文を口にしたその瞬間、ギルド全体が眩い光に包まれたのであった。

 

 

それからしばらくして光が消えると……

 

 

「……あっ、元に戻った!!!」

 

 

「アタシもだ!!! このチンチクリンの体が妙に馴染むぜ……」

 

 

元の体へと戻ったルーシィとヴィータがそう声を上げる。そしてルーシィは、レビィへと抱きつく。

 

 

「レビィちゃん!! ありがとう!!!」

 

 

「やったぁ!!!」

 

 

「どうやったの? 教えて?」

 

 

「言葉そのものに意味なんか無かったの。逆さ読みをやってみたんだ。古代は文字が少なかったから、色んな意味を伝えたい時に、反対から読むと別の効力を発揮するようにしてたの。だから、呪文を逆さから読んでみたら魔法が解けたの!!!」

 

 

「そっかぁ、本当ありがとねー!」

 

 

「助かったぜレビィ」

 

 

「ルーちゃんの為だもん」

 

 

そう言って笑いあうルーシィとレビィとヴィータだが……

 

 

「「ちょっと待てーーー!!!!」」

 

 

「「私たちまだ解けてないっ!!!!」」

 

 

「私もだ!! ネコのままだぞ!!!」

 

 

「オイラはどっちでもいいけどねー」

 

 

「「「ええぇーーー!!?」」」

 

 

他の3組は元に戻っていなかった。

 

 

「ま、まさか…アタシとルーシィは制限時間にギリ間に合ったけど……こいつらは間に合わなかったのか!!?」

 

 

「そんなー!!! どうすりゃいいんだよ!!?」

 

 

「おいレビィ!! もう1回できねえのか!!?」

 

 

そう言ってレビィに迫るティアナ(inナツ)となのは(inグレイ)だが…ここでレビィは重要な事に気がついた。

 

 

「あれ……何か、微妙に間違えちゃった……かも……」

 

 

そう……彼女が唱えた呪文が、微妙に間違ってしまっていたのであった。

 

 

「じゃあ!! オレたちずっとこのままかよ!!?」

 

 

「そんなっ!!! 今日からナツとして過ごせっていうの!!?」

 

 

「冗談じゃねえ!!!」

 

 

「ヴィヴィオになんて言えばいいの!!? ママがパパになってパパがママになっちゃったって説明しなきゃいけないの!!?」

 

 

「悪夢だ!!! 悪夢以外の何ものでもなーーい!!!」

 

 

「オイラはどっちでもいいけどねー」

 

 

そう叫びながら取り乱す残った入れ替り3組。すると……

 

 

「まあまあ、他にも何か方法があるじゃろ」

 

 

そう言って彼らを宥めたのは、カウンターの上で胡坐をかいで座っている……フェイト(・・・・)であった。

 

 

「あ…あれ? 何だか私、背が縮んだような……それに声も何だかガラガラに……」

 

 

そしてその傍らには、オロオロと自身の体を見回しているマカロフの姿が……これが指し示す答えは1つ。

 

 

「ま…まさかフェイト!!!」

 

 

「じーちゃんとフェイトが入れ替っちまった!!!」

 

 

そう……先程の呪文の影響で、マカロフとフェイトが入れ替ってしまったのである。

 

 

「何というこのナイスバディ!! うははははっ!!!」

 

 

「あわわわっ!! や、やめてマスター!!!」

 

 

そう言ってセクシーポーズを取るフェイト(inマカロフ)を必死に止めようとしているマカロフ(inフェイト)。

 

 

「……もしや……!!!」

 

 

「ひょっとして……!!!」

 

 

何か嫌な予感がしたナツ(inティアナ)とハッピー(inエルザ)は恐る恐るギルド全体を見回す。そこには……

 

 

「漢は諦めが肝心だぞナツ。ん…何でオレは倒れてたんだ……ゲッ!!?」

 

 

「な…何やコレェ!!!? 何で私がエルフ君になっとんねん!!?」

 

 

「あらあら、みんな大変ねー」

 

 

「いやミラ……そういう私たちも入れ替ってしまっているのだが……」

 

 

はやてとエルフマン…ミラジェーンとリインフォース…その他のギルドメンバーたちもみんな入れ替ってしまっていた。

 

 

「……もう…私の手には負えないです……」

 

 

そんな混沌とした光景の中……レビィはポツリとそう呟いたのであった。

 

 

「うわーい!! みんな入れ替ったよー!! おもしろーい!!!」

 

 

「「喜んでる場合かーーーー!!!」」

 

 

そんなナツ(inティアナ)とティアナ(inナツ)の叫びが、騒然とするギルドに虚しく響いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは……空想の魔法などではない。

 

 

彼らの暮らす日常のすぐ隣りで、ほんの少しバランスが崩れた魔法なのである。

 

 

ってな訳で……

 

 

 

 

 

つづく





「「「元に戻せーーーーっ!!!!」」」


「投げっぱなしで終わりかい!!?」


「あい!!!」

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