LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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サブタイ通り、ついにあの子の話です。

正直自分は原作ではナツルーよりナツリサ派です。


感想お待ちしております。


リサーナ

 

 

 

 

 

場所はアースランド……雨が降り注ぐマグノリア郊外。

 

 

ぎゅわん…ポンッ!

 

 

「んが!」

 

「きゃ!」

 

「いたっ!」

 

「うげ!」

 

「ぐお!」

 

「ひゃあ!」

 

「ひー!」

 

「よっと」

 

 

上空に出現した小さなアニマからドサドサと音を立てて落ちて来るナツたちと、1人キレイに着地をするクロノ。

 

そして山積みになりながらしばらくすると……

 

 

「帰ってきたぞーーーっ!!!!」

 

 

ナツの叫びを筆頭に、一同はアースランドに帰ってきた事を喜んだ。

 

 

「そうだ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!」

 

 

「!」

 

 

そしてすぐさま街の方へと視線を向けると……

 

 

「元通りだ!!!!」

 

 

「マグノリアもギルドも、ちゃんと元に戻ってます!!!!」

 

 

「やったぁ!」

 

 

そこには変わらぬ街並みで健在しているマグノリアがあった。

 

 

「まだ喜ぶのは早い。人々の安全を確認してから」

 

 

「大丈夫だよ」

 

 

「一足先にアースランドに着いたからね、色々飛び回ってきたんだ」

 

 

「ギルドも街の人もみんな無事だったよ」

 

 

「みんな魔水晶(ラクリマ)にされた事すら知らないみたい」

 

 

「アースランドってすげえな、魔力に満ちてる!!」

 

 

エルザの言葉を遮り、聞こえてくるいくつもの声。その声の主を見て、愕然とした。何故なら……

 

 

「なんで……なんでエクシードがアースランドに!!!!」

 

 

そこには大勢の空飛ぶエクシードの姿があったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第百十九話

『リサーナ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「冗談じゃないわよ。こいつらは危険!! エドラスに返すべきよ」

 

 

ビシリと指差しながらそう言い放つシャルルに、シャゴットを筆頭にしたエクシードたちが頭を垂れる。

 

 

「まあまあ」

 

 

「エクスタリアも無くなっちゃったんだよ、許してあげようよ」

 

 

「そうだよシャルルちゃん」

 

 

「イヤよ」

 

 

ハッピーとウェンディとキャロが宥めるが、シャルルの意見は変わらない。

 

 

「石を投げつけたのは謝るよ」

 

 

「ごめんなさい」

 

 

「でもオレたち帰る所がないんだ」

 

 

「これから改心するよ」

 

 

「もう許して」

 

 

エドラスでの自分たちの非を謝るエクシードたち。そんな彼らに対し、シャルルは怒鳴る。

 

 

「そんな事はどうでもいいの!!! あなたたちは私に滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を抹殺する〝使命〟を与えてアースランドに送り込んだ!!!」

 

 

「そうさ!! 女王はオィラたちの卵を奪った!! 忘れたとは言わせねえ!!」

 

 

「あ! おじさん」

 

 

シャルルの言葉に便乗して、ラッキーが木陰から現れる。

 

 

「まだきちんと説明していませんでしたな」

 

 

「これは6年前の話になります」

 

 

すると、老人のエクシードたちが事情を説明する為に口を開く。

 

 

女王(シャゴット)には未来を見る力があるのはもうお話しましたね? ある日シャゴットは、地に堕ちるエクスタリアを見たのです。

 

今思えばエドラスの魔力枯渇による自然落下だったのじゃが……当時は原因を人間の仕業だと思っていた。

 

人間と戦争をしても勝てない事はわかっておった。ワシらは会議の末、100人の子供をエドラスから逃がす計画を立てたのです」

 

 

「逃がすだと!!?」

 

 

その説明を聞いて驚愕するラッキー。

 

 

「その計画はエクスタリアの民にも内密に行なわれました。表向きは異世界の怪物、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)を倒す為の作戦だという事にしました。もちろん、滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)に恨みがあった訳ではありません」

 

 

「わかってます。そういう〝設定〟が必要だったって事ですよね」

 

 

「本当の事を言ってたら、国中がパニックになってたんじゃないかしら」

 

 

ウェンディとティアナが納得したようにそう言う。

 

 

「人間たちのアニマを借り、私たちの作戦は成功しました。しかし…たった1つだけ計算外の事が起きたのです。それはシャルル…あなたの力」

 

 

「!?」

 

 

「あなたには私と同じような「予言」の力があったのです」

 

 

「え?」

 

 

「しかしそれは無意識に発動しているようで、あなたの記憶を混乱させたのです。避難させた100人のエクシードのうち………あなた1人だけが。おそらくエドラスの断片的な未来を予言してしまった。そしてそれを「使命」だと勘違いしてしまったのです」

 

 

「そんな…」

 

 

「じゃあオイラは……」

 

 

「元々そんな使命はなかったのですよ。本当に不運に不運が重なり、あなたは自分の「ありもしない使命」を作り出してしまった」

 

 

シャゴットのその言葉を聞いて、シャルルは愕然とした表情で大きく目を見開く。

 

 

「ぼきゅたちは君が自分の力を知らないのをいい事に、さもぼきゅたちが操ってるように言ってみたんだ。ゴメンね…」

 

 

「全ては女王様の威厳を演出する為の猿芝居。本当に申し訳ない」

 

 

シャルルがさらに勘違いをする原因となったナディとニチヤが謝罪する。

 

 

「たくさんの不運と、民や人間に対する私の虚勢があなたを苦しめてしまった。いいえ…6年前、卵を取り上げた全ての家族を不幸にしてしまった」

 

 

「むう…」

 

 

「…………」

 

 

唸るラッキーと押し黙るマール。そしてざわめくエクシードたち。

 

 

「だから私はあなたに剣を渡したのです。悪いのはエクシード全てじゃない。私1人です」

 

 

そう言い放つシャゴットを、エクシードたちが弁明する。

 

 

「それは違いますよ女王様!!」

 

 

「女王様の行動は全部、私たちの事を思っての事」

 

 

「オレたちだって、自分たちの存在を過信してた訳だし」

 

 

「せっかくアースランドに来たんだ、6年前に避難させた子供たちを探しましょう!!」

 

 

「おお!!! 僕たちにも新しい目標ができたぞ!」

 

 

「今度は人間と仲良くしよう!!」

 

 

「新しい始まりなんだー!」

 

 

「ははっ、前向きな奴等だな」

 

 

「そうですね」

 

 

「みんな…」

 

 

そう言って飛び回るエクシードたちを見て、ナツとエリオは笑みを浮かべ、シャゴットは涙を浮かべた。そしてそれを見たシャルルは……

 

 

「いいわ、認めてあげる」

 

 

と…渋々ながらも彼らの存在を了承した。

 

 

「シャルル……」

 

 

「でも何で私にアンタと同じ力がある訳?」

 

 

「ゴホッゴホッ」

 

 

「ど…どうしてかしらね……」

 

 

「えーと…その……」

 

 

「なんか怪しいわね」

 

 

何やら動揺しているシャゴットと老人エクシードたちを見て、訝しげな表情をするシャルル。

 

 

「ねえおじさん」

 

 

「ア?」

 

 

「女王様とシャルルってなんか似てない?」

 

 

「そうかい?」

 

 

「あい! ホラ……動きとか」

 

 

「動きだぁ?」

 

 

「ホラ、あの辺とか」

 

 

「かーー!! どの辺だよ!」

 

 

そんな会話をしながらまったく同じ動きを見せているハッピーとラッキー。そんな2人を見て、マールは嬉しそうにクスクスと笑う。

 

 

「とりあえず無事終わってよかったな」

 

 

「はい」

 

 

「オイ!! うつってんぞナツ」

 

 

「グレイさんもうつってますよ」

 

 

「あんたもよ……」

 

 

ナディのようにシュッシュッと腕を振っているナツとグレイとエリオに、ティアナがツッコム。

 

 

「私たちはとりあえずこの近くに住もうと思います」

 

 

「いつでも会えますね」

 

 

「何嬉しそうにしてんのよ」

 

 

「そう……いつでも会えるわ、シャルル」

 

 

「ちょ…」

 

 

そう言ってシャルルの体を優しく抱き締めるシャゴット。初めは抵抗しようとしたシャルルだが……

 

 

「(温かい……)」

 

 

シャゴットの温もりに、どこか安心感を覚えたのであった。

 

 

「いつでも遊びに来なさいハッピー」

 

 

「あい」

 

 

「かーーっ!! 来なくていいわ来なくてーーー!!!」

 

 

「オイラ、おじさんとおばさんの匂いが好きなんだ。なんでだろ」

 

 

「「!!」」

 

 

ハッピーが何気なく言ったその言葉に、ラッキーとマールは体を震わせながら涙を浮かべる。

 

 

「かーーーっ!!! 匂いをかぐなんて100年早ェんだよ!!!!」

 

 

「ひーーー!」

 

 

そう言って怒鳴るラッキーだったが、その顔はどことなく嬉しそうであった。

 

 

「みなさん、本当にありがとう」

 

 

「また会いましょー」

 

 

「元気でねー!」

 

 

「おーう、またなー!」

 

 

「気をつけてねー!」

 

 

「またねー!」

 

 

「いつでも遊びに来てねー!」

 

 

「とりあえずバイバーイ!」

 

 

そう言って手を振りながら飛び去っていくエクシードたちを見送るナツたち。

 

 

すると、マールに支えられながら飛んでいるシャゴットにラッキーが問い掛けた。

 

 

「何で母親だって名乗らねえんだ……」

 

 

「……6年前に避難させた子供たちを全員見つけるまでは……私に名乗る資格はありません。そういうアナタは?」

 

 

「かーーっ!! オィラにはあんなに青い息子はいねぇやい!!!」

 

 

「もういつでも会えますから」

 

 

「つーか、何でぇ……えーと…その……知らなかったよ、アンタの娘さんも送った卵の中にいたんだな」

 

 

「女王なんて名ばかりです。

 

 

親なんて、自分の子供が一番かわいいの」

 

 

「かーーーっ! 違ェねぇや!」

 

 

そんな会話をしながら、シャゴットはエクシードたちを率いて飛び去っていったのであった。

 

 

そしてそれを見送り終えたナツたちも、さっそく口を開いた。

 

 

「オレたちもギルドに戻ろうぜ」

 

 

「みんなにどうやって報告しよう」

 

 

「普通ならありのままを言えばいいんだけど……」

 

 

「みんな気付いてねえんだろ? 今回の件」

 

 

「じゃあ僕たちだけの秘密にしておきますか?」

 

 

「その方が、みんなを混乱させずに済むかもしれませんね」

 

 

「しかし、ミストガンの事だけは黙っておけんぞ」

 

 

「僕もしばらくミストガンに付き合って仕事を疎かにしていたからな。その辺の事情も説明しないといけないな」

 

 

「みんな……手……」

 

 

ナツたちがシュッシュッと手を振りながらそんな会話をしていると、ガジルがある事に気がつく。

 

 

「ちょ…ちょっと待て」

 

 

「どうしたガジル……お前もマネしてーのか」

 

 

「意外と楽しいぞ」

 

 

「うん」

 

 

「それに価値があるならな!!!」

 

 

腕を振るナツとアギトとルーテシアに怒鳴りながら、ガジルは気付いた事を口にする。

 

 

「リリーはどこだ? パンサー・リリーの姿がどこにもねえ!!!」

 

 

「あっ!! そう言えばリニスもいません!!!」

 

 

そう……去っていったエクシードと同じく、アースランドへと流されたハズのリリーとリニスの姿が見えず、ガジルとエリオは周囲を見回す。

 

すると……

 

 

「オレたちならここにいる」

 

 

そんな声が聞こえると同時に、近くの茂みの中から2つの足音と水を弾くような音が聞こえた。

 

 

「「「!!!」」」

 

 

そして全員がそちらの方へと視線を向けるとそこには……筋骨隆々とした体格ではなく、普通のエクシードと同じくらいのサイズになったリリーと、同じく人間の姿ではなく普通のエクシード姿に、茶色い毛並みに帽子を被ったリニスの姿があった。

 

 

「「「小っちゃ!!!!」」」

 

 

「ずいぶんかわいくなったね」

 

 

「どうやら、アースランドとオレの体格は合わなかったらしいな」

 

 

「私の人間に変身する能力も、この世界では不安定のようです」

 

 

「アンタたち…体なんともないの?」

 

 

「今の所はな」

 

 

縮んでしまったが2人だが、どうやら問題は無いようだ。

 

 

「オレは王子が世話になったギルドに入りてぇ。約束通り入れてくれるんだろうな……ガジル」

 

 

「もちろんだぜ!!!! 相棒(オレのネコ)!!!!!」

 

 

「ガジルが泣いた」

 

 

「号泣だなオイ…」

 

 

念願のネコの相棒が出来た事に号泣しながらリリーを抱き締めるガジル。それをルーテシアは無表情、アギトは若干引いた目で見ていた。

 

 

「私も約束通りあなたの相棒として…ギルドに入れてくれますか? エリオさん」

 

 

「エリオでいいよ。当然、これからよろしく!!! リニス!!!」

 

 

「よかったね、エリオ君♪」

 

 

相棒となったリニスの体を高々と持ち上げて嬉しそうに笑うエリオに、ウェンディとキャロも釣られて笑顔を浮かべた。

 

 

「で……それとは別に、怪しい奴を捕まえたんだ」

 

 

「!?」

 

 

そう言って、手に持っていたロープを引っ張り始めるリリー。

 

 

「来い」

 

 

「ちょ…私……別に…怪しくなんか……きゃっ!」

 

 

リリーのロープに引っ張られ、茂みの中から姿を現す1人の少女。その少女を見て…ナツ、ティアナ、ハッピー、グレイ、エルザ、クロノは呆然とした様子で目を見開く。

 

 

「私も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なんだけど……!」

 

 

そんな少女を見て……ナツとティアナがその少女の名を呟く。

 

 

 

「「リサーナ……」」

 

 

 

そう……その少女はエドラスの妖精の尻尾(フェアリーテイル)で出会ったエドラスのリサーナであった。

 

 

「何なのこのネコ!! てかエクシード?」

 

 

「パンサー・リリーだ」

 

 

「何だテメェ、オレのネコにケチつけようってのか? ア?」

 

 

そんな会話をしているリサーナを、未だに呆然と見ているナツたち。

 

 

「リサーナ……」

 

 

「ウソ……」

 

 

「そんなまさか…」

 

 

「リサーナ!?」

 

 

「何故ここに……」

 

 

「なんで…」

 

 

「もしかしてエドラスのリサーナが」

 

 

「こっちに来ちゃった訳~!?」

 

 

「ど……どうしよう」

 

 

「エドラスに返すのは……無理だよね」

 

 

ナツたちが動揺していると、リサーナの視線がナツとティアナの2人へと向く。すると……

 

 

「ナツ!!!! ティア!!!!」

 

 

「どわー!」

 

 

「きゃあ!」

 

 

リサーナは思いっきりナツとティアナへと飛び付き、当然いきなりの事だったので2人は対処できずに、彼女に押し倒される形で地面に倒れた。

 

 

「また会えた…本物のナツとティアに」

 

 

「「……………」」

 

 

そう言って涙を浮かべるリサーナを見て、言葉を失うナツとティアナ。そしてリサーナは、今度はハッピーを抱き締める。

 

 

「ハッピー!! 私よ!! リサーナよ!!」

 

 

「ぐぷぅ」

 

 

「エルザとグレイとクロノも久しぶりだね!! うわぁ、懐かしいなぁ。その子たちはギルドの新しいメンバーかしら? もしかしてルーシィ……と、小さい(・・・)ウェンディとエリオとキャロ?」

 

 

ハッピーに頬擦りをしながら嬉しそうにそう言うリサーナ。そんな彼女の言葉を聞いて、グレイが震える声で尋ねた。

 

 

「ちょっと待て……お前…まさか……アースランド(こっち)のリサーナ!?」

 

 

「…………うん」

 

 

その問いに対して、リサーナは小さく頷きながら肯定した。

 

 

「!!!」

 

 

「な……」

 

 

「うそォ!?」

 

 

「「「えええーーーっ!?」」」

 

 

「生き返ったのかーーー!!!」

 

 

「うわーい!!!」

 

 

それを見てさらに愕然とするグレイたちと、リサーナが生きている事を純粋に喜んで彼女に飛び付こうとするナツとハッピー。

 

 

「ま…待ちなさい!!!」

 

 

「「ぐぽっ」」

 

 

そんな2人を、ティアナが首根っこを掴んで止めた。

 

 

「死んだ人間が生き返るなんてありえない!!! アンタは2年前に死んだハズよ!!! リサーナ!!!!」

 

 

ティアナの言葉を聞き、リサーナは俯きながら口を開く。

 

 

「私……死んでなんかなかったの」

 

 

その言葉を皮切りに……リサーナは事情の説明を始めた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

2年前、ミラ姉とエルフ兄ちゃんと3人で行った仕事の最中、私は意識を失った。たぶんその時、アニマに吸い込まれたんだと思う。

 

当時、アースランドには小さなアニマがたくさんあったんじゃないかな。

 

エドラスで目が覚めた私は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を見つけて驚いた。みんな少し雰囲気が違ってたけど、私の知ってる人たちがそこにはいた。しかも、みんなが私をエドラスのリサーナだと思い込んでたの。

 

たぶん本物のエドラスのリサーナは…すでに死んでいるんだと思った。ギルドの雰囲気がね……そんな感じだった。

 

 

「リサーナが生きてたよ姉ちゃん!!!」

 

 

「よくあの高さから落ちて……私…もうダメかと……」

 

 

その時はよくわからなかったけど……今にして思えば、エドラスのリサーナが死んだ事によって、世界が足りない分を補完する為に…アニマが私を吸収したのかもしれない。

 

 

「もうどこにも行かないで……」

 

 

「リサーナ~~~!!!」

 

 

「いや…あの……」

 

 

私は本当の事が言えなかった。エドラスのリサーナのフリをしたの。

 

 

「………ただいま」

 

 

最初は戸惑ったけど、みんなに合わせて、自分の魔法を隠し、エドラスの生活にも慣れてきた。

 

 

そして2年が過ぎ、6日前。

 

 

「「リサーナーーーー!!!!」」

 

 

アースランドのナツとハッピーがやってきた。

 

 

「(ナツ……!? 私の知ってるナツ!? あっちはハッピー?)」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「何であの時、本当の事言わなかったんだよ!!!!」

 

 

「……言えなかったんだ……」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「つーと何か? お前らはアースランドとかいうもう一つの世界から、仲間を救う為にこの世界(エドラス)に来たってのか?」

 

 

「そっちの世界にも妖精の尻尾(フェアリーテイル)があって……」

 

 

「そっちじゃエルザやハヤテは味方だって?」

 

 

「ざっくり言うとね」

 

 

「あい」

 

 

「どうにも信じがてえ話だが……」

 

 

「確かにこのナツはオレたちの知ってるナツじゃねえしな」

 

 

「オレは仲間を助けるんだ!!!! 絶対にな!!!!」

 

 

「あなたたちって、エクシードみたいね」

 

 

「こんな所にいるハズないよ」

 

 

「コラ!! 脱がないの」

 

 

「(ナツだ……私の知ってるナツとハッピーだ……バレちゃダメだ……

 

私はもう二度と、ミラ姉たちを悲しませたくない。こらえなきゃ!!!

 

私はエドラスで生きていくんだ……)」

 

 

だけど…エドラスの全魔力がアニマによって吸われてしまって…元々アースランドの人間だった私も……

 

 

「リサーナ?」

 

 

「ええ?」

 

 

「ち…違うのみんな…!! これは…」

 

 

「いいの…わかっていたから」

 

 

「え?」

 

 

「気がついていながら言い出せなかった。ゴメンな」

 

 

「あなたは死んだリサーナと同じく優しい子よ。だからこれ以上、本当のお姉ちゃんとお兄ちゃんを悲しませちゃダメよ」

 

 

「ミラ姉…エルフ兄ちゃん…」

 

 

「元の世界に帰るのよリサーナ。アースランドの私たちによろしくね」

 

 

 

 

 

「ミラ姉ぇ~~~~~!!!!!」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

アースランド・カルディア大聖堂。

 

 

そこの墓地には雨が降り注ぐ中、リサーナの墓前で佇むミラジェーンとエルフマンの姿があった。

 

 

「姉ちゃん、そろそろ行こう」

 

 

「もう少し……」

 

 

そうしてもうしばらく花束が添えられた墓前で佇んでいると……

 

 

 

「ミラ姉~~!!!! エルフ兄ちゃーん!!!!」

 

 

 

突然2人の後ろから聞こえてきた声……もう二度と聞く事が出来ないと思っていた……妹の声。

 

 

そして振り向いた2人の目の前には、雨の中傘もささずに自分たちに向かって駆け寄ってくる1人の少女の姿。

 

 

「ウソ…リサーナ」

 

 

見間違えるハズもない……その少女は亡くなったと思っていた2人の最愛の妹……リサーナ。

 

 

その存在を認識した瞬間……ミラジェーンとエルフマンは大粒の涙を浮かべた。

 

 

 

「ただいま」

 

 

 

そう言ってミラジェーンに向かって抱きつくリサーナ。そしてその2人を包み込むように抱き締めるエルフマン。

 

 

兄妹3人でひとしきり泣いた後……ミラジェーンは顔を上げて、涙を流しながらも、優しい笑顔でリサーナの言葉に対する答えを口にしたのであった。

 

 

 

 

 

「おかえりなさい」

 

 

 

 

 

つづく


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