LYRICAL TAIL   作:ZEROⅡ

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序章編
妖精の尻尾


 

 

 

 

 

フィオーレ王国……人口1700万の永世中立国。

 

 

そこは…魔法の世界。

 

 

魔法は普通に売り買いされ、人々の生活に根付いていた。そしてその魔法を駆使して生業(なりわい)とする者達が居る。人々は彼らを〝魔導士〟と呼んだ。

 

魔導士たちは様々なギルドに属し、依頼に応じて仕事をする。そのギルド、国内に多数。

 

そして、とある街に、とある魔導士ギルドがある。かつて…いや、後々に至るまで数々の伝説を残したギルド。

 

 

これは…そのギルドに属する魔導士たちの物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一話

妖精の尻尾(フェアリーテイル)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィオーレ王国内・ハルジオンの街。

 

 

「あ、あの…お客様……だ、大丈夫ですか?」

 

 

街にある駅に止まっている列車内で、駅員がオロオロとしている。その理由は……

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 

桜色の髪をして、首にマフラーを巻いた少年『ナツ』が列車の壁に寄りかかって目を回しているからである。

 

 

「あい、いつもの事なので」

 

 

「ほらナツ! しっかりしなさい!」

 

 

「おぶっ…ゆ、揺らすなティア……」

 

 

ナツの代わりに答えたのは喋る青いネコ『ハッピー』。そしてそのナツの両肩を掴んで身体を揺らしているのは、オレンジの髪をツインテールにした少女『ティアナ』である。

 

 

「無理! もう二度と列車には乗らん…うぷっ」

 

 

「それ何回目よ? って言うか此所で吐かないでよ?」

 

 

「情報が確かならこの街に火竜(サラマンダー)がいるハズだよ」

 

 

「早く行きましょ」

 

 

「ちょ…ちょっと休ませて……」

 

 

ティアナとハッピーは列車を降りるが、ナツは窓から身を乗り出して休んでいる。

 

 

「うんうん」

 

 

すると……

 

 

ガタンゴトン

 

 

「「あ」」

 

 

「!」

 

 

「出発しちゃった」

 

 

「……自業自得ね」

 

 

走り去って行く列車からナツの叫び声が木霊したのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

それから数十分後、再び列車に乗って戻って来たナツと合流し、三人はハルジオンの街を歩いていた。

 

 

「列車には二回も乗っちまうし」

 

 

「ナツ、乗り物弱いもんね」

 

 

「腹は減ったし」

 

 

「私たちお金ないしね」

 

 

よたよたと歩くナツの呟きに応答するハッピーとティアナ。

 

 

「なぁティア、ハッピー。火竜(サラマンダー)ってのはイグニールの事だよなぁ?」

 

 

「多分ね」

 

 

「うん。火の竜なんてイグニールしか思い当たらないよね」

 

 

「だよな。やっと見つけた! ちょっと元気になってきたぞ!」

 

 

「あい」

 

 

「でもナツ、出発する前にも言ったけど、私にはこんな街中に……」

 

 

と、ティアナが言いかけたその時……

 

 

『きゃー! 火竜(サラマンダー)様ー!!』

 

 

遠くの方からそんな歓声が聞こえてきた。

 

 

「ホラ! 噂をすればなんたらって!!」

 

 

「あい!」

 

 

それを聞いたナツとハッピーは一目散にその方向へと走って行った。

 

 

「あ、ちょっとナツ!ハッピー!……まったく、人に歓迎されてるドラゴンなんて聞いたことないわよ……」

 

 

残されたティアナはそう愚痴を言った後、走って行った二人を追いかけた。

 

 

「イグニール!! イグニール!!!」

 

 

イグニールに会いたい一心で人込みを掻き分けるナツ。

 

 

「イグニール!!!!」

 

 

そして人込みの中心に到達すると、一人の男性と目が合う。それを見たナツは……

 

 

「誰だオマエ?」

 

 

と言ったのだった。

 

 

火竜(サラマンダー)と言えば、わかるかね?」

 

 

男性はキリっと言い放つが……

 

 

「はぁ~」

 

 

既にナツは溜め息をつきながら遠くを歩いていた。

 

 

「はやっ!?」

 

 

「ちょっとあなた失礼じゃない?」

 

 

「そうよ!! 火竜(サラマンダー)様はすっごい魔導士なのよ!」

 

 

「あやまりなさいよ!」

 

 

「お? お? なんだオマエら」

 

 

だが、すぐに野次馬の女性達に引き摺り戻された。

 

 

その後、サラマンダーは船上パーティーがあると言って、炎に乗って去って行った。

 

 

「なんだアイツは?」

 

 

「本当、いけすかないわよね?」

 

 

すると、一人の金髪の少女がナツに話しかけた。

 

 

「さっきはありがとね♪」

 

 

「は?」

 

 

「?」

 

 

突然お礼を言われ、首を傾げるナツとハッピー。すると……

 

 

「ナツ! ハッピー! やっと追いついた……」

 

 

息を切らしたティアナが走ってきた。

 

 

「おぉティア! 遅かったな」

 

 

「アンタ達が置いて行ってくれたお陰でね……!」

 

 

額に怒りマークを浮かべながら言うティアナ。

 

 

「あの~……」

 

 

そんなティアナに、困惑した表情を浮かべた少女が話しかける。

 

 

「? 貴女は?」

 

 

「あたしはルーシィ。さっきこの二人に助けてもらったの」

 

 

「ふーん…私はティアナ。で、こっちがナツで、そのネコがハッピー」

 

 

「よろしく! それでお礼がしたいから、ご飯でも食べに行かない?」

 

 

「メシ!!?」

 

 

ルーシィの言葉にいち早く反応するナツ。そんなナツを見てティアナは溜め息をつく。

 

 

「はぁ…ナツはもう行く気満々みたいだし、お言葉に甘えさせてもらおうかしら?」

 

 

「あい!」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

その後、街のレストランでは……

 

 

「あんふぁ、いいひほがぶぁ」

 

 

「うんうん」

 

 

「行儀が悪い!!」

 

 

これでもかと言うほど口に料理を突っ込んで喋るナツと魚をかじるハッピー、そんな二人を注意するティアナ。そしてそれを引いた目で見ているルーシィの姿があった。

 

 

「あはは…ナツとハッピーとティアナだっけ?わかったからゆっくり食べなって。なんか飛んできてるから……」

 

 

「本当にごめんなさい……」

 

 

ティアナは謝罪しながらハンカチをルーシィに渡す。するとルーシィは先ほどのサラマンダーについて話し出す。

 

 

「あのサラマンダーって男、魅了(チャーム)って魔法を使ってたの。この魔法は人々の心を術者に引きつける魔法なのね」

 

 

「そう言えば、何年か前に発売中止にされてたわね」

 

 

「そうなの。あんな魔法で女の子たちの気を引こうだなんて、やらしいヤツよね。あたしはアンタ達が飛び込んできたおかげで魅了(チャーム)が解けたって訳」

 

 

「なぶぼご」

 

 

「こー見えて一応、魔導士なんだーあたし」

 

 

「ふーん」

 

 

ルーシィの言葉にティアナはジュースを飲みながら興味なさそうに返し、ナツとハッピーは未だ飲み食いしている。

 

 

「まだギルドには入ってないんだけどね。あ、ギルドってのはね…魔導士たちの集まる組合で、魔導士たちに仕事や情報を仲介してくれる所なの。魔導士ってギルドで働かないと一人前って言えないものなのよ」

 

 

「ふが…」

 

 

「でもね!! でもね!!」

 

 

説明しているうちに何かに火が着いたのか、ルーシィは興奮気味に話し始める。

 

 

「ギルドってのは世界中にいっぱいあって、やっぱ人気あるギルドはそれなりに入るのはキビしいのね。あたしの入りたいトコはね、もうすっごい魔導士がたくさん集まる所で、ああ…どーしよ!!入りたいんだけどキビしいんだろーなぁ……」

 

 

「いあ…」

 

 

「あーゴメンねぇ! 魔導士の世界の話なんてわかんないよねー! でも絶対そこのギルド入るんだぁ。あそこなら大きい仕事たくさんもらえそうだもん」

 

 

「ほ…ほォか……」

 

 

「よくしゃべるわね……」

 

 

「あい……」

 

 

三人は若干引いていた。

 

 

「そういえばあんた達は誰か探してたみたいだけど……」

 

 

「あい、イグニール」

 

 

火竜(サラマンダー)がこの街に来るって聞いたから来てみたはいいけど別人だったな」

 

 

火竜(サラマンダー)って見た目じゃなかったんだね」

 

 

「完全な無駄足よ」

 

 

「見た目が火竜ってどうなのよ……人間として……」

 

 

「ん? 人間じゃねぇよ。イグニールは本物の竜だ」

 

 

それを聞いたルーシィはガタンっと音を立ててのけぞった。

 

 

「そんなの街中にいるハズないでしょー!!!」

 

 

「「(ピクッ)」」

 

 

「オイイ!!! 今気付いたって顔すんなー!!!」

 

 

「……だから私は最初からそう言ってたのに……」

 

 

ティアナの呟きは誰にも聞こえなかった。

 

 

 

 

 

「あたしはそろそろ行くけど、ゆっくり食べなよね」

 

 

ルーシィがお金を置いてそう言うと、ナツとハッピーはぐもっと涙を流し……

 

 

「ごちそう様でした!!!!」

 

 

「でした!!!!」

 

 

その場で土下座した。

 

 

「恥ずかしいからやめなさい!!」

 

 

「ぐほっ!」

 

 

そう言ってティアナはナツの頭を踏みつけると、ルーシィと向き合った。

 

 

「ご飯ごちそう様。そのギルドに入れるといいわね」

 

 

「うん! ありがとう!」

 

 

そう言うと、ルーシィは嬉しそうに店を出て行ったのであった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ぷはぁー食った食った」

 

 

「あい」

 

 

「アンタ達は食べ過ぎよ!」

 

 

三人が店を出る頃には、完全に日は落ちて夜になっていた。

 

 

「あら? あの船は……」

 

 

ふと、高台から海の方角に視線を移したティアナの目に一隻の船が写った。

 

 

「そいや火竜が線上パーティーやるって、あの船かな?」

 

 

「うぷ、気持ちワリ……」

 

 

「想像して酔わないでよ」

 

 

すると……

 

 

「見て見て~! あの船よサラマンダー様の船~。あ~私パーティー行きたかったなぁ」

 

 

すぐそこに居た女性の会話が聞こえた。

 

 

「サラマンダー?」

 

 

「知らないの? 今この街に来てるすごい魔導士なのよ。あの有名な妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士なんだって」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

それを聞いた三人は目を見開く。

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)?」

 

 

「あの男が……?」

 

 

そう呟いたナツとティアナは船をジッと見据える。

 

 

「……うぷっ」

 

 

「だから想像して酔うな!」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「まったく…あのバカナツ!!」

 

 

その後、ティアナは一人港を目指し、街中を走っていた。

 

あの後すぐナツはハッピーの背中に翼を生やす魔法『(エーラ)』を使い、一直線に船へと向かった。ハッピーが空を飛んで運べる人数は一人。よって取り残されたティアナは自力で港へと向かっているのだ。

 

 

「着いた! けど……」

 

 

ようやく港に到着したティアナだが、船は既に港から遠く離れていた。

 

 

「くっ……ん? あれは、ルーシィ?」

 

 

どうしようか考えていたティアナの目に海に浸かっているルーシィとハッピーの姿を捉えた。すると、ルーシィは金色の鍵を構える。

 

 

「開け!! 宝瓶宮の扉!! 『アクエリアス』!!!」

 

 

そう叫びながら鍵を海に突き刺すと、眩い光と共に、瓶を持った人魚が現れた。それを見たティアナは目を見開く。

 

 

「アレって、星霊魔法!? ルーシィって星霊魔導士だったの!?」

 

 

ティアナが驚愕している間に、ルーシィが呼び出した星霊アクエリアスは、持っていた瓶を振るう。すると、大津波が発生し、ルーシィごと船を浜辺へと打ち上げた。それを見たティアナは急いで船へと駆け寄る。

 

 

「ルーシィ! 大丈夫!?」

 

 

「ティアナ!? どうしてここに!?」

 

 

「話はあと。ハッピー、ナツは?」

 

 

「あ、置きっぱなしだった」

 

 

ハッピーがそう言うと、三人は急いでナツの所へと向かった。

 

 

「ナツー! だいじょ……!」

 

 

ルーシィが先頭で部屋に入ると、そこにはサラマンダーを筆頭に数十人の男に囲まれたナツが居た。

 

 

「小僧……人の船に勝手に乗ってきちゃイカンだろぉ。あ?」

 

 

サラマンダーの言葉にナツは何も返さず、何故か黙って上着を脱ぐ。

 

 

「オイ!! さっさとつまみ出せ」

 

 

「はっ!」

 

 

サラマンダーの指示に二人の男がナツに歩み寄る。

 

 

「いけない! ここはあたしが……!」

 

 

飛び出そうとしたルーシィを制するようにティアナが腕を伸ばす。

 

 

「大丈夫よ」

 

 

「言いそびれたけど、ナツも魔導士だから」

 

 

「えーーーー!!?」

 

 

ハッピーの言葉にルーシィは驚愕の声を上げた。

 

 

「お前が妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士か?」

 

 

「それがどうした!?」

 

 

「よぉくツラ見せろ」

 

 

「見なくても分かるでしょ?」

 

 

ティアナがそう呟いた瞬間、ナツは二人の男を纏めて殴り飛ばす。

 

 

「オレは妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツだ!!! オメェなんか見たことねぇ!!!」

 

 

「なっ!!?」

 

 

「え? 妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!? ナツが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士!!?」

 

 

ルーシィが驚愕していると、男達の目にナツの右肩の紋章が目に入る。

 

 

「な……! あの紋章!」

 

 

「本物だぜボラさん!!」

 

 

「バ…バカ! その名で呼ぶな!!」

 

 

本当の名前を言われたサラマンダー…ボラはうろたえる。

 

 

「ボラ…紅天(プロミネンス)のボラ。数年前『巨人の鼻(タイタンノーズ)』って言う魔導士ギルドから追放されたヤツだね」

 

 

「あー…確か魔法で盗みを繰り返して追放された子悪党だったわね」

 

 

「オメェが悪党だろうが善人だろうが知った事じゃねえが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を語るのは許さねえ」

 

 

「ええいっ!! ゴチャゴチャうるせえガキだ!!!」

 

 

その瞬間、ボラが放った炎に包まれるナツ。

 

 

「ナツ!!」

 

 

「次はテメェらだ! 全員捕らえろ!!!」

 

 

ボラがそう指示を出すと、男達が一斉に三人に襲い掛かる。

 

 

「くっ……!」

 

 

それを見たルーシィは鍵を構えて戦おうとするが……

 

 

ドォン! ドォン! ドォン!

 

 

「「「ぐあぁぁぁぁあ!!!」」」

 

 

「っ!?」

 

 

突然銃声が鳴り響き、撃たれた男達が床に転がる。

 

 

「ティ、ティアナ……?」

 

 

ルーシィは撃った人物、ティアナを見る。そのティアナの両手には二丁の銃が握られていた。

 

 

「安心しなさい。魔法で作った弾丸だから死にはしないわ」

 

 

そこでルーシィは気がついた。先ほどまで服で隠れていたが、ティアナの右の太ももにナツと同じ紋章が刻まれていることに。

 

 

「ティアナも…妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士!!?」

 

 

「まぁね。それと、ナツはその程度じゃ死なないわよ」

 

 

「何を言って……」

 

 

「まずい」

 

 

「「!!?」」

 

 

すると、炎の中からナツの声が聞こえてくる。

 

 

「何だコレぁ、お前本当に火の魔導士か? こんなまずい火は初めてだ」

 

 

もぐもぐと火をまるで食べ物のように食べているナツを見て、ボラとルーシィは絶句している。

 

 

「ふー…ごちそう様でした」

 

 

「な…なな…何だコイツはーー!!?」

 

 

「火……!? 火を食っただと!!?」

 

 

「ナツに火は効かないよ」

 

 

「こんな魔法見たことない!!」

 

 

「食ったら力が湧いてきた!! いっくぞぉぉお!!!」

 

 

そう言ってナツ大きく息を吸い込む。すると、一人の男が思い出したように声を上げる。

 

 

「ボラさん! オレぁコイツ見た事あるぞ!!!」

 

 

「はぁ!!?」

 

 

「桜色の髪に鱗みてぇなマフラー…間違いねェ!!! コイツが…本物の……」

 

 

 

ドゴォォォォォォオン!!!!

 

 

 

そこから先は言う事は出来ず、全員ナツの吹いた炎に吹き飛ばされた。

 

 

火竜(サラマンダー)……」

 

 

代わりにルーシィが呟くように言った。

 

 

「よーく覚えとけよ。これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の……」

 

 

ナツは拳に炎を纏い、それをボラに向かって思いっきり……

 

 

 

「魔導士だ!!!!」

 

 

 

振り下ろしたのだった。

 

 

「火を食べたり、火で殴ったり、本当にこれ……魔法なの!!?」

 

 

「ま、確かに色々規格外よね?」

 

 

「竜の肺は焔を吹き、竜の鱗は焔を溶かし、竜の爪は焔を纏う。これは自らの身体を竜の体質へと変換させる太古の魔法(エンシェントスペル)

 

 

「なにそれ!?」

 

 

「元々は竜迎撃用の魔法だからね」

 

 

「…………あらま」

 

 

滅竜魔法(ドラゴンスレイヤー)!! イグニールがナツに教えたんだ」

 

 

「ま、竜が竜退治の魔法を教えるって言うのも変な話なんだけどね」

 

 

ティアナがそう言うと同時に、ナツは戦いながら外へと飛び出していた。

 

 

滅竜魔法(ドラゴンスレイヤー)…すごい……すごいけど……やりすぎよぉぉぉぉお!!!!」

 

 

大暴れするナツを見て、絶叫するルーシィ。既に港は半壊状態となっていた。

 

 

「あい」

 

 

「『あい』じゃないっ!!」

 

 

「はぁぁ……またマスターに怒られる……」

 

 

三人の中でティアナは一人頭を抱えていた。すると……

 

 

「こ、この騒ぎは何事かねーー!!!」

 

 

「軍隊!!!」

 

 

どうやらこの騒ぎを聞きつけて軍隊がやって来たらしい。それと同時に、ナツはルーシィの腕を持って走り出した。その後ろにティアナとハッピーも続く。

 

 

「やべ!! 逃げんぞ」

 

 

「あーもー! ナツと出掛けるといっつもこうなんだからーー!!!」

 

 

「なんであたしまでぇーー!!?」

 

 

「だって妖精の尻尾(オレたちのギルド)入りてぇんだろ?」

 

 

「っ……!」

 

 

「来いよ」

 

 

「歓迎するわよ」

 

 

「あい!」

 

 

そう言ってナツ、ティアナ、ハッピーが笑いかけると……

 

 

「……うん!!!!」

 

 

ルーシィは嬉しそうに頷いたのだった。

 

 

 

そして、そのまま四人は軍隊から逃げて行った。

 

 

 

新しい仲間と共に……

 

 

 

 

 

つづく


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