欲望にはチュウジツに!   作:猫毛布

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息抜き(7500字

落ちたな(確信


まじょさいばん

 学年別トーナメントは実に悲惨な結果に終わった。一回戦を終えることもなく、中止になった。

 

「イヤー、オリムライチカは強敵でしたね」

「ふーん」

「なあ、頼むからもっと普通に反応してくれよぉ! こうやって椅子に縛られてる俺を見てもっと反応してくれよぉ!!」

「さあ、キリキリ吐いてもらいますわよ?」

「穂次は僕との戦闘時は手を抜いていたのかな? アハハ」

「ヒッ……お二人様、その笑顔が恐ろしいデスヨ! 助けて一夏!」

「鈴にパス」

「じゃあ箒よろしく」

「吐け」

「ひぇッ……俺に、俺に味方はいないんですか!?」

「アンタの味方は今保健室よ」

「あ……」

 

 ドコから持って来たのかしっかりと編みこまれた縄に胴体を腕ごと巻き込んで縛られている俺。丁寧なことにしっかりと手首で腕同士も縛られている。もしも俺が忍者であってもコレは逃げれないだろう。つーか、小市民的にはセシリアさんが縄を持ってきた時にちょっとだけ期待したんだぞ!! そういうプレイかと思ったわ!!

 

「つーか、なんで縛られてんのさー。ここまで縛られるのって久しぶりなんですけどー」

「むしろ前に縛られたことがある事がドン引きなんだけど……」

「クックックッ! 政府のヤツらがこの俺様を恐れてしまってなッ!!」

「あ、そう」

「ふぇぇ、もっと構ってよぉ! 鈴音さぁぁぁん!!」

「うっさい。変態」

「縛られてるのは本意じゃねぇんですけどー。むしろ俺を縛った人達の方がそう呼ばれて然るべきなんじゃないッスかねー!!」

「現行犯なら何をしてもいいんだよ?」

「魔女裁判もビックリな理論を突然言わないでくれますかね!? 流石に現行犯逮捕でもコッチの人権とかあるんだぞ!! 俺に人権はありますか?」

「ないだろ」

「ないわ」

「あるわけがないだろう」

「ひぇっ……」

「さあ、穂次さん。さっさと色々教えてくださいますか?」

「……いやぁ、セシリアさんにソコまで求められると男冥利に尽きるといいますか、照れると言いま――」

「穂次さん費やす時間はあまりありませんので」

「あ、ハイ、ゴメンナサイ」

 

 果たしてこれ以上引っ張ると実力行使という名のソレに行き着くのだろうか。セシリアさん相手に俺が勝つ事が出来るのだろうか。無理だ。開始五秒以内で消し炭にされる。

 というか、ロープのチクチクが肌に当たって痛いんですけど。もっと受け手の事を考えてほしい。いや、コレも新しいプレイなのだろう。そうなんですね!

 

「穂次さん?」

「何も考えてませんよー。やだなぁー。俺は常におっぱいの事しか頭にありません!!」

「…………」

「うへぇ。女性陣の視線が痛いよォ! つーか、俺が答えれることなんてないッスよぉ」

「武装は盾だけではなかったんですの?」

「盾だけだよぉ。俺は悪い変態じゃないよぉぷるぷる」

「ねぇ、穂次。一発だけ殴ってもいい?」

「ふぇぇ……貧乳じゃなかったら二つ返事だったよぉ」

「殴るわ」

「待て鈴、落ち着け」

「離しなさい一夏! アタシはアレを精一杯殴るのよ!!」

「やーい! やーい! ホモに止められてやんのー!!」

「全部話し終わったら四発ぐらい殴っていいから」

「……そうね。我慢するわ」

「俺の安全保障とかってないんですかね……リアルサンドバックは怖いんですけど」

「安心しなさい。ちゃんと見えないようにお腹を殴ってあげるから」

 

 いい笑顔で恐ろしいことを吐いてるぞ、あの貧乳め。つーか、発想が苛めっ子のソレなんですが……。

 未来の予定が一つ決まって胃の内容を思い出している俺の目の前に可愛らしい顔がドアップで見えた。その顔は少しだけムッとしていて、やっぱりイイ匂いがした。

 

「穂次さん? わたくしの質問はちゃんと答えて下さいまし」

「へ、へい! つーか、近いッス! 綺麗な顔が近くて俺の心臓がドクドク言ってっから!」

「へ、きゃぁ!」

「ふべっ」

 

 乾いた音が響き、俺の頬に何かが炸裂した。目の前に居たセシリアさんが手を振りぬいて、更にはしまったという顔をしている。

 

「え、あ、申し訳ありません! その、今のは――」

「もっと! もっと叩いていいんですよ!! グエッヘッヘッヘヘ」

「…………」

「おぉおう……マジで汚物でも見てるような目になってる」

「セシリアも悪いけど、基本的には穂次も悪い」

「ソレを一夏が言うのもだいぶ問題だと思うんだけど?」

「え?」

「それで、えっと、隠し剣『鬼の爪』だっけ?」

「ああ、アレのことか。クックックッ、良くぞ聞いてくれました!」

「どうせ禁則事項とか言うんだろ」

「ネタバレいくない!」

「話すつもりはありませんのね……」

「待って待って、ちゃんと説明するから。 そもそも村雨のシールドって特殊兵装なんだよ」

「……そういえば、以前もそんな事を言ってましたね」

「そうそう。セシリアさんを助けた時ね。 シールドの機構の詳細は説明出来ないけど」

「まあソレは機密だろうし」

「いや、俺が馬鹿だからさっぱりわからん!」

「穂次だもんな」

「どうしてソレで納得するんですかね……まあ、いいんだけど」

「それで? あの盾は何なのよ」

「ビックリドッキリギミックシールドだな!」

「…………」

「ヒッ……真面目に説明するよぉ……」

 

 そろそろふざけ過ぎたのか篠ノ之さんの額に四つ角が浮かんでいる気がする。本当に恐ろしい。具体的に言えば織斑先生半分ぐらい怖い。ギリギリ人のラインかもしれない。

 

「あのシールドは――衝撃を全部エネルギーに変換して貯蓄してるんだよ」

「は?」

「もっと正確に言うと、エネルギー物を吸収して村雨のエネルギーとして溜め込んでる」

「ちょっと待ちなさい。という事は、アンタに攻撃すればするだけ」

「シールドで防げば全部俺のエネルギーだッ!」

 

 実際はもう少しややこしい制約もある。エネルギーの吸収量だとか、還元率だとか……。そもそもセシリアさんを守る時に盾が使えなかったのは貯蓄量的な問題とかもあった。いや、大半が俺の力量不足だろう。そんな理由は隠しておこう。

 

「まあ、理論上では負けない機体ってのが村雨だなー」

「理論上? エネルギーが尽きなきゃ負けないだろ」

「無理無理。もう一回言うけど、盾で防がなきゃエネルギーも回復しないし、俺のお粗末な機体制御だったら後ろ取られて即オチ2コマだな! 相手には勝てなかったヨ!」

「おいやめろ」

「一夏が反応した……だと!?」

「お前は俺のことをホモか何かだと……思ってたなコノ野郎」

「というより、あのISを相手出来てた穂次だったら簡単じゃないの?」

「あー、まあアレはほら。うん。俺に封印された邪龍とかが」

「はいはい、嘘はいいから」

「ひぃ、鈴音さんがノッてもくれないよぉ」

「……僕との戦いでは手を抜いてたって事だね?」

「それは断じて違うぞ。俺はずっと本気だった。つーか、シャルルってスゲーわ。こっちの攻撃全然あたんねーし、スグに距離取られるし、近付いたと思ったら簡単に捌かれるし。いやー、勝てる気しないッスなぁ」

「お世辞で逃げれると思ってるの?」

「ヒェッ……まあ本当に俺の実力はアッチなんだよー。ボーデヴィッヒさん(仮)(カッコカリ)を相手に出来たのは――」

「出来たのは?」

「……村雨のお陰かな」

「所詮は性能か」

「アッハッハッ、そゆことー」

 

 どこか納得をしてなさそうなセシリアさんと鈴音さん。篠ノ之さんは興味を無くしたのか、それとも別の何かを考えているのか、アゴに手を当てている。おっぱいが腕で寄せられてて最高だと思う。思わない?

 へらへら笑って周りを見れば一人だけ俺のことをジィーっと見ているシャルルがいた。そんなに見つめると、穴が空いちゃうぞ!

 

「ん? どうしたのさ」

「ふふ、別にー」

「ソレよりさ、この縄を解いてもらえないッスかね? 事後処理とかでピリピリしてる鬼に見つかったら死ぬかも知れな――」

「ほう、随分といい格好だな、夏野穂次」

「ヤッベー!! チョー美人な織斑先生じゃないッスかー!! カッケー! スゲー!」

「コレを持って行くぞ」

「あ、ハイ」

「俺の許可は!? ねぇ!! 俺の許可は!?」

「待って下さい織斑先生!」

「なんだ凰」

「さっすが鈴音さん! 助けて! 今背凭れ持たれて連れ去られそうな俺を助けて!!」

「穂次を一発、いや、七発ぐらい殴ってからでいいですか?」

「あっるぇ!? 殴られるのはいいけど何か増えてないですかね!? つーか、止めるのはいいけど他にあっただろ!」

「……明日にしろ。生憎コレに振れる仕事が結構残ってる」

「わかりました」

「俺に振れるって事は山田先生でも対処出来るじゃないッスかヤダー!! つーか、俺が殴られることは確定なんスかね!?」

「当然でしょ」

「アッハイ……」

「もういいな。持って行くぞ」

「あ、完全に荷物扱い、っていうか引き摺らないで!? ケツが! 段差でケツが死んじゃう!?」

「そうか」

「そうですよ!! くっそ、誰か! 誰か鬼語に翻訳して下さい!!」

 

 俺が先ほどまでいた部屋の扉は無情にも閉じられた。誰も俺を助けてくれない! ちくしょうめ!!

 

 

 

「……さて、阿呆。お前も治療せねばならんだろう」

「いやん。俺は何も問題ねーッスよー」

「阿呆。全身の筋肉をあれほど酷使して何を言うか」

「あっはっはっ。お陰で痛いのなんのって」

「何の準備もなく閉じるからだ」

「そうッスねぇ。でもそうしないとアレは対処出来なかったでしょー」

「……それで、過去の私と戦ってどうだった?」

「あー、やっぱアレってブリュンヒルデだったんスか?」

「……さぁ、どうだったかな」

「ソウデスヨネー。 まあ、アレですなぁ。何処かの鬼の特訓のお陰で対処は出来た、って感じです」

「ふんっ。幾ら物覚えが悪くても身体に叩き込めば問題なかったか」

「いやー、明らかにトラウマレベルなんですがソレハ……」

「知らん」

「アッハイ」

 

 この鬼のお陰で勝てた、というか、なんとか引き分けにもっていく事も出来た。たぶん、初見だったら全部回避不可能だったと思う。いや、どうだろう。なんとか全部防ぐ事も出来たかも知れないが、ソコは俺の知るところではない。

 

「しっかし、負けちゃいましたー」

「…………」

「シャルルも強いし、あのまま続けてたら一夏にだって負けてたでしょうねー」

「…………」

「いやーアッハッハッハッ……悔しいッスなぁ」

 

 それだけは確かであった。

 どれほど頑張っても、ソコまでにしか到達出来ない。コレでも一夏の動きは全部見ていたつもりだった。それでも追いつくことが出来なかった。

 コレでも血を吐き出す程度には特訓を繰り返した。それでもシャルルに攻撃を一度すら当てる事が出来なかった。

 相性が悪い?

 機体性能差?

 

 おいおい、そんなモノは理由にならねーぜ?

 

「あー…………ホント、悔しいッスなぁ」

 

 ガリガリと椅子の足が擦れる音の中、俺の弱音だけが廊下に小さく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

 

「ただいまー。いやー、あの鬼。マジで仕事沢山振りやがった」

「あはは……おかえり」

 

 穂次がぐったりとした様子で部屋に戻ってきた。あの口からは鬼斑血冬様への恨み言を吐き出しているのだが、それら全ては鬼の耳に届くことはない。たぶん。

 シャルル……いいや、シャルロット・デュノアは苦笑してふと数分前の山田先生の言葉を思い出した。

 

「そういえば大浴場が使える様になったんだって」

「ほう……つまり女の子の残り湯で一風呂浴びれる訳ですな!」

「穂次のそういう所、嫌いだよ」

「おぅ……そうやって真顔で言われるのが一番ダメージあるわ……」

「そっか。覚えとくね!」

「ヒェッ……」

 

 穂次はあのISと戦えた事の理由を『ISの性能のお陰』と言ったけれど、シャルロットは彼の努力を知っている。そもそも彼を教えているのは織斑千冬であって、そして今日戦ったのはその織斑千冬のコピーである、という事は一夏が証明をしている。

 そこから導き出される答えは、結構簡単で、それこそ穂次の努力全てがあの戦いに出ていたのかも知れない。

 けれど、そうなれば自身との戦いに納得がいかなくなる。なんとも、ちぐはぐだ。

 努力を隠す様に、テキトウな理由を言った穂次をシャルロットは不思議に思う。きっと何か特別な理由でもあるのかも知れないが、ソレならば織斑千冬がアノ場を自分に見せる事は無かっただろう。

 

「穂次は大浴場に行かないの?」

「まあ、シャルロットさんも行かないんだったら、同室の俺が行くのも変だろ」

「今なら一夏と一緒に入れるんだよ?」

「その情報で一気に行く気が無くなったんですがソレハ……」

「逆に考えて、穂次が行けば私も行くしかなくなる訳で」

「ソノ手があったかッ!!」

「行くの?」

「……まあ、また次の機会でー。シャルロットさんのおっぱいは見たいけどな!」

「……ふーん」

「何、その複雑な顔」

「別にー」

 

 本当は入りたいくせに、とはシャルロットの口からは出なかった。その全てではないだろうけど、穂次の言葉は冗談めいているがシャルロットの為を考えて言っている事が大半だったりする。実際に行かない、と言ったのもシャルロットが不審に思われない為だろう。

 冗談が混ざっているお陰で素直にお礼は言えないけれど。本当に、わからない人だ。

 そんなワカラナイ人がふと、何かを思い出した様に自分のポケットの中を弄る。

 

「何してるの?」

「いや、えっと。あったあった」

「記録メモリ?」

「クックック……」

「……盗撮は犯罪だよ?」

「違う!? 断じて違うから!?」

「弁明は織斑先生が聞きます」

「魔女裁判になっちゃう!?」

「それで、被告人。それは何かな?」

「聞いて驚きたまえ。コレはシャルル君の罰ゲームの為に用意したモノだ!」

「…………?」

「あ、ホントに忘れてるヤツだな、コレ」

「罰ゲーム?」

「忘れたとは言わせんぞぉ。俺を女装させて登校させようとした事実を!!」

「……ああ、え? ホントにしてくれるの?」

「違ぁう!! どうして賭けに勝ったのに俺が女装するんだよ!? 男だぞ! 男に女装させて誰が喜ぶんだよ!?」

「いや、穂次は線も細いし、化粧もしたら意外と……。あと一夏は喜びそうだけど?」

「いや、喜ばねぇだろ……アレは男が好きなホモなんだぞ!!」

「穂次も一夏のことが……ほら、あの戦いで息の合った行動してたし」

「いや、アレは、うん。まあソレはいいんだよ! そっちじゃなくて、シャルロットさんには女の格好をして登校してもらいます!!」

 

 何言ってんだ、コイツ。というのがシャルロットの反応である。当然である、なんせシャルロットは自身の所属する企業、更には自身の名前を連ねる家の命令で男装までしているのだ。ソレが単なる口約束で覆る訳がない。

 

「無理でしょ。一応、命令だし」

「クックックッ! 罰ゲームは絶対だ! 古事記にもそう書いてる」

「書いてないから。というより、ソレとその記録媒体に何の繋がりが――」

「俺のデータがこの中には入ってます!」

「…………は?」

「俺のデータがこの中には入ってます!!」

「いやいや……えええ? うん、ちょっと待ってね? ふぅ、危ない危ない、殴りそうになった」

「えぇぇ……どうしてそんな選択肢が出てきたんですかね……」

 

 シャルロットの言葉に怖がっている穂次は放置して、シャルロットはどうにか頭を落ち着ける。ついでに溜め息をしっかりと吐き出した。

 何かの空気を感じたのは穂次は既に正座の体勢である。

 

「あのさ、私が言うのもオカシイけど君のデータは国家機密でもオカシクないの。わかる?」

「セカンドだもんね!」

「わかってるならどうしてそのデータを軽々と人に渡すのかなぁ」

「……殴る選択肢はどこから出たんですかね」

「愛の鞭」

「俺、愛されてたのか……ちょっとキュンッてした」

「家畜にも愛は必要でしょ?」

「あ、ソウッスネ……」

「それで、なんでそんなモノを軽々と渡そうとするかな……馬鹿なの?」

「馬鹿ですよー」

「……」

「まあまあ。落ち着くんだシャルロットさん。ISの拳は流石に死ねる!」

「それで?」

「罰ゲームだし、仕方ないよね!! 待て待て、死ぬから! アサルトライフルも死ぬから!!」

「…………次は無いよ?」

「ハィ……。 まあ、アレですなぁ。シャルロットさんが女の子として学校に通うにはどうしたらいいかと愚考した訳ですよ」

「それで?」

「とりあえず、シャルロットさんが男装している理由を考えた訳ですな。 まあ俺か一夏と仲良くなってデータゲットだぜ! ってのは前の愚痴でボロボロ出てたし」

「あー……」

「それで、コレをプレゼンツ!! やったね! シャルロットちゃん! 女の子で登校できるよ!」

「いやいや、その理屈はオカシイ」

「何がおかしいのさー。コレでも必死で考えてたんだぞー」

 

 ソレは……ちょっとだけ嬉しかったりする。

 このふざけた存在が、努力をし続けている人が、自分の為だけを考えてくれていた事はとても嬉しい。けれど、ソレが余計に辛い。

 

「でも、穂次はソレでいいの?」

「何が?」

「穂次のデータが誰かに流れるんだよ?」

「んー、まあ、ソレはどうでもいいんじゃない?」

「は?」

「シャルロットさんが気にする内容じゃねぇって事ッスよ。つーか、俺はシャルロットさんがちゃんとスカート履いてる姿が見たいだけなんだゼ☆」

「ホント……台無しだね」

「そうそう。だから気にせずに持っていけばいいんだよ。コレでシャルルは消えて、シャルロットさんに戻ってみんなハッピー。俺もスカート姿のシャルロットさんを見れてハッピー。ほら、何も問題ない。

 だから、泣かなくてもいいんですよー」

「泣いてなんか、ないよ」

「そうだなー。まあきっと裏切るって辛いと思うんだよ。だからそんな重荷はココで捨てて、普通の女の子としてIS学園に通えばいいさ」

「……でも」

「デュノア社への言い訳? んなモノ、セカンドは女の子が好きでハニートラップにチョロイとか言ってれば問題ねーですなぁ」

「ふふ……そうだね」

「おう。実際チョロイしな。おっぱいとか見せたら情報ボロボロ出て行くよ!」

 

 キリッと格好をつけたように顔を決める穂次。その穂次の胸で溜め込んでいた気持ちを瞳から緩やかに流すシャルロット。

 果たしてこのままシャルルのまま進んでいて彼女の精神は保つことが出来たのだろうか、いいや、きっとドコかで壊れてしまうだろう。綻びが生まれない様に気を張り続け、そして得た情報を流していく。正しくソレは裏切りであり、精神的に落ち込んでしまうだろう。結果的に綻びが生まれてしまい、そして壊れてしまっただろう。

 

「ありがとう、穂次」

 

 だからこそ、シャルロットは夏野穂次という人物に惹かれてしまった。

 最初は感謝だったのかも知れない。けれど、ソレは確かにプラスの感情であり、そして彼の事をもっと知りたくも感じた。不恰好なヒーローは驚く程に滑稽で、けれどもやっぱり格好良かった。

 

「おう。俺もありがとう! ただありがとう!!」

「?」

「この柔らかい感触をありがとう!!」

「…………」

 

 やっぱり、不恰好な変態は格好悪かったのかも知れない。




>>腐ランスさん「一夏と息が合ってたじゃないか!!」
 説明は難しいけど、男の子同士で強敵に立ち向かうってなると、ああなる。



>>村雨の盾に関して
 エネルギー吸収型の盾。物理攻撃に関しては衝撃をエネルギーとして、光学兵器に関してはその熱量をエネルギーに変換して盾自体に貯蓄してます。一定量を超えるとギミックが発動でキます。
 村雨本体と常に接触しているのはエネルギーのバイパスを繋いでいる為。盾に貯蓄したエネルギーでIS本体のエネルギーを回復する事も出来る。ただし変換率が最悪。
 理論上は絶対に負けない機体。当然、穂次が言ってる通りに盾で防げなくては意味のない機能である。
 吸収の為に何かしらのエネルギーを用いている訳でもないので零落白夜も理論的には吸収可能であるし、内部に保存されたエネルギーが消費されることもない。
 絶対に負けない機体であり、勝てない機体でもある。

 ちょっとでも強いと思った人はきっと光速に近いレーザー兵器も音速よろしくの弾丸も、自身に迫る凶刃すらも全部防ぎきる自信があったり、自分から当たりに行くという行為が出来る人なのでしょう。
 穂次がISを手に入れた時にかなり嫌気が差していたのはソレが理由。自分から危険に突っ込むとか言わせていた気がしないでもない。

>>『瞼を閉じて』の副作用
 副作用、というよりは反動みたいなモノだと思っていただければと思います。
 アレは機体スペックにモノをいわせた行動なので、人間が着いていくにはかなり無理のある挙動をしていたりします。結果的には穂次の身体はボロボロな訳ですね。
 千冬さんがわざわざ『閉じるな』と言い聞かせていたのはその為。


>>コレカラサキ
 やっとシャルルォオット(巻き舌)も終わったので、セシリーの絡みを増やしていきます。ダブルヒロインって言ってるけど、実際のヒロインは穂次君ってはっきりわかんだね。乙ゲーして学ばなきゃ……。
 乙女してる穂次を書ける気はしないけど、グイグイ押してくる英国さんと仏国さん相手だと自然とヒロインになりそうですね。

 よし、おっぱいを触るにはどうすればいいのか考えなければ!!

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