恋姫†有双 (生甘蕉)
<< 前の話 次の話 >>
十七話   NTR?

 反董卓連合の戦いは終わった。諸侯はそれぞれ自分の領地へと帰っている。
 董卓ちゃん、賈駆の保護は華琳ちゃんの性癖が役にたった。
 洛陽で可愛い娘を見つけて侍女にしたってことにしたんだけど、「またか」ってのが周囲の反応だったらしい。この二人は武将、軍師としてより侍女として欲しがってた気もするから間違いじゃないだろうし。
 もちろん董卓と賈駆の名は捨ててもらって、真名を名乗ってもらっている。
 詠ががんばっているので月ちゃんの貞操はまだ無事みたい。

 呂布は月ちゃんと動物たちの保護を条件に華琳ちゃんに降った。
 これでもう、いくら一刀君が蜀ルートでも簡単には負けない気がする。
 でも、蜀ルートってことはラストの五胡にも備えなきゃいけないのかな?
 その前に干吉たちがいつ暴れるのかわからない。今回まだ白装束とか見てないし。貂蝉か卑弥呼がいれば話を聞けるかもしれないけど、華佗が一緒じゃないのに漢女だけに会えても嬉しくない。

 華雄はまだ治療中。華佗がいればもっと早く治っているんだろうな。



 俺はといえば、凪たちの隊長にされたように何故か真魏一刀君の役割にされてるっぽい。
 警備隊長とかシスターズのプロデューサーとか、どうしろってのさ。
 ……最後まさか、俺が消えるENDってのは嫌だなあ。
 とりあえず華琳ちゃんには真魏一刀君の案を相談。予備部隊な警備兵とか、交番みたいに詰所の増設とか。


 シスターズに顔見せの日。
「不合格」
「うんうん。こんな趣味悪いおじさんが世話役って駄目だよねー。なんで今更言い出すかなー?」
 今更ってのは俺も思う。……俺が帰ってくるの待ってたのか?
「姉さん。曹操さまが派遣した世話役を気に食わないからっていきなりクビとか無理」
「絶対にイヤ!」
 うーん。アレしかないんだろうけど嫌だなあ。このまま別の人に代わってもらおうかな?
 次は幽州行って公孫賛をスカウトしに行きたいから、スケジュール的にキツいし。

 公孫賛を保護しに行くのと、シスターズの世話役、どっちを代役頼もうかと悩む。
「姉さん。曹操の婿は覚えている?」
 ああ、あの宴会ん時シスターズもいたっけ。
「うん。すっごい格好いい男の人っ! だよね。もちろん忘れるわけないよー」
「あれは素適よね。言うことも演劇の舞台みたいだった」
「それが」
 眼鏡を光らせて俺を指差す張梁。
「これ」
 むう。俺も光らせようかな?

「嘘。こんなだったっけ?」
 なんとなく先の展開が読めたので距離をとる。
「……眼鏡外しなさい」
「絶対に嫌だ」
「えー……つまんない」
「我慢してよ」
 なんとか世話役として認められたみたい? 苦労しそうだな。


 沙和に泣きつかれて新兵訓練の相談。
 そういや虎牢関の指揮でも沙和はまだ軍曹っぽくなってなかった。
 他の方法も思いつかないので海兵隊式を伝授する。
 真魏一刀君に倣って特製新兵訓練用すらんぐ辞書を作成した甲斐もあって上手くいった。


 俺がやりたかった季衣ちゃんのお手伝い。
 ねねが親衛隊についたせいか、そんなには無かったけどやっぱり書類が溜まっていた。
「えへへ……」
「もう。笑ってごまかさないの!」
 シスターズ事務所と警備隊の往復というここ数日のハードスケジュールで疲れている俺を見かねたのか、流琉とねねも手伝ってくれている。
「ここ間違っているのですぞ、兄殿」
 膝上のねねに指摘される。書類を手伝って貰っている礼としてねねと流琉に俺の膝を譲った季衣ちゃん。
 片膝に一人ずつ座っている。俺としては嬉しいんだけどそんなお礼でいいの? ……疲れ●ラもあって、少女の柔らかさや香りに反応しそうなのを必死に堪えた。



 ……なんだろ? なんか暖かくて気持ちいい……。
「ん。……寝ちゃってたのか、俺。ここは……風呂か。暖かいわけだ」
 風呂で寝ちゃったのか。最近睡眠時間少なかったもんなあ。溺れなくてよかった。
「む?」
 おかしい。風呂に入った記憶がない。ボーナスばれを防ぐために風呂は極力避けているはず。
 覚えているのはやっと季衣ちゃんの手伝いが終わって……二人を膝の上に乗せたまま寝ちゃったのかな?

「あ、起きた。兄ちゃんおはよー」
「おはよう……じゃなくて! なんで裸!?」
 俺も季衣ちゃんも裸だった。
「お風呂なんだもん。服着てたら変だよ」
 そうなんだけど、そうじゃなくて!

「兄様寝ちゃったから。兄様のお部屋に運ぼうとしたんですけど」
 一応、今回は始めから城暮らしな俺。
「座っている間、匂いがずっと気になっていたです。兄殿、匂うのですぞ!」
 そりゃ秘密があるから風呂なんて滅多に入れないし、忙しくて身体を拭いてもいなかったけど。
 ……まさか加齢臭じゃないよね? そこまでおっさんじゃ……。思わず耳の後ろを擦って、指の匂いを確認。
 うん。大丈夫。
「流琉、ねねまで……」
 さらに裸の美少女二人追加されたら疲れ●ラが……ってやばい!

「見たのか?」
「にゃ?」
「俺の服を脱がしたのは誰だ?」
「はーい。なんか兄ちゃんのおち●ちんが増えてるんでびっくりしちゃった」
「びっくりってそれだけ?」
 気味悪いって嫌われていないのが不幸中の幸いだけど、なんという迂闊っ! まさか季衣ちゃんたちにばれるなんて。

「季衣ちゃん、流琉、ねね。頼むからこのことは秘密にしてくれ!」
「兄様?」
「華佗が見つかるまででいいんだ。それまででいいから黙っていてくれ!」
「何故なのです?」
 正直に言った方がいいかな?

「二本だなんて気持ち悪いだろ。気味悪いって邪魔な一本切られちゃったりしそうでさ」
 ううっ、考えただけでも痛そうだ。
「兄ちゃん……ずっとボクとしなかったのってそのせい?」
「うん。嫌われたくなかった」
「よかったぁ!!」
 よくはないだろ! って季衣ちゃん泣いてる?

「兄ちゃんに嫌われたんじゃないかって……兄ちゃん、ボクの身体に飽きたんじゃないかって、ずっと不安で……」
 ああ、二人して嫌われるの怖がっていたのか。
「そんなワケないだろ」
 俺がロリっ娘を……季衣ちゃんを嫌ったり飽きたりするワケがない。湯船から立ち上がってそれを証明する。

「嫌いだったり飽きてたりしたらこんなにならないだろ?」
「あ!」
「ふぇっ!?」
「な!?」
 季衣ちゃんだけでなく、流琉とねねからも驚きの声が。流琉、両手で目を塞いでるけど指の間からしっかり見てるよね。

「兄ちゃんっ!!」
 季衣ちゃんのタックルで湯船に沈む俺。慌てて立ち上がる。
「ぶはっ。……季衣ちゃん、どこもぶつけてない?」
「うん」
 そんなに密着されると我慢できそうにないんですが。けど、二人が見てるんですが。

「兄ちゃん……」
 なんでこっち見て目え瞑ります? これってあれしかないよね?
 二人の視線を感じつつも季衣ちゃんと唇を合わせる。恥ずかしいから俺も目瞑っておこう。……む? なんか二人が近づいてくる気配が……。

「っ!?」
 突然の刺激に慌ててキスを止めて目を開く。
「に、兄様は気持ち悪くなんてありませんっ!」
「兄殿のち●こは気味悪くなどないのですぞ!」
「ちょっ、も、もっと優しく扱って」
「こ、こうですか?」
「あー! 二人ともずるい!」



「どうしてこうなった?」
 肉体的にも精神的にも疲労感でぐったり。なんで流琉やねねまで?
「そりゃあ兄ちゃんカッコいいもん」
「俺は地味なおっさん……って!」
 俺は眼鏡がないのに気づく。
「お、俺の眼鏡は?」
「お風呂に入るんで外しましたよ」
「脱衣所にあるです」
 くっ。またもや迂闊。ボーナスばれよりも先に気づくべきだった。まさか眼鏡ナシに慣れてきてるんじゃないだろうな?
 流琉とねねに手を出したのも眼鏡ナシのせい?
 ……いや、二人が可愛いからか。二人が好きだからであって眼鏡ナシは関係ない。

「絶対にこのこと秘密だからな!」
「うん!」
 ……無理だろうね。季衣ちゃんのこと信じてないワケじゃなくて、隠し事できそうにないもん。
 やっぱり幽州行ってこよう。華佗見つかるといいなあ……。




 華琳ちゃんと相談して幽州へ向かう俺。もちろん風呂でのことは秘密だ。帰ってくる頃にはばれてるんだろうけどさ。
 これから先はいつ干吉が現れるかわからないから、華琳ちゃんから親衛隊隊長の季衣ちゃん、流琉を離すわけにはいかない。
「護衛には呂布がいいのでしょうけれど」
 呂布と旅なら怖いものなしなんだろうけど、大きな問題がある。
「季衣ちゃんよりすごいもんな」
 武力だけではない。食費もだ。二人旅なんて無理でしょ。
 かといってたくさん兵について来てもらっても目立ちすぎる。行きはともかく帰りは袁紹軍のことを考えると目立たない方がいい。
 で、つけてくれた護衛が傷が癒えた華雄だった。
 ねねもついてきたがったが今回はかなり危険なので諦めてもらった。


 俺と華雄は幽州へ到着、公孫賛に挨拶する。一刀君のとこで会ったきりの俺を公孫賛は覚えていてくれた。
 そこに袁紹軍の襲来。で、道場行き。
 攻めてきた袁紹軍に華雄が突撃しちゃって、俺も巻き込まれて死亡。次はよく言っておこう。ねね連れてこなくてよかった。いや、連れてきてたら上手く言いくるめてたかな? ……無理か。
 緑髪義妹のフラグクラッシャー効果は手を出したせいで消滅したっぽい。リーさん義妹には手え出さなかったもんなあ。それまでは効いてたみたいだから誰か他に……詠あたりに義妹になってもらうしかないのかな?


 久しぶりの道場についたらまずは引継ぎを確認。
 うん。増えてない。
 え? 風呂で流琉、ねねと?
 湯あたりしたんでお口だけでした。他の人に見つかるのも困るしね。
 ……引継ぎの条件がまた絞れたかな。

 華琳ちゃんに袁紹に攻撃されてることを告げる。
「早く帰ってきなさい」
 なんかニコニコしてるな。表情だけで感情が読めないのが怖いけど。これは……うん。季衣ちゃんを見たら確信した。やっぱりばれちゃったのね。
「兄ちゃん……」
 言いにくそうな季衣ちゃんの頭を撫でてからロードした。


 華雄にはしつっこく言い聞かせ、俺の護衛優先。反董卓連合の主犯を前にして暴れたいのもわかるけどね。
 様子見してたら城はもう落ちそうで文醜、顔良と戦っている公孫賛を発見。二枚看板を見つけてまたも突撃しちゃう華雄。
 誰だこの人護衛にしたの。
 まあ、それで隙ができたんで公孫賛を確保。煙玉を使って脱出。真桜の代わりに言っておこう。
「こんなこともあろうかと、密かに製作を頼んでおいた」
 俺が逃げる時に役立ちそうだしね。
 華雄には合流場所伝えてあるから大丈夫。あの二人相手なら華雄が不覚をとるってこともないだろうし。


 華雄とは簡単に合流できた。引き際は覚えてくれたのかな。敵の数が多くて二枚看板討ち取れなかったって嘆いてたけど無事でよかった。
 それからが大変。落ちのびた部下たちと合流したいって公孫賛が主張したけど目立つからって諦めてもらった。
 大丈夫、きっと一刀君のとこ行ってくれるって。でも聞いたら一刀君、徐州の州牧になってるって。
 ああ、一周目ずっと幽州にいたから忘れそうだったけど、真じゃそうだったんだよね。きっと一刀君なら大丈夫だよ、多分。

 ……その考えが甘かったことを、華琳ちゃんの元へ帰った時に俺は思い知ることになる。



 華佗を探したり袁紹軍を避けてたりしたら遅くなってしまったけど、官渡の戦いには間に合ったようだ。
 戻ってきた俺は白蓮を紹介。うん、白蓮の真名は幽州から戻ってくる際に預かっている。
 華琳ちゃんも俺のいない間に増えた新しいメンバーを紹介してくれた。

 郭嘉と程昱。うん。予定通りこのタイミングで入ってくれたのね。これで軍師面は問題ないな。
 真名交換、まあ俺のは真名じゃないんだけどさ。の後、じっくりと観察される。
 クイっと眼鏡を持ち上げてる稟。そこまでマジ鑑定?
「あなたが噂の」
 ええと、どんな噂かあんまり聞きたくないんですが。
「このおっさんが絶世の美男子って情報操作もすぎるってもんだぜー」
 おお、これが宝譿か。うん。喋ってるように見える。……見えるだけだよね?
「情報操作?」
「華琳さまの夫が美形とした方がいい。と桂花ちゃんが判断したのでしょうねー」
「そんなもんなの?」
 絶世の、とかって桂花が流した風聞か!
「風も星ちゃんの話を聞いていなかったら信じられないとこなのですよ」

 星? そういえばさっきからこっち見てるね。……あれ? なんで居るの?
「一刀君のとこじゃないの?」
「せっかくお待ちかねの人物をお連れしたというのに。あまりに冷たいお言葉」
 星は呉で俺がずっと探していた華佗と遭遇したらしい。
 もしかして華佗探してくれていて、反董卓連合にこれなかったのかな?
「周瑜殿の治療で少々手間取ってしまったが、皇一殿の帰還に合わせた形になった。問題ありますまい」
「華佗が……見つかった?」
「うむ。後で診ていただくがよかろう。礼は身体で払ってもらいますぞ」
 うっ。でも、華佗を見つけてきてくれたんだ。……また後ろで誤魔化そう。

 ラッキー!
 華佗発見に浮かれる俺。しかし次の人物が現れた瞬間、その心が急速冷凍される。
「愛……紗?」
「皇一殿、お久しぶりです」
「なんで? どうして愛紗が!?」
 俺の質問に辛そうに顔を背ける。答えてくれたのは華琳ちゃんだった。
「通行料よ。北郷たちが私の領地を抜けるための通行料」

「ほ、北郷さんたちは袁紹さんから逃げるために、私たちの領を抜けて、益州に向かいました」
 雛里ちゃんの説明で理解した。ああ、そんなイベントもあったっけ。でも、あれは断られたはず。
 なんで? 真・魏ルートのあのイベントですら、劉備がその要求を断ったのに。
 劉備は愛紗を手放さなかったのに、一刀君は……。

「なに泣いてるのよ」
「一刀君がそんな……」
 だって、一刀君がそんな決断をしなきゃいけなかったのって、もしかしたら俺のせいだから。雛里ちゃんや星、呂布がいなくて蜀ルートのような行動がとれなくて仕方なくて。
「皇一殿……」
「あ、愛紗。力になれることなら協力するからさ。あんまり落ち込まないで!」
「は、はあ。……私より皇一殿の方が落ち込んでおられる……」
 辛いだろうに俺の方を気遣うなんて、なんて優しい娘だ。こんないい娘を……。
 一刀君なんで? 劉備がいないから?
 やっぱり君は俺たちと結婚式した一刀君と違うの?

 その場に居合わせた星は、それで一刀君に仕えるのを諦めたそうだ。
「別れ際に絶対戻ってこれるからなどと愛紗に言っておられた。が、いかに天の知識だか知らぬが片翼を落としてはもはや飛べまい」
 たしかに。愛紗ちゃんまでいなくて一刀君どうするのさ?


 その後、華佗に診察してもらって周回ボーナスの治療は無理だとわかった。
「結論から言おう。君の身体は二本であることが正常。だから治療は必要ない」
「はあ。……切るしかないんですか?」
「切るのも薦められない。切った後の管を塞ぐ処置が難しい」
 ああ、そうか。切っても穴は残るんだからそこから出ちゃうのか。なんで気づかなかったんだろ。
 義妹たちが気にしないって言ってくれてるし、切らないで済むとわかって絶望感は少ない。けど……一刀君の決断がショックでかいなあ。



 俺が落ち込んでいる間に官渡の戦いは終わっていた。
 袁術がいない袁紹軍だけの敵と、集まりすぎてる武将、軍師を誇る我が軍。真桜の投石機もあるし負けるワケがないのである。まあ、俺は一度死んじゃったけどね。
「いい加減しっかりなさい!」
 道場で華琳ちゃんに説教されてロードした後は、前線に出させてもらえず待機。護衛に愛紗をつける徹底ぶりだった。

 俺だけじゃなくて愛紗も落ち込んでいた。後で聞いたら文醜、顔良の二枚看板を討ち取って「これで通行料分の働きはした」って一刀君の元へ戻るつもりだったそうだ。ゴメンね。
 袁紹、そして文醜、顔良は白蓮、呂布、華雄の三人が捕獲した。呂布、華雄の真名はまだ預かってない。ねねはもう恋殿って呼んで懐いてたけどね。




 ぼうっと愛紗の鍛錬を眺める。相手をしてるのは季衣ちゃん。
 愛紗に構ってやってって季衣ちゃんに頼んだ。鈴々ちゃんに似てる季衣ちゃんなら少しは慰めになるかなって。
 ……鈴々ちゃん今頃大変だろうな。一刀君とこの唯一の武将になっちゃったし。

「まだそんな有様なの?」
 嘘!
 いたの華琳ちゃん!?
 この俺が愛する華琳ちゃんに気づかないなんて……。
「こっちの一刀君はさ、やっぱりあの、俺たちと結婚式をしたあの一刀君と違うのがわかってさ」
「何度もそう言ってるわ」
「俺は、記憶なんか引継がなくたって一刀君は同じだって思いたかったんだ。……今の俺と華琳ちゃんたちは結婚式してないからさ、記憶なんて不確かなものしか絆がない。そんな記憶なんてなくても、運命の絆は確かなものだって信じたかったんだ」
 華琳ちゃんたちも引継ぎしなかったら俺なんか相手にしてくれないんだろうな。……そりゃそうか。

「なにを夢見る乙女のような甘いことを。そんなに気にするなら北郷一刀も引継ぎさせればいいじゃない。雛里あたりが喜ぶわ」
「それは無理じゃないかな」
「……試したの?」
「男同士なんて試すわけないでしょ! じゃなくて、お口や尻じゃ駄目っぽい」
「そっちは試したのね」
 迂闊っ! なんか睨んでるし。
「流琉とねね?」
 季衣ちゃんからボーナスばれてるってことはその組み合わせは容易に想像できるわけで。まあ、尻は星なワケだけど。
 ……ボーナスばれてるのに華琳ちゃんはなにも言ってこない。やっぱ気持ち悪いのかな。閨にも誘われないし。俺は冒険の書が便利なだけでここにいるのかな……。

「ううーっ、また勝てなかったっ!」
「いや、今のは悪くなかったぞ」
 どうやら愛紗たちの鍛錬が一段落ついたらしい。季衣ちゃんが肩で息をしてる。
「季衣の相手はしてくれるのに、どうして私の相手は断るのかしら?」
「愛紗は頼られると弱いからね。華琳ちゃんのは命令とか、上から目線だったんでしょ?」
「私の方から抱いて下さいと頼めと?」
「いやそうじゃなくて、愛紗が同情するようなシチュエーションをさ」
「しちゅえーしょん?」
「えっと、……って、何アドバイスしてるんだ俺? 無し無し、今の無し。愛紗になにしようとしてるのさ!」
 またもや迂闊。落ち込んでる場合じゃないぞ俺。なんかやばいこと言った気がする。

「もう、いいところで。けれど……ふふっ。おかげでいい案を思いついたわ」
 なんだろう。嫌な予感しかしない。
「皇一、あなた以前星に性教育をしたそうね?」
 げっ。それまで知っているのか。
「……すごく大雑把でいい加減なものだよ」
「詠もね、あまり詳しくないらしいの。だから指導なさい。他の娘たちも集めて」
 ああ。詠もだったっけ。どんな状況で華琳ちゃんがそれを知ったか気になるな。
「俺が?」
「ええ。私も天の性知識は気になるわ」
「指導って……授業すればいいのかな? 天のって言われても俺専門家じゃないし……恥ずかしいし」
 無理じゃない? 華佗に頼んだ方がいいと思う。専門家だしそういうの恥ずかしがらないし。

「やりなさい。今のあなたには気分転換が必要よ。北郷一刀のことを一度忘れなさい」
 華琳ちゃんにそう言われるとそんな気がしてくるから不思議だ。……そんな気がした時点で正常な判断力なんてなかったんだけど。
「……わかった」



 で、なんとか資料を用意して授業に挑む。
「受けるんじゃなかった……」
 武将とか軍師勢ぞろいしてるんですが。愛紗や捕虜のはずの袁紹たちもいるし。

 深呼吸してから真桜に用意してもらった教壇に立つ。
「え、えー、これから始める授業は、いやらしいとされることも含まれますが、大事なことなので真剣に聞いて下さい」
 茶化されると俺が恥ずかしいから!
「授業内容は知ってると思いますが」
 カカッと同じく真桜作の黒板に『子供のつくり方』と書く。それを見て若干名が頬を染めた。
「簡単に言えば交尾です」
 以上、終わり。

 ……で済ませられれば楽なんだけどね。それじゃ華琳ちゃん許してくれそうにないし知っている知識で説明する。


「……で、精子を卵子が受精すると妊娠するわけです」
 ふう。こんなもんかな? あ、大事なこと忘れてた。
「女性には処女膜というものがあります。初めての行為で破れてしまうのですが、痛いらしい。そして! 一度破れたら再生しません。大事にして下さい! つまり……結婚する男性としかするな!!」
 これが言いたくて俺、この授業引き受けたんだよね。

 やっと終わった。と、そう思っていたら華琳ちゃんが立ち上がって教壇に立った。
「では、次に実物を見せるわ」
「はい?」
 なにそれ? 聞いてないんですけど?
 ガラガラと分娩台のようなものが運ばれてきた。

「麗羽、ここに寝なさい」
 そのために捕虜のこの人呼んでたの?
「なんですの? 変な形の寝台ですのね?」
「この形なら、麗羽を皆に見てもらえるのよ」
「私の美しさを見せるためなら仕方ありませんわねえ」
 やっぱこの人馬鹿だ。分娩台に横になると文醜、顔良により脚の固定及び、猿轡がかまされる。
「ごめんなさい麗羽さま」
「じゃ姫、下着も脱がせちまいますね」
 文醜によって丸出しにさせられてしまう袁紹。

「さあよく御覧なさい。これが女性器。ここに男性器が入るのよ」
 華琳ちゃんによってくぱぁされる袁紹。
 むぐむぐ聞こえるのは袁紹の声だろう。抗議してるんだろうな。まさか「美しい私を御覧なさい。おーほっほっほ」なんてことはあるまい。
「華琳殿。女性器は鏡で自分のを見ればよかろう。むしろ男性器の方を見せた方が勉強になるではないか?」
 言ってることはもっともだけどね。君は見たことあるでしょ。触ったでしょ。使ったでしょ、星!

「ふむ。星の言うことも一理ある。皇一」
「ま、まさか……」
「勉強のためよ。見せなさい」
 嫌だ、そう言う前に春蘭と秋蘭に捕まっていた。いつのまにか用意されているもう一つの分娩台。固定される俺。
「ちょ、ちょっと!」
「桂花」
「はい」
 俺のズボンを、下着を脱がす桂花。

「きゃっ」
「ひっ」
「あわわ」
「なっ」
 姿を現した俺の双刀に様々な悲鳴が上がっている。……もう駄目だ。涙が溢れて止まらない。

「皇一、なんですぐに相談しなかったの?」
「……二本あるなんて気持ち悪いじゃないか。華佗にだって治せないんだぞ、これ」
「それほど気にする程のことでもないじゃない」
 優しく俺の頭を撫でてくれる華琳ちゃん。……でも拘束はといてくれないね。おっさん縛ってなにが楽しいんだよう。
「手が三本とかあったらどう思う?」
「便利ではないか!」
 春蘭はそんな認識なのか。ありがとう。涙が溢れて止まらない。


「ふが……話に聞く双頭の蛇とはこんな感じなのでしょうか?」
 鼻に紙を詰めている稟。何を妄想したんだか。
「蛇には二本のち●ちんがあるらしいですよ」
「んじゃ、おっさんは蛇の化身かー」
 蛇? ヘミペニスとは違うはずだけど……。って、風いつのまにそんなに近くに?

「風だけじゃなくて、気になる者は触ってみなさい」
「ぶっ、なな、何を仰るんですか!?」
「気味悪く思ったら触らないでしょう? それが証明できるわ」
 ああ、俺のために華琳ちゃん……って、そのドSな微笑みは違うよね。絶対別の目的だよね。
「月。どう?」
 よりにもよって月ちゃん指名しますか!

「へぅ……こ、恐くはないです」
 それから結局、数人が俺のに触診? していった。
「さて、残るは」
「まだあるの!?」
 もう勘弁してよぅ。
「後は実演だけよ。皇一、麗羽を犯しなさい」
 なに言ってるのさ華琳ちゃん。

「嫌だ」
「ここをこんなにしたまま言っても説得力ないわね」
「っ! お、俺は抱いた女の子が他の男とヤるの嫌だって知ってるよね?」
「ええ。独占したいなんて随分と傲慢よね」
 そうなの?
 普通でしょ。

「さ、さっきも言ったよね。処女は大事にしなさいって!」
「たしかに麗羽も初めてね」
 もうわかっているくせに再度袁紹を確認してる。
「結婚する相手としか駄目と言っていたわね?」
「袁紹とも結婚しろって言うの?」
「身体は悪くないわ。馬鹿だけど」
 どういう評価だ。

「……袁紹に引継ぎのこととか説明できる?」
 俺には無理。春蘭に説明するのだって大変だったのに。
「無理ね。わかったわ。そのかわり、今夜閨にいらっしゃい」
「え?」
「十倍返し。期待してるわ」
「華琳ちゃん……」
 本当に気味悪いとかないのか。良かった。
「またすぐ泣くんだから」

 こうして俺は、えらい恥ずかしい目に会ったのと引換えに、ボーナスを隠すことを止めた。
 後で知ることになるのだが、どこから流れたのかそれとも情報操作か「双頭竜」って異名も増えた。なんか悪役っぽい。……アルトロン? 左慈と戦いそうで嫌だなあ。



 その晩、喜び勇んで閨に行ったら先客がいた。
「愛紗?」
「華琳殿に呼び出されました」
「え? なんで?」
 もしかしてやっぱり俺とが嫌で愛紗呼んだの?
 だが、そうではなかった。

「さあ、三人で楽しみましょう。二本とも使えるのでしょう?」
 すでにもう全裸待機の華琳ちゃん。……まさか真・衣装を脱いでるせいで愛紗を欲しがる無印の性格が強く出ちゃってるの?
「愛紗は見逃せってば」
「まだ北郷に気兼ねしてるの? 北郷はもう関羽を売ったのよ」
 そんな言いかたしなくても……ほら、愛紗俯いちゃった。

「それに関羽を呼んだのには理由があるわ」
「え?」
「私、皇一を殺すかもしれないもの」
「皇一殿を?」
 なんで?
 なんかロードしてやり直さなきゃいけないほどのミスやらかした?

「皇一、わかっているの? 私は初めてなのよ」
「それはわかってるって」
 うん。ずっとボーナスを隠してたから。ずっと俺我慢してきたから。
 華琳ちゃんが俺以外で処女喪失してるなんて考えてないってば!
「わかってないわ。初めては、初めてだってことが」
「あ!」
 そうか。今まで俺が華琳ちゃんの初めてを奪った時は全部、華琳ちゃんの意識がなかった。

「痛みに耐えかねて反射的にあなたを殺してしまうかもしれない……」
 華琳ちゃんの瞳に涙が光る。
「前みたいに縛ってからは?」
「皇一殿、それはあんまりではないでしょうか」
 愛紗がついフォローしてしまう。華琳ちゃんの涙が効いたのかな。
 ……まさか華琳ちゃんそれを狙って? 迂闊な俺のアドバイスが活かされちゃってるの?

「ありがとう。関羽がいっしょなら耐えられると思うの。でも……もし私が皇一を殺しそうになったら止めて」
「曹操殿……」
「華琳と呼んで」
「ならば私も愛紗と」
 あれ? いい雰囲気で真名交換すんじゃってるよ。

「あ、愛紗?」
「いいのです、もう……」
「駄目だって。なに言ってるのさ。一刀君に置いてかれたからってヤケになるなって。さっきも言ったよね? 処女は大事にしなさいって!」
「構いません。ご主人様の役に立てないこの身などどうなっても」
 ああ、こりゃ重症だ。マイナス方面に思い込んだ時は面倒っぽいなあ。人のこと言えないけど。
 ……っていうか、愛紗まだ処女だったのか。真・蜀一刀君だとこの時点で鈴々ちゃんとしかヤってないはずだけどさ、劉備もいないから拠点イベント進んでると思ったのに。雛里ちゃんもいないんで忙しかったのかな?

 一刀君。
 一周目の一刀君、ゴメンね。もう君はいなくなっちゃったから俺は!
「わかった。じゃあ愛紗を一刀君から奪う」
「……好きになさればいい。できるものなら」
「じゃあ、愛紗も皇一の嫁ね♪」
「な!?」
「俺、さっき言ったよね。結婚する相手とだけにしなさいって」
 愛紗が真っ赤になる。

「そういうことを言う時は眼鏡を外しなさい」
 俺の貞操、じゃない眼鏡を奪う華琳ちゃん。まあ今回は仕方ないか?

 ……あとで真桜に眼鏡バンド作ってもらおう。
 眼鏡が外れにくくなるやつ。




 一刀が蜀を目指したのも、悩んだ末に愛紗を華琳のところに預けたのも三国志知識によるものです。
 オリ主は三国志に詳しくないのでそれに気づいていません。


<< 前の話 次の話 >> 目次 ページの一番上に飛ぶ