落第騎士の英雄譚 ~もう一人の騎士の物語~   作:フライルー

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ペンタブたっけ


第12話 もうひとつの戦い

ピピピピ・・・と目覚まし時計が鳴る。

 

「・・・んぅ・・・」

 

学生の朝は早い。加々美の起床である。

 

「おはようございます・・・」

 

寝ている齋に朝の挨拶をする。

 

「・・・?」

 

だが部屋にこだまするだけでなにもかえってこない。

不思議に思った加々美は齋が寝ている下のベッドを覗き込む。

 

「・・・あ、あれ?」

 

そこには「自由出席らしいので自由行動とらせてもらいます☆ いつき☆」という書置きだけがあり、齋の姿は無かった。

加々美は静かにその紙を握りつぶした。

「そういえば今日は・・・」

 

齋と雷切の選抜戦。あと一輝の綾辻道場奪還作戦の決行日である。

 

「そろそろ行きますか」

 

そういい闘技場に向かう。そういえば、齋はいったいなにをしているのだろうか・・・

 

 

「・・・なにしてんのあれ」

 

「さぁ?なんでもあそこにずっと立ってるらしいよ。目みたいなとこも光ってないし寝てるんじゃない?」

 

「齋様のデバイスってほんと格好いいわよね~」

 

「齋様?」

 

加々美はその呼び方に疑問を覚え聞いてみる。

 

「あら、知らない?今じゃファンクラブも全国で4桁いったらしいわよ。アタシは2桁♪」

 

とんでもない事実である。どうにもネットにうpされたステラとの戦いで非公式ファンクラブが結成され、瞬く間に会員が増えたらしい。

加々美はそっと入会した。

 

 

 

 

一方齋のほうでは・・・

 

(こんな緊張で眠れるか!てかファンクラブってなに!?)

 

こんな感じである。相手は1位の生徒会長。しかもノウブル・・・なんだっけ。が最強らしい。

そして齋を哀れんで顔をイケメンにした神様もこれにはびっくりであろう。どこぞのランサーもびっくりだよ!

 

(やっぱりずっとたたずんでるといったらナインボールセラフだよな。)

 

目こそ光はないが意識は完全。周りからは「寝てる」という認識らしい。

 

(そろそろ開始時刻か)

 

本人こそロボの中身にはいないのだが、齋はパラメータなどをアイアンマンのあれっぽくみている。それで時刻を確認する。

 

「さぁてまもなく試合開始時刻です!普通は両選手は呼ばれて入ってくるのですが・・・どういうわけか、齋選手はそれこそ王者の風格でたたずんでおります!」

 

ここで実況者はあるものに気づく。

そこには「試合開始した瞬間ながして」のメモとともに一枚のCDが。

察しのいい読者ならわかるであろう。もちろんなかに入っているのは「9」である。

 

「そして今回の試合の相手はなんとあの<雷切>東堂刀華選手!いままで無敗の齋選手は今回危ういか!?それでは東堂選手、入場してください!」

 

まぁ俺はもうでてるもんね。っと相手は・・・!?

 

(か、かわいい・・・だと!?)

 

写真とかみてない相手を学園でみてないまったく知らない俺にとっちゃとんでもない爆弾である。

 

(ただしやらねばならん。負けてもいいんだけどここまで勝ってると意地がある。)

 

実況がうるさいがやらせてもらおう、言わせてもらおう

 

「修正プログラム 最終レベル」

 

相手はきょとんとしている。だってAC知らなさそうだし。知ってたらそれはそれですごい。

 

「全システム チェック終了」

 

「戦闘モード 起動」

 

「ターゲット 確認 排除開始」

 

ここで目を光らせると同時に実況が入る。

 

「試合開始っ!!」

 

ブザーとともに頼んどいた曲がながれる。会場のボルテージは最骨頂である。

 

「なっ変形!?」

 

相手は驚く。当たり前である。人が変形するなどありえない。だが俺はロボだ。

 

(雷切の射程にはいったら死ぬと思え!!)

 

まあ自分が寄るかあっちが来るかしかないのだが、まずあっちは俺に追いつけない。

そろそろ攻撃するためとりあえず垂直ミサイルを発射して様子を伺う・・・・

 

「シッ!」

 

「うそぉ!?」

 

変な声でた。いやなにあのプラズマ、光波?ミサイル落とされた・・・

ならば!と思い変形を解除して内蔵武器で弾幕を張る。って全部おとされてーら。

 

(待てよ、近づいても雷切やらせないで鍔迫り合いさせりゃよくね?)

 

(ならこのスピードで!)

 

光波をだし、それと同時にブレードを展開する。

 

「くっ・・・!」

 

「・・・・」

セラフはでかいので上から押さえつける形になるが・・・さすが第一位。これを押し返す。

 

(あ、やべ)

 

こけた。ブースト吹かすがもう遅い。

 

(この子、眼鏡にあいそうだな・・・じゃねぇやあぶねっ!)

 

片足犠牲に回避。これじゃ分が悪い。

そして今は片足の爆発で煙幕がある。ならば・・・

 

(ガチタンでいいよね!)

 

おそらくまわりからは「煙のなかでなんかギャリギャリいってる」くらいしかわからないだろうが、俺は超高速で全身してます。

 

「オトキャぶっぱひゃっほう!」

 

俺がえらんだのはMATSUKAZE mdl2 オトキャ合計8門のガチタンである。

 

(さらにすごいのが・・・)

 

社長砲を積んでます。自分でつくったからこんなこともできる。チート万歳!

 

「ちょ、どうなってるの!?デバイスはそれぞれ一個・・・」

 

「ところがぎっちょん!!」

 

社長砲ドーン!あっやべ煙幕張っちまった

 

「痛って!腕、腕が!チッ!セット、ダブルオークアンタ!」

 

ソードビットに応戦させようと思ったが、むかわせた瞬間全部落とされた。

 

「ああもう!しゃあない、幻想形態で・・・」

 

ソードビットを生成する。

 

「トランザム!!!」

 

ライザーソードッ☆幻想形態で相手は死なない。ガチでやったら死ぬ。マジで。

 

「・・・ふぅ」

 

そして地に立つ。あんなんでやられるはずがない。

 

「立て。あんなんでやられるもんじゃないだろう。」

 

煙幕が晴れ、そこにはボロボロではあるがしっかり立つ刀華の姿があった。

 

(今ごろ、一輝は道場を奪い返しているところだろうか。)

 

ふと観客席をみる。そこには加々美とアリス、雫だけである。

 

(・・・そろそろ終わらせるか)

 

変身を解く

 

「!? なんのつもりですか」

 

「簡単です。この力に頼るのはもう今日はしない。」

 

「?」

 

「I am the bone of my sword. 」

 

どうやら言い終わるまで待ってくれるらしい。ご親切どうも。

 

「Steel is my body, and fire is my blood. 」

 

「I have created over a thousand blades. 」

 

「Unknown to Death. 」

 

「known to Life. 」

 

「Have withstood pain to create many weapons. 」

 

「Yet, those hands will never hold anything. 」

 

「So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS. 」

 

ステージには荒野が広がる。エリアインビジブルと同じ要領である。

 

「ここからは生身・・・否、化け物で行かせてもらう。いくぞっ!!!」

 

剣を取る。化け物の体をフルに酷使し、もはや人間ではないスピードで刀華に詰め寄る。

 

「そい!」

 

下から上に向かって剣を振り上げる。

 

「!? なんで・・・まさか!?」

 

「そのまさかだよ!」

 

一般人が刀華の相手をすると、抜き足で姿が見えなくなる。だが俺にはきかない。

そしてそれを俺は使える。知識があり、それを行える身体がある。完璧。

 

「くっ・・!」

 

「オラオラオラァ!負けるぞぉ!」

 

その瞬間、刀華の目の色が変わった。

 

(負ける・・・?)

 

(そんなのいや。絶対に・・・)

 

「絶対に、負けられない!!!」

 

刀華は、その刀を一度鞘に戻し、超電磁とともに抜刀した・・・

 

 


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