大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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新キャラ出ます。
(艦これには実装済み。と言うかガチの古参組)


40 ジブチ港にて

10月2日 ジブチ港 朝顔艦内 艦長室

 

 

 

「……誰もいないから静かだね~」

 

 

「そうだな。まあ、両舷上陸で艦内はほぼ誰もいないから、当然かもしれないが」

 

ジブチ港へ寄港した表敬艦隊は燃料・食糧・真水の補給を行いつつ、乗組員には上陸許可が出た為、当番・当直以外は上陸しており、艦内は静かであった。

(なお、2人は互いに譲り合った挙げ句、『2人共残るから、運用長が上陸したらいいよ』となって居残る事にした)

また、上陸とあって乗組員全員が真水で沸かした風呂で入浴している……松島宮も乗組員が全員入った後、ホントの最後に入っている。

 

 

「さて…この後はどうしたもんかね」

 

 

「それはどう打つのか、と言う戦術的な自問か? それとも、どう勝つかの戦略的な自問か?」

 

そして、2人は暇潰しに将棋をしている。

 

 

「うーん……はい、捕まえた」

 

 

「うわっ!? なんでバレたの!?」

 

 

「いや、駒が勝手に動けば解るだろう」

 

そして、触れてもいないのに動く駒に将棋盤の上で姿を隠して動かしていた朝顔を滝崎が捕まえ、バレて驚く朝顔に松島宮がツッコミを入れる。

 

 

「悪戯が過ぎるぞ、朝顔」

 

 

「それより、いいのか? 時間が確かなら、今は…」

 

呆れ気味に窘める滝崎に何かに気付いて時計を見ながら言った瞬間、誰かが複数人で3人の前に転移してきた。

 

 

 

「朝顔さん。所属は違うとは言え、古参なんですから、朝礼には出て下さい、とあれほど…」

 

 

「あちゃー、二水戦隊長はちょっと勘弁だよ」

 

そう言って朝顔は逃げるかの様に転移する。

 

 

「はぁ…すみません、お騒がせいたしました」

 

悪い訳ではないが、性分なのか、そう言って謝罪する、二水戦隊長こと軽巡洋艦『神通』の艦魂の神通。

 

 

「いや、別に気にはしてないよ」

 

 

「それより、早く追った方がいいぞ」

 

 

「ありがとうございます」

 

滝崎と松島宮の言葉に頭を下げてから転移する神通。

 

 

「神通も大変ね」

 

 

「まあ、あれが神通の性格だから、仕方ないとも言えるけど」

 

 

「おはよう、足柄、比叡」

 

 

「おはよう、2人共」

 

そして、居残った2人、艦魂の妙高型重巡洋艦三番艦足柄の『足柄』と金剛型戦艦二番艦比叡の『比叡』に挨拶する滝崎と松島宮。

ただ、松島宮は足柄、比叡と女子高生の友達の様に『ハイタッチ』までしている。(昭和10年代にハイタッチが存在していたかは知らないが)

 

 

「…御仲がよろしい様で」

 

 

「な~に~、滝崎副長は嫉妬してるの~?」

 

滝崎の呟きに先輩お姉さん風(実際に先輩)に足柄が滝崎の不満顔で少し膨らんだ頬っぺたを突ついてちょっかいを掛ける。

それに松島宮が笑顔ながら、目に『私の物に何してるんですか?』と圧が込められた視線を送るのを比叡は感じ取り、内心『ひぇぇ…』と思いながら答える。

 

 

「ま、まあ、副長はご存知ですよね? 私と高松宮殿下の事?」

 

 

「もちろん、殿下が新米砲術科士官として来たのが付き合いの始まりだとね…まあ、松島宮とは親戚だから、解るがね」

 

滝崎が納得したかの様に言う。

 

 

「あら、なら、私が選ばれたのは英国来訪経験から?」

 

 

「一昨年のジョージ6世陛下の観艦式ですね。それについては何とも…朝顔にも言いましたが、編成には関わっておりませんので…と言いますか、平の士官に選択も意見を言う権限もありませんよ」

 

 

(そう言ってる割には、同期で侍従代わりとは言え、何故か松島宮艦長に引っ付いて行けてるのよね。しかも、高松宮殿下の所に居候してるって言う…何処が『平の士官』なのかしらね)

 

 

(と言いつつ、この後の展開をおおよそ知っていて、隠れた『最重要人物』。でも、『であるが故に』目立たない様に編成計画作成人員からわざと外した滝崎副長…どうなるか解らないけど、お姉さまにも話せないな)

 

一部事情しか知らない足柄、旗艦であるが為に全てを知る比叡。

故に2人は内心を口には出さず、微妙な視線を滝崎に向ける。

 

 

「……あの、自分の顔に何かついてます?」

 

 

「「別に、何も」」

 

 

「左様ですか」

 

その微妙な視線に気付いた滝崎が2人に問うも、明確な返事が出ないので、気にしない事にする。

 

 

 

この4日後の10月6日、独ソ両国から進攻されたポーランドは遂に降伏。

『史実通り』両国によって分割統治され、ポーランド本土内での抵抗は終わった……かに見えた。

しかし、亡命者以外の現地抵抗勢力は各地に潜伏していた。

特にこの抵抗勢力の中には(史実同様に)『現地の日本大使館』の保護を受けており、後にこれら抵抗勢力を結集し『国内軍』が結成された。

 

 

 

 

更に6日後、艦隊は地中海中部、イタリアのシチリア島南部にあるマルタ島へ補給の為に入港。

補給を行いつつ、同島イギリス海軍墓地内にある、第二特務艦隊戦没者墓地(現『旧日本海軍戦没者墓地』)にて、慰霊祭を開催。

参加した滝崎は内心で皮肉に感じていた。

何故なら、この『表敬派遣艦隊』は場所は違えど、『海外の戦争』で『外国を守る為』に派遣される艦隊なのだ。

しかし、故にと言うべきか…験担ぎ、神頼みであるにしても…こうして、先人に願ってでも、無事帰還を祈らずにいられないのだ。

 

 

 

この後、フランス東部トゥーロン、イベリア半島(スペイン)イギリス領ジブラルタル、フランス西部ブレスト等を経由し、表敬派遣艦隊は目的地のイギリス本国のブリテン島へと向かった。

 

 

 

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