大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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さて、主人公達は何処へ行く…。
(題名通りだが)


38 英国表敬派遣艦隊

8月20日

ドイツ第三帝国の仲介により、ソ連と日本はノモンハン事件の停戦に合意。双方、停戦条約に調印した。

大きな内容としては、『国境線をハルハ河とする事』、『北樺太を日本へ譲渡する事』、この2つで合意した。

 

8月23日

ドイツ第三帝国・ソビエト連邦が『独ソ不可侵条約』を締結。

ノモンハン事件の停戦条約締結直後と言う事もあり、世界に衝撃を与える。(なお、同時にポーランド分割も秘密裏に合意)

なお、この事態に取材を受けたチャーチル卿は『ナチスドイツがハルヒンゴール(ノモンハン事件のソ連側呼称)の停戦仲介をした時点で、『何かある』のはわかっていた。私は驚くに値しない』とコメントした。

 

8月30日

人事異動の発令に伴い、史実であれば山本五十六中将が着任する筈だった連合艦隊司令長官は彼の親友である、堀悌吉中将が就任した。

同日、着任した事を示す長官旗が連合艦隊旗艦加賀のマストに掲揚された。

 

9月1日

ドイツ第三帝国、早朝よりポーランド国境を越え、進攻開始。

第二次世界大戦始まる。

 

 

 

その数時間後 呉軍港

 

 

「ドイツが露助と手を結んだ、と聞いて何かはあると思っていましたが、まさか、ポーランドに軍事侵攻とは…」

 

 

「さて、事はポーランドだけで済まんだろうな。昨年9月頃のチェコの一件でイギリスやフランスは警戒していたし、隣国故に警戒していたポーランドは両国と安全保障で条約を結んだいた筈だ。多分、また欧州に戦火が拡がるな」

 

運用長のぼやきに滝崎が言葉を紡ぐ。

 

 

「そう言えば運用長。歳から考えれば、運用長は先の大戦にも参加しているのではないか?」

 

2人の会話を聞いていた松島宮がそう言って運用長に訊いてきた。

 

「あー、あれは21年前でしたか? あの頃は私も艦長や副長みたいに、まだぺーぺーの若造でしたな。まあ、特務艦隊の方ではなく、こっちで船団護衛をしていましたがね」

 

 

「なら、運用長も経験者と言う訳だな」

 

 

「その経験者ゆえに訊きたいのですが、副長の言った事がホントなら、先の大戦同様、我が国も巻き込まれる可能性が高いと思いますが…副長、どうなんです?」

 

 

「……まあ、英独双方と何かしろの関係を持っている以上、知らぬ存ぜぬは通用しないよ。ただ、今すぐ我が国が英独どちらかと戦火を交える事はないさ」

 

 

「そうですかね…まあ、仕方ないとは言え、今更取り止める訳にもいきませんからな。イギリス行きを」

 

運用長の言葉に滝崎と松島宮は苦笑いをうかべる。

実はこの日、滝崎・松島宮が乗り組む朝顔をはじめとした艦艇は『イギリスとの更なる友好を深める為』とした『英国表敬派遣艦隊』が出港する手筈となっていた。

無論、これは『ドイツが動く』事を解った上での艦隊派遣の為、今更中止などあり得ないのだが。

 

 

「それにしても、まさか、『連装魚雷発射管を一つ下ろして、爆雷を追加搭載しろ』なんて事を言われるとは思いませんでしたよ。お陰で水雷科を宥めるのに苦労しましたね」

 

 

「まあ、戦闘をしに行く訳ではない…とは言え、同じく随行する第二水雷戦隊にそんな指示がなかったから、余計に悪印象を抱かせてしまったね」

 

運用長の言葉に滝崎が苦い顔する。

何せ、朝顔は第二水雷戦隊の指揮下ではなく、同じく随行する第一航空戦隊隷下(トンボ釣り用)で随行する為、敵艦隊に殴り込みに行く事はしない(出来ない)。

しかし、二等駆逐艦とは言え、建造目的が魚雷による殴り込みに用に造られ、また、訓練してきた水雷科員にとっては『任務的には納得するが、心理的には…』と言う事もあり、中々大変であった。

最終的に艦長の松島宮の謝罪で収まった。(流石の彼らも艦長に迷惑を掛ける気はなかった)

 

 

「艦長、旗艦比叡より、『艦隊全艦出港せよ』との事です」

 

 

「うむ、わかった……さて、行くか。朝顔、出港!」

 

通信長からの報告に松島宮は力強く命じた。

 

 

 

 

『英国表敬派遣艦隊編成』

 

戦艦 比叡(旗艦) 霧島(第三戦隊第一小隊)

空母 天城 赤城(第一航空戦隊)

重巡 妙高 那智 足柄 羽黒(第五戦隊)

軽巡 神通(第二水雷戦隊旗艦)

駆逐艦(各駆逐隊&所属艦)

(第十一駆逐隊)吹雪 初雪 白雪 深雪

(第二十駆逐隊)朝霧 夕霧 天霧 狭霧

(第八駆逐隊)朝潮 大潮 満潮 荒潮

(第九駆逐隊)朝雲 山雲 夏雲 峯雲

(第一航空戦隊隷下) 朝顔

 

『英国表敬派遣艦隊 主要将官』

艦隊司令長官 豊田副武中将

第一航空戦隊 小澤治三郎少将

第五戦隊   南雲忠一少将

 

 

 

 

少しして 連合艦隊旗艦 加賀艦橋

 

 

「表敬艦隊、全艦抜錨しました」

 

士官からの報告に堀中将は黙って頷いた。

本来なら、連合艦隊司令長官就任直後のポーランド侵攻と言う事態にゴタゴタしていてもおかしくないが……事前に知っている堀中将からすれば『予定通り』なのだ。

 

 

(さて、予定通りとは言え……密かに準備はしてきたが、後は各地の展開次第か)

 

今のところ、『日本の動き』以外の大きな『歴史の変化』はない。

が、これから先は『解らない』のだ。

 

「いよいよ、我々も本格的に歴史の流れに逆らう訳だな」

 

 

「は? 何か言いましたか、長官?」

 

 

「いや、何でもない」

 

士官の問いにそう答えつつ、堀中将は表敬艦隊を静かに見送った。

 

 

 

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