IS×Fate(笑) 衞宮家の非日常的な生活   作:カズノリ

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桃色、それは絶望の色

「え? え? どういうこと?」

 

1人、高町なのはだけが着いて行けてなかった。作戦会議を終了させた時点でようやく復活した高町なのはが周りを見渡すと何やら決意を秘めた面々。うん、どうなっているの? ユーノ・スクライアだけが高町なのはが着いて行けてなかったことに気が付き、簡単なアドバイスをする。

 

「えっと、なのはは砲撃魔法でどーん! っと強力な魔法を打てばいいんだよ」

「あ、うん! わかった! ありがとう、ユーノ君!」

「え、あぁ、うん。 い、いいさ」

 

 少し顔が赤くなっているユーノ・スクライアから眼を離していると

 

「ノブーーー!!」

 

 不思議生物、ノッブが空から落ちて来た。高町なのはは声がした方向、つまり上を見上げてしまい、顔にノッブがくっ付いた。

 

「ん!? んんん!!?(え!? ノッブ!!?)」

「ノーノ! ノブノブ!」

 

 高町なのはは慌てて両手でノッブを顔から外し、改めてノッブを見る。にこー。

 うん、かわいい。

 笑顔になる。

 

「ノブノブ! ノッブー!」

「えっと? どうしたの?」

 

 高町なのはがノッブに問うと、ノッブは

 

 光りだした。

 

「え!? えぇぇぇぇ!!?」

 

 光は高町なのはを包み込む。そこでようやく他のメンバーが高町なのはの異常に気が付き、そちらを見る。強力な光があたりを満たす。

 

 

 光がやむとそこには、高町なのは1人だけだった。しかし、何時ものバリアジャケットではなく、ノッブが着ている金色に輝くブーツ、漆黒の長ズボンを履き、腰には漆黒のベルトで止め、また一本の刀が有った。漆黒のジャケットに真っ赤なマントが風に遊ばれ、白い手袋が良く目立つ。漆黒の帽子には金色に輝く紋章が付いており、輝かせるように、集中線の様な飾りがついていた。顔自体は高町なのはであり、ツインテールだった髪はストレートなり、その瞳は燃える炎の紅色だった。

 

「ふふふふ、まさかノッブを通じてこの様な事が起きるとは、是非もなし」

「な、なのは?」

「フフフフフ! なのはじゃと? いや違う、儂は」

 

 高町なのは(?)は自信を持った顔つきで周りを見渡し、腕を組む

 

「儂は信長! 第六天魔王! 織田信長! この場に参上じゃぁ!!!」

 

 しかし、この場に織田信長と言われてわかるモノはあまりいない。

 だって、ほとんどが異世界人だから仕方ないネ!

 

「えっと、どうしたの? なのは」

「いや、だから儂はなのはじゃなくてな」

「いや、アンタどう見てもなのはじゃん」

「だからな? 儂はなのはではなくて」

「意味解んねーよ! お前、前に自分で高町なのn、なのはって言ってだろうが!」

「だーかーらー! 儂はなのはじゃないと言っておろうが! 儂の事を知らぬのか!?」

 

 だんだんとぐだぐだしてきたところで、高町なのは(?)を知る者が驚きの声を上げた。さて、その人は誰の事であろうか。

 

 

「お、織田信長やって!!?」

「おぉ! お主! 儂を、儂を知っておるのか!」

「知ってるで―! 私から見て結構悪逆非道の事をした人やろ!」

「是非もないネ! はぁまぁいいや」

 

 お茶らけていた雰囲気を放っていた高町なのは(?)を改めて織田信長の雰囲気は一気に変わった。例えるのならばキノコの○とタケノコの○位に変わり、真剣な雰囲気が全員に伝わる。ヴォルケンリッターは全員八神はやての元に集まり武器を構え、織田信長の様子を見つめる。

 

「さて、高町なのはよ、お主がノッブと出会ったのも何かの縁、儂の暇つぶしを含めてお主に力の使い方を教えてやろう」

≪アナタは、一体何者、なんですか?≫

「儂か? 儂は、英霊と呼ばれる存在じゃ。まぁ詳しい内容なノッブに聞けばいいじゃろ」

「ちょ、ちょっと待って! 今なのはと会話しているんですか!?」

「むぅ? おぉ! そうじゃそうじゃ、他の者には聞けないが今なのはは儂の中におる。ノッブを通じて儂が出て来ただけじゃ」

「英霊、1つ、中、通じて、出て来た……。あ、そうか、ノッブをユニゾンデバイスと考えれば納得できる」

 

 ユーノ・スクライアが考え込んでいる間に織田信長は闇の書の闇を見つめる。それは一体何を思ったのか、その表情はすごく活き活きとしておりまるで玩具コーナーの前にいる子供のようであった。結局は親に連れて行かれるんだけどネ!

 

「あのような化け物を相手にするとは、なかなか無いが、しかし魔神以下じゃ。

 三千世界に、屍を」

 

 謡う様に、彼女は声を出す。誰もが何を言っているかどういう意味を持つのかわからなかった。けれども彼女から感じる高ぶるかのような魔力は高町なのは以上の魔力であることは間違いなかった。

 

「天魔、轟臨」

 

 その瞬間、彼女の後ろに、幾数百の火縄銃が現れた。カシャと狙うは海上にいる闇の書の闇。込められる弾丸(魔力)はすでに闇の書の闇を超える。

 

「その屍、晒すがよい。見よ! これが魔王の三段打ちじゃぁぁ!!」

 

 一斉に放たれる火縄銃は闇の書の闇を食らうかのようにバリアを突き破っていく。

 残るのは、すでにボロボロと化した闇の書の闇だけであった。

 圧倒的魔力

 圧倒的制圧力

 圧倒的カリスマ(笑)

 圧倒的な姿に回りの者たちは言葉が出ない。

 

「これが力の使い方じゃ、ふふふ、とどめを刺すという褒美をくれてやろう」

 

 織田信長が笑うと紅の瞳はいつもの高町なのはの瞳の色へ戻る。

 そして、どこか呆然としていた。いつの間にか左手にはレイジングハートが握られている(忘れたわけじゃないぞ!)

 

「三千世界に、幸せを……」

 

 呆然としたまま、レイジングハートを掲げ、謡う。

 フェイト・テスタロッサ・ハラオウンとユーノ・スクライアはいつもとは違う雰囲気に声をかける事は出来なかった。

 

「天魔、轟臨……」

 

 その声は止まることはなかった。

 今、高町なのはにあるのは先ほどの圧倒的な力、そしてそれを使ってみろと投げ渡された『力』のみ。

 

「これが、私の、全力全開!!!」

 

 力が入る、悲しみの連鎖を断ち切らんと天まで届くように、彼女は叫ぶ。

 織田信長と同じように後ろに幾数百の火縄銃、違う点と言えば銃身が桃色と言う点だ。

 

 スターライト・ブレイカー ・

「『 星 々 を 砕 く 』」

 

 レイジングハートに強烈な魔力が集う、あたり一面の魔力を吸うように、貪欲に、強欲に。

 

 三 段 打 ち

「『桃色の絶望』」!!!!」

 

 

 放たれる咆哮、全ての悲しみを、恐怖を、絶望を、負の連鎖を止めるべく、彼女は、高町なのはの1つ覚悟を持って放つ。

 

『キャァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!』

 

 目の前から聞こえる甲高い女性の様な声、闇の書の闇の悲鳴だ。だが、そのような声に騙されはしない。 高町なのはは自身の魔力をさらに使い、威力を上げ、とどめを刺そうとする。

 たとえ、周りにいる全員にドン引きされたとしても

 

 

 

3分後。

 

『ギャァァァァァァァァァァァアァァァァァァ!!!!』

「……ねぇ?ノッブ」

《なんじゃ?》

「これ、何時まで続くの?」

《んー、ちょっと待っておれ、ググってくる》

 

 ……こほん、高町なのは闇の書の闇に負の連鎖を繰り返させまいと魔力を込める、誰もが笑顔で居てほしいから、皆を笑顔にするため、高町なのはは真剣な眼差しで闇の書の闇に砲撃する。

 

3分後

 

『ゴメンサナイ、ゴメンサナイ、ゴメンサナイ、ゴメンサナイ、ゴメンサナイ、ゴメンサナイィィィ!!!!!!!』

《おーい、分かったぞー》

「なに!?」

《うむ! 元々儂の宝具『三千世界』は三千丁の火縄銃をぶっ放すわけなんじゃがな。》

「うん!」

《でな? 三段打ちとは元々一発しか打てぬ火縄銃をどうにかし様とした儂が考えたモノで、撃つ、掃除する、弾を込めるの3つの作業を3人が全員で繰り返しながら撃つ事じゃ。》

『モウヤメテ、モウヤメテ、モウヤメテ、モウヤメテ、モウヤメテ、モウヤメテ、モウヤメテ、モウヤメテェェェェェ!!!!』

「ウン!ウン!」

《この、スターライト・ブレイカーとやらは、レーザーの様なものであろう?》

「ウン!ウン!ウン!」

《一発の玉と、レーザーでは違いが有りすぎての、この場合一発はレーザーのエネルギーが切れるまでなのじゃ》

「え?」

《お? なのはよ、後ろを見てみるがよい》

 

 高町なのははゆっくりと後ろを振り向く、そこには『一発』が終わった火縄銃の姿であった。そこに希望が持っていた高町なのはであったが、希望は絶望へ。

 『2番目』の火縄銃が、闇の書の闇にスターライト・ブレイカーを放つ、しかも1番目よりも極悪非道な威力を放った。

 

『モウイイコニナルカラ、モウイイコニナルカラ、モウイイコニナルカラ、モウイイコニナルカラ、モウイイコニナルカラァァァァ!!』

「え?」

《2番目が始まったようじゃな、しかもスターライト・ブレイカーの特性である魔力収集によって、一番目に撃った魔力によって威力を増しているようじゃな》

「なのはぁぁ!! もうやめてぇぇ!! とっくに闇の書の闇のライフはゼロだよ!! もう、勝負はついているんだよ!!」

 

 ~止められない♪ やめられない♪

 

 高町なのはが撃ったスターライト・ブレイカーは元々、周りの魔力を集める事で威力を増す、今回、元々が宝具となった為、威力が倍以上になっている。これだけならばまだよかったのであろう。

 しかし、三段打ちという事で、1番目よりも2番目が、2番目よりも3番目がと言う風に威力をどんどん増していくのだ。三番目が一周し終わるまでは、この宝具は止まらない。いや、未熟にも使ってしまった高町なのはに止める術はなかった。

 

 一時間後

 

 ようやく、三番目が一周したことで、高町なのはの宝具『星々を砕く桃色の絶望』は終わった。周りにいる人々に恐怖と絶望を振りまいて、

 

『闇の書、反応、ロスト、消滅を確認、うん、完全に消え去ったよ……』

「おわった、ようやく終わった……」

《む? 終わったようじゃな、よし、勝鬨は儂に任せよ》

「え?」

 

 一瞬で再び、高町なのはの瞳は紅色になる。

 

「儂こそが! 第六天魔王! 高町なのはじゃ!」

 

 

『第六天魔王録』の一部より

 時空管理局所属、第97管理外世界生まれ旧名高町なのはが初めて周りに恐怖と絶望を与えたのは『闇の書事件』からである。それからは何度も恐怖と絶望を周りに与えながら様々な事件を解決していったエース・オブ・エースではなく、ジョーカー・オブ・ジョーカー。

圧倒的な魔力、圧倒的制圧力、圧倒的カリスマの前にこの時代の犯罪者は旧名高町なのはを目にするとスグサマ武器、防具を捨て降参し出頭することから、裏世界でもかなり有名だと思われる。

しかし普段はジョークが好きなようで、インタビューでも「夢は何かありますか?」という問いに「素敵なお嫁さん」というジョークを言って周りの人たちを笑わせるなどと言う場面が何度もある。

また泣き脆い所もあるようで、インタビュー後にはいつも泣いている姿を見られる。

こういうところも人間らしくてよいのではないかと作者は思う。

  作者:ユーノ・スクライア

 




ノッブをクリスマスの時に出してから、ずっとやりたかった場面です。

これからノッブはデバイスではないけれどなのはと融合できる
ユニゾンデバイス的な位置になります。
可愛いからいいよネ!

第六天魔王 高町なのは 爆誕の巻でした。


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