クリスマス、それは年に1度のこ、恋人同士があ、あ、愛、を囁き合う日と言われている。
時間は午後17時であり、私、織斑千冬は現在、こ、恋人である衛宮士郎の家で茶を飲んでいるところだ。
熱すぎず冷たくも無い、それでいて上物の茶葉を使用しているかのような濃さと味は落ち着かせるどころかなぜか私の頭にさらなる熱を与える。
なぜだ! し、衛宮! どうせなら冷たい水をくれ!
まるで風邪を引いたかのように体がポツポツと熱くなっている今、水をがば飲みして冷ましたい、むしろ水風呂に入りたいぐらいだ!
私の心からの叫びとは別に目の前にあるのは 茶。
声に出せばいいだろう、水をくれないかっと、衛宮なら頷き水を一杯出してくれる。
だが、なぜか言葉は出ず、顔がどんどん熱くなってくる……気がする。
朝はいつも通り衛宮と弟の一夏、藤村先生にイリヤ、間桐桜と遠坂凛の姉妹とセイバーとバーサーカーのサーヴァント達と共に朝食を頂き、道場でセイバーと竹刀を振るい、腕を磨いた。
互いに剣(竹刀)と剣(竹刀)の衝撃、セイバーの一撃はまるでIS(インフィニット・ストラトス)でミサイルを撃ち落とす時に発した爆発力を超える。
私の一撃もセイバーには通じず、それがどこか心地よかった。いや、嬉しかったんだ、篠ノ之道場より剣を磨き、大会に出ても大した者(男含む)はおらず、ミサイルもIS(インフィニット・ストラトス)があれば衝撃以外は危険とは思えなかった。
セイバーがいる頂―――
英霊の座に辿り着くほどの力量を持った者たちが存在するという山頂――
私はセイバーと手合わせをしてから是非とも逝きたくなった。
私の全てとは、どこまで通じるのか、サーヴァントという枠に縛られた者達よりも低いのか、それとも同じ頂に行けるのか。
このまま、剣の道を究め続ければいけるであろう、だがそれは……
「一夏を見捨てることになる」
それだけは避けなければならない。
たった一人の家族、たった一人の肉親。最愛の弟にして愛すべき者、一夏の前で弱気姿を見せるわけにはいかない、大地にひれ伏した姿を見せるなど、私は絶対に見せない。
「どうしました? チフユ、それまでですか?」
「そんな筈が無かろう、まだまだ、いけるぞ!」
一夏の為ならば私は何度でも立ち上がろう、強敵を倒そう、くそったれな屑(彼女とか言い張るくそ女)共を薙ぎ払って見せよう
まだまだ、一夏に彼女とかいうのは要らん! 特に要注意なのは束の妹の「篠ノ之箒」と最近仲が良くなったと一夏から聞いた「凰鈴音(ファン・リンイン)」という子も要注意人物(ブラックリスト)として登録しよう。
一夏に近すぎてみろ、
「ふっふふふふふ」
「なるほど、まだまだ余裕の様ですね、チフユ。上げていきますよ!」
この様に鍛錬自体も特に調子は悪くなく、むしろ絶好調で「クリスマス」という言葉を忘れていたくらいだ。
むしろ、凛と桜がニヤニヤとコチラを見て嗤っていたのが気に食わなかったが
「どうしたんだ? 千冬」
「ふぁっ!?」
行き成り声をかけるな、武士たるもの、常に戦場にいるかの如く気を体に纏わなければならないのだぞ?
変な声が出たのはただ、気が散っただけだ。
後ろを振り向けば、家主である『衛宮士郎』がそこに立っていた。
料理中なのだろう、エプロンを付けているが、これ程までにピンクの地に黄色のヒヨコのプリケが付いているエプロンを着こなせている男性は居るのだろうか? と思わず考えてしまいそうになる。
後ろには桃色の長髪は後ろで結び、今にも飛び込んできそうな元気溌剌とした雰囲気はまるで猫、だが尻尾は狐であり、語尾は基本的に「ワン」と犬のように吼える赤色の気崩した着物を着こんだバーサーカーのサーヴァントがいた
バーサーカーの料理の腕は和食に限り聖杯戦争時にいた赤い外套のアーチャーをも超える程の美味い料理を作り、セイバーや藤村先生の舌(私や一夏もだが)を満足にした
しかも家事万能とかいう一家に1台は欲しい所だな。
いつも思うが、あの猫の手でどうやって衛宮並みの料理が出来るのかが不思議だ。
だが、バーサーカーには助かっている、学校で一夏と居られない時間は共に遊んだり、意外にもその豊富な知識で勉強を教えるなどと家庭教師の真似事までしてくれるので、最近の一夏の成績はぐんぐん上り、とても助かっている。
「いや、なんでもない。だがいきなり後ろから声をかけるな、驚く」
「悪い、千冬がぼうっとしていたから、風邪でも引いたんじゃないかって思ってさ」
「そ、そうか」
うむ、そういう事なら仕方あるまい。
後ろでニャニヤと嗤うパーフェクトメイドバーサーカーは切り込みたいところだが、衛宮の前だ。
後で覚えておくがいい。
月のない夜には背中を気にしているがいい、どこぞの木刀を持った者が襲い掛かってくるかもしれんからな。
「だが大丈夫だ、問題ない、束特製の栄養ドリンクを飲んだからな」
「そうか、篠ノ乃の栄養ドリンクならすぐ元に戻るか、でもそればかり飲んで栄養補給をするのは良くないぞ」
「ああ、解っている」
「なら、よし。
じゃあ、俺は買い物に出かけるから留守番していてくれ」
ふむ、留守番か。
という事はバーサーカーと二人きりになるという事だな、ちょうどいい先ほどの事もあるし、少々話をするとするか。
たまにはセイバー以外で剣を振るうのもまた経験となるし、バーサーカーとはまだ戦ったことは無い。
「むっ! これはどこから嫌な気配がするとみた! HEY! 家主よ!」
「ん? どうしたんだ?」
「買い物はこのバーサーカーがするので家主は千冬(戦闘凶)と留守番をするが良い」
「いや、女の子一人で買い物に行かせるのはマズイ、そろそろ日も落ちてくるから俺が行くよ」
相も変わらず、衛宮はサーヴァントだとしても女性扱いするな、これだから質が悪い。
堅物であったセイバーも解されてしまったからな、落とすのはまだまだ油断は出来ん。
バーサーカーよ、女の子扱いした衛宮を説得するのは骨が折れるぞ? 私が何度、脅し、恐喝し、抜刀し、峰内し、説得をしても扱いを変えず、意地になってしまう。
そうなってはもう不可能だ。さぁバーサーカーよ、私をO☆HA☆NA☆SIをしようではないか。
「むっふふー、悪いが家主よ、食材のついでに私は買いたいモノが有るのでな、家主はお留守番だワン!」
「買い物? なら荷物持ちで行くぞ?」
「おや女性の湯文字を見たいとは家主も健全な男(おのこ)であるなぁ」
「湯文字? それって……」
湯文字、私も知らぬ言葉だな。
湯という文字を使用しているという事は風呂で使用する物の事か? ふっならば甘いぞ、バーサーカー。
シャンプー、リンスは使用頻度が女性6名という事で消費が激しい、常に予備が2本おいてあるのだ、言い訳にはならん!
「おお、今の言葉で直すならば」
「ああ、昔の言葉か、で、直すと?」
「パンツだな!」
その言葉は私の頭が理解した瞬間、横に置いておいた真剣を振るう
「士郎ぉぉぉぉ!!!」
まさか、士郎がそのような大胆不敵な行動をとるとは思わなかった。まさか女性のランジェリーを堂々とした態度で見たいと言うなど、思いもしなかった。
ならば日本の男(おのこ)としての根を直し精神を鍛え上げねばならなんなぁ!!
「待て待て待て待て!! 勘違いだ! 湯文字の言葉の意味が解らなっただけだ! そんなところに荷物持ちとして行ったら針の筵じゃないか!」
「今の貴様に何を言っても無駄だろう、だが、安心するがいい」
そうだ、もうこの際、士郎を私好みに鍛え上げ夫にしてしまえば一石二鳥ではないか? 一夏も前々から士郎の事を兄として慕っているし、本当の兄にしてしまってもいいだろ? かの紫式部作の源氏物語にも自分の理想とした女性を育て夫婦になったではないか。
「では家主よ、買い物に行ってくるワン! 千冬もほどほどに家主を鍛え上げるとよいぞ?」
「ああ、そうしよう」
「まてまて! 俺は今から夕飯の準備を!」
むっ、夕飯の準備ならば仕方あるまい。
夕飯が食べられないとなるとライオンとトラが騒ぎ出し暴れ、原因(私)が解れば襲い掛かってくるだろう。
「あとは盛り付けだけであろう?」
「そうでしたーーー!!」
そうか、そうか。
夕飯の準備は盛り付けだけか。
ならばよし
「ふふふ、ふふふふふ
では、士郎。 私と共にこちらへ、こい」
「な、な、な、何でさあああぁぁぁぁぁ……」
「あーあ。
せっかくちーちゃんに興奮剤(媚薬入り)飲ませたのに稽古で発散しちゃったかー」
機械仕掛けのうさ耳を付けた女性残念そうに呟き、ため息を一つ零す。
空間投影型映像機に映し出されるは竹刀を振り回す織斑千冬から必死で逃げ回る衛宮士郎の姿があった。 ちなみに土間では女性陣がおいしそうに鍋を食べているがこの際気にしないでおこう
「仕方がないね、なら毎年贈ろう! 毎日だとさすがのちーちゃんにもバレちゃうだろうし……」
こうして毎年、織斑千冬の元に栄養ドリンク(媚薬入り)が届けられるようになったが、そのたびに衛宮士郎にとっては騒がしい日になったのは言うまでもない
お久しぶりです。
仕事、仕事と疲れてしまい、なかなか書く意欲が薄れてました。
また気分で載せます。
ちょっとリハビリも含めてます。
元々駄文ですが(笑)
12月25日はメリークルシミマスで、一人寂しくケーキを食べてましたよ
皆さんはいかがでしたか?
では皆さま遅れながらメリークリスマス!