IS×Fate(笑) 衞宮家の非日常的な生活   作:カズノリ

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クリスマスは不思議な出会いなのパート1

クリスマス。それは年に1度の聖夜の日である。恋人たちは互いに愛を語り、子供たちはサンタさんのプレゼントに歓喜し、独り身は、いつもと変わらぬ仕事の日だろう。

 海鳴市にある洋菓子兼用の喫茶店、「喫茶翠屋」ではこの日の為に予約ケーキ11月初めから取っており、12月20日で予約締め切りとなっている。そのため10月中旬から忙しくケーキを焼き、ナッペし、飾りつけをする日々。

 高町家+バイト達で仕事、学校へ行き、帰りは「喫茶翠屋」でケーキや接客など忙しい日々を送っている中、1人家でポツリと家族がいないテーブルの前に座り、レンジで温めた料理を食べる小さな姿があった。

 高町家次女、高町なのは。

 高町家で一番幼く、まだ小学校へ行っているため仕事を手伝わせられないという事で最近では朝、昼、晩と1人で食事をする日々だ。

いや、最近ではなく高町家の大黒柱である高町士郎が大きなケガで入院したからだろう。母の高町桃子は朝食、弁当、夕食、晩食を作ってあげれども「喫茶翠屋」があるために一緒にいてあげることが出来ない。兄の高町恭也も学校に「喫茶翠屋」での手伝い、鍛錬と忙しい。姉の高町美由希もまた学校、「喫茶翠屋」、兄との鍛錬で学校でも寝てしまうくらいだ。

 大変、忙しいと幼いながらも嫌々に納得している高町なのはは1人だけの食事、手伝いえない自分に悲しみながらもただただ、クリスマスが過ぎるのを待つ。この時の高町なのはにとって、クリスマスというのは好きなイベントではなかった。

 たとえ、枕元に欲しいものがあっても、1人だけの生活は嫌だったのだ。この日も夕暮れに帰ってしまう友達の後ろ姿を見ながら1人で公園のブランコに乗る。

 キィ、キィと少し古いブランコは音を上げる。たとえ夜に帰っても家族はどうせ居ない。だから一人で家にいるよりは公園の中、1人でいた方がまだ知っている子が通るかもしれない。

 誰かと一緒にいたい。 その気持ちが強かった。

 寂しいのは嫌だ。 その感情が心から嫌がっていた。

 誰かに迷惑をかけるのもしたくない。 素直な心は誰かの力になりたいと思った。

 

 だからだろう、高町なのはがこんなことを考えたのは

「サンタさんに、お願いできるかな……?」

 

 毎年欲しいものは必ず置いて行ってくれるサンタさんだ。今年もくれるに違いない! 幼いなのはにとって、それは『希望』の様に思えて仕方なかった。公園から飛び出し一直線に家に帰宅し、折り紙に自分のお願い事を書いた。 綺麗とは言えない字だが力強く一文字一文字に心を込めて書いた。

 最後に二つ折りにし、去年と同じように兄の机に置いてポストに出してもらうのだが、今回は自分で出しに行こうと決めた。早く出せば、早く来るかもしれない。早くサンタさんに会いたい。今のなのはにはそれしかなかった。

 しかし、近くのポストへ行くも……

「ん~!! ん~!!」

 入らない。

 

名一杯背伸びをしてもポストの口には入らない、いやポストの口にこれでもか!というぐらいの手紙が詰まっているのだ。『リア充爆発せよ!』『アベックに制裁を!』『しっとマスク参上』とかいう紙がぐちゃぐちゃに入れられている。

なのはの眼尻に手紙が入らないという事とサンタさんに会えないという悲しさから涙が少しづつ出て来た。

 

「なぁ、どうしたんだ?」

 

 高町なのは1度ビクッ! としてから後ろを振り向くと赤毛の男の子が両手を頭の後ろに組みながら立っていた。その顔は不思議そうになのはのことを見ており、頭にはハテナマークがあっただろう。

 高町なのはは初めて見る男の子に少し驚きながらも少しづつ話す。

 

「あの、ね。 このてがみを、サンタさんにだしたいの」

「てがみ? あ、なんでポストあんなに入れてあるんだろ? じゃあ、ちょっと待ってて!」

 

 男の子はそういうと走ってどこかへ行ってしまった。少し経つと1人の大人の人を連れて来た。

 

「冬士、この子がさっき言っていた子か?」

「そう! いちにぃ! てがみを入れてあげてくれないか!?」

「ああ、いいぞ」

「やったな! いれてくれるってさ!」

「うん! えっと、えっとありがとうございます!」

「ハハハ、気にするな。たく、こんな日にこんなイタズラをするなんてなぁ」

 

 男性はポストから捻じり込められた手紙(と思われる紙束)を取り出し、1枚1枚見ていき、数枚をポストへ戻した。そして、高町なのはから手紙を受け取りポストへ入れる。

 

「よし、これでいいな」

「ありがとう! いちにぃ!」

「ありがとうございます! いちにぃさん!」

「気にしなくていいぞ。お礼なら冬士に言ってあげてくれ、コイツが連れて来たんだからな」

「は、はい!」

「おれも、べつにおれはいらないぞ? こまってたからてつだっただけだし! それじゃあな!」

 

 冬士と呼ばれた男の子は満面の笑みを浮かべ、いちにぃと呼ばれた男性の手を引っ張りなのはから離れていった。なのはと冬士は寒いからか顔が赤くなっているのをお互い見ることはなく、冬士については織斑一夏の発言により女性陣に餌を見つけた獣の様な笑みを浮かべさせた。

 




クリスマス変です。

仕事から帰ったらパート2を上げます。
冬士となのはが初めての出会った時ですね。
なかなか出てこない一夏を出しました。ちょい役だけど。

では良い夜を。

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