「それじゃあ母さん、父さん。秋菜と一緒にすずかの家に行ってくる!」
「ああ、ラウラ、送り迎え頼むぞ」
「了解です、教官!」
「悪いな、ラウラ。秋菜。コレ、向こうでみんな仲良くして食べるんだぞ?」
「うん! うん! ありがとう! お父さん!」
玄関で秋菜は士郎から市販のケーキ箱を受け取り嬉しそうに笑う。ケーキ箱を持っていなければその場でジャンプしそうなくらいだ。確かに士郎の料理は美味い、一夏に料理に教えてくれたおかげで一夏がこの家を出るまでは料理の勉強という事で一週間に3度は豪勢な料理だった。
さて本日は冬士と秋菜は同級生の月村すずか邸でティーパーティーだそうだ。ガキの癖に何ともまぁ……。ティーパーティーと言っても結局はゲームやお喋りで悪そうだ。冬士は月村邸にいる猫達と戯れているそうで、よく、いやかなりの頻度で猫の毛を大量に付けて帰ってくる。
その度に全身ローラーをしてもらうがな。
「では、行ってきます! 士郎殿、教官!」
「「行ってきまーす!」」
「ああ、行ってらっしゃい」
「気を付けていくんだぞ」
ラウラは秋菜の手を持ち、冬士は白野威のリードを持っていく。
何故かは解らんが、白野威は他の犬は愚か鳥、猫、ネズミ、狐に人気の様で懐かれている、それがたとえ初対面でも目を離した隙に懐かれている様子を何度も見ている。一体何をしているのやら。
「さて、今日はゆっくりするかぁ」
「と言うのであれば、その手に持つ雑巾とバケツは離せ」
「……ハイ」
久しぶりの2人っきりしかいない時間が流れる。
「やっと、来たわね! 遅いわよ! 冬士、秋菜!」
「悪い悪い。ちょっとゆっくりしすぎたみたい」
「ゴメンね、アリサちゃん、でも代わりにお父さん特製ケーキ持ってきたよ!」
「本当!?」
「うん、だからお兄ちゃんに頭を撫でられて眠りそうな、なのはちゃんもちゃんと起きなよ?」
秋菜がそういうと俺に撫でられていたなのはがハッ! っと眼を開けて秋菜の方へ向かった、なぜか頭を押さえて顔を赤くしていたけど。
すずかを見るとクスクスと笑っているから、別に変な事じゃないよな?
俺は白野威のリードを離して自由にしてあげる。すずかの家にいる1○1匹ワンちゃんならぬ、1○1匹ニャンちゃんの様に猫が沢山居てみんな可愛いんだけど、犬なのに白野威は大人気でみんな寄っていくんだ。
「フフフフ、白野威君、いつもみんなに大人気だよね」
「ああ、何でかは解らないけど、鳥や狐、あとネズミにも人気なんだ」
「そうなんだ、じゃあ動物園に連れていけたらすごい事なるね」
「確かに」
「冬士君、秋菜ちゃんお茶を持ってきましたよー」
っと、扉からファリンさんの声がした。ファリンさんはすずかの家にいるメイドの1人で面白くていい人なんだけど、たまにドジをするんだ。どこかうっかりする凛姉に似ているんだよなぁ……
あ、そうだ。
「冬士君、秋菜ちゃん。紅茶は何が良い?」
「あの、ファリンさん。ちょっとお願い良いですか?」
「ほへ?」
「今父さんに紅茶の入れ方を教えてもらってるんです、だから実践してみたいなぁ~って」
「面白いじゃない! 冬士! 私の為に入れなさい!」
いつの間にかアリサとなのはと秋菜がコッチに来てた、と言うかアリサ、俺はまだ習ってるばかりだからな!? 一応父さんにらくだいてんって言うのは貰ってるけど、たぶん、まだまだだからな!?
「冬士君、紅茶入れられるの?」
「そうなんだよ、お兄ちゃんてば、女心よりもそっちに行っちゃって……」
「別にいいだろ? 俺は男なんだから女心? は知らなくていいんだよ」
「「いや、冬士君は知ったほうがいい」」
なんだよ、なのはもすずかも。声を合わせて言う事じゃないだろ? 男が女心を知っていたら、へんたいじゃないか! えーっと、おかま? とかいうのになるだろ!!? 俺は男で居たいんだ。なんで秋菜もアリサも女心を知れーなんて言うんだ?
「なんだか、冬士君大変ですね~、あ、ではコッチに来てもらってもいいですか?」
そういって心優しいファリンさんはそういってアリサ達の魔の手から放してくれる。うん、ファリンさんはドジっ子女神さまだな。
ファリンさんに連れられて厨房へ行くとファリンさんのお姉さんで、同じメイドをしているノエルさんが持ってきた父さん特性ケーキをカットしていた。
「あら? ファリン、どうしたの? 冬士君を連れて……」
「実はですね! 冬士君が紅茶の入れ方を習っていて、実践したいと言っているのですよ!」
「そうなの?」
「ハイ、一応父さんかららくだいてんって言うのは貰ってます!」
「あの炎の料理人から落第点を……。代わりに私も見てもよろしいですか?」
それは別にいいけど、俺のなんか見ても何時も紅茶を入れているファリンさんやノエルさんが見ても面白くないと思うけど……っと思いながら、ファリンさんとノエルさんにきょかを貰って、ガラス製のティーポットを貸してもらう。
蛇口から水を活きよい良く出してからヤカンに水を入れ、火にかける。
えーっと、これでいいんだよな? 父さんは日本の紅茶は水に空気があると美味しくなるって言って、やり方もこうの筈……。
次に、5円玉くらいのあわが出て来たら、火を切るっと、お湯をカップとティーポットに、注いで。よし!
カップは温めておくと注いだ時に紅茶が冷めない! ポットも同じ、だよな?
えーっと、俺、なのは、アリサ、すずか、秋菜だから5人分か。ポットのお湯を捨ててティースプーンで5杯を入れ、るっと! ヤカンのお湯を入れて、スグにフタで蒸らす!
「それじゃあ、行こう、ファリンさん」
「ほへ? まだ入れていませんよ?」
「ファリン? このまま続けたら、持っていくときに少し冷めてしまうでしょ?」
「あー! そうでしたー!!」
なぜか、俺はファリンさんとノエルさんを引き連れて部屋へ戻ることに、なんだかどっかの執事みたい! 将来こういうのもいいかもなー!
そんなことを思いながら部屋に戻ると、すずかの姉さんの月村忍さんとなのはのお兄さんの高町恭弥さんがいた。すずかの姉さんはなぜかビデオカメラで笑いながらコッチを撮っているけど……。あ! 今なのはの兄さんがさむずあっぷした!
「ふっふふふふ、待っていたわよ? 冬士。それで? 出来たのかしら?」
「楽しみだよね! 冬士君の紅茶!」
「そうだよね、きっと美味しいよ」
「……(がんばれ、冬士)」
「……(はい)」
「うん、いい風に取れているわよ~。あとで執事服貸してあげるわ~」
ちょっと恥ずかしいけれど、入れてすぐにひっくり返した砂時計を見る、砂がもう落ち切る、ニヤニヤとこっちを見ているみんなを無視してティースプーンで軽く、1回混ぜる。
次に、カップのお湯を大き目の器に捨て、乾いた白いタオルでてばやく、拭く!
最後は茶こしで茶ガラをこしながら、濃さとみんな同じにするんだよな?
うん、こんなモンかな? 茶ガラからももう出ないみたいだし、ウンこれでいいことにしよう!
「で、出来たぞ」
「ふ、ふーん、「ベスト・ドロップ」までやるなんて、本格的じゃない」
「お父さんとお兄ちゃん凝り性だから……いいもん、私はいい人が出来てからで」
「そうだよね、お父さんもコーヒーだと凝り性な所あるんだよね」
「おい。出来れば早く飲んでほしいだが」
じゃないとせっかく入れた紅茶が冷めるじゃないか。午前の紅茶以外の冷たい紅茶は美味しくないぞ。
ようやく、みんなが紅茶を飲むのを見て、俺も紅茶を飲む。
むぅ、父さんやなのはの母さんが淹れる紅茶を思い出すと全然だなぁ……。
「くぅ、なかなかやるじゃない……鮫島の少し下ってところね」
「うん、でもノエルと同じくらいかな」
「お父さんと同じくらいだ……」
「ゴメンね、皆ウチのバカなお兄ちゃんが……」
ハイ、久々の無印です。原作通りには行かず、場面を飛ばしたりします。
一応ユーノは猫たちと共に白野威の元で寝てます。
追いかけられてませんよ、てか普通なら食い殺されてますし。
さて、衛宮家の執事教育の場面を見せれてよかったと思います。
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