IS×Fate(笑) 衞宮家の非日常的な生活   作:カズノリ

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お母さん! コレやってみて―!

「お母さん! コレやってみてー!」

「母さん! これやってみてー!」

 

 今日は土曜日、昼食が終わり冬士と秋菜は高町家へ遊びに行っている。ひと時の安らぎとして居間(リビング)で士郎が出してくれた温かいお茶をラウラと共に飲んでゆっくりしているとドタバタという足音が聞こえてきた。いつの間にか帰ってきた冬士と秋菜が紙袋を私に差し出してこう言ってきた。

 この時に私は思った。また面倒なことになったと。

 

「冬士、秋菜。帰ってきたならまずは手洗いうがいをして来い」

「じゃあお母さん!  手洗いしてくるから、これ読んでね!」

「絶対だぞ! やってほしいことがあるんだ!」

 

 私に紙袋(×2)を渡してドタバタと洗面器の方へ走っていく2人。その後姿を見ながらため息を1つ。仕方なく、お茶を置き、紙袋の中を見ると漫画があった。ん? やってほしい事とはなんだ? とりあえず、1巻をぱらぱら~と捲る。着物を着てこの家のような武家屋敷があるところから日本歴史の何かだろう。目の前で目をキラキラとさせているラウラに投げ渡し、お茶をすする。

 冬士と秋菜が戻ってくるとラウラと同じように目をキラキラさせている2人。

 

「で、私に何をしてほしいんだ?」

 

 まぁ私が出来る事ならやってやろう。何かを買ってほしいとかなら士郎に頼め。貯金のヒモはあいつが握っているからな。

 

「これをやってほしいんだ!!」

「これをやってほしいの!!」

 

 差し出された漫画、捲られたページには漫画特有のご都合主義剣術があった。なるほどな、これをやってほしいと。別にやるのは良いが、1つ気になることがある。

 

「お前たち、この漫画、誰から教えてもらったんだ?」

「恭也さん!」

「高町のお兄さん!」

「「お母さんなら絶対できるって言ってた!!」」

 

 ククククク、そうか、そうか。恭也が漫画を貸したのか。全く、この2人はまだ子供なんだぞ? スプラッタ要素がある漫画を貸すなどと……少し稽古を付けてやらんとな。しかし、2人の願いを聞いてやらねばならん。

 

「よし、いいだろう。だが、その代わりに漫画は没収だ。いいな?」

「「ええ~~」」

「では再現しなくていいな」

 

「恭弥さんに返してくる!」

「高町のお兄さんに返してくる!」

 

 素直でよろしい。では漫画を返しに逝くか。待っているがいい高町恭弥。私自らが稽古を付けてやる。安心するがいい。この漫画の様に生かしてはやる。

 

 

 高町家についてインターホンを押す。 すると高町家末っ子のなのはが出てきた。

 高町なのは。冬士と秋菜が通う学校のクラスメートでなかなか可愛らしいく根性がある。諦めない精神力はあるが、どこか心に闇を感じる。まるで昔の一夏のようだ。しかし、周りの友達や冬士と秋菜と一緒にいるからか最近では常に心は明るく見える。

 あと士郎から受け継いだ朴念仁冬士の犠牲者3号だ。

 

「はーい! あ! 冬士君! 秋菜ちゃん!」

「また来たよ! なのはちゃん!」

「あはは、さっき戻ったのにまた来ちゃった。悪いな」

「う、ううん! ぜんぜんいいよ! けどどうしたの? 忘れ物とか?」

 

 ああ、忘れ物というより稽古を付けに来たというべきだが、今ここでいうことはあるまい。

 

「ふっ、忘れ物ではなくて恭也に稽古を付けてやろうと思っていな。 恭也はいるか?」

「え? お兄ちゃん、ですか? 今道場にいると思いますけど……」

「そうか、なのはは今1人か?」

「すずかちゃんとアリサちゃんがうちに来てるんです!」

「そうか、そうか。実は冬士と秋菜に再現してほしいという要望があってな。稽古のついでに来たのだが、よければ見に来ないか?」

「え!? 再現してほしい技って、冬士君! 秋菜ちゃん!」

「おう! さっきのあれだよ!」

「一緒に見ようよ!」

「うん! じゃあ、先に道場の方に行っててね! 2人を呼んでくるから、待っててね!」

 

 嬉しそうな顔で家の中へ入っていくなのは。 私たちは道場の方へ行く。ガラガラと戸を開けるとなぜか冷や汗をかいてこちらを見る恭也と美由希。

 

「ち、千冬さん、い、一体どうしたん、ですか?」

「なに、恭也。お前に稽古(罰)をしてやろうと思ってな。漫画を返すついでに来ただけだ」

「ヒッ、ち、千冬さんの稽古!? 恭ちゃん! 千冬さんに何をしたの!?」

「い、いや待て、俺は何もしてないぞ!? ただ漫画を冬士たちに貸しただけだ!!」

「ああ。そうだな。 子供が読むには過ぎるグロイ表現の入った漫画だな。返しに来たぞ?」

 

 ニコォと笑う私、後ずさりをする恭也と美由希。冬士と秋菜はすでに靴を脱いで道場で正座している士郎殿の横に同じように正座する可愛い子供たち。私も靴を脱ぎ、一礼して入る。後ろからなのはとその友達のアリサとすずかが入ってくる。

 

「本当なのよね!? 冬士! 千冬さんが『アレ』を再現してくれるって!」

「ああ! 母さんが見せてやるって言っていたから恭弥さんの稽古中に見せてくれる!」

「すごいよね、『アレ』が出来るなんて。他はやれば出来なく無さそうだけど。」

「うん! うん! リアルだとどんな風なんだろうね! ね! ユーノ君!」

「きゅ?(アレ? なのは。アレってなんのこと?)」

「ふふふ、 見てからのお楽しみだよ!」

 

 うむ。子供たちも元気そうに見ていることだしそろそろ始めるか。

 

「恭也、位置に着け」

「は、はい(アレ? アレってなんのことだ!?)」

「美由希は審判だ。 開始の合図をしろ」

「は、はいぃ~!!」

 

 

 互いに位置に着く。先ほどから怯えていた恭也の表情は一気に真剣に変わる。二刀の小太刀(木刀)を持ち、足幅を広げる。対する私は家から持ってきた木刀を自然に持つ、構えるにはまだ恭也の力量は足らない。このままで十分すぎる。

 

「はじめっ!」

 

 美由希の声が響く瞬間――恭也は一気に距離を縮めて来た。その足運びは一級品というべきか。少し重心がズレている事さえなければさらに速かっただろうがっと。私は体を少し引きながら体制を取ると肩と脇腹のあたりに割りばしが数本飛んできた。

 ふむ、前よりはフェイントもうまくなっているな。

 

 一気に私に近づいた恭也が左手で持つ小太刀が上から振るわれた受け止めれば空いている小太刀からの斬撃が来るので半身右側によけると、右手の小太刀が左から一文字切り。

この斬撃は木刀で受け止めていると振り下ろした左の小太刀が木刀の方へ今度は下から襲う――。一旦後ろに飛び距離を取る。

 

が、再び割りばしが私の方へまっすぐに飛んできた。着地地点に飛んでくる割りばしを木刀で弾くと一瞬で回り込んできた恭也の小太刀による斬撃。一方を木刀で抑え、もう一方は左出て右手を抑える――。

 

すると今度は抑えていた小太刀に込めていた力を一気に緩め、私の体制を崩しつつ脇腹へ一発の蹴りを入れられながら距離を取られた。まぁこの蹴り程度では動きもしないのだが。

 

「ふぅ、相変わらずですね、短期戦と思って一気にここまでやったのに沈まないとは」

「これで沈むようならば私は高校のころに死んでいる」

「一体どんな生活していたんですか!?」

 

 居候の修羅場&聖杯戦争だ。

 

「次は私から行くぞ」

「ッ!!」

 

 今度は私から攻める――。正眼の構え。確かこんな感じだったな。冬士と秋菜が見せた漫画の箇所は……。1つ、深呼吸し目の前にいる恭也を見つめ、一気に体を動かす――!

 

恭也に一騎に近づきながら、木刀を振るう――。

 

----------壱--------

------捌------弐-------

---漆-----玖-----参------

------陸------肆 -------

----------伍---------

 

九つの斬撃、漫画ではどの防御方法もないと言っていたが、盾を使えばおしまいだな。しかし、相手が接近型ならばこれほど有効なものはない。二刀流でさえ2つの斬撃しか受け止められないのだから、切落、袈裟斬り、動、右斬上、逆風、左斬上、逆胴、逆袈裟。

そして刺突の一撃、うむ、明日は筋肉痛になりそうだな。久しぶりに筋肉を使った。

 ちらっと後ろで倒れている恭也を見る、ぽかんと口を開けたまま天井を見上げていた。冬士と秋菜、なのはやアリサ、すずかもぽかんと口を開けている。

 

確か漫画ではこの技は

「九頭竜閃」

だったな。

 

「恭也、これで許してやる。あまり子供に変なものを見せるなよ」

 

 瞬間――。子供たちが叫び始めた。悲鳴ではないからいいのだが。さてさっさと帰るか。

 




千冬さんならできる(確信)

リリカル組との会話要望があった気がするのでついでに入れてみました。
一応、自分なりのなのは、アリサ、すずか、美由希、恭也なのですが、
どうでしょうか?
そして、お粗末な戦闘シーン(笑) あっという間ですね~。
これ以上入れてもダメな気がしますけど。

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