私の幸せ 夜
「では、また明日」
「はい、今日もありがとうございました。衛宮先生」
「簪! また明日!」
本日の授業がすべて終了し、部活動も終わり現在9時。簪先生と別れラウラと共に家に帰る。
「ただいま」
「ただいま!」
「お帰り、ラウラ。千冬。 お風呂と食事どっちにする?」
士郎の出迎えだ。相変わらず帰るたびにこの言葉を聞いて少し拭きそうになる。普通は逆だろう、そしてその言葉の後には……。ククク。
そのことを言葉に出して言えば士郎の機嫌が下がるし、料理のクオリティーも下がるから言わんが。
「風呂だ、ラウラ入るぞ」
「はい!」
「んじゃあ温めておくから」
風呂に入り、今日1日の疲れをいやす。5年前までは狭かった衛宮邸は耐震等の理由で増築を含め工事が行われた。その際なかなか家に来ないセイバーと凛の要望により風呂は4人までなら足を延ばして入れる程の大きな風呂となった。
セイバーがすっかり風呂好きになったのは仕方がない。しかし凛に関してはよくわからない。なぜか私の方を見てニヤニヤと笑っていたのはよく覚えている。
桜とイリヤは資金提供者権限で部屋を多く作ることを要求され、通った。なぜか地下室も出来て使ってない部屋が多い。たまり場になっているこの家に泊まりに来る連中が全員来ても空きがあるほどだ。
風呂を出てパジャマに着替える。と言っても私は上半身パジャマの下半身パンツだが。しかし、誰がラウラに上半身Tシャツ、下半身パンツという変着かたを教えたんだ? いまだもって不明だ。
リビングへ行くと士郎が料理を温めてくれたのだろう、料理から湯が出ている。
「子供たちは?」
「もう10時前だろ? とっくに寝ているよ」
「そうか」
「仕方ありません! 明日も早く起きるのですから!」
それもそうだ。しかし帰って子供たちの顔を見られないのも少し寂しく感じる。すると、トンとテーブルに2本のカンが置かれた。
ビールだ。それもア○ヒスーパ○ドライとのど越し○だ。コレにニヤけながらプシュとカンを開ける。
「「かんぱい」
ゴク、ゴクと喉が鳴らす、外国では下品というが知らん。ここは日本だ。私はこの飲み方が好きだ。ぷはぁぁ! うまい!
食事を始める、秋刀魚の焼き加減が絶妙でごはんが進む。赤みそを使った濃い味のワカメ入り味噌汁はすべて飲み干したい位だが、それでは偏ってしまう、弁当のあまりだろう、小さめのハンバーグが士郎特性ソースを掛けられている状態で3つもある。食べているうちにご飯がなくなる。当然のごとく、士郎にお代わりの要求をする。
はぁ、これではセイバーのことは笑えないな、高校のころよりもさらに腕を上げた士郎の料理は冬木市では知らぬ者はいない。週3でやっている「主夫士郎の料理教室」も希望者がお金を持ち寄って部屋を借りて、器具を買った状態で頼み込むほどだ。基本お人よしの士郎だ。そこまでされれば断らないし、凝り性だ。腕を上げた主婦と共にさらに料理の腕を上げる。出来たら、今度は外国の料理に挑戦し、料理の腕を上げる。まさにプラスの連鎖だ。終わるところを知らない。
おかげで冬士と秋菜のお年玉の額が子供のお小遣いではないほどになっている。しかし断ろうとしても料理教室でお世話になっていると言われれば断れないし、1つ1つは小さな額なのだ。
数十分で食事が終わる、ラウラも同じだ。そしてビールもなくなる。
「士郎、2本目良いか?」
「ああ、あとほら御つまみ作っておいたぞ」
「おお! 士郎殿! ありがとうございます!」
士郎の許しを得て2本目のビールと軟骨のから揚げを食べる。コリコリとした触感がたまらない。流石士郎、私の好みをわかっているな。
「今日はどうだったんだ?」
「ああ、士郎の案、「氷鬼」を授業に組み込んだ」
「え? あれをやったのか?」
「無論、使えるものは使うのが主義だ。遊びという形でISを知ってもらうのは有効的だ。それに集団戦にもなるからな」
「えっと士郎殿が考えたのは「氷鬼」と「ボールあて」と「雪合戦」「チャンバラ」ですね!」
そう、「氷鬼」は士郎にISで出来る遊びの案から私なりに考慮し変えた遊びだ。他にも「ボールあて」ならぬ「IS風銃弾あて」や「雪合戦」ならぬ「IS風銃撃戦」がある。戦闘向けなので次の授業でやる「氷鬼」の次にするつもりだ。
特に「雪合戦」は有効的だ。あえて勉学でしか教えない銃の特性だけ教えてからやれば、距離感覚がわからず混乱するだろう、信頼するISの機能を使わなければならず、授業の内容を覚えているかを確かめることもできる。一石二鳥だ。
「チャンバラ」に関してはそのままだが、それでは面白くない。チーム分けされた後に全員にランダムで武器を渡せばいい勉強になるだろう。
「おい、千冬悪い顔になっているぞ」
「ひどいぞ。生徒のことを考えているのに」
「あまりいじめるなよ?」
「大丈夫です! 士郎殿! 教官はその様な事はしません!」
「むぅ。そうか。わるい千冬」
「ふん、わかればいいんだ」
おっと、2本目ももうなくなったか。しかしまだ軟骨はある。
ならば
「士郎」
「だめだ」
「……まだ言ってないぞ」
「1日2本まで。前に飲みすぎて遅刻しただろ?」
「むぅ」
そういわれると仕方なく感じる。 目の前にいるラウラはおろおろしているが助けにはならん。クッ、ここまでか。どうにかして回数を増やさなければな。
すると、頬に冷たいのが当たる。勢いよくそっちを振り向くと士郎が冷たいビールを持っている姿だった。
「今日は特別だからな、いいか? 明日からは2本までだ」
「あ、ああ!」
プシュと開け、一口飲む。
ああ、私は幸せだ。
掛け切れて満足しました。
自分的にはほのぼのと書いたつもりなのですが、如何だったでしょうか?
「ほのぼのたりねーよ!」という方がいればアドバイスください。
精進します。
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