私、衛宮千冬、旧名織斑が朝目を覚ますと一番初めに感じるのは美味しそうな匂いとアイツの匂いだ。ゆっくりと起き、布団の隣を見るが、やはり彼がいない。そのことに少しため息を1つ。
私は置いてある鏡を何気なく見る、上半身パッジャマ、下半身パンツ。まぁ私のいつも寝るスタイルだ。どこも変わりはない、あたりを見渡すが寝室には今私がいる布団以外は木刀や真剣が壁際や掛け軸の前に飾られており、侵入者が来てもウェルカムスタイル以外何もない。
私も彼も余りモノを置くタイプではない故に部屋にも必要最低限のモノしか置いていない。 欠伸を1つしてから立ち上がり、障子を開けると冷たい空気が流れ込み、私の体を冷やしてくる、特に下半身。廊下へ出て薄暗い空を見上げながら思う。
今日は晴天になるな、と。
すっかり住み着いた武家屋敷の廊下を歩き、リビングへ向かう。この間にも肉の焼ける美味しそうな匂いが私を刺激する。少し小走りになる。障子をあけると見覚えのある後ろ姿に安堵した。朝の私はどこか寝ぼけているようだ、こんな姿で安堵するなど。
ゆっくりと障子を閉めて、キッチンで調理している彼に近づく。
私と同じ身長。 中学高校では私の方が上だったのだが、いつの間にか同じになってしまった。いや少し抜かれているのか? それはそれで少し癪に思う。
日本人にしては珍しい赤銅色の髪。 束は何とかという機械で髪を染めているからな、高校卒業前までは黒髪だった。
腕からわかる、鍛えられた筋肉。 この腕に何度私は助けられただろうか、そしてそれと同じくらい強く抱きしめられただろうか。少し顔が熱くなるのを感じる。
がたいの良い体。 やはり男だからだろう、私が羨ましいと思うところだ。私自身も少しだけがたいは良いが、男と比べると、な。
なんだか顔が熱くなってくる、マズイ。このまま気が付かれれば私が気まずい。コイツは私が赤くなっていることに気が付く、それは嫌だ。故に行動することにした。
キッチンで調理しているコイツに気配を消しさらに近づく。 そして一言。
「士郎」
コイツは、士郎は気が付いたようで私の方を向く。 I・MA・DA! 私の手がぶれる様に素早く、男のくせに可愛らしいエプロンを付けている士郎の襟首を強引に掴む! そして少し引っ張った!
「ちふ、むぐ!」
「んっ!」
重なる唇と唇。マウス・ツー・マウス、キス、ヴェーゼ。士郎の驚く顔が見られたことで少し冷えるのがわかるが数秒たってから思う。この方が恥ずかしくないか?と……。
恥ずかしい、私からやっておいてなんだがかなり恥ずかしい。 そして気まずくなってくる、これでは本末転倒、意味がない。どうする? 今私にできる状況は何かないか?
1.美人な千冬さんは一度離れて倍プッシュ。
2.綺麗な千冬さんは赤らめながらそそくさと離れる。
3.奥様な千冬さんは子供たちを起こしに行く。
4.現実は諸行無常だ。ラウラにみられる。
1、私のキャラではないぞ。それにこれこそ考えることに意味がないか?
2だと士郎に赤らめる顔を見られるではないか! 見られたくないか行動したのに、これも意味がない。
3が一番妥当だ。たとえいつもはラウラが起こすにしても理由としては一番理に適っている。
4はマズイ。マズ過ぎる、ラウラは私と同じくらいに起きるはずだ、だとすれば時間をければ……!
決まりだ、3だ!
「こ、子供たちを起こしに行ってくる!」
「あ、ああ」
顔を背けながら小走りでリビングを出て障子を開け、思いっきり閉める。パーン!という大き目の音がしたが気にすることはない。むしろ気にするな。 障子の前でため息を吐いて、子供たちを起こしに行こうと右の廊下を見る。
そこには下半身パンツ、上半身だぼだぼのTシャツという良くわからないパジャマスタイルをする少女、いや今では女性になったな。
背中まで伸びた銀色の美しい髪が風に靡いており、右眼の燃え上がるような瞳と左眼は来ていな金の瞳が眼帯で隠されているのが特徴的で高校までは身長が小学生か中学生くらいだったのが今では私の胸辺りまでに伸び、胸も確かCに最近なったとうれしそうに報告する今でも私を慕っているラウラがいた。
「ら、ラウラ」
「教官! おはようございます!」
「あ、ああ。 おはよう。ラウラ、今日は私が冬士たちを起こしに行ってくる、着替えておけ」
「はっ!」
その場で綺麗な敬礼するラウラをほっておいて、二階へ向かう。少し急な階段も慣れたが、来た当初は足を踏み外すことがあったな。 二階へついて冬士がいる部屋へノックする。
トントン。 反応がない。
「起きろ、冬士」
仕方ないので秋菜の部屋へ行き、ノックする。
トントン。 同じく反応がない。
仕方がない。 一夏も昔は寝坊助だったなと思いながら、昔一夏を起こした方法で殺ることにした。これならば冬士と秋菜は一気に起きるし、面倒がない。
ハァーと一度息を吐いてからスゥーと息を肺へ入れ、深呼吸し『殺気』をだした。
瞬間――ドタ! バタ!という騒がしい音を立てながら両端の部屋からドアを開けて私似た黒い髪に士郎の顔立ちに似た、冬士が転がるように出てきた。次に出てきたのは士郎に似た赤銅色の肩まである髪にどことなく私に似た顔立ちをした秋菜が正座して出てきた。
「ん。おはよう、冬士、秋菜」
「「お、おはようございます」」
「しかし出てくるのが5秒遅かったな、次の土曜日は覚悟しているがいい」
私の心温まる言葉に冬士と秋菜は涙を流す。
「30秒で着替えろ、いいな」
「「は、あひ!」
千冬さんのシリアスは少し置いておいて、
ほのぼの書けるかな?と思いながら書いてみました。
誤字脱字があれば感想にて。
またご意見、ご感想等も感想で書いてくれるとスピードアップです(笑)