IS×Fate(笑) 衞宮家の非日常的な生活   作:カズノリ

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学園祭の交渉と秘策 

 

 

模擬戦は罪袋達の敗北で終わった。ただの敗北ではない。

 

「いやぁぁ! 楽勝でしたね!」

 

 圧倒的敗北だ。

 すでに罪袋A,B,Cは大地と仲良くなりながら荒い呼吸を整えている。その様子を見ながら鳥天狗、藤田文は外d、げふん。心優しくもパシャパシャと青春の一ページを1枚1枚大切に手ぶれしない様に部費で買った高級カメラで撮っていた。

 おそらく明日か明後日の新聞部の活動として一面を張るのであろう。名前付きで。さてさて、ではその様子を見ていた生贄もといスペシャルゲスト達は顔を真っ赤にしていた。

具体的に言うのであれば罪袋達が自ら相手の名前を発言した時位からだ。スペシャルゲスト達はまるで自分の好きな相手のほぼ全裸を見てしまって キャ! でも見ちゃう! といった表現が良いだろうか? しかし罪袋の覆面は取れていないので同姓の可能性があるため相手は不明だ。一体誰なのだ!!?

 

無論――スペシャルゲスト達の嬉し恥ずかしい様子を藤田文に見られてしまった事はまさに最悪、不運であろう。誰にも見せられないような真っ黒な笑み、まるで「良いこと閃きました!」さぁ!やりましょう!」といった女の子がやれば可愛いなと思う笑顔も今この時は某漫画の「 計 画 通 り 」と同じだ。

見てしまった幽霊部員はなぜかお尻に両手を当ててガクガクブルブルと震えながらゆっくりと後ずさりをし始める。キミは一体何を取られたんだい?

新聞部幽霊部員である立川紅葉の様子を気にもせず藤田文は哀れな後輩からマイクを取り上げる。

 

『さて! ルールは解りましたか? では! 罪袋さんになりたい方は』

 

 と言って一度マイクから口を離して小さな段ボールで作られた神社の賽銭箱を取り出した。本来なら『賽銭箱』と書かれているハズのところになぜか「サーセン箱」と書かれている。

 なぜ、賽銭箱? と参加意欲が満々な体力馬鹿、筋力馬鹿達が思っていると藤田文は倒れている罪袋達のところへ行く。

 すると、倒れながらも罪袋達は各々財布から千円札を取り出し賽銭箱へ入れる。

 誰もが意味を理解した。

 

『ハイ、ありがとうございます! では! 参加希望の方はこちらに参加費1000円をいれてくださいね!』

 

 キラキラとしたスマイスで参加費の存在を突きつけて来た。

 ここで参加しようと思っていた観客は大きく解れる。

 大体は「バーロー、おんにゃのこといちゃらぶ出来るんだ! オラがやらなくて誰がやるんだ!」と意気込み懐の財布の紐を緩くし千円札を取り出すものもいれば愚かにも5千円札を取り出し「漢ならば千円ではなく、五千円だろ?」と恰好を付けるバカ、ごほん。アホもいる。所謂脳筋系派男子、腹、割れていますね!

 次に多いのは「馬鹿どもめが、千円使わずともここから己の武器(カメラ)で戦えばいい話ではないか。これだから脳筋は困る」と嘆く自称現実派男子。先ほど藤田文が持っていたカメラを超えるであろう高級品のカメラを使う者、脚立を使い、一瞬の隙も捕らえる者たち。だが、哀れ。

 ここに藤田文がいるのだ。同業者は排除するのがふつうである。

 

『あ、参加者以外の方はカメラ禁止で~す! 取るのであれば1万円をここにお願いしますね!』

 

 藤田文の『滅びの呪文』によって渋々と一万円札を次々に入れ行く自称現実派男子達。

 さて、最後に残るのは「いや、可愛いけど、こんな形で知り合ってもマイナスなだけだしなぁ」の彼女欲しいヘタレ系草食派男子。

 そんなヘタレたちにも藤田文の魔の手が迫る――

 

『さぁ! 皆さんも参加して彼女を作りましょう! 時代は嫌よイヤよも好きのうちです! 男ならばその手で彼女(鳥天狗)を捕まえましょう!』

 

 こういわれては1度くらいはやってみるかーっとヘタレ共は課金、げふん、募金。いえ参加費を入れていく。会場にいた男性は全員参加するというスペシャルゲスト達を含め、鳥天狗たちにとっては悪夢の様な光景を目の当たりにする。

 絶望に苦しむ鳥天狗たちの中に厳しい目で敵を見据える織斑千冬、そんな彼女に藤田文はニッコニッコと微笑みながら近づいていた。近づいて来る藤田文を睨み付けながら頭の中では必死にどうするべきかを模索する。

 脳筋系である織斑千冬が考えても出る答えは限られているのであきらめましょう。

 

「おっりむらさ~ん!」

「……」

「あやや、無視とはひどい」

「なんのようだ」

「いえいえ、私も鳥天狗なんですよ? つまりこの状況は私にとっても良くはありません」

 

 煽っておいて何言ってやがる。 この鳥天狗。

 

「なので、秘策を用意してあります」

「秘策?」

 

 ええ、っと笑う藤田文に織斑千冬は身近な人物を見ているかのように思えて仕方がない。それにその秘策とやらをタダで教えてくるとは思ってはいない。ならば思い当たる行為はただ1つである。

 

「交渉か」

「Exactly(そのとおりでございます)。どうです?」

「そちらの条件次第だな」

「コチラの条件はただ1つ、それは織斑千冬さんが一人だけでもいいので誰かに捕まってください」

 

 織斑千冬の顔は先ほどとは違う意味で一気に赤くなる。目の前にいるバカを思いっきりぶん殴りたいと強い衝動を感じるが、落ち着けと自分で言い聞かせることで自身を落ち着かせる。

 だが、目の前にいる藤田文はニヤニヤと哂う一方だ。この交渉、成功しても、失敗してもどちらでもいいのであろう。失敗しても人数差がある。捕まる可能性は高い、自分が捕まらなくても他の者は捕まり哀れな姿をさらすに違いない(R18以下の行動だけです)。

 交渉に成功すれば織斑千冬は誰かに捕まらなければならなくなる。自分の身と他人の身、どちらを優先するか、と考えたとき――ふと身近にいる、少し自分が気になる人物を思い出してしまった。誰かの為に頑張る姿、それによって自分も助けられ、その背中は自分より身長が低いにも拘らず大きく思える。だからだろうか。

 

「いいだろう、私が一人だけ捕まればいいんだな?」

 

 いつもなら断固として断るはずなのに、この様な答えを出してしまった。

 藤田文はあっさりと条件を飲んだ織斑千冬に対して驚いていた。プライドは高いが、自分より大切な者の為ならば涙を流して屈することは知っていた。だが、今生贄の中に彼女の友達はいるが、そこまでするとは思わなかったのだ。

 

「で? 秘策とやらを教えろ」

「あ、は、はい。いいですか? 秘策とはーー」

 

 藤田文が秘策の内容を話していくにつれて、織斑千冬の顔は恐怖の大王がニヤァァと嗤う顔へと変わっていく。

 

「――という事です」

「なるほど、確かに秘策だな」

「はい。では織斑さんも条件守ってくださいね?」

「……ああ」

 

 頷く織斑千冬を見て藤田文はゆっくりとその場を後にする。今の彼女にはやることが沢山あるのだ。

次に向かうのは更衣室だ。

 




お久しぶりです
中々更新できず申し訳ありません。

キーボードが壊れた為直す、買い直すなどしないといけなくなったのでまだ遅れます。

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