〚さぁ! 今年もやってきました。 第25回 キング・オブ・バトラー! 最優の執事は誰か!』
職場であるIS学園から帰って来て、ビールを一本飲みテレビをつけるとそんな言葉と同時にかつて同じ学校で学んだ1人の女性の姿があった。同じアイツの犠牲者として懐かしさを感じながらテレビに映る場所を見る。
どこかで見たことがある武家屋敷が映っており、ため息を吐く。年末にテレビ越しとはいえバカの顔を見る嵌めになるようだな。
夜空に浮かぶ『タバネ月』を見ながらかつて学園で行われた学園祭やIS(インフィニット・ストラトス)を作り上げ、『月』を買い上げた現代に残る超有名人にしてする事が全て災害の様な事を仕出かすバカを思い出しながら織斑千冬はビールを飲みほし、コンビニ袋からもうビールを1本開ける。
『司会はこの私、葛城颯がお送りいたします』
今日の月は『タバネ満月』。
自宅のリビングから見える夜空に浮かぶ月にデカデカと書かれた『タバネ』と言う字に6年前に結婚と同時にIS学園のグランドからハネムーン(跳ね月)へ出かけたと思いきやその次の日にはテレビで衛宮束(旧名、篠ノ乃束)が『月を購入!?』というニュースには飲んでいたコーヒーを副担任の顔に拭いてしまったのは仕方あるまい。
相変わらずあのバカがやることはやり過ぎだ。
『さて! 皆さん! 今回の舞台はなんと! ISを世に広げ、月を購入という偉業を成し遂げた衛宮束さんのご自宅です!』
葛城颯はそういうとカメラが横へスライドする。
そこには元気そうなニコニコとしているバカ――衛宮束とその夫であり、あいつの心を射止めるという偉業中の偉業を成し遂げた衛宮士郎。
そして束と衛宮の手を握っている小さな子供が写っていた。
「束のやつが月に人を呼ぶなんてな。人も変わるものだな」
と言っても横にいる衛宮士郎の存在が大きいと言えるがな。
『今回は当番組をご自宅に上がらせていただき、誠にありがとうございます!』
『ふふん。ダーリンに感謝するんだね、これでも全国からスパイとか面倒なのが来てるんだからね!』
『そ、そうなんですか!?』
『えっと、俺はあまり知らないけど、束が言うにはそうみたいだな』
『すぱい!すっぱい!』
まぁ今でもISコアは作ることはできない様だしな。
それにしても、なんで月にいる筈なのにカメラには大空が見えるんだ?
バカ、またなんかやったな。
『さて! ところで皆さん! 今私たちがいる場所は月じゃなくて、地球でしょ!? と思っている方は多いと思います。
ですが! ここは本当に月なのです! 束さん。お願いします!』
『仕方ないね、まぁ束さんが嘘つき呼ばわりされたくないし、ポチ! っとな!』
束がなんかのスイッチを押すと、大空がまるで屋根付きドームの様にゆっくりと動き始めた。
そこから見えるのは、青い星と宇宙の闇と星々の明かりが照らされた景色が写っていた。
『なんと! ここはただの月ではなく! 月の内側に衛宮束さんが直々に改装し、人が住めるようになったのです! 詳しい事は衛宮束さん、お願いします!』
『ふふん! いいだろう! 私が、この私が10年の月日をかけて月にISコアを2000個と特別巨大ISコアを組み込んで月自体に住む場所には重力を付けることで、住むのに支障が無いようになったのさ!』
『まぁ、住むなら浮いているよりは地面に足が付いている方が料理にも支障が無いから、俺が束に無理を言ったんだけどな』
『さらに! さらにさらに! 地球のスパコン百万台なんて目じゃない程の演算力、ISコアによる人工頭脳と人間の10000倍以上の自己進化が可能になったのさ!』
『主に優菜の面倒と家庭教師、束の助手、今はいないけどクロエのサポートをして貰っている』
衛宮の補足説明とビールを飲み過ぎたのか頭が痛くなってきた。おかしいな。ビールを10本しか飲み干してないのだが、というより、なぜここには居ない筈のバカにここまで頭を悩まされなければならないんだ。
これは明日、いや今日からIS開発会社の株は急上昇だろうな。ISコアを複数使用する事で従来のスパコン以上の性能を持つことが証明されたからな。
あのバカの娘とは思えないくらいに優菜は元気そうだな。おそらく衛宮に似たのだろう。そのままお父さん譲りに育ってくれ。主に私の心臓の為に。
『ふぁ、すごいですね。他には何かあるんですか?』
『んー、そうだね。 正式名所として『束さんのインフィニット・プレゼント・ザ・ムーン』っていうんだけど、長いから『タイプ・ムーン』って呼んでるくらいかな?』
長いわ! バカ! この場に居ればビール(中有)を投げつけてやるものを! いくら昔に比べれば人見知りが無くなったとはいえ、機嫌が良すぎて秘密にするべきところを喋るな! これは全世界に知れ渡るんだぞ!
『ザ・プレゼント、ですか』
『ふふん! 私が士郎に何かを上げたくてね!』
『俺はそんな事しなくていいぞって言ったんだけどな、束が邪魔されずに一緒に居たいって言われたらいつの間にか頷いてた』
『だってー、士郎の家に居たらバカはいっぱい来るし、新婚10年は静かにしたかったんだもん。 あ、ついでにこの場で警告するよ。
私たちのタバネ月にアポ取らないで来た礼儀知らずはどんな地位を持っていても迎撃して大気圏に突入させるから。
もちろん、ちーちゃんたちは例外ね!』
礼儀知らずはどっちだ。前に天皇家からの食事会を迎えに来たやつに一言で断ったお前が言うな。
それとも毎回偽装パスポートとIS技術を応用した変装で飛行機にファーストクラスで乗っているだろうが。
もっと前には呼んでもいないのに修学旅行に来て4日間、お前と居るハメになったのは未だに恨んでいるぞ。お前が居なければ一夏を篠ノ乃達から守る事が出来たんだからな!?
『あ、ありがとうございます。 で、では会場となる場所を案内してもらってもよろしいですか?』
『ああ、俺が案内するよ、颯』
『あんない! なんない!』
ああ、優菜と衛宮に癒されている時点で私は疲れているのだろう。
今日はもう、寝よう。
私は知らなかった。
『うむ! 死の淵に置いて恐れを抱き、怖れを飲みながらなお、戦うか!』
タバネ月はすでに魔術的な物体であるという事を
『見事だ! よくぞ言った、名も知らぬ路傍の者よ!』
複数のISコアと巨大なISコアの人工頭脳と融合してしまい、
『その願い、世界が聞き逃そうとも余が確かに感じいった』
ISコア自体が持っている魔力吸収機能によって
『拳を握れ、顔を上げよ!』
あの聖杯30個分の魔力出力を持つ事で
『命運は尽きぬ!』
未来では「ムーンセル・オートマン」と呼ばれ
『なぜなら』
あらゆる事象をコントロールできる力を持ち
『そなたの運命は……今、始まるのだから!』
霊子虚像世界「PE.PA.PH」へアクセスすることで
『では、改めて問おう』
冬木市で起こった聖杯戦争が再び『月』で行われるという事を。
『答えよ、そなたが余の奏者か?』
今、私が束を止めていればその様な事は起こらないだろう。
たぶん。
仕事が忙しくなかなか 書けない作者です。
今月はこの作品だけです。
エクストラとISをコラボしたいなぁと思ったら
たばえもんがやってくれました。
流石天災。
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