6/21 火 雨
今日は一日中雨が降り続いているのでマヨナカテレビのチェックをする必要がある。
今回映るのは僕達の推理によると久慈川りせ、アイドルのりせちーだ。
僕はテレビを覗き込む。
映った! 水着を着た女性だ!
「くっ……なんでもっと鮮明に映らないんだ!」
いつものようにボンヤリとして見難いけど、ここに映っているのはりせちーの様な気がする。
な……これは!? カメラのアングルが胸や太ももにばかりいくだと!?
「もしかして……あっちの世界のならメガネをかければはっきり見えるかも!」
僕は慌ててメガネを取り出す。
「あった!」
しかしそのときには既に映像は消えていた……
Prrrr Prrrr
電話が掛かってくる。相手は陽介か。
「もしもし」
『おい! 見たか、今の!』
「惜しい事に画面がぼやけていてはっきり見えなかったよ」
『ああ、確かにそこは惜しかった……じゃなくて、今のどう見てもりせだろ! 久慈川りせ!』
「あ、うん、そうだと思う」
顔ははっきり見えなかったけど僕も久慈川りせに見えた。
『だよな!』
陽介が少し嬉しそうな声を出す。
「喜んでる場合じゃないよ」
『あ、わりい、そうだな、推理は当たってたけど誘拐されるかもしれねえんだよな。とにかく明日行ってみようぜ、マル久豆腐店だったか?』
「うん、そうだね。それじゃ雄二には僕から連絡しておくよ」
『ああ、頼む、それじゃまた明日な』
そう言って陽介からの電話を切る。僕は雄二にも連絡をとることにした。
『おう、明久か。マヨナカテレビはどうだった?』
「うん、映ったよ。陽介とも話したけど久慈川りせに間違いないと思うよ」
『そうか、なら明日俺もそっちに行くからりせを見に行こうぜ!』
あれ? 雄二ってアイドルにそんなに興味あったっけ?
「雄二、やけにノリ気だね?」
『おう、俺はアイドルにも興味があるからな、だから卒業後すぐに入籍とかありえないんだ!』
また霧島さんがらみかな?
「何かあったの?」
『あー……黙っていてもどうせ島田辺りから聞くだろうし……なら下手に誤解されないように自分から話すか』
雄二はなにかつぶやいてから説明を始める。
『今日ババアに新しい召喚獣の実験をやらされたんだがな、それが自分の未来の姿をシミュレーションしたものだったんだ』
「未来の自分?」
『ああ、つまり本人と周囲から見た様子をデータにして数年後、社会に出たくらいの自分をシミュレートしたものらしいが……』
そこで雄二が言いよどむ。
「ああ、そういう事か、大学卒業と同時に結婚とか?」
『大学入学前、高校卒業と同時に入籍した俺が現れた』
さすが霧島さん、積極的だ。
『翔子と結婚しての大学生活なんて冗談じゃねえ! 一番自由な時間ができると言われる大学生が不自由な生活になるじゃねえか!』
「あはは、でも幸せそうで良いじゃない。それに霧島さんだってテレビの中の経験で変わってきたんだしさ」
『う……確かに、以前の翔子じゃ薬とか怪しい黒魔術とかで未来の俺が正気を保っていなかったかもしれん……』
「あはは、まさか」
『ま、今のは言いすぎたな。それはともかく俺も明日一緒に見に行くぞ。翔子はなんか用事あるとか言ってたし』
だから羽目を外してアイドルを見に行こうという事か。なんか結婚する前から既に奥さんから逃げる旦那のように思えてくる。
「わかった、それじゃまた明日」
『おう』
とにかく明日りせちーを見に行くのか。ちょっと不謹慎だけど楽しみになってきた。
6/22 水 雨/曇
「マル久さん、すごい人だかりだって」
放課後、待ち合わせまでまだあるため僕達は教室で話をしていた。
「でもあれ、本当に彼女かな?」
「間違いねえって! あの胸……あの腰つき……そしてあの無駄の無い脚線美!」
「えっと、何の話でしょうか?」
しまった、今日は姫路さんも居たんだった!
「あ、いや、えっと……」
なんとか誤魔化さないと
「ああ、俺と明久がりせちーのファンでさ、この前チラッと見かけたのがりせちーなのかって話なんだ」
「う、うん、そうなんだよ」
「あ、そう言えばこの町に来てるってニュースで言っていましたね」
なんとか通じたみたいだ。
「明久くんは久慈川さんみたいな女の子が好みなんでしょうか?」
「え? いや、前にも天城さんに聞かれたけど相手はアイドルだし好みとかいう話じゃないよ」
恋愛と好みのアイドルは別だし。
「そ、そうですか、安心しました。アイドルとかって腰周りとかすごく細いし……」
姫路さんも十分スタイル良いと思うけどやっぱ気にするのかな?
「それで、あんたら見に行くんだっけ?」
「ん、ああ」
「オレは芸能人とかあんま興味ないけどヒマだし付き合いますよ」
里中さんの言葉に陽介は頷き完二もヒマだから来るという。
「じゃ、あたし達は先約あるしいくね」
今日は里中さんと天城さんは姫路さんと出かける約束をしていたらしい。
「それじゃ、何かあったら携帯に連絡して」
天城さんも帰り際姫路さんに聞こえないように僕に言ってから帰る。
「それじゃ、そろそろ雄二との待ち合わせ時間だし行こうか」
「おう!」
「そっスね」
大人召喚獣の話は展開の都合上早めてこの時期に起こったことにしました。
翔子と雄二の方の召喚獣はここでは変わってきてる関係上原作と変化してます。
では次回もよろしくお願いします。