バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第三十二話

バカテスト 

カンペキを漢字で書きんしゃい

 

 

天城雪子の答え

完璧

 

 

教師のコメント

正解、完璧は傷のない玉っていう意味なんよ、そこから覚えれば間違えんね。

 

 

花村陽介の答え

完壁

 

 

教師のコメント

花村っちは携帯を控えなっせ、変換に頼ってるから間違えんよ。

 

 

吉井明久の答え

漢…………

 

 

教師のコメント

とりあえず目に映った漢字の漢で最初答えてペキはわからんかったか、まさか完の方がわからんとは思わんかったよ。

 

 

 

 

今日は正式部員になって初めてのバスケ部に参加していた。相変わらず他の部員はやる気なさそうだけどそれでも身体を動かすのは楽しい。

「あー、腹減った、吉井、愛屋とジュネスどっちが良い?」

練習が終わると一条くんが声をかけてくる。

「愛屋?」

「あ、行ったことない? 商店街にある中華料理屋、あそこ美味いんだよね」

中華料理か、夕飯まではまだ時間あるし一緒に行くのも良いかもしれない。一人暮らしの時よりゲームやる時間が減って生活費も僕が出しているわけじゃないから懐も余裕あるし……

「おう、そっちは終わったか?」

「おつかれ、サッカー部終わるの早いな」

長瀬くんもサッカー部が終わったのかやってくる。

「ところでうちのクラスの女子がお前を探していたぞ。調理実習で何か作ったんだと、コーちゃん甘いの好きだからって……」

その言葉を聞いて僕は思わず……

「一条くん、長い間お世話になりました、僕はバスケ部を退部します」

「はあ!? なんで?」

「女の子にモテる人とは仲良くできる気がしないんだ……」

と言っても同じ部活で活動した仲間……命を狙うような真似はよそう。

「いやいや、モテてねえよ、お友達感覚だって、それに吉井にだけは嫉妬されたくないよ!?」

「なんで!? 僕なんてモテない男の代表だよ!?」

自分で言ってて悲しくなってくる。

「お前、里中さんと仲いいじゃん! 席まで隣でさ」

「確かに席は隣だけど里中さんとは友達だよ?」

「はは、里中と仲良いってことは天城とも縁があるってことだしな」

傍観していた長瀬くんが口を出してくる。

「え? 吉井って天城越え狙い?」

一条くんが少し落ち着いたのか声が少し穏やかになって話してくる。

「いや、別に誰か狙ってるってことはないけど……」

そもそも僕なんて恋愛対象に見てくれるわけないし……

「俺だってそもそもコーちゃん呼びだぜ、嫌って言ってもやめてくれないしさ」

ちゃん付けか……僕ならアキちゃんとか?

その瞬間何故か全身に寒気が走り一条くんに悪いことをした気がしてきた。

「ごめん……僕が悪かったよ」

「いや、別にわかってくれたならそれでいいけど……」

「で、どうすんだ?」

「ああ、貰ってくるよ、吉井、甘いもの好き?」

「え? 僕にも分けてくれるの? でも良いのかな。女の子に貰ったもの他の人に分けて……」

「ああ、ちゃんと話はしてくるよ。逆にお前が食べるって言ったら多めにくれるかもな」

女の子の手作りのお菓子か、これってすごい嬉しいことだと思う。文月にいたら絶対そんなことなかったし。身近な女子のうち、秀吉は料理しないし美波が僕にお菓子作ってくれるとかありえないし……

「それじゃ、行ってくるから、先帰んなよ」

一条くんがもらってきたお菓子は美味しく菜々子ちゃんへの良いお土産になりそうだ。

 

 

「へえ、ここが愛屋?」

商店街にたどり着き、一条くんと長瀬くんに案内されて店に着いた。

「あれ? 吉井くん達じゃん」

そこで入ろうとすると見覚えのある女の子にあった。

「あ、里中さん、里中さんも愛屋で食事?」

「うん、ちょっとお腹すいたしね、ね、一緒して良いかな?」

「一条くん、長瀬くん、いいかな?」

「ああ」

「も、もちろん構わないよ」

二人の了承も取れたので4人で店に入ることにした。

「お勧めのメニューってあるかな?」

「俺のオススメは回鍋肉定食かな」

「あたしのオススメは雨の日限定メニューのスペシャル肉丼かな~、食べきったらタダになるんだよね」

「ええ!? 里中さん、あれ頼んだの?」

「まさか……完食したのか?」

「え? うん、すごいお腹すいてる時だったけどね」

一条くんと長瀬くんの驚きに里中さんは簡単そうに答える。

「そんなにすごいの?」

「俺は完食したことない……それどころか完食できたやつを見たことない」

「肉肉油肉油って感じでご飯が見えない、俺は一度しか挑戦したことないけど……」

現役運動部員の二人が食べきれないものを食べるって……

「あはは、あたし、肉好物だからね」

「ま、まあ、どちらにしろ雨の日限定だから今日はないからさ」

食べきったらただという言葉に興味はあるけど……でも去年までの生活で胃は退化しているだろうから大食いには自信がない

「今度雄二に食べさせよう……あいつならいけそうだし」

今日のところは一条くんの言う回鍋肉定食を頼むことにした。

 

 

稲羽に慣れてきたことにより同性のモテ具合に対する嫉妬が緩和

寛容さ 菩薩級(ただし一部の例外相手にはFFF団級)→寛容さ 菩薩級(同性相手には嫉妬深い)

にランクアップ




運動部編2です。前回は真面目に話していたので今回は一条相手へのギャグで、運動部なのになぜか根気ではなく寛容さが上がる不思議……千枝のスペシャル肉丼完食は私が千絵ならいける! と思って作った設定です。
次回でクイズの答えが出る予定ですが明日から用事があるため次の更新は早くても5月5日になると思います。
そして本日お気に入り登録がやたらと伸びてるなーと思ったらランキング入りしていました。これもみなさんが読んで頂いているからです。ありがとうございます。すごく嬉しいです。
では次回もよろしくお願いします。

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