バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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日常編 1
第三十一話


今日も授業が終わり、放課後。天城さんの救出も終わり久しぶりに何も予定がない日だ。

「そういえば今日から運動部の入部受付だよね、吉井くんはどこかに入るの?」

僕の隣の席の里中さんが話しかけてくる。

「う~ん……特に入る気はないかなあ……前の学校でも部活はやっていなかったしね」

ゲームとか遊びとかで忙しいし、この学校でも特に部活をやる気はなかった。イゴールさんやマーガレットさんから色んな人と関わることでペルソナが強くなるって聞いたけどそのために部活やるのもおかしいしね。

「え? でももったいなくね? 明久ってすごい運動神経良いじゃん」

その話に陽介も入ってくる。

「そうなの? たしかにテレビの世界で見てても運動できそうだなって思うけど……」

「ああ、体育の時間とか見てたらこいつすげーぜ」

「運動することは嫌いじゃないからね、でも特定のスポーツを部活でやるとかはないかなあ……」

ホームルームの時間に抜け出して野球をしたり、昼休みにパンを賭けてバスケをしたりとかはしたけど本格的にはスポーツをしたことはないし、部活をやっている人には適わないと思う。

「吉井っている?」

そうやって三人で話していると教室に他のクラスの人らしき人が入ってくる。同じ学年みたいだけど……(この学校の制服は襟に学年を示すものが付いている)

「あれ、一条くんじゃん、どったの?」

「あ、さ、里中さん!? ちょっと転校生の吉井に用があって……」

「僕が吉井だけど?」

里中さんに話しかけられてちょっと驚いていている人に僕が話しかける。

「あ、そうなの? 俺、バスケ部の一条康」

「あ、うん、僕は吉井明久、それで僕に何か用なの?」

「ああ、このクラスのやつに聞いたんだけどさ、吉井って運動神経いいんだろ?」

「うん、運動には割と自信あるけど……」

頭の方は自信ないけど運動は割と自信はある。

「頼む! バスケ部に入ってくんね?」

「ええ!? でも僕のバスケの経験なんて体育とか遊びでやってるくらいだよ」

「十分だって、うちのバスケ部だってルール知らないやつとかいるくらいだからさ」

それはバスケ部で良いのかなあ……僕でもバスケの基本ルールくらいわかるのに……

「あーでも無理強いとかはできないよな、一度見学に来ない? ついでに花村も」

「う~ん、それくらいなら……」

「俺はついでかよ……ま、俺はバイトもあるし部活の方はパスかな」

「そうか、残念だな、で、吉井、時間あるなら今日来ない? 今日活動日なんだ」

「うん、別にいいよ」

予定が空いて暇していたし、今日は一条くんに誘われてバスケ部の見学をすることにしよう。

 

 

「シュート練習ばっかじゃなくてたまにはリバウンド練習とかやらね?」

「面倒だからいいよ、シュート練習してればいいだろ」

一条くんに誘われて部活の見学をしているけど一条くん以外のバスケ部のメンバーはあまりやる気がないみたいだ。

『リバウンドを制する者はバスケを制する』とあるマンガでも言っていたのに一条くんの提案に誰も乗らずに割とやってて楽しいシュート練習ばかりをしている。

そんな感じで練習時間は終わり、一条くん以外はさっさと帰ってしまう。

「ははは、こんな感じなんだ、誘っては見たけど逆にやる気なくした?」

一条くんは苦笑を浮かべて僕の方に来る。

「いや、そんなことはないけど、一条くんはどうして僕を誘ったの?」

「うちの部ってさ、こんな感じだから試合勝利どころかまともな試合もしてないんだよな、それでもバスケやってるからには試合して勝ちたいじゃん? だからその可能性を少しでも上げるために運動神経いいって噂の吉井を誘ったわけ」

「よお、一条、勧誘は成功したのか?」

一条くんと話していると体育館にジャージ姿の男子が入ってきた。

「いや、現在勧誘中」

一条くんはその男子と顔見知りらしく気軽に話をする。

「サッカー部の長瀬大輔だ、ま、コイツとは腐れ縁の友人だな」

「あ、うん、よろしく」

長瀬くんが手を出してきたので僕は握手を返す。

「あ、俺は片付けがあるから、今日はわざわざ見学に来てくれてサンキュな」

そう言って一条くんはボールを磨き始める。そして長瀬くんはそれを手伝う。

「それ、二人でやってるの?」

「ほかの部員はあんまりやんないからな」

ボールを見るとしっかり手入れされていて大事に使い込まれているのがわかる。それだけで一条くんがバスケが好きで努力しているのがわかる。

「僕も手伝うよ」

「マジで? 助かるよ」

「うん、それでバスケ部って毎日でないとダメかな?」

今までも遊び優先で部活とかやってなかったけど、頑張っているのを見て、そしてわざわざ僕に勧誘に来てくれるとできる範囲でなら協力してあげたいと思う。

「え? ああ、うん、活動日は火・木・土で雨の日は他の部活が体育館使うからないけど……」

「週3日か……出れないことも多いしあまり役に立たないかもしれないけど……それでも良いならバスケ部、入るけど?」

「うちの部は出席とかそういうの緩いから全然オッケー、吉井ならそれでも下手な部員より活躍できそうだしな」

「そっか、それじゃよろしくね、一条くん」

 

 

『我は汝……汝は我

汝新たな絆を見出したり……

 

絆はすなわちまことを知る一歩なり……

 

汝、剛毅のペルソナを使いしとき

我ら、更なる力の祝福を与えん』

 

 

一条康

アルカナ 剛毅

学力 Bクラス級

 

長瀬大輔

アルカナ 剛毅 

学力 Fクラス級




内容的に2,000文字ちょっと、今後も日常編は割と短編の連続になると思います。
運動部コミュ発生です。部活をやっていなかった明久が転校したからといって自分から部活を始めるわけがないと思って勧誘という形にしました。
強引に明久に部活をやらせず剛毅のアルカナをバカテス側にふれば良いという意見もありそうですがあえて言います。私はこのコミュが好きなんです!
陽介コミュもそうなんですが、いかにも青春って感じのするコミュが私的にはすごい好みです。
ということで強引ですが明久にはバスケ部に入ってもらいます。
と言ってもペルソナ3もそうですがペルソナ4の部活ってすごい緩いですよね、週1どころか数ヶ月顔出さなくても何も言われないですから……夏休みとかも一切活動しないし……ゲームの都合っていうのはわかりますけどね。
小説としては割と不適切ですが超緩い部活ということで明久でも可能としてます。
ちなみに学力、一条はわりと出来そうな印象があります。ある程度良い成績取らないと家が部活許してくれなそうだし。
そして長瀬はバカだと思っています。設定的には部活優先のタイプなのでEかもと思いますが普段の言動からかなりのバカキャラだと思うのでFクラス級と……
では次回もよろしくお願いします。

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