バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

3 / 101
第二話

「あれ、ここは?」

なんか青を基調とした豪華な内装の部屋に僕はいた。

窓を見ると外は霧に包まれてるみたいだけど動いてる。ってことはこれは車か何かの中? 車だとしたらリムジンってやつなのかな。初めて乗ったよ。

待てよ、たしか僕は電車の中にいたはず……前に自転車からトラックに飛び移ったことはあるけど電車からリムジンの乗り移るのは難しい。

「ほう……これはまた、変わった定めをお持ちの方がいらっしゃったようだ……フフ」

その声に僕は声の主を見ると奇妙な男がいた。

血走った丸い目、髪は薄くなり後ろにあるだけ、そしてなにより長い鼻。

そしていらっしゃったと言った。こういうという事は僕が連れてこられたんではなくて自分から来たということ? はっ! もしかして電車の事故で死んでコイツは僕を迎えに来た? そして容貌から考えて天使ということはないだろう、ということは悪魔!?

理不尽だ、なんで僕が地獄に行かないといけないんだ。雄二やムッツリーニのような悪人ならともかく僕が地獄行きとか……

「お客人?」

「嫌だ! 僕はまだ死ぬわけには行かないんだ!」

どこ、出口はどこなんだ!?

「いえいえ、お客人は死んでおられませんよ。今お客人は夢を見ておられる……」

鼻の人が何か言っているが今はそれどころではない。

「走行中の車でもこの速度なら飛び降りてもなんとかなるか、でもここが死んだ世界なら向かう先は三途の川!? いや、川を渡る前なら何度か帰ったこともある!」

「私の声が聞こえておられぬようですな」

「では私が……落ち着いてください」

女性の声が聞こえ僕にすごいスピードで接近してくる美人のお姉さんが見えた。

「ぐはっ」

そしてそのまま僕に強烈なボディブローを叩き込んでくる。

「ひとまず主のお話しをお聞きください」

そのまま引きずられ鼻の長い人の前に座る。美人のお姉さんの迫力に床に正座で聴く体制をとることにした……

「私の名はイゴール……お初にお目にかかります」

鼻の人は何事もなかったかのように自己紹介をはじめる。

「ここは夢と現実、精神と物質の狭間にある場所」

精神と物質の狭間? 精神と時の部屋なら知ってるけど……

「本来は何かの形で契約を果たされた方のみが訪れる部屋。あなたには近くそうした未来が待ち受けているのかもしれませんな」

え!? 契約とかって……僕は高校生だからそんなことはあんまりしないと思うけど。

「どれ、まずはお名前を伺っておくとしましょうか」

「吉井明久です」

「……ふむ、なるほど」

って契約とか言ってる人の前で軽はずみに名前名乗ったらまずかったかな!? もしかして悪質なセールスとか、気がつけば高価な教材とか売りつけられたり……そうすると無理やり勉強させられることになるかも!?

「僕は参考書とかはいりません!」

こういうのはきっぱりと断るのが大事だと聞いた。曖昧な返事だと引き下がらないみたいだし。

「なんのことですかな?」

あれ? イゴールさんは不思議そうな顔をしている。

「さて、あなたの未来について、少し覗いてみると致しましょう」

そう言うとイゴールさんの手が光ってカードが現れる。

「占いは信用されますかな?」

イゴールさんはテーブルにカードを広げながら言う。

「あ、はい、朝のテレビの占いはたまに見てます」

「常に同じカードを操っているはずがまみえる結果はその都度変わる……フフフ、まさに人生のようでございますな」

カード占いってなんか本格的で楽しみ、恋人ができるとか占われると転校が楽しみに……

「近い未来を示すのは塔の正位置。どうやら大きな災難を被られるようだ」

「っていきなりひどい結果だし!」

「そしてその先の未来を示しますのは……」

「ちょっと待って、スルーしないでよ!」

「月の正位置、迷い、そして謎を示すカード、実に興味深い」

僕の意思を無視して占いを続けるイゴールさん。

「興味深いとかいう問題じゃないよね!?」

「貴方はこれから向かう地にて禍を被り、大きな謎を解くことを課せられるようだ」

最悪の結果だ!?

「近く貴方は何らかの契約を果たされ再びこの地においてになるでしょう。今年、あなたは運命の節目にあり、もし謎が解かれなければ貴方の未来は閉ざされてしまうやもしれません」

謎が解けないと死ぬって事!? 僕頭を使うのは苦手なのに!?

「私の役目はお客人がそうならないように手助けさせていただくことでございます」

「本当ですか!」

頭を使うのが苦手な僕にとって謎を解く手助けしてくれるのはすごく嬉しい。

「おっとご紹介が遅れましたな。こちらはマーガレット、同じくここの住人でございます」

イゴールさんがさっき僕に見事なボディーブローを決めたお姉さんを紹介してくれる。

「お客様の旅のお供を務めて参ります。マーガレットと申します」

「あ、はい、僕は吉井明久です」

改めて見るとすごい美人だ。

「詳しくは追々に致しましょう。ではその時まで……ごきげんよう」

そのイゴールさんの言葉で目の前がぼやけていく。

 

 

『次は~八十稲葉~八十稲葉~』

あれ? やば!? 寝過ごすところだった、乗り過ごしたら迷惑かけちゃうよ。

 

 

 

 

吉井明久

勇気 頼りになる

根気 若者級

寛容さ 菩薩級(ただし一部の例外相手にはFFF団級)

伝達力 伝え下手

知識 バカ




明久は勇気と寛容さはあると思うんです。特に寛容さ。ただし同性の恋愛に関しては寛容さは欠片もないですね。
逆に伝達力は一般より低いし知識に関しては言うまでもなしと……
根気だけは一般的ですが偏ったステしてます。
しかし投稿してプロローグ含めて3話目……まだ稲葉にたどり着いてすらいないとか……
でも次回ようやく菜々子が出るぜー

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。