バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第二十三話

4/17 日 晴

 

 

「おはよう、お兄ちゃん」

「おはよう、菜々子ちゃん、早いね」

「お父さんが早起きだったから、一緒に起きた」

僕たちはこれからジュネスに行かないといけないけど、そうしたら菜々子ちゃんが一人になってしまう。

(明久、気持ちはわかるが事件にちびっこを巻き込むわけにはいかない)

(うん、わかってるよ……)

「どうしたの? 出かけるなら菜々子お留守番できるよ」

「う、うん、それじゃ僕たちは出かけるから……」

菜々子ちゃんを放っておくのは気が引けるけど天城さんも心配だし……僕たちは後ろ髪を引かれる思いでジュネスに向かった。

 

 

待ち合わせ先のジュネスのフードコート、陽介はまだ来ていないみたい。

「俺たちの方が先に着いたみたいだな」

「そうだね、でも待ち合わせ時間までもうすぐだよ」

雄二がペットボトルのお茶、僕はフリーで飲める水を飲みながら待つ。

 

Prrrr Prrrr

 

「おっと、メールだ、ん、秀吉か」

雄二が携帯を取り出しメールを確認する。

「秀吉から? 何かあったの?」

「いや、わからん」

そう言って雄二が携帯を見せてくる。

『すまぬ』

ただ一言それだけが書いていた。

「秀吉になにがあったんだろう……」

「わからん、とりあえず電話かけてみる」

雄二が秀吉に電話をかけるが……

「出ないな、ま、相手が秀吉ならそんな大したことじゃないだろ」

確かに、秀吉はあの学校の中ではかなり穏やかな性格だ。謝ってきているけどきっと些細なことだろう。

「わり、お待たせ」

そうしているうちに陽介がやって来る。

「あ、陽介、おはよう」

「おう、おはよう、これ見ろよ、バックヤードからいいもの見つけてきた」

そう言って陽介が出したものは

「模造刀にナタ、それにメリケンサックか、なんで店のバックヤードに武器が常備してあるんだ?」

陽介が取り出した武器を見て雄二が問いかける。

「なに言ってるの、雄二、この程度なら文月学園でも普通に教室に常備してあるでしょ」

「言われてみればそうだな、このくらいどこにでもあるか」

「持ってきた俺が言うのもなんだが、それはそれで普通じゃないと思うが……ま、まあ、いくらペルソナがあるとは言え武器くらいはあったほうが良いだろ、お前ら、どれ使う?」

「うん、雄二はこれなんか良いと思うよ」

僕は雄二に水用の紙コップを渡す。

「明久はこれだな」

雄二は僕に空のペットボトルを渡してくる。

無言で睨み合う僕と雄二……

「おいおい、せっかく3つ持ってきたんだからわけて使おうぜ、あ、でも俺が全部使うのもありか」

陽介がメリケンサックを付けつつ両手に武器を構える。

「どうよ?」

「逆に戦いづらそうじゃないか?」

「うん、模造刀とかは両手で持った方が安定するよね」

「なんでお前らそんなに慣れた口調なんだ?」

「「普通だろ?」」

使う方も襲われた時に撃退する方も

「挙動不審の三人組を発見、至急応援を求む」

「あ、やべ、警察!?」

「大丈夫だよ、この程度普通だし、わざわざ捕まらないよ」

「そうだよな、もっと怪しい奴なんていっぱいいるし」

「きっと僕たちのことじゃないよね」

 

 

「バカかもしれないとは思っていたが……こういう問題は起こさないと思っていたんだがな」

「「「すみません……」」」

僕たちは稲羽警察で叔父さんに怒られていた。

「今色々起きてるのは知ってるんだろ。あちこちに警官が配備されている」

そっか、普段ならともかく事件が起きているこの時期に武器はダメだったか……

「ったく……俺がいなければ補導歴がついてたとこだ」

僕たちは反省していますという態度を示す。武器は没収されてしまったけれどそれも当然だろう。

「え、じゃあ居なくなったのって天城屋の……」

そのときそこを通りかかった警官が天城さんの話をする。

「今の……」

「こっちぁ、今忙しいっていうか、デリケートなんだ。だからこれっきりにしろよ、じゃ、帰ってよし」

叔父さんも話を打ち切って行ってしまう。

「おっとー……っと、ごめんね」

帰ろうとする僕たちに若い刑事さんがぶつかりそうになる。

「あれ? キミ、もしかして堂島さんのところの?」

「僕のこと知ってるんですか?」

「あ、うん、さっき堂島さんと話しているのを見たし、甥を預かっているって話聞いていたからね」

「あの! ちっと聞いてもいいですか?」

「え? なに?」

「あの、天城屋の、天城雪子のことなんですけど……もしかして居なくなったんですか?」

「え、あ、うーんとね、言ってもいいのかなあ? まあ、天城さんと友達なら特別だよ?」

その若い刑事さん、足立さんが言うには昨日の夕方から天城さんの姿が急に見えなくなったらしい。土曜の忙しい時間だったから居なくなった詳しい時間とかもわからない状態だということだ。

そのあとも亡くなった山野アナが女将さん、天城さんのお母さんに色々怒鳴りつけてたりしてストレスで倒れてその影響で天城さんの負担が大きくなったとか、そのせいで天城さんが都合が悪くて隠れていると言われているとか……色々教えてくれる。

「天城さんがそんなことするわけないじゃないですか!」

「ぼ、僕が言ってるわけじゃないよ、そんなこと言う人もいるってだけで……」

そのあと足立さんは叔父さんに呼ばれて行ってしまったけど……

「あれ、大丈夫なのかよ、簡単にペラペラ話して」

「だがこれであそこにいる可能性は高くなったな」

陽介の言葉に雄二が答える。

 

 

「あ、いた」

警察署を出ようとすると里中さんが僕たちに駆け寄ってくる。

「ちょっと、なにやってんの!? すっごい探したんだから!」

「ご、ごめん、ちょっと凶器所持で怒られてて……」

「それより天城のことだよ! 昨日から行方不明だって」

「え、もう知ってんの?」

天城さんの親友の里中さんの方には連絡が行っていたようで僕たちが知っていたことに驚く。

「携帯、何度かけても連絡つかなくて……家行ってみたら雪子本当にいなくなっちゃってて……」

「やっぱ行ってみるしかないな」

「そうだね、警察に捕まって無駄な時間使っちゃったけど……」

「あたしも行く!」

「里中さん、危ないからやめたほうが……」

「行くからね! 絶対雪子を助けるんだから!」

「止めても聞きそうにねーな……仕方ない、でも絶対に俺らから離れんなよ」

 

 

ジュネス家電コーナーにみんなで来た。

「よし、タイムセールも終わってるし、行くか」

この時、僕らはもう少し周りに注意を払っておくべきだった。

「……雄二、見つけた」

テレビに入ろうとする僕らに近寄ってくる人影に気がつかなかった。

「翔子!? お前なんでここに!?」

テレビに既に突っ込みかかっていた僕らと一緒に彼女もテレビの中に入ってしまった。

 




武器屋のだいだらは省略しました。この店存在するとバカテス的に色々危険だし……もうひとつ危険な通販番組がありますけど。余波を受けてベルベットルームにおける合体とペルソナ全書の説明も省略されましたがあれはゲームシステム的なものなので小説ならなしでも良いでしょうとか考えてます。
まあ、彼らには装備はダンジョンで拾うので頑張ってもらいましょう。大丈夫、明久なら女性専用防具もつけれますよ。
さて、冗談はさて置きバカテスキャラ二人目の登場、FクラスメンバーではなくAクラスの霧島翔子に来てもらいました。一応理由はあるんですよ、まだ言えないですが。
ということでアルカナクイズ第2弾、翔子ちゃんのアルカナはなんでしょう?
ヒントというわけではありませんが彼女も一応コミュもある予定です。明久コミュとしては絶対に恋人にはなれないコミュですが。
ということで他の仲間やコミュと被ることはありません。
解答はおひとり様につき一つに絞ってお答えください。
正解者はまたあとがきで発表させていただきます。
では次回もよろしくお願いします。

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