バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第二十一話

4/16 土 雨

 

 

「よっ、おはよーさん」

朝、学校に向かっていると陽介にあった。

「おはよう、陽介」

「昨日の夜中、見たろ? 誰だかいまいちわからなかったけど、アレに映った以上放っておけない」

「うん、雄二にも連絡したけど今日の放課後にクマに確認してみようって」

「そうだな、そういえば雄二の方はみれたのか?」

「見えなかったみたい」

「そっか、じゃあこの町だけなんだな……しかし放り込まれたとしたら誰か犯人がいるってことだよな……直接の原因はあの世界かもしれないけど、あの世界を凶器として使ってる奴がいるなら、許せないよな」

「うん、そうだよね」

警察に捕まることのない殺人ってやつだし。

「ああ、絶対俺たちで犯人みつけようぜ!」

「うん、テレビに入れるなんて警察に言っても信じてもらえないんだし、僕たちで頑張ろう」

犯人が捕まったら叔父さんの手も空いて菜々子ちゃんと遊ぶ時間増えるしね。

「実はさ、俺んちのテレビで試したら頭突っ込めたんだよ、お前みたいに」

「え!? 陽介も入れたの?」

「ああ、俺が入れるようになったのもあの力に目覚めたからかもな、ペルソナって言ったか」

「うん、もう一人の自分みたいだけど……」

「まあ、最初に目覚めたのはお前なんだよな。そんなお前とならなんとかなりそうな気がする。推理の方はお前より雄二の方が頼りになるけどな」

そういって陽介は手を差し出してくる。

「あはは、僕は頭使うのは苦手だしね、でも自分に出来ることをやって頑張って解決しよう」

返事をして僕は陽介と握手をする。

 

 

『我は汝……汝は我

汝新たな絆を見出したり……

 

絆はすなわちまことを知る一歩なり……

 

汝の魔術師のペルソナを使いしとき

我ら、更なる力の祝福を与えん』

 

 

これが昨日夢の中でイゴールさんが言ってたこと? 僕が今のイザナギの他に魔術師のペルソナも使えるって事?

「それじゃ、学校行こうぜ」

考え込んでいる僕に洋介が声をかけてくる。

戦いへの決意を固めた陽介と一緒に僕は学校に向かった。

 

 

学校についてしばらく陽介と雑談をしていると里中さんが登校してきた。

「さ、里中!」

昨日の件を謝らなければ……

「陽介、土下座の準備はいい?」

「そ、そこまでしなくちゃダメなのか?」

「もちろん」

むしろ土下座で許してくれそうな分、里中さんはまし……姉さんとか美波は土下座しても命奪いに来るし……

「「すんませんっしたー」」

僕と陽介は並んで里中さんに土下座する。

「え!? なんでいきなり土下座? そ、そのことはもう良いから、それより雪子来てない?」

「天城さん? 今日はまだ見てないけど……」

陽介を見ても

「俺も見てないな」

「ウソ……どうしよう、ねえ、やっぱりあれってホントなの? マヨナカテレビに映った人は向こう側に関係してるってやつ」

「ああ、それをあとで確かめに行こうって話をしてたんだ」

「昨日のマヨナカテレビに人が写っていたしね」

「昨日映ってたの……雪子だと思う」

「え!?」

「あの着物、旅館で着てたのと似てるしこの前インタビュー受けたときも着てた」

確かに和服をきた髪の長い女の子っぽかった、でも和服の種類まで僕はわからなかった。やっぱり服装に関しては女の子の方が目ざといものかな。

「それで心配だったから夜中にメールしたんだけど返事来なくて、でも夕方頃電話かけたときは今日学校に来るって言ってたから……」

「うん、僕も昨日の帰り道で会った、それでまだメールの返事ってきてないの?」

「うん……」

「とりあえず天城の無事を確かめたほうが良いな……里中、天城に電話」

忙しくてメールを返信できない可能性もある、そういうことで里中さんが天城さんに直接電話してみる。

そして携帯に繋がらなくて家の方に電話してみたら天城さんの無事を確認できた。

「よかった~、雪子いたよ」

無事を確認できたせいで僕たちの間に張り詰めていた緊張感も緩む。

「とりあえず無事で安心したよ、でもそれなら昨日のマヨナカテレビってどういうことなのかな?」

「まだ色々わかんねーこと多いな、マヨナカテレビに映ったのがあっちの世界にいる人ってわけじゃねーのか」

「それも含めてクマに確認とったほうが良いかもね」

「雪子のことも関係するんだったら気になるし、私も行くね」

 

 

放課後のジュネス、雄二もちょっと遅れてこっちについた。

昨日のことを里中さんに説明し、マヨナカテレビと天城さんのことを雄二に説明した。

「ふむ……昨日映ってたのが天城に間違いはないのか?」

「うん、多分間違いないと思うけど……」

「そうか、ならひとまずクマに聞かないと話にならないな」

「けど雄二、こんなに人がいたらテレビには入れないよ」

昨日や一昨日と違って家電コーナーに他に人がいる。

「ふむ……明久を犠牲にして注意をそらす手もあるが……そうなるとテレビに入った時の戦力が減ってしまうな」

「戦力にならなかったら犠牲にする気なの!?」

「と、とりあえずさ、俺たちで壁になって手だけ突っ込んでクマ呼んでみないか?」

「それが妥当だな」

よかった……僕が犠牲にならずに済むみたい。

「里中はこっちな」

雄二はでかいから一人でもかなりの範囲を隠せる。だから片方を雄二が、もう片方を陽介と里中さんで隠す。

ガブッ

「痛ぁ!?」

「ど、どうしたの?」

「噛み付かれたよ!?」

「うるさいぞ、バカ、静かにしろ」

僕の声に周囲の視線を集めてしまった。

「は、歯型ついてるけど大丈夫?」

里中さんは親切に心配してくれる。

「う、うん、大丈夫」

「爪の垢を煎じて飲むという言葉がある。これは優れている人を見習えという意味だ。ところで明久のを飲むとどうなると思う?」

「えーと……」

雄二の言葉に陽介は答えづらそうだけど……

「うわわ、しまったクマ、クマ、馬鹿になっちゃうクマ」

「なんで被害者の僕がここまで言われてるの!?」

心配してくれた里中さんの優しい心を雄二とクマも見習うべきだと思う。

「ま、まあそれは置いておいて……おい、クマ、今中に誰かの気配はあるか?」

「誰かって誰? クマは今日も一人で寂しん坊だけど? むしろ寂しんボーイだけど」

「うっさい!」

クマのテンションに里中さんが怒る。

「けど、誰もいない? ホントに?」

「嘘なんかつかないクマ! クマの鼻は今日もビンビン物語クマ!」

「どういうことなんだろうね?」

「今のところはわからない……とりあえずもう少し様子見だな」

雄二は少し間考えてから答える。

「あたし、やっぱり雪子に気をつけるように行ってくる。土日で忙しいだろうから一人で出歩いたりはしないと思うけど……」

「そうだね、一応気をつけたほうがいいよね」

命がかかっていることだし、用心はしておいたほうがいいよね。

「とりあえず一度俺もマヨナカテレビとやらを見てみたいな」

「そうだな、なにかわかるかもしれないし、それで雄二は今日は明久の家に泊まんの?」

「うん、僕の部屋はちょっと狭いけど雄二一人くらいなら泊まれると思う」

「そっか、なら見たら電話するわ」

僕は雄二を連れて家に帰ることにした。




今回は雄二宿泊の前まで、とりあえず陽介コミュ発生、コミュの言葉はちょっとだけ変えてます。ゲームだと作る時でいいですけどここでは使用した時にコミュが力を与えてくれることにしています。
ベルベットルームでの合体をやるかもしれませんがそこらはイゴールやマーガレットとの会話のためって感じですね。

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