バカと田舎とペルソナ   作:ヒーホー

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第十三話

「あれ、ここって……」

謎のクマにテレビに押し込まれた僕らは気がつけばジュネスの家電コーナーにいた。

「戻って来た……のか?」

「そうみたいだね」

『ただいまより、1Fお惣菜コーナーにて恒例のタイムサービスを行います……』

その時タイミングよく放送が流れてくる。

「げっ、もうそんな時間かよ」

「けっこう長くいたんだ……」

惣菜のタイムサービスということはそこそこの時間。

「あ、僕も夕飯の支度しないといけないのに……」

菜々子ちゃんをあまり待たせるわけにいかない。

「そうか……思い出した、あのポスター……ほら、見ろよ、向こうで見たのあのポスターだろ!」

花村くんに言われてそちらをみればそこには演歌歌手の柊みすずのポスター。

「何言ってるの、花村くん、あそこで見たポスターは顔なかったじゃないの」

顔がない人扱いは柊みすずに失礼だと思う。

「だからそうじゃなくて切り抜かれる前!」

「うん、確かにさっきのは顔切り抜かれて分からなかったけどあれ、柊みすずだったんだ……」

「あ!? 確かに言われてみれば、あれは柊みすずのポスターの顔切り取ってたんだ!」

「反応おっせーよ!」

「柊みすずって最近ニュースで騒がれてるよね。旦那が最近死んだ山野アナと不倫してたって」

「おい、じゃ、なにか……? さっきのわけわかんない部屋……死んだ山野アナと何か関係が? そういやあの部屋、やばい輪っかがぶら下がってたりしたけど……」

不思議な状態で死体で発見された山野アナ、首吊りを連想させるロープ、謎のテレビ……考えるだけでも結構怖い。

「わー、わー、やめやめ! おい、やめようぜ、この話」

自分で話していて花村くんも怖い想像をしたのか話を打ち切る。

「つか、今日のことまとめて忘れることにするね、俺。なんかも、ハート的に無理だから、うん」

「なーんか、寒くなってきた。気分も悪いし、帰ろ」

その話に里中さんも気味悪そうに頷き僕たちは解散することにした。

 

 

「ただいまー」

食材の買い出しは必要ないので僕は急いで帰ってきた。

「おう、おかえり」

今日は叔父さんも早く帰って来れたみたいで家に帰ってきた僕に挨拶を返してくれた。

「ごめん、遅くなっちゃった。すぐにご飯作るね」

「ああ、別に今日はいい、カップ麺で済ませることにした」

叔父さんに言われてみれば菜々子ちゃんと叔父さんの前に蓋を閉じて時間待ちのカップ麺があった。

「ごめんなさい、ちゃんと準備もしないで」

料理は僕の役目なんだからここはちゃんと謝らないと……

「ああ、気にするな、高校生なんだ、遊んでて遅くなることくらいあるだろう、ただこの町は今事件が起こってるんだ、だから程々にしておけよ」

叔父さんは笑って許してくれる。テレビから出てからちょっと身体がだるかったから叔父さんの言葉はありがたかった。

「あー…ところで知らんと思うが……小西早紀って生徒のこと……なにか聞いてないか?」

小西先輩っていうと昨日ジュネスで会った花村くんの好きな人だよね。たしかさっき学校で……

「うん、昨日ジュネスで会ったよ。なんか今日学校来てないって話聞いたけど……」

「ああ、そうなのか……」

叔父さんは頷いて少し考える。

「実は……行方がわからなくなったって連絡があってな。うちの連中で探してるんだが、まだ見つからない……」

行方不明!?

「それは大変なんじゃないの!?」

事件の第一発見者っていう噂の小西先輩が行方不明って結構一大事なんじゃ……

「僕ちょっと探しにいってくる!」

「お、おい、まて明久、何か心当たりあるのか?」

立ち上がって出かけようとしたところ叔父さんに止められる。

「心当たり……そうだ! 花村くんに聞けば!」

「花村?」

「うん、ジュネスの店長の息子、小西先輩はジュネスで働いていたみたいだから」

「バイト先か……」

「しまったーーー! 電話番号交換するの忘れてたーーーーー!?」

「落ち着け、バイト先の友人か、そっちも当たってみるように連絡しておく」

叔父さんは電話で連絡して指示を出していく。こうなると僕にできることはもうない。

そのまま僕の分もカップラーメンを作ってテレビを見ることにする。

そうすると山野アナが天城さんの旅館に止まっていたというニュースが流れる。これが原因で忙しいのかな……しかしこのコメンテーターの発言、事件と無関係だなあ……

そのままニュースを眺めていたけどなんか体調が悪い気がする……

「……風邪?」

菜々子ちゃんが僕の様子を見て尋ねてくる。

「慣れない環境で疲れているのかもな、今日は薬飲んで早く休め」

「うん、そうする」

今日は早く休むことにしよう。

 

 

そういえば雄二が今日Aクラスと試召戦争するとか言ってた気がする……どうなったんだろう、少し気になって電話をかけてみるけど……

「出ないなあ……」

下校時間を過ぎているからまだ戦争をしているわけではないはず、どうしたんだろう。

まあいいか、雄二だし。僕は気にしないで休むことにした。




さて、事件後の話、軽く流すつもりだったけど思ったより長くなってしまいましたね。
ちなみに雄二は敗戦後なので……
日付が変わる次回は割と皆さん楽しみにしていらっしゃるようなので早めに上げられると良いなあと思っています。

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