エヴァンゲリオンはじめました   作:タクチャン(仮)

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後日談《アダムとリリス(6)》

~リリスとの対面~

 

 翌日、シイ達が学校に登校している時間に、カヲルはゼーゲン本部にやってきた。ポケットに手を入れたまま悠然と歩く彼は、ターミナルドグマへと繋がるゲートの前で立ち止まる。

「やあ、待たせてしまったかな?」

「……問題無い」

「なら案内して貰おうか。リリスの元へ」

 意味深な笑みを浮かべるカヲルに頷くと、ゲンドウはIDカードを通してゲートを開ける。再び本部の機密区画へと降りていく二人。だがその目的地は先日よりも更に地下、本部の最深部だった。

 あらゆる者の立ち入りを拒むかのような重厚な黒いゲートは、ヘブンズドアとも呼ばれる人類最後の砦であり、その奥にあるモノの重要さを無言で物語っている。

 再度取り出されたゲンドウのIDによって、ヘブンズドアはゆっくりと開いていく。そしてカヲルは、赤い十字架に張り付けにされた、白い巨人と対面する。

 

 赤い十字架に両手を杭で、胸をロンギヌスの槍で貫かれた巨人は、七つの目が描かれた仮面を被り、二人の来訪者を無言で迎え入れる。

 カヲルは身体をふわりと浮かせると、LCLの湖の上を渡って巨人に近づく。そして赤い瞳で注意深く巨人を見つめ続け……やがて何かに納得したように小さく頷いた。

「成る程、確かにこれはリリスだね。ただ不思議な事に、何故かアダムの気配も感じる」

「その槍は南極でアダムを刺したもの。アダムの遺伝情報を残している筈だ」

「ならばリリスは融合……いや、受胎しているのか……」

 ゲンドウの隣へと戻ってきたカヲルは、ロンギヌスの槍を鋭く睨み付けた。かつて南極でアダムを死に追いやった槍。だが同時に、自らを生み出す切っ掛けとなった槍でもある。

 カヲルにとってはまさに因縁の槍と言えた。

「それで、どうだ?」

「リリスは活動を停止していないよ。魂を抜かれた始祖が相手だと、精々肉体の再生を止める位にしか、槍は働いていないみたいだね」

「……そうか」

 淡々と告げるカヲルに、ゲンドウは少しだけ落胆した様子で答えた。

 

 彼がここにカヲルを連れてきたのは、リリスの状態を正確に把握する為だった。レイを除いてもっともリリスに近い存在である彼なら、何かが分かるかもしれないと。

 そしてカヲルにとってもそれは好都合だった。彼はここに封印されている始祖が、アダムであると思い込んでいたが、実際にはリリスであるとゲンドウは言う。魂を宿す自分が勘違いする筈が無いと、自分の目で確かめる機会を得たのだが……結果は変わらなかった。

 

「まさかリリスにアダムの子を受胎させるとはね……」

「老人達は贖罪と新生を求めていた。エヴァにより原罪を贖罪した後、次こそは神に祝福された子として、正しき生命体として誕生する為、必要だったのだろう」

「……僕には理解出来ないよ」

 シイ達と共に過ごしたカヲルは、誕生日と言う祝福の日を経験した。そんな幸せを捨ててまで、神の祝福に拘っていたゼーレの思考は、彼にとって理解しがたいものがあった。

「それにしても、見事なまでにピースが揃ってるね。ラストピースはリリスの魂。それが嵌まってしまえば、自動的にサードインパクトは起こってしまう」

「最悪の場合、レイがリリスと融合するよりも先に、槍を引き抜くべきだな」

「それは本当に最後の手段だね。肉体が解放されれば、それだけ魂を強く引き寄せてしまう。だからくれぐれも、タイミングを見誤らないで欲しい」

「……そうだな」

 アダムもリリスも、魂と肉体が揃った完全な状態で発見されたが、反ATフィールドを展開する事は無かった。ロンギヌスの槍を排除してしまえば、リスクは大幅に下げられるだろう。

 

「ふふ、そろそろお暇しようか。何時までもここに居ると、リリスに妙な気を起こしてしまいそうだ」

「……ああ」

 軽口を叩くカヲルに頷くと、ゲンドウはこの場から立ち去る。カヲルもそれに続くが、入り口で一度だけリリスに振り返った。

「さよなら、リリス。もう二度と会わない事を祈っているよ」

 愁いに満ちた表情で別れを告げるカヲルに、やはりリリスは無言だった。

 

 

~アダムとカヲル~

 

 ターミナルドグマからジオフロントへと向かう道中で、カヲルはゲンドウに問いかける。

「……そう言えば、レイの事は聞いたかい?」

「ああ」

「流石に僕も迂闊すぎたよ。もう少し周囲を警戒すべきだった」

「私の失態だ。あの様な態度を取って、レイが不審に思わない筈が無いのだから」

「否定はしないけど、結果としてはやりやすくなったかな」

 カヲルの言葉の意図を察し、ゲンドウは渋い表情で頷く。監視対象者であるレイが協力する以上、リリスの魂の覚醒は把握しやすくなったのだから。

「それに伴うリスクもある。レイが自覚した今、覚醒までの猶予は少ないだろう」

「だろうね。あの三女神と言えども、魂の研究には時間が掛かるだろうし」

「無理は承知だ。全力で足掻いた結果ならば、どんな結末をも受け入れられるだろう」

「……そうだと良いけどね」

 カヲルは薄々だが察していた。恐らくレイの覚醒は止められないだろう。そして、ゲンドウ達の行動は全て、シイ達の心の傷を和らげる為なのでは無いかと。

 

「あ、そうそう。もう一つ聞きたい事があったんだ」

「何だ」

「アダムは今もここに居るのかな?」

 予期せぬカヲルの問いかけに、ゲンドウは思わず足を止める。そしてゆっくり振り返ると、サングラス越しに鋭い視線を向けた。

「……何故そう思う?」

「昨日、アダムとリリスの禁じられた融合によって、サードインパクトを起こすつもりだったと言ったからね。僕がここに居る以上、それにはアダムの肉体が必要だからさ」

 身体と魂が分離している始祖同士の融合は、カヲルがリリスの肉体と、もしくはレイがアダムの肉体との二通りしか考えられない。

「道理だな。確かに私はアダムの肉体の一部を所持している」

「やはり、南極でバラバラになったアダムを、回収していたんだね?」

「ああ。回収したアダムの欠片は、既に胎児の状態まで復元されている。ただし特殊ベークライトで固めている為、それ以上復元する事は無く、使徒もお前も欺くことが出来たがな」

 予想通りだと頷くカヲルを見て、ゲンドウはある疑問をぶつける事にした。

「……お前は今も、アダムへの回帰を望むのか?」

「望まないと言えば嘘になるね。ただ今の僕には彼女がくれた力が、選択肢を選ぶと言う自由がある。渚カヲルとしてリリンを見ていたい。それが僕の望みだよ」

 ポケットから手を出し、真っ直ぐにゲンドウを見つめてカヲルは本心を語った。

 

「お前は回帰騒動を抑えられるのか?」

「ええ。ただ残念だけど、レイとは事情が違うから参考にはならないと思うよ」

「……アダムが完全では無いからか」

「それもあるけど、僕がタブリスとしての役割を負っているのが一番の違いかな」

 訝しむゲンドウに、カヲルは更に言葉を続ける。

「死海文書に記された使徒の名は、単に個体を識別するだけじゃ無い。それぞれが名前の元となった天使に由来した特性を持ち合わせているんだ」

「タブリス……自由意志の天使」

「そう。だから僕には選択肢を与えられ、自らの意思で未来を選ぶ事を許された。もし僕がタブリス以外の名を与えられたり、レイと同じ様にアダムの器としてだけ存在していたら、今ここには居ないだろうね」

 渚カヲルと言う存在が人との共存を選べたのは、幾つもの要因が重なり合った結果起きた、一つの奇跡なのかも知れない。

「そうそう。アダムの肉体は早めに処分してくれると助かるよ」

「……良いのか?」

「未来は誰にも予測出来ない。そして心は移ろいゆくものだからね」

「分かった。責任を持って行おう」

 カヲルが本心から、人と生きる決意を持っている事を理解したゲンドウは、力強く頷くのだった。

 

 

 

~崩壊への序曲~

 

 昼休み、シイ達は揃って屋上で昼ご飯を食べながら、穏やかな時を過ごしていた。

「碇が手を切るなんて、珍しい事もあるもんだね」

「あはは……ちょっとよそ見をしちゃって」

 ケンスケの突っ込みに、シイは左手に巻かれた包帯をさすりながら苦笑する。料理を習っていた時は指を切ることもあったが、ここまで大きな怪我は初めてだった。

「大丈夫なの、シイちゃん?」

「うん。アスカとレイさんのお陰で、もう血は止まってるから」

「……私は何もしてないわ」

「本気でその通りよ。あんたら二人とも、動揺しすぎだって~の」

 結局止血から後始末まで、ほとんど全てをこなしたアスカは、呆れ顔でウインナーを口に放り込む。口では文句を言いながらも、シイお手製のお弁当には満足しているらしい。

「惣流は怪我とか慣れとんのか?」

「ま~ね。応急処置くらい出来て当然よ」

「うぅぅ、私も勉強しようかな」

「あんたの場合、まず血を見ても気絶しない事からね」

 シイも血が苦手というわけでは無いのだが、それでも昨日のあれはショッキング過ぎた。それを理解しているのか、アスカの口調も何処か柔らかい。

「ま、大事なくて何よりや。シイの弁当が食えへんかったら、この二人が不機嫌になるやろし」

「……否定はしないわ」

「しなさいよ!」

 いつも通りのやり取りに、シイはほっと胸をなで下ろす。昨日の出来事がまるで夢のように、こうして今までと同じ日常を過ごせている。それは何よりも大切な事に思えたからだ。

 

「そう言えばさ、渚はどうしたんだ?」

「午後から来るって言ってたよ。何か本部に用事があるんだって」

「ど~せろくでもない事よ」

「ふふ、否定はしないよ」

 突如聞こえた少年の声に、一同は驚きながら視線を向ける。するとそこには、手にコンビニの袋を持ったカヲルが、微笑みを浮かべて立っていた。

「か、カヲル君!?」

「やあシイさん。今日も元気な君と会えて嬉しいよ」

「あんた、何でここに居るのよ」

「ご挨拶だね。本部での用事が早く終わったから、一緒にご飯を食べようと急いで来たのさ」

 カヲルはそう言うとシイの隣に座り、途中で買ったであろうパンと牛乳を取り出す。

「渚君も相変わらずね」

「まあ、それがこいつのええとこや」

「なあなあ渚。本部に用事ってさ、やっぱりエヴァの破棄についてなのか?」

 興味津々と言った様子で身を乗り出すケンスケに、カヲルは少し驚いた表情を浮かべる。自分達も昨日知ったばかりの情報を、どうしてこの少年は把握しているのかと。

「えっとね、相田君のお父さんはゼーゲンの職員さんなの」

「ああ、それでか。……残念だけど、僕の用事は別件だよ」

 シイの説明に納得したと頷いたカヲルは、そっと首を横に振ると、自分がメディカルチェックのために本部へ行っていたと嘘の説明をする。

 無関係な二人と、レイへの配慮があったのだろう。

「そっか。じゃあもしエヴァの破棄について何か分かったら、教えてくれないか?」

「そんなに興味があるのかい?」

「当たり前だろ。僕達を守ってくれたエヴァが、役目を終えて眠るんだ。出来る事なら、僕も見届けたいなって思うよ。……ありがとうってさ」

「……約束するよ」

 ケンスケの純粋な思いは、カヲルだけでなくシイ達をも暖かな気持ちにさせた。

 

 

「これから先、もうエヴァが無いって思うと、ちょっと寂しいな」

「エヴァは役目を終え眠りにつき、リリンの未来はリリンが紡いでいく。愛という絆でね」

「だ、そうよ。ヒカリも頑張ってね」

「わわ、私は別に……その……うん」

 アスカにウインクを向けられたヒカリは、顔を真っ赤にしつつも頷いた。トウジとの恋人関係は高校生になっても良好で、このメンバーの中では唯一のカップルだけに、こうしてからかわれる事が度々あった。

「あ~あ。どっかにあたしに相応しい男は居ないのかしら」

「……アスカに相応しい人は、そうそう居ないと思うわ」

「へぇ~。あんたもようやくあたしの魅力を理解したって訳?」

「……じゃじゃ馬を乗りこなすのは難しいもの」

 レイの発言がゴングとなり、二人は何時もの取っ組み合いへと移行する。もう日常風景となったそれを見守りながら、シイは不思議そうに呟く。

「アスカもレイさんも美人さんだから、素敵な相手が見つかると思うけど……」

「ふふ、どうだろうね。どちらも扱いが難しいし、特にレイは男性に興味が無いんじゃ無いかな」

「そうなの?」

「彼女は恐らくリリンに対して、恋愛感情を抱きにくいと思うよ」

 人類の母であるリリスの魂を宿したレイ。人として育んできた心はあるが、根本的な部分で人を恋愛対象として見られないだろうと、カヲルは予想していた。

「ならカヲル君は? レイさんとカヲル君ならピッタリじゃないかな?」

「それは勘弁して欲しいな。ある意味で一番相性が悪いからね」

 異なる始祖同士。聖書でもアダムの元から去ったリリス。カヲルとレイの相性は、この地球上で最も悪いと言えるかも知れない。

 そんな二人が一緒に居られるのは、碇シイと言う存在が間を取り持っているからだろう。

「むぅ~。カヲル君がレイさんと結婚すれば、家族になれると思ったのに」

「ふふ、ならシイさんと僕が結婚しても家族になれるよ?」

「それは無理だよ。だってカヲル君は私のお兄ちゃんでしょ?」

 ならシイの妹であるレイとも結婚できないだろうと、そんな事を言う余裕はカヲルに残っていなかった。シイの口から不意打ちで発せられた『お兄ちゃん』を無防備で受けてしまったのだから。

「な、渚!?」

「……ふ、ふふ、これは……効いた、よ」

 未だ戦闘を続けるアスカとレイ。ばったりと倒れたカヲル。今日もシイ達はいつも通りの日常を送っていた。明日もまた、同じ様な日常が訪れると信じて。

 

 

 

~呼び声~

 

「……ここは何処?」

 教室で午後の授業を受けていた筈のレイは、気がつくと何故か電車に乗っていた。夕日が差し込む車内には他の客はおらず、一人シートに腰を下ろしている。

「……これは夢?」

『ここは貴方の意識の中。貴方の心の中』

 答える者の無いはずの呟きに、しかし返答があった。レイが驚き視線を向けると、さっきまで誰も居なかった向かいの席に、自分と同じ様に座る少女の姿が現れる。

「……貴方誰?」

『私は貴方』

「……いいえ、私はここに居るわ。貴方誰?」

『私は貴方』

 繰り返される同じ答え。逆行で影になっている少女をよく見ようと、レイは目をこらす。青いショートヘア、赤い瞳、白い肌……そこに居たのは鏡で見た自分の姿だった。

「……貴方は誰?」

『私は貴方』

 警戒心を露わにしての問いかけだったが、少女はやはり同じ答えを返す。自分と同じ姿、同じ声を持つ少女に、レイは困惑を隠しきれない。

『……貴方は私では無いわ。碇レイは私だけだもの」

『私は貴方。私は私。貴方は私』

「……違うわ」

『私は碇レイ。私は綾波レイ。私は……』

 最後の言葉は聞き取れなかった。だが少女はそれを口にした瞬間、身の毛がよだつ様な恐怖がレイを襲う。身体の震えが止まらず、顔からは血の気が引いていた。

『一つになりましょう。心も体も一つに、あるべき姿へ』

「……私は……」

『それはとても気持ちが良いこと。とても幸せなこと』

 立ち上がった少女が、ゆっくりと近づいてくる。だがレイは金縛りにあったかのように、抗うことも逃れることも出来ない。

 そっと少女の手が伸ばされ、レイの肩を掴もうとした瞬間、

「レイさん!!」

 自分の名を呼ぶ声が遠くから聞こえた。

 それで金縛りが解けたレイは、少女の腕をとると思い切り肘関節を極める。だが少女は痛がる素振りすら見せず、まるで幻であったかのように姿を消した。

 

 

「レイさんってば!!」

「……シイさん?」

 気づけばレイは電車の中では無く、一年A組の教室に居た。泣いているシイの顔と天井が見え、自分が仰向けに寝ていると理解する。

「……私、寝ていたの?」

「うぅぅ……違うよ。レイさん急に倒れちゃうし、呼んでも返事してくれないし……」

 ポタポタと暖かい液体が、レイの顔にこぼれ落ちる。全く憶えていないが、どうやら自分は意識を失い、シイに心配させてしまった様だ。

「……ごめんなさい」

「ううん、レイさんが無事なら良いよ」

「シイ! 校門前まで救急車が来たから、レイを運ぶわ……って、起きたの!?」

 凄まじい勢いで教室に駆け込んできたアスカは、目を覚ましたレイを見て安堵の表情を浮かべる。見ればヒカリやケンスケ、トウジに他のクラスメイト達も心配そうに自分を見つめていた。

「レイちゃん、授業が終わってからも全然動かなかったの」

「で、碇が軽く肩を叩いて声をかけたら、そのまま床にバタンさ」

「ホンマに焦ったで」

 ゆっくりと身体を起こすレイに、ヒカリ達が事情を説明する。突然倒れたレイに動揺しきりのシイに変わって、アスカが手早く状況の確認と病院への通報を行ったのだと。

「……ごめんなさい。それと、ありがとう」

「べ、別にあんたの為じゃ無いわよ。ただシイが何時までも泣き止まないからで……」

「惣流が一番焦ってたけどな」

「うっさいわね! で、どうすんの? 一応病院で検査した方が良いんじゃない?」

 今は意識がハッキリしている様だが、頭の中に関しては用心するに越したことは無い。そしてヒカリ達の手前ハッキリとは言わなかったが、もしリリスの覚醒と関係があるのなら、万が一に備えて本部へ向かうべきだとも、言外に伝える。

「ちゃんと検査して貰おう。私はもう……レイさんが倒れるのなんて嫌だよ」

「……分かったわ」

 シイに真っ赤な目で訴えられ、レイは病院に向かうことを了承した。

 

 

~覚悟~

 

 第一高校から出発する一台の救急車を、カヲルは屋上から見送っていた。

「魂からの接触……自覚した事で心の扉が開かれてしまったか」

 小さな呟きには何処か諦めに近い、悲しい響きが込められている。

「目覚めの時まで、それ程時間は掛からないだろう。今なら確実に止められるけど、彼女はそれを望まない。さて、どうしたものか……」

 今回の一件で、カヲルは日常の終わりが間近に迫っていると確信した。結末がどうであれ、自分達の関係は今までとは変わってしまうのだから。

(傍観者で終わるのはごめんだね。……僕も覚悟を決めるとしよう)

 沈みかけの夕日を見つめながら、カヲルは拳を強く握りしめるのだった。

 

 

 




穏やかな日々よさようなら。殺伐とした世界よこんにちは。
そんな感じになってきましたね。
物語もようやく起承転結の転に差し掛かり、ここから一気に加速していきます。


次回もまたお付き合い頂ければ幸いです。

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