エヴァンゲリオンはじめました   作:タクチャン(仮)

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後日談《文化祭~閉幕~》

 

~送り込まれた刺客~

 

 多くの来場者で賑わう第一中学校を、加持夫妻は二人並んで歩いていた。

「こりゃまた凄い人出だな」

「本当ね。やっぱ非常事態宣言の永続解除が効いてるのかしら」

「人混みは大丈夫か?」

「ぶつからなければ平気よ」

 加持の気遣いにミサトは愛おしげにお腹を撫でながら答える。妊娠中期に入り、ミサトの状態も安定してきたとは言え、やはり心配になってしまう。

「あまり無理はするなよ。調子が悪かったら直ぐに言え」

「分かってるって。……でも良かったの?」

「ん? ああ、キール議長の事か」

 ミサトの質問の意図を察し、加持は苦笑を浮かべる。元々シイ達の顔を見に来る予定だったが、彼はそれに加えてある頼まれごとをされていた。

「大した手間じゃ無いさ。ちょいと写真を撮るだけだからな」

「なら良いけど」

「色々あったが、あの人には恩もある。あんなに落ち込んだ声で頼まれたら、流石に断れないさ」

 突然携帯に連絡が来たときには流石に驚いたが、話を聞けばなかなかに自業自得の状況らしい。とは言え無下にするわけにも行かず、可能であればの条件で頼み事を引き受けた。

「ま、あまり気にせず楽しむとしよう。メイド喫茶なんて滅多にお目にかかれないからな」

「そうね。あの子達のメイド姿、ちょっち楽しみだし」

 妹分達の奮闘ぶりを楽しみにして、ミサトは加持と共に三年A組へと向かう。

 

「でもシイちゃんがそんな格好するなら、ゼーゲン本部は大騒ぎじゃ無いの?」

「碇司令とユイさんが自重する様にお触れを出したよ。でなければ――」

「青葉ぁぁ!」

「お、俺に構わず、日向さんだけでも……うわぁぁぁぁ!!」

「「…………」」

 聞き覚えのある声と馴染みのある名前が、二人の耳に届いた。一体何があったのか、察するのは容易だったがミサトと加持は思考を止める。

「……ゼーゲンは相変わらずって事?」

「残念ながら、な」

 なおも聞こえてくる悲鳴を無視して、加持とミサトは今度こそ三年A組へと向かうのだった。

 

 

 長蛇の列に驚きつつも、二人は辛抱強く順番を待つ。そして待つこと数十分、ようやくメイド喫茶へと入店することが出来た。

「「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」」

「え、えっと、お嬢様って私?」

「嬉しそうな顔するなよ。定型文なんだろ」

 お嬢様と呼ばれて喜ぶミサトに、加持は呆れながら言う。もうすぐ三十路、しかも現在妊婦さん。どう考えても定型文かリップサービスだろうと。

「あ~加持さん! それにミサトも」

「よ、暫くぶりだな」

「あらアスカ。良く似合ってるじゃないの」

 二人の姿を見かけて駆け寄ってくるアスカに、加持とミサトは笑顔で手を挙げる。

「今日はデート?」

「そんな所だ」

「な~に? アスカが私達の担当をしてくれるの?」

「ふふん、嬉しいでしょ。さ、席に案内するわ」

 アスカは自慢げに胸を張ると、二人を窓際の席へエスコートする。そして慣れた手つきで二人にお冷やとメニューを用意した。

「ご注文は何にしますか? ご主人様、おば様」

「う゛っ! い、言ってくれるわね……。ホットケーキとコーヒーをお願い」

「俺もコーヒーを頼む」

「畏まりました」

 恭しく一礼すると、アスカは厨房へオーダーを伝えに行く。その後ろ姿を見つめながら、ミサトは何とも言えぬ笑みを浮かべる。

「ん、随分と嬉しそうじゃないか」

「何か、ちょっち懐かしくなっちゃって」

 共同生活をしていた時は、毎日のようにアスカの皮肉や軽口を聞いていた。だが今は同じマンションに住んでいるとは言え、会う機会も少なくなっている。

 感傷に似たものをミサトは感じているのかも知れない。

「人生ってのはそんなものさ。出会って親しくなって、だが何時かは別れる。その繰り返しだ」

「分かってるんだけどね」

「……もうすぐ新しい出会いがある。寂しいなんて気持ちを吹き飛ばすくらい、刺激的な出会いがな」

 自分のお腹を指さす加持にミサトは小さく頷く。順調にいけば来年、ミサトにとって忘れられない出会いが待っているのだ。刺激的で……感動的な出会いが。

 

「良い雰囲気のとこ悪いけど、ご注文の品よ」

「おっと、早いな」

「あはは、ありがとう」

 完全に二人の世界に入りかけていた加持とミサトは、気まずそうにアスカへ笑いかける。

「折角だからゆっくりしていくと良いわ。後でシイにも声を掛けさせるから」

「ああ。っと、忘れてた。なあアスカ。写真を撮っても良いのか?」

「ん~一応NGなのよね。……ちょっと待ってて、責任者を連れてくるわ」

 アスカはスッと加持達から離れると、側で給仕をしている女子生徒に何やら告げると、二人揃って加持達の元へ戻ってきた。

「その子が責任者なの? 可愛い子ね」

「お褒め預かり光栄です」

「……ちょっと待て。まさか…………渚君か?」

 セミロングのウイッグと化粧に一瞬騙されたが、特徴的な赤い瞳と聞き覚えのある声で、加持は女子生徒と思っていた少年の正体に気づいた。

「ふふ、流石加持主席監査官。見事な観察力ですね」

「渚カヲル子よ。一応こいつが責任者だから」

「こりゃまた、随分と化けたもんだ」

 元々綺麗な顔立ちをしていて、体型も華奢なカヲルだ。キチンと化粧をして女物の服を着れば、初めて見る人はまず男の子とは思わないだろう。

 

「ありがたくない褒め言葉をありがとう。それで、写真を撮りたいんだって?」

「ああ。可能ならば、だがな」

「他のお客様にお断りしている手前、そう簡単に良いよとは言えないね。何か事情があるのかな?」

 普通なら即却下なのだろうが、一応事情を聞く辺りは彼も、加持が趣味で写真を撮る人間では無いと分かっているのだろう。

「実は――」

「……成る程。老人の道楽に付き合わされたのか」

 加持から事情を聞いたカヲルは、加持に同情の視線を向ける。

「協力してあげたい所だけど、シイさんの写真がキールの手に渡るのは、個人的に嫌だね」

「そりゃそうよね」

「……なあ、渚君。ちょっと耳を」

 ミサトとアスカに聞かれないよう、加持はカヲルの耳元で何かを呟く。何を告げたのかは分からないが、加持の言葉を聞いた瞬間、カヲルが驚いた様に目を見開いた。

「良く気がつきましたね」

「ま、職業柄な。なかなかの腕みたいだが、一応俺はプロだ」

「……バックヤードへ。シイさんのお兄さんと言う事で話を通しましょう」

 事態を飲み込めないアスカとミサトをその場に残し、加持とカヲルはシイに声を掛けて三人でバックヤードへと姿を消した。

「加持さん、一体何を言ったのかしら」

「あいつの事だから、脅迫じゃ無いと思うけど……」

 数分後、三人は何事も無かったかの様にバックヤードから戻ってきた。

「ありがとう、助かったよシイ君。それにカヲル子君」

「お役に立てたのなら良かったです」

「くれぐれも内密に。特にあれだけは絶対に流出させないで下さい」

「ああ、約束する」

 シイとカヲルと別れた加持は、自分の席へと座る。その表情は自分の仕事をやり遂げた、達成感に満ちあふれて居た。

 

 

 

~共闘……でも~

 

 大賑わいの文化祭、その裏で絶望的な戦いをしている者達が居た。

「……先輩。ゼーゲン特別審議室の反応が消えました」

「捕まったのね……。マヤ、直ぐに安全なルートを算出して」

「はい」

 物陰に身を隠しながら、携帯端末を操作するマヤ。その間もリツコは周囲への警戒を怠らない。

「まさかこんな短時間で補足されるなんて……流石はユイさんかしらね」

「無関係な生徒達をも利用していますから。この学校自体が、巨大な網みたいなものです」

 ツーマンセルで文化祭に潜り込んだ勇者達。だが最初に青葉と日向が碇夫妻に補足されてしまい、リツコ達は早々に追われる立場となった。

 偶然出会ったゼーゲン特別審議室の老人達と手を組み、どうにかメイド喫茶へ近づこうとしたのだが、冬月時田ペア以外が全滅という結果に終わった。

「ルート確保出来ました! 校舎裏迂回ルートを提示しています」

「なら行くわよ」

 携帯MAGIの導きに従い、リツコとマヤは校舎裏へと向かう。だがそこで二人を待っていたのは、サングラスの男、碇ゲンドウその人だった。

 

「碇司令……」

「何故、ここに居る?」

「ね、猫に子供が生まれたんです。お祖母ちゃんも喜んで――」

「今一度問う。何故ここに居る?」

「メイド姿のシイさんに、至れり尽くせり接待されたかったからです」

「赤木君……君には失望した」

「失望!? 初めから期待も望みも持たなかったくせに!」

「いや……休暇届を出す位の常識は期待していた」

 文化祭への参加を自重しろとは言ったが、休暇中の職員の行動を制限するつもりは無かった。現に自分達やキョウコとナオコは、普通に休暇をとって参加しているのだから。

 だが業務の都合で休暇が通らなかった面々は、無断で仕事を抜け出している。ゲンドウが失望と言うか、呆れるのも当然だった。

「でも何故MAGIは……」

「ふっ。不穏分子の存在は確認していたからな。先程ナオコ君がレイを引きずって来た時、事情を話して細工を頼んだ。考案者のキョウコ君もここに来ていたので、作業は容易だったよ」

「MAGIが裏切った!? 母さんは自分の娘よりも、自分の安全を選んだの?」

「業務放棄。拘束時間の無視。稚拙な工作。これら全ては罰則行為だ。何か言いたいことはあるか?」

 もはや逃げ道は無いだろう。ならばせめてマヤだけでもと、リツコはゲンドウに飛びかかった。

「マヤ、貴方だけでも行きなさい」

「先輩!」

「こんな髭面親父に易々とは負けないわ。さあ、行きなさい!」

「は、はい」

 リツコがゲンドウとがっぷり四つに組んでいる横を通り抜け、マヤは必死で逃げた。背後で聞こえる男の悲鳴に耳を塞ぐこと無く、敬愛する先輩が作ってくれたチャンスを生かすために、ただ全力で。

 だが、現実はフィクションのように甘くも優しくも無かった。

「ごめんなさい、マヤさん。ここは通行止めなの」

「……補足されました。健闘を祈ります」

 ユイにニコリと微笑まれたマヤは、携帯端末に最後のメッセージを入れると、その後の消息を絶った。

 

 

 

~獣たちの挽歌~

 

 三年A組の前になおも続く長蛇の列。その先頭には、白髪の老人と若い男が立っていた。

「よ、ようやくここまで来たか」

「長かったですね」

「先程伊吹二尉から通信があった。ユイ君に発見されたそうだ」

 安否は不明だが、あの夫婦から逃げ切れるとはとうてい思えない。それ以降の連絡が無いことから、ほぼ間違い無くサーチアンドデストロイされたのだろう。

「彼らの犠牲を無駄にする訳にはいかんな」

「ええ。私達だけでも、シイさんのお持てなしを受けましょう」

 係の女子生徒に案内されて、二人は意気揚々と店内へと踏み込み、そして……絶望した。

「ふふ、お帰りなさいませ、ご主人様」

「……な、渚君!?」

 一瞬気づかなかった時田だが、加持と同じく元のカヲルを知っている以上、彼の特徴で正体を見抜く。

「どうして君が!?」

「僕が聞きたいんだけどね。まあ今は君達はお客様だ。……お席にご案内しますよ、ご主人様」

 カヲルに案内されながらも、キョロキョロと店内を見回す二人だったが、そこにシイの姿は無い。

「因みに渚君。シイ君は何処に居るのかね?」

「彼女は今休憩中さ。今頃着替えて、他の出し物を楽しんでると思うよ」

「終わった……全て終わりました」

 牙を失った獣たちは、力なく案内された席に座る。彼らの野望は、誰も知らない所で潰えたのだった。

 

 

~祭りの後~

 

 こうして文化祭は終わった。三年A組は第一中学校始まって以来の、最大集客と最高利益をあげ、学校の歴史に名を刻んだ。

 だがそれとは別に、男子生徒達にはもう一つ喜ぶべき事、カヲルの計画成就があった。

「ケンスケ! お前はホンマに最高やで」

「ふふ、見事だよ相田君。僕も身を削った甲斐があったよ」

「ま、僕の撮影技術に掛かれば、この位は造作も無いってね」

 彼らの手には、ケンスケが教室に仕掛けたカメラで隠し撮りしていた、女子生徒達の写真が握られていた。これこそがカヲルがメイド喫茶を提案した真の目的。

 撮影を希望する客は多く、稚拙な隠し撮りを行おうとした不埒者も居たが、全てカヲルと男子生徒達に阻止されていたので、メイド姿のシイ達をおさめた写真は、彼らが持っているものだけだ。

「ヒカリは真面目さかい、こう言った格好は、こない機会でも無いとやらへん」

「ふふ、シイさんの魅力が詰まっている。これはお守りにしよう」

 最後まで牙を隠していた獣たちが真の勝者となった。……と、この時点では思われていた。

 

 

~勝者と敗者~

 

「諸君。何か言いたいことはあるか?」

「「…………」」

 暗闇の会議室でキールに問われた老人達は、一様に疲れ切った顔で俯くだけ。結局シイを一目見ることすら叶わず、碇夫妻に捕獲されて強制送還された彼らには、もう何かを言う気力すら残っていなかった。

「職務放棄の責を問うことはしない。……私も過去の行いを反省しよう」

「き、キール……」

「我らはゼーゲンに全てを捧げる。その意思がある限り、我らは共に歩み続けよう」

「「全てはゼーゲンの為に」」

 思いがけぬキールの言葉に、審議室委員達は歓喜の声で応える。だが、キールは意外と根に持つタイプだと言う事を、彼らは知らなかった。

「ん? キール。何か落ちたぞ?」

「おっと、写真を落としてしまったようだ」

 立体映像のキールが机の上から落ちた写真を、わざと委員達に見せつけるようにゆっくり拾う。彼らの視線は自然と写真に向かい……絶句した。

「き、き、キール。その写真はまさか」

「碇シイの写真だ。直接出向くことは叶わなかったが、優しい協力者が写真を送ってくれたのでな」

 チラチラとキールが写真を見せびらかす度、委員達はそれをくれと言いたい気持ちを必死に抑える。自分達はキールを出し抜いて、直接現地へと向かっているのだ。

 結局会えませんでした。だからそれを下さい、と言うのはプライドが邪魔をしてしまう。

「うむ、なかなか似合っている。……諸君は直接会えたのだろ? 羨ましい限りだ」

((おのれキールめぇぇ))

 自分達の事を全て知っているのだと察した委員達は、ほくほく顔のキールに恨みがましい視線を向ける。解散の危機は脱した特別審議室だが、仲直りは少し先になりそうだった。

 

 そして、加持が撮ったもう一枚の写真……渚カヲル子のメイド姿は、一切のデータを抹消された上で、キールの手元に一枚だけ残された。

 自らの望みを叶える為の存在。その為だけに育てた少年は、普通の子供と同じ様に今を楽しんでいるように、写真からは読み取れた。

(……これで良い。罪滅ぼしになるとは思えんが、今はこれで良い)

 メイド姿のカヲルを見ながら、キールは小さく頷くのだった。

 

 

 

~後の祭り~

 

 文化祭が終わって数日後、三年A組の男子生徒達は一人残らず教室に集められていた。そこで彼らは女子生徒達から、自分達の計画が露見した事を告げられる。

「あんた達の馬鹿さには、呆れて言葉も無いわ」

「言い訳をするつもりは無いけど、誰から聞いたんだい?」

「……ユイさん」

 メイド喫茶に来店したユイは、僅かな違和感からカメラの存在、そしてそこから企画立案者であるカヲルの狙いを見事当てて見せた。

「も~駄目だよカヲル君。黙って写真を撮るのは盗撮って言う、いけない事だってお母さん言ってたもん」

「君に言われると少々堪えるね……」

 普段は滅多に怒らないシイに叱責されると、流石のカヲルも参ってしまう。ただシイの場合は盗撮された事よりも、カヲルがいけない行為をした事を怒っているのだが。

「反省してる?」

「勿論だよ。すまない、シイさん。女子のみんなにも、心からお詫びしたい」

「「ごめんなさい」」

 一斉に頭を下げる男子生徒達。その姿を見て、アスカ達はため息をつきながらも頷いた。

 

「ま、ギリギリセーフかしら」

「そうね。……聞いて欲しいんだけど、写真を没収したりはしないわ」

「動機はどうであれ、出し物自体は大成功。あたし達も何だかんだで楽しんでたからね」

 ヒカリとアスカの言葉に、男子生徒の顔が希望に輝く。だが、やはり世界は甘く無い。

「だからみんなで話し合った結果、ちゃんと謝って、同じ事をしたら許そうって決めたの」

「同じ事……!?」

「あんたは気づいたみたいね」

 ハッと目を見開くカヲルにアスカが意地悪く笑うと同時に、女子生徒達がメイド服を取り出す。だがそれは彼女達が着るには大きい、明らかに男性用のサイズのそれだった。

「……これを着た姿を写真に撮る。それでおあいこ」

「は、はは、冗談きついで」

「トウジの言うとおりだよ。僕達のそんな格好、誰も喜ばないだろ?」

 引きつった笑みを浮かべるトウジとケンスケに、女子生徒達は一斉に同じ方向を指さす。そこにはニコニコと、本当に楽しそうな笑顔のシイが立っていた。

 

「し、シイさん?」

「えへへ、みんなお揃いだね」

「す、少し落ち着こう。何か他の罰に……」

「無駄よ無駄。言い出しっぺはシイなんだから」

 必死に食い下がるカヲルに、呆れ顔のアスカが衝撃の真実を告げる。

「あんた達にとっては良かったんじゃ無い? シイがあんた達を庇ってこれを言い出さなかったら、写真を没収してたんだし」

「……シイさん優しい」

「優しさの方向性が間違ってる気がするね。……シイさん、今からでも遅くは無いから」

 そんなカヲルの言葉を聞いて、笑顔だったシイの表情が曇る。彼女が自分なりに頑張って考えた解決策だったのだから、それをここまで拒絶されては悲しくもなるだろう。

「……迷惑だったかな?」

「い、いや」

「そない事あらへん!」

「あ、ああ。とっても良い妥協案だよ」

「良かった~」

 シイの花咲くような笑顔に、男子生徒達は完全に退路を断たれた。

 

 その後、第一中学校の一室からシャッターを切る音と共に、獣たちの断末魔が響き渡る。それはまるで文化祭の終了を告げる鐘の音色の様にも聞こえた。

 




どうにか無事に?文化祭は閉幕しました。
ストックしていた続き物は、これで全て放出完了です。

ミサトのアレとシイ達の受験が終われば、ようやく完全新作突入……。
ようやく休日が貰えたので、山ほど溜まったプロットに手を着けたいと思います。

次回もまたお付き合い頂ければ幸いです。

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