そのうちに遠ざかって……てな感じでさぼってましたがもってる分くらいは上げようと奮起しました。
とりあえず一気に上げるのもなんなので帰って来て気力ある日にぽいっと上げていこうかと思います。
追伸:58ちゃんは出るのになんで168ちゃんはでないのだろうか
p.s.
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「信じられませんわ。そんなこと」
「じゃあ、瀬流彦先生に聞いてみたらどうだ? 麻帆良とはなんなのかってな」
雪広は名指しをされた瀬流彦に視線を向ける。
「先生、お答えいただけますか?」
雪広の言葉により、全員の視線がいっそう瀬流彦に集まった。
「麻帆良は、関東魔法教会の本拠地なんだ。世界樹を中心として造られた都市で、多くの魔法使いがいる。日本で魔法使いの最も多い街なんだよ」
「学園都市ではないのですか? 魔法使いの多い街と言いましたが、具体的に何が違うのですか?」
「学園都市にすれば多くの人が集まっていても不思議じゃないし、小さな面積で都市としての機能を併せ持たすことができるんです」
紡がれた言葉に対しての新田先生の問い。それに答える瀬流彦。
「違いますよ瀬流彦先生、私は学園都市なのか、魔法使いの都市なのかと聞いているんです。学び舎としての都市なのか、魔法使いが住むための街なのか。お答えください」
新田先生が瀬流彦を見つめる。睨みつけていると言った方が正しいか。その問いに、瀬流彦は直ぐに答えることができなかった。
「……僕自身の見解ですが、両方の意味合いを兼ね備えていると考えています」
少し時間を空けて、瀬流彦が答える。
瀬流彦は新田の教師としての熱意を知っている。それを受けて教師として育ってもいる。
彼は新田の問いに対して裏切るようなことをしたくもなかった。
また、更なる言葉でごまかしたくもなかった。
「ちなみに、新田先生。ネギ先生はハーバード大学なんて出てないし、魔法使いの学校で学んでただけだぜ。教員免許なんて持ってもいない。それを不思議に思わなかったのは魔法使いが誤魔化していたからだ。そして、誤魔化していた理由が『ネギ先生の卒業試験』として使いたかったから」
「それは本当なのですか? 瀬流彦先生」
「……本当です」
瀬流彦の発言に茶々を入れるように、発言の内容を不利にするように千雨が横やりを入れる。千雨の発言で瀬流彦の『両方の』という言葉の説得力がなくなっていた。
「ネギ先生一人のために! あなた方は30人の人生を台無しにしようというのか!」
「ネギ先生はうまくやっています! それはあなたも認めていることでしょう!」
新田先生が瀬流彦に叫ぶ。しかし、これには瀬流彦も反論した。
「確かに、ネギ先生はよくやっています。しかし――」
「ネギ先生、授業以外なんもやってないだろ。修学旅行も期末テストも生徒に教えられてたし。朝礼も出てないんじゃないか? 神楽坂に担がれて学校に来ていたこともあったし。新田先生がよくやっていると思わされているだけだろ」
新田先生の肯定の声を遮って千雨が一言添える。
今まで疑問にも思わなかったこと。やっていることばかり見ていて、やっていなかったことを気にしなかった事実。
「あなたたちは……そんなことまでしていたのか!」
「そんなことは……」
「確かに。疑問に思いませんでしたが、ネギ先生が朝礼に顔を出していたことなどありませんでしたな。会議にも出ていません。これもすべて認識阻害というものなのだとしたら、あなたたちはどこまで人を馬鹿にしているんだ!」
新田先生は立ち上がり、瀬流彦の胸ぐらを掴んだ。瀬流彦は苦しげにしながらも新田先生から視線を逸らさない。
「僕たちは支えられるところは支えていこうと言っていたじゃないですか!」
「支えるのと全部やるのは違う。そんなこともわからんのか!」
にらみ合う二人、それを止めたのは綾瀬の発言だ。
新田と瀬流彦の争いを止めようとした訳ではなかったが、自分たちへどのような影響が出ているのかという疑問が先にたち、二人の会話を切るような形になった。
「そのようなことがあるのだとしたら、他にはどのようなことがされているのですか?」
瀬流彦の方を見ながら問う綾瀬。千雨は目で瀬流彦に促した。
「世界樹を不思議に思わなくなる結界、魔法使いの行動を少しなら疑問に思わない結界。少しばかり活発になったり素直になる結界くらいだよ」
「ちなみに世界樹は隠れ蓑である麻帆良に人を寄せ付けないため。魔法使いの行動を疑問に思わないことによって日常的に魔法使いの常識を使えて魔法による行動がとれるようになる。人助けから肉体の強化、ネギ先生は杖で飛んだりな。んで、活発になったりすることで、古たちが毎朝喧嘩してるのを不思議に思わなくなるとかだな」
綾瀬に答える瀬流彦の隣で、実際にどのようなものに使われているのかも答える。
「魔法使いが魔法を使うのは、基本的には侵入者が来る時くらいだけどね」
「そうだな、たまたま夜道で妖怪の類に出会う奴もいるから、そのときの対処がしやすいいようにでもある。最初から疑問にあまり思わなければ、心に傷をつけずに記憶操作を行えるからな」
「そうだね、無理やりの記憶操作は人格を変える恐れがあるからね」
千雨の言葉にうなずく瀬流彦。しかし、千雨にとってはこの言葉は伏線でしかなかった。
「そうだな、だから元から人格を変える。疑問に思わないように破天荒なものを麻帆良に入れているんだ」
「それは、どういうことですか?」
「綾瀬、お前も当事者でもあるんだぞ。本を読むのに図書館探検部なんていらない。インディージョーンズじゃないんだからあんな探検必要ないんだ。そもそも、盗掘防止とかで作られたトラップを生徒の生活区域に置くわけないだろう」
「しかし、私たちのいける場所にも貴重な本はあります」
「生徒が突破できるトラップで本物の犯罪者を捕まえられるわけないだろ。お前は大人より運動神経がいいのか?」
千雨の質問に綾瀬が詰まる。
綾瀬とて、運動神経が悪いわけではないのだが、かといって、大人の男性に勝つような運動神経はしていない。
もっとも、麻帆良の外の人間と比べたら、どうなるかはわからないが。そうであったとしても、それもまた作られたものになるのだからまた違った問題が出てくるだろう。
「そもそも、貴重なら倉庫に入れて、貸し出しのときだけ出せばいいんだ。そういったものがあるのは知っているだろう? 国会図書館なんかはほとんどそうだ」
「はいです。私も利用したりしていますし、実際そのような制度はありますから」
「制度があるならなおさらだ。なんでわざわざ探検するんだ? 図書館でそんなこと必要ないだろう」
「しかし、最深部には魔法の書がありました! あのようなものがあるからには……魔法の書?」
綾瀬が千雨に反論しそうになるが、自身の発言に気付いて言葉を止めた。
あるはずのないものを追い求めた結果見つけたもの。それの存在の意味にいまやっと気がついたようだった。
「魔法の書? ああ、期末テストの時だな。ちなみに、頭のよくなる魔法の書が図書館島の最深部にあると噂を流したのは魔法使いだ。ネギ先生の試練のために。なかなか仲良くなったようじゃないか。パートナー候補たちは。その中には近衛もいたからな。ウチから魔法を避けるためにと預けていたのに、態と近づけてたりな」
「しかし、その時のネギ先生の試験は私たちのクラスを学年最下位から脱出させることでしたわ」
雪広は、自分でネギが学校からいなくなるのを阻止するために動いたので、その内容を覚えていた。
「それは表向きだ。長瀬、お前もその時一緒にいただろう? 運動神経のいいバカレンジャーさんはどんなことをしていたんだ?」
「あの時はトラップのほかにはゴーレムにツイスターゲームさせられたりしたでござるな。『この本が欲しくば、わしの質問に答えるのじゃフォフォフォー』と」
長瀬の発言で、新田の目がぎらつき、綾瀬の目が見開かれ、瀬流彦が頭を抱えた。
「確実に学園長だな」
「なぜあの時に気が付かなかったのでしょう。それも、魔法というものなのでしょうか。そういえば、ゴーレムが動いているという事実に疑問を感じていなかったように思います。それに、魔法の本を信じるということは、いつもの私ならしないです」
学園長が魔法協会の会長だということを知った今、そのような行為でネギに対して試練を与えていたということだと、すぐにわかった。
「まぁ、その時に5人は勉強して頭よくなって万々歳ってことになったけど、もしかしたら、集中力の増す魔法とか使っていたんじゃないか? 勉強している間も、テスト中も」
「そういえば、眠そうに解いていたのが妙に調子が良くなった時があったな」
新田の呟きに千雨は苦笑いをした。たまたまそういった効果のある魔法があるから言ってみたら、本当にそういったことをしていたのだ。
「期末直前に生徒と一緒に行方不明になって、授業を完全放棄したのに結果が良かったから先生になりましたっていうのに皆が疑問に思わなかったのも魔法だな。ネギ先生は試練を受けてからバカレンジャーの家庭教師でしかなかったんだから」
罪状追加だな。と千雨はメモを取っていく。どんどんと一般人を巻き込んだ魔法協会の、主に近衛近右衛門の罪状が増えていった。それからも、大学部の技術の異常性に対してや、日常の魔法使いによって変えられた常識を列挙していく。
「長谷川さん?」
「なんだ? 委員長」
「あなた方が言いたいことは、大体わかりましたわ。たしかに、ここまで言われればそうなのではないかということは理解できます。しかし、麻帆良にいる私たちになんでそのようなことを言うのですか。結局その事実を知らされてもしょうがないのではないですか」
そう、知っても結局は変わらないのなら意味がない。戻っても非日常なのだから、結局のところこの会話の意味がなくなるのだ。
「そう思うか?」
「どういうことですの?」
千雨は雪広と綾瀬、宮崎に対して言う。
「お前等は一般人だ。そして被害者だ。魔法使いの理想に巻き込まれ、ネギ先生が成長するためのエサとして配置された人形だ。しかし、それを知って麻帆良に居続けるのか? なぜ転校しようと考えない。その時点でお前等はおかしいんだ。逃れるために、あの地から離れようとは思わないのか」
「しかし長谷川さん、あなたの言っていることは麻帆良の外の人の常識です。私たちは麻帆良にいて何の不自由もないのですよ?」
「確かに綾瀬の言うとおりだ。だったら綾瀬は、麻帆良の常識が常識じゃないと知った今でも、麻帆良から出てちゃんと生活できると思っているのか? 麻帆良に一生いるつもりか?」
綾瀬は千雨の問いには答えられなかった。千雨が逆の立場に置かれても無理だろう。先のことなんて中学生にはわからないのだから。しかし、今そこで甘えを見せてそのまま流したら、もう人生は片方のレールから切り離されてしまう。
「今ここで、二つの選択肢があるんだ。麻帆良に戻ってネギ先生に都合のいいように使われる人形や駒としての生活を送るか、ウチらに保護を求めるか」
「長谷川さんたちに言えば、何とかしてくれますの?」
「委員長は無理だ。お膳立てはするけど、財力がある奴は自分で何とかしてくれ。どうしても何とかできない奴はこっちでする準備もあるってだけだ。むしろ雪広財閥が麻帆良の都市ごと少しづつ一般常識を戻していってくれよ。そうすれば経済の独占とかもできんだろ? というか、そうして貰わないと困るんだ」
「困るというのは?」
「私たち呪術協会は結界の撤廃と、日本国外への退去を犯罪者集団である魔法協会に要求するからな」