〜ベラミーside〜
〜アラバスタ・とある一軒家〜
リーダーの命でおれ、フィンガー姉さん、ボン兄さん、カバ、フォクシー三人組、エネルさんのメンバーでグランドラインの楽園中にいるであろうおれらの元部下を探す旅に出た。ちなみにこのメンバーのリーダーはエネルさん。まぁ実力的に当然だろうな。
一方、リーダー率いる東の海捜索メンバーは一週間ぐらい前に出たから多分おれらがアジトに帰還する頃には帰ってるんじゃねぇかな……
で、最初に探すのは姉さんや兄さんの元同僚のバロックワークスとか言う奴ら。嘘か真か、あの元七武海の超大物クロコダイルの部下らしい。
「うーん……5ちゃん、バレンタインちゃん、ゴールデンウイークちゃん、4ちゃん、メリークリスマスのおばちゃん達生きてるのかしらねぇー!」
人の名前とは思えない単語を並べるボン兄さん。相変わらずクルクル回りながら歩いて?いる。この旅に参加するまではアジト近くのカマバッカ王国に留学してたらしいけど(長期間のを何度かに分けてるらしい)……
確かに留学前より色々おっそろしい事になってる。メイクとか衣装とか。あんまり細かく説明すると気持ち悪くなるからこれ以上言わないけど。
「落ち着きなさい。……! 気配が幾つか……間違いない、彼らよ。」
姉さんがツッコミを入れる。フォクシー三人組とカバはマザーバンガードの船番でいないからこの中ではエネルさんと姉さんだけがツッコミだからな……
広大な砂漠にポツンと佇むボロボロの小屋。確かに幾つか気配を感じる……見聞色の覇気ってすげーな……エネルさんはおれより数十倍上手いらしくて姉さんよりだいぶ先に発見してたらしいし。
とにかく小屋に到着、ボン兄さんが豪快に入り口の扉を開けた。すると……
「あーぅ! あっぶないわよーう!」
いきなりボン兄さんが勢いよくブリッジの体勢になりのけ反った。い、いや、それより飛んできたものに驚いた。
!? は、鼻糞? きたねぇ!
慌てて避けると枯れ木に当たり爆発した。どうなって……
「これはMr.5のボムボムの実の能力ね。」
そういえば前に聞いたっけ。全身を起爆できる爆弾人間……世の中には不思議なヤツが多いなー
「!? そ、その声はポーラ……いや、ミス・ダブルフィンガーに……Mr.2!?」
扉の少し奥の所でへたりこみながら声を挙げたのは黒いコートを着たドレッドヘアーのサングラスの男。頬がこけて痩せてるな。
「お久しぶりねーい! 5ちゃん! 会いたかったわよーう!」
いきなり滝涙を流し始めた兄さん。
「お前達な、なぜここが……いや、それよりも何の用だ!? おれ達を海軍に引き渡すつもりか!?」
思いっ切り警戒されてますけど……
「こんの馬鹿野郎がぁ! かつての仲間を売り渡すなんて腐った性根はしてないわよう!」
兄さんがブチ切れて男にビンタをかますと男が吹っ飛んでいった。
「……そうか。新聞とかで報道してた事は本当だったのか……」
事情を聞き戦意を消してくれた男Mr.5が呆然とつぶやく。
「キャハハ……まさかアンタ達があの大怪物と恐れられてる傾世のシオリの傘下になってたなんてね……」
大怪物って……聞かれたらシャレにならねぇぞ。
高飛車な笑い方(聞く所によるとかなり元気がない様だが)をするレモン柄の服装のショートカットの美女はミス・バレンタイン。キロキロの実の能力者で、体重を1〜10000キロ、つまり、10トンまで変える事が出来る様だ。5はクロさん、バレンタインはギン……さんが戦った事があるらしい。
「でっ! そっ! あん! が! な! きた!」
!? な、何を言ってるか分からねぇ! なんだこのちっちゃいおばさんは!
聞くと彼女はミス・メリークリスマス。ゾオン・モグラの能力者らしい。モグラって……い、いや地中戦なら強そうだ。
姉さんによると「で、そんなアンタらが何しに来たんだい」と言ったみたいだ。
で、事情を話す。
「傾世のシオリの傘下に……」
何やら考え込んでる様子のMr.5。
「私の元相方のMr.1はクロコダイルに、Mr.3は道化のバギーてのについてったから全員集合って訳にはいかないけどね。」
道化のバギーなぁ……リーダーが言うには大物になるそうだけどそうは見えないんだよなぁ……
「ふーん、良いとこなの?」
物おじしない態度で尋ねてくるのは帽子を被った十代前半くらいの女の子。ミス・ゴールデンウイークって名前で、マリンフォードで見かけたMr.3の元相方らしい。
能力者じゃないが得意のお絵かきを駆使して様々な現象を起こせるって話だが……身体能力はかなり低そうだな。
「居心地良いわよ。それでいて強い人がいっぱいいて刺激もあるし。」
「そ〜〜れ〜〜は〜〜た〜〜の〜〜し〜〜そ〜〜う〜〜」
ちょ! しゃべり終わるのにどれだけかかってんだよ! しかし……ガタイはすげーな。クリークさんみたいに頑丈そうだ。確かMr.4だっけ。こいつはミス・メリークリスマスの相方との事だ。傍らに胴体が長い犬がいる。ラッスーという名前の様だ。
「シオリちゃんは無理矢理仲間にしなくてもいいって言ってたから……判断は任せるわ。」
「えぇ!? あちしこいつらとまた一緒に一旗揚げたいわぁ! 仲間になってほしいのよーう!」
「無理強いは出来ないでしょう。」
「……おれは乗るべきだと思う。このままおれ達だけでいてもいずれ海軍や賞金稼ぎにやられちまうだけだ……」
相当追い詰められてたんだなぁ……リーダーの予想では店を開いて楽しくやってるかもとおっしゃってたが……リーダーの予想が外れるなんて……すげえ珍しいな。
「そうね……賛成だわ。いくらなんでも今よりは楽な暮らしが出来るでしょうし。」
……その代わり拷問の様な特訓が待ってるけどな。
てな訳でバロックワークス達を連れ船に帰還。
〜アラバスタ大陸〜ドラム島中間地点〜
「しかし驚いたな……Mr.2とダブルフィンガーが二人共億越えとは……」
「どんだけ暴れたのよ! キャハハ!」
甲板上でリラックスしてるバロックワークスの面々。久しぶりに美味い飯を食えたからかご機嫌だな。
「まぁ、マリンフォードで暴れちゃったからねぇ〜 でも驚いたといえば、元ゼロね。流石というかなんというか……懸賞金4億2000万とはねぇ……」
あの麦わらが4億5000万だし、おっそろしい領域だ……間違っても戦いたくないなぁ……
と、その時、エネルさんが急に声を挙げた。
「! なっ……この気配は……」
突如、エネルさんが驚愕した。ま、まさかとんでもない敵が来たとか……?
「この気配の動き方は雲……! そうか、雲流しの刑に……」
「エネルちゃん、どーしたのよーう!」
エネルさんと同格か格下でエネルさんをちゃんづけできるのって兄さんぐらいだなー……シリュウさんにもしてたし命知らずで恐すぎる……
「すまぬ。少し痺れるが上昇するぞ! 放電!」
アバババババッ! 不意打ちは勘弁……
マザーバンガードは現在天高く上昇中。一年くらい前も空に向かって飛んでったけど今回は船の仕掛けにエネルさんが電気を流す事で自由自在に空を飛べる。燃料はエネルさんが放つ電気。疲れるまで永久に飛んでられるらしい。
「修業を積んだからな。スピードにこだわらなければ20時間は連続で飛べそうだ。」
「「「…………」」」
所々焦げてる様子のバロックワークスの面々は硬直してるな。あの時のおれ達と同じだ…………あの時と比べたらずいぶん面子が増えたなぁ……
「見つけた! うむ、全員無事の様だ。」
エネルさんが見つめる先には巨大な雲に乗った複数の棺型の雲。
「まるで棺桶みたいじゃねーか……死体が入ってそうだぜ……」
割れあた……フォクシーが冷や汗をかきながらうめく。
「いや、かろうじて生きている……むん!」
エネルさんがこん棒で全ての雲を叩き割った。
すると雲の中から見えたのは痩衰えて生気を失ってはいるもののかろうじて生きてる人間達と……巨大な犬。
人間は眼鏡を掛けたのが三人……こいつらはあんまり痩せてないのかな? それとチョビ髭の男、スキンヘッドのグラサンの男だった。
「サトリ三兄弟! シュラ! オーム!」
「「「!? ゴ、神エネル?」」」
男達が力無く反応する。エネルさんの知り合いなのか?
とにかく助け出し倉庫にある回復薬で回復し、食事を与える。
「食糧が尽きてから2ヶ月ぶりの食事……この巡り合いに感謝いたします……神エネル。」
怖い顔に似合わず礼儀正しいスキンヘッド。巨大な犬が懐いてる所を見ると飼い主?
「この雲が偶然ミルキーロードの最下段まで降りていたのが幸いした。それと以前までの私の見聞色の覇気では発見出来なかっただろうな。」
すごい奇跡だな……まさに危機一髪だったろうな。
「まさかアンタらがいるなんてね! すごい偶然!」
「お前は……あの時の……なぜ神エネルと……」
兄さんがスキンヘッド……オームを見て喜ぶ。面識あったのか。
そこでエネルさんが空島の冒険以降の事情を話す。
「神エネルが……他の人間の下につくなど!」
チョビ髭……シュラが信じられないといった感じで絶句する。
「会ってみるか? 私としてはお前達と共にまた暴れられれば言う事はないが……無理強いはできんからな。」
「ホーホゥ! 会ってみよう! その女に!」
!? えっもう太ったのかこのサトリとか言う眼鏡。しかしなんて体型だ……風船みたいだな。
「……所で、ゲダツがいないがまさか……」
「その事なんですが、アイツは行方不明で……刑には処されませんでした。色々目撃情報を聞きかじったのを纏めると……」
髭の話を要約するとゲダツとやらは狸らしき動物と交戦中に雲に嵌まり墜落したらしい。運が悪ければ地上まで真っ逆さまとか……
「うーむ……あやつが死ぬとも思えんがな……それはさておき、おぬし達はどうする?」
「…………青海……新たな地であなたと再び野望に邁進するのもいいでしょう。」
オーム達は同行してくれる様だ。
「野望と言っても世界を征服するだのといった事はせんぞ? 己の力がどこまで高みに登れるか……ただ、それだけだ。」
「何をおっしゃいます。昔……我々はそうであったではありませんか。おれはまた一から修業をやり直しますよ。」
「ふむ、良い返事だ。これから頼むぞ。シオリも受け入れてくれるだろうしな。」
神官と言われた三人はそこそこの強さだし特訓したら戦力になりそうだな。
「さて……地上に降りる…………む!?」
エネルさんが何かに気づき雷化し天高く駆け上がった。そして数分後……何かを手にし戻ってきた。あれは……
「悪魔の実!?」
確かに悪魔の実っぽいけどなんか普通のとは感じが違うような……
「はるか天空から流星の様に降ってきおった。しかし……摩擦熱が相当あっただろうに傷一つもついておらん……流石は悪魔の実というべきか……」
なんか知らないけど神々しさを感じる様な……
「シオリかアミバに見てもらうか。少し異質なものを感じるしな。」
こうしてエネルさんの元部下達や悪魔の実をゲットしたおれ達は地上に無事到着した。その数日間、強敵の襲撃もなくエネルさんは少し疲れていた体力を完全回復させた。
〜ドラム島近海〜
「不思議な世界だな……青海というのは……」
あの時のエネルさんと同じ感想の三神官達。
「この世界には私以上の猛者が無数にいるぞ。とりわけ、新世界と呼ばれる海域は化け物の巣窟だ。」
「「「…………」」」
元ボスの信じられない発言に呆然とする三人。確かに新世界の四皇の幹部達はとんでもなかったよなぁ……
「それはさておき、次はカバの部下であるブリキング海賊団だな。……お前はドラム島出身だったか?」
「あぁ、おれは王様だぞぉ。おれ様が声を掛ければ手下共も集まってくれるに違いあるまい! まーはっはっは!」
……すげえ無理っぽいんですけど。ま、カバだし良いか……
「あれか? ドラム島は。」
色々騒いでる内に島が見えてきた。……すげえ変わった形の山だな。あれがドラムロックって……あれ? あの山って確かリュウグウ王国で見た様な……
「少し、静かにしてくれ。」
エネルさんが精神を集中させる。知ってる人なら数十キロ離れてても分かる様だが流石に知らない人の気配を見つけるのは大変らしい。リーダーにある程度の特徴は聞いてる様だけど。
「…………島内にはいないな。少しこの辺りの海域を回ってくれんか?」
言われた通り島の周りを進む。しばらくすると……
「! これか。……確かに言っていた通り気配は弱いな……」
で、気配を感じた辺りに着くが……何もない?
「間違ったんすか……?」
「! あ! 気配がっ……海!?」
姉さんが声を挙げる。
「ほぅ、なかなか鋭くなってきたな。正解だ。」
エネルさんが言い終わると同時に海中から巨大な海賊船が現れた。
「!? 潜水艦……にしてもこれだけ巨大なんて……」
バレンタインが呆然と呟く。
「さぁ! 死にたくなかったら有りったけの食い物財宝置いていけ!」
潜水型海賊船から出てきたのはアフロヘアーの男と……よく分からん姿の男?だった。幾何学模様みたいな顔だな……
「こらぁぁぁ! チェス! クロマーリモ! 一体誰に向かってそんな口を聞いておるか!」
カバが久しぶりに強気な発言をする。
「「!? なっ!? ワ、ワポル様!?」」
仰天してる二人の男。この二人がカバの腹心か?
「ご、ご無事だったのですか……くぅ〜苦節一年、諦めず捜索を続けた甲斐があった……」
「あぁ……これで王国再興も夢ではない!」
アフロ……クロマーリモに幾何学模様みたいな男……チェスが続く。
「当然だとも! もしシオリ君が世界を征服した暁にはおれ様は世界の3分の1を貰える様掛け合うつもりだからな! まははははアバババババッ!?」
ふざけた事言い出したカバにエネルさんが電撃を浴びせた。
「「ワ、ワポル様〜〜!?」」
慌てて掛けよろうとするがエネルさんに睨まれて硬直する二人。
「いくらなんでも目の前で堂々とそんな発言をされては黙ってる訳にはいかんからな。シオリの代わりとしてお灸を据えた。」
「「は、はいぃ……」」
ガクブルしてるな。……まぁ当たり前か。
この後勝手に元気になったカバが事情を話し彼らはおれ達の仲間になる事になった。他のクルーや潜水型の巨大海賊船ごと。
「それじゃ行きましょ。あんまりノンビリしてられないしね。次は……ルート的にベラミーちゃんの仲間達かしら?」
! いよいよか………………サーキース達はリーダーの思想を理解してくれるんだろうか……理解出来なかったら連れていく訳にはいかねぇが……あいつらと一緒に強くなりてぇ……なんとしても説得しなきゃな!