ONEPIECE世界を過去キャラと満喫   作:一匹犬

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41話「異質なる訪問者」

〜グランドライン・楽園・サイレントヒル島〜

 

 

 

クロの猫の手が俺の胸に突き刺さ……りはしなかった。覇気を使うまでもなくいともたやすくクロの攻撃を受け止める。

……これは……なんでこんなに弱い?

 

「なっなんなんだここは! なぜただの女がこれ程にっ……本当に化け物の巣窟だと言うのか!?」

 

何言ってんだ? ……改めて慌てた様子のクロ?を観察する。外見は……俺と初めて会った時……いや、これは原作のクロそのまんまだな。体格もひょろいし邪悪……は言い過ぎか、冷徹な表情も原作まんまだ。

覇気どころか六式すら身につけてる様子はない……一体どういう……クロに何が起きた?

とにかくさっさと片付けて洗いざらい吐かすか。

 

「何という硬さ……こうなれば……」

 

クロ?が両手をだらんとさせる。

 

「杓し「遅い」!? げぅあ!?」

 

顔面をわしづかみにし地面に叩きつける。

さて…………!? クロが消えた!?

動かなくなったと思ったら一瞬で姿が掻き消えた。なんなんだこれは?

…………! この気配……は……至る所にクロの気配が……本当に何が起きてる!? しかもこれは……クロの私室である主計室兼参謀室兼測量室に強烈な覇気が……

考えても仕方ないか。クロの部屋に何かある!

 

 

 

「あっドン!」

 

道中でクリークらと遭遇。彼らもクロに襲われたらしい。

 

「無事か?」

 

「え? ウッス。強くなかったすから。え〜とそういやCP9と初めて会った頃くらいの強さだったすね。あ、倒したら消えやした。」

 

!? ますます分からねぇ。俺の所に来たのは弱かったのに……ん? この気配はルッチか?

 

 

 

ルッチと合流したが結構な怪我を負っていた。

 

「……執事と交戦した。」

 

「お前がそこまで負傷するとはな……」

 

「最後に模擬戦をした時より数段手強かった。……致命傷を与えなかったのに何故か消えてしまったがな。」

 

ルッチの所は強いクロ……一体何が……

とにかくルッチにハイポーションを渡し現場に急行する。

 

 

 

 

 

で、参謀…室の目の前まで来る。……この覇気は……カイドウの幹部共クラス……いや、ひょっとすると……とにかく皆を待機させ先に中に入る。

 

 

 

 

……暗いな。しかし、これは……気配があちこちに飛び散ってる? ……どういう事だ?

 

「ようこそ、『覇王』……いえ、お館様。」

 

闇から声が聞こえる。結構……いや、かなり濃密な殺気だな。弱い奴だとすぐに気絶するだろうな……黙ってるといつの間にか一人の男が姿を現す。

 

マフィアが着てそうな漆黒のコート……劇中ではクロコダイルが着てた感じのだな。さらに裾から計10本の、鍔のない刀……あれは『猫の手』か? が覗いている。体格も細マッチョといった感じだ。顔は……30半ばから40辺り……黒い長髪を無造作に束ねている。

龍虎の拳のロバート・ガルシアが老けた印象だな。

 

「はおう? おやかた様? 何言ってる? ……いや、それよりお前はひょっとして……クロか?」

 

「えっ!? クロの奴は地べたに……」

 

クリークの言う通り老けたクロ?の傍らでクロが倒れてる。生命力に何の問題もない所を見ると気絶してるだけの様だな。

 

「……私もクロですよ。異名は……『禁忌の(アンタッチャブル)』クロ。懸賞金は……いえ、信じられないでしょうから止めておきましょうか。」

 

老けたクロが名乗るが……聞いた事ないぞそんな異名……

 

「……この現象はなんだ? クロは無事か?」

 

肉体的には心配は無いんだが……

 

「当然でしょう。今回は『暴走』した結果我々が呼び出されただけでこの世界の私……クロに影響はありません。」

 

この世界……? さっきから何を言って…………いやひょっとして俺の想像通りだと……しかしマジなら荒唐無稽すぎだろ。

 

「……そうですね。ここで話さずのんびりと過ごしてもあまり良い結末にはなりませんか。鍛えるのならば少しでも早い方が良いですね。」

 

やっぱり……こいつの正体、予想通りなら俺の害になる事は言わないはず。

 

「……おっと、その前に広い所に行きましょうか。ここでは狭すぎますしね。」

 

老けたクロが提案した。特に異論は無いので同意する。

 

 

 

 

……で、アジトの外に出る。その間に仲間全員集まった様だな。ちなみに本物クロはとりあえず寝かせている。

 

「口で言っても理解しにくいでしょうから実際に見てもらいましょうか。本来、この世界の自分でないクロが行使する事は出来ないのですが私は例外ですので。」

 

……!! 老けたクロに無数の『なにか』が入り込むイメージが見えた。あれは……

 

「シオリ……さっきから何を警戒している?」

 

エネルが問い掛けてきた。エネルの所に来たのは武装色の覇気を纏っていた様だがなんとか撃退したらしい。

 

「今からちょっと突拍子もない事が起きるぜ。」

 

予想通りだとこの力は何系だ? パラミシア? う〜ん……

 

「うわぁ!? クロがっ!?」

 

クリークが素っ頓狂な声を上げる。

 

「アマクサ・シオリ……これはどういう現象だ?」

 

ルッチが冷や汗を流しながら尋ねる。

 

「さぁな……分身……でもない……全部本物だ。」

 

俺らの目の前に7人のクロがいた。全員姿が微妙に違うが……闘気の質は全員同じ……つまり同一人物って事だな。

 

「! ……お嬢様!? ここは……サイレントヒルか。この状況から見て……私が能力者となった初日か……」

 

「! 奴だ。おれが交戦したのはな。」

 

ルッチが今しゃべったクロを指差す。仮にクロBとしとくか。猫の手は持っておらず灰色のかぎ爪を装着してる。多分海楼石製だな。

倒れてる本物は別として、最初からいた老けたクロはAとする。

 

「ここは……! 情報が入ってくる……未来の我々だと!? …………成る程。」

 

現在のクロより数段弱い闘気を出してるのはCでいいか。あの強さは……ウォーターセブンに着いた頃のかな? 装着してるのは黄金の爪。

 

「ククククククッ! 誰かは知らんがおれに指図するな! おれはやりたい様にやるだけだ!」

 

俺が遭遇したクロより更に凶悪な形相をしたクロが言い放つ。猫の手?からは何やら液体が滴ってる。こいつは多分、未来の原作クロか? ……とりあえずDとしておく。

 

他にも3人ほど、E〜Gと呼ぶ事にする。

 

「何がどうなってんのか訳が分からねぇ〜!」

 

クリーク辺りは知恵熱出しかねんな。

 

「だいたい理解したぜ。お前の能力は……『あらゆる並行世界から自分自身を呼び出す』能力! さしずめパラレルワールド……パラパラの実の能力者ってとこだな!?」

 

「ご名答……流石に喋りすぎましたか。」

 

「全く……いつの間にんな物騒な実を……」

 

これ、強者が食ってたらヤバかったな。無数の白ひげとかガープ…………地獄絵図にも程がある。死んでも見たくねーぞ。

 

『…………』

 

? エネル達が微妙な表情してるが……何か知ってんのか?

 

「おやかた様(お館様か?)だのなんだの洗いざらい吐いてもらうぜクロA。」

 

「……相変わらずなネーミングですね。男口調といい、懐かしい……」

 

なんだ? まるで未来の俺が身も心も女にでもなったかの様なセリフだな。

 

「では……殺りあいましょうか。もっとも5、いえ6人は瞬殺されるでしょうが……」

 

確かに、A以外は弱い……が、瞬殺なんて無粋な真似はしねぇよ。一人一人きっちりと仕留めてやるさ。

 

「いいから来な。」

 

「シャアアアアッッ!!」

 

俺が言い終わるかどうかのタイミングで狂暴キャラであるクロDが狂人みたいな表情で弾丸の如く突進してきた。

……こいつだけHELLSING世界に紛れてても違和感ねーな。

 

ズグッ!

 

Dの獲物である液体が滴る猫の手もどきが突き刺さる……が。

 

「鯨でさえ数分で死に至る毒の爪! ククククククッ! ジワジワとなぶり殺しに……何!?」

 

どこの盗賊団リーダー愛用のベンズナイフだよ。……それに。

 

「俺にその程度の毒は効かねぇよ。……虎砲!」

 

ズドン!

 

「ぐぼおぁっ!?」

 

1インチの大砲がDに命中。悶絶しながら姿が掻き消えた。

こいつ、身体能力は原作ルッチ並にあるが……覇気は使えないみたいだったな。無防備で喰らってやったのにかすり傷とは……

 

「ペッ」

 

クロコダイル戦と同様に体内に水を作り出し毒を極限まで薄め吐き出す。

 

「当然の結果ですね。やはりこの時でも人知を越えた強さの様だ……」

 

何故か穏やかな笑みを浮かべたAがつぶやく。

その後残りの5人も片付ける。

 

「当然の結果ですね。まだまだ無数に呼べますが……」

 

「ひゅ、ひゅぅ…もうやめましょうやぁ…やめましょうやぁ…」

 

「そういう軽口や挙動不審ぶりも久しぶりに聞きました。……時間がもったいないですからね。普通に呼び出すのは止めておきましょう。」

 

俺のいつものジョークを受け流しさらに構え覇気を放つ。やっぱ結構な強さだな……この世界に来たばかりの俺じゃやばかったかもな。

と、次の瞬間皆の視界から消える俺ら二人。

 

「見、見えん!? このおれの目にも!」

 

ルッチですらどこぞの異星人の神様みたいなセリフを吐く。シリュウでさえ早々に諦めてる。追えるのはエネルくらいか。

確かにかなりのスピード……こりゃマッハ……20、いや30は出てるな。生身の人間がこんな事やったら塵一つ残さず消滅するぞ。

 

クロAが何度か攻撃を仕掛けるが全て防ぐ。

 

「……やはり全てにおいて人類の領域を越えておられる。」

 

……言ってる事と今からしようとしてる事が違うぞ。凄い集中してるな……こりゃ大技が来るか。

 

 

 

……両腕をだらーんとした。杓死か? しかし……これは……全身が脱力してる。今にも溶けそうだな。ゴキブリダッシュとかしないだろうな?

 

「…………杓死・極……」

 

ザクッ!

 

!? 何が……背中に痛み……斬られた?

クロは目の前に……! もう一人呼び出した? 

……いや、一人や二人じゃねぇな。つーかドンドン増えて……いや、攻撃した奴はすぐに消滅してまたすぐに呼び出してるのか……なんつー厄介な。こりゃクロと同レベルの奴でも瞬殺されるぞ。

……と、クロAが動きを止めた。

 

「別次元の私達と共に繰り出す杓死。とは言え実力にばらつきがあれば自爆してしまいますし実力の近い私を呼び出すのは相当な集中力、それに負担もかかりますので。」

 

リスクが相当高いって事か。相手に相当隙が出来ないと無理っぽいな。

 

「第一、武装色の覇気に差があればどうしようもないですからね。事実カイドウには手も足も出ませんでしたし。それに身内で言えば、クリーク相手にも勝率は低いのですよ。」

 

「はぁ!?」

 

いきなり話を振られて慌ててるクリーク。多分……クロAの時代のクリークだろうな。……なんかすっげえ堅くなってそうだな。はぐれメタル並だったりして。

 

「しかしそれでも1024撃も受けるとは……弛んでますよおやか……お嬢様。」

 

! 何百発かかすったと思ったがそんなにか……

 

「俺が……たるんでるぅ? 言ってくれるなぁ……」

 

「お嬢様は世界一なので世界にお嬢様が世界一と世界に理解させる。」

 

! おいおいそのセリフは進水式の時の1テイク目の……

 

「図らずも、私の時代では貴女はその言葉通りになられたのですよ。あの『怪物』二人をも圧倒し、更にあの『少年』と戦える唯一無二の存在に。」

 

怪物? 少年? …………遠い、いや未来の世界はどうなってるってんだ?

 

「……勝ったら洗いざらい吐いてもらおうと思ったが止めだ。何でもかんでも知っても味気ないしな。」

 

「そうでしょうな。……それにそろそろタイムリミットです。今回は奇跡的にこの世界に来れましたが次はいつになるやら……とにもかくにも、早い再会をお待ちしておりますよ。」

 

クロAが消えた。ホントに何の痕跡も残らんなー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「違う世界の私……?」

 

あの後目を覚ましたクロに事情を話す。多少面食らってたが流石に理解が早く納得してくれた。

で、早速パラパラの実の練習に取り掛かったが……ホント〜〜〜に上手くいかない。なかなか強いクロは呼べないわ呼び出したら呼び出したらで勝手な行動をするわで大変だった。

話は変わってクロが悪魔の実を食った翌日から皆の部下集めのためグランドライン楽園地帯と東の海を巡る事になった。

シリュウ達、エネル率いる楽園組を待機させ、まずは俺、クロ、クリーク、ギン、アーロンでインペルダウンで手に入れた軍艦(擬装済み)で東の海に赴き、クロネコ海賊団のシャム、ブチ、その他の部下を、次に東の海の各地に散っていたクリーク海賊団の者達を召集した。

最後に東の海監獄所を強襲しクロオビ、チュウを始めとするアーロンの部下達を救出。無関係の囚人達は使えないと判断し放置した。

往復10日程で無事東の海での仕事が終ったのでアジトに戻る。エネル率いる楽園地帯捜索メンバーは既に2、3日前に出発していた様だ。

 

 

 

そして、アジトにワノ国の奴らが訪問してからおよそ三週間がたった頃……

 

「! この強烈な覇気は……!?」

 

アジトにまっすぐ突き進む強大な覇気……一つは……修羅って奴……だがもう一つとんでもないのがいやがる。一体……何者だ?

 

 

 

 

 

 


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