ONEPIECE世界を過去キャラと満喫   作:一匹犬

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27話「VS四皇カイドウの一味・一本目〜接触〜(中編)」

〜新世界、無人島・ガンリュウ島〜

 

 

 

敵さん8人とクロ達8人が睨み合う。エネル、ワポルはとりあえず待機。

まずは……

 

 

 

「じゃ、始めるか〜」

 

処刑人という物騒な異名のエクスなんたらとフィンガーが対峙する。

処刑人は着ていたスーツを脱ぎ散らかすと……中から出てきたのはピッチリとした白色の服。宇宙服が限界まで薄くなった様な構造だ……未来ファンタジーの戦士とかが着てそうだな。

で、構えるが……空手か。

 

「空手とはねぇ〜寝技とか大丈夫〜?」

 

「はっ! そういう心配は無用だ。おれを転がすのは無理だからな〜」

 

「言うじゃない……」

 

フィンガーはジャブラ直伝の鉄塊拳法の構えを取る。

 

「おっ! 素人じゃないな……その構えは拳法かい。」

 

「えぇ、そう……よ!」

 

返事と共に右腕を突き出す。

 

「うおっと!?」

 

慌ててかわす処刑人。

 

「食らったら危ないな。腕を武装色……いや六式の鉄塊を掛けているのか。なかなか器用な事するねぇ。」

 

ジャブラも言ってたが鉄塊を掛けながら動くのはかなり難しいらしいからな。

 

「褒めても何も出ないわよ。……じゃそろそろマジでやるわよ〜 ほーっほっほ!!」

 

お前はどこの女王様だよ。フィンガーの両腕が黒色に染まる……武装色の覇気を纏ってのトゲ化した連撃だ。

 

キィン! キンキンキンキン!

 

予想外な事に金属同士がぶつかり合う音が連続で生じた。

 

「えっ? ……いつっ!」

 

彼女の右腕が血に染まってる。

 

「あなた、まさか……あなたも腕を武器に……」

 

処刑人の姿が変貌していた。頭から二本の触覚、目もなんか機械チックで髭も機械化してる。両手足の一部分も人間のそれとは別物……あれだ。昆虫みたいになってる。特に両腕の肘から先がかなりぶっとい……ってゾオンか? にしちゃ……

 

「ムシムシの実……モデル・オオスズメバチだ。」

 

おおう、スズメバチかよ……怖ぇんだよなあれ。

て事は……あれか。奴の手甲から黒いなにか……針か? が突き出してる。あれで迎撃したのか。

 

「動きが素直すぎるしなにより武装色が弱すぎる。鍛練が圧倒的に足りんな。」

 

「っ……」

 

フィンガーもそこそこは上達はしてるが向こうは相当な使い手だな。知ってる奴でいうと最近遭遇したヴェルゴとか言う海軍将校と同等……いやそれ以上か。

 

「一方的な戦いは好きじゃない。三割の力で相手してやる。」

 

処刑人の硬化している両手足の圧力が減少した。言ってる事がマジなら三割でヴェルゴに匹敵……それから予想すると奴の強さ……ひょっとすると大将クラスか?

さて……フィンガーにとってもいい経験になりそうだな。

 

 

 

次は……クリークとアイスバーグもどきのマークパイソン。

クリークの攻撃は時々当たってる……いやわざと食らってるな敵さんは。攻撃力ならそこそこあるクリークの攻撃を食らって平然としてるとは……

 

「(なんだコイツの体……感触がなんか普通の人間とは違いやがる。)」

 

「ほー……けっこう本気で当ててるのに堪えてないか〜防御力はとんでもないな。……ますますその自慢の防御力、破壊したくなったよ。」

 

「へっそうかよ。そんなへなちょこな攻撃なんざ何百発食らっても倒せねーぜ!」

 

あんま調子のんな。敵さんの気配がヤバくなってきとるぞ。

 

「まさかおれがルーキー相手に変身するとはなぁ……自慢していいぞ。生きて帰れたらな〜」

 

「あん? 変身? ……能力者か!?」

 

ゾオンか……名前通りなら蛇……んな安直なわけねーか。

 

「猛毒を持つ蛇……バジリスクを知ってるか?」

 

ドラクエ2で知ったな。FFとかだと石化攻撃してくるんだっけ?

そう思ってる間にもパイソンさんの姿が変貌していく。

想像通り蛇だった。ただそのサイズが空島のウワバミに匹敵する程の巨体だが。胴回りは5m以上、全長にいたっては50m以上か……サイズだけなら俺のリヴァイアサンを超えてるな。

 

「なっなっなっ……」

 

絶句してるクリーク。確か空島でウワバミと遭遇したらしいがそれでもびびってるって事は……肌で感じてるな。ウワバミより遥かに危険だって事に。

 

「おれはそのバジリスクの頂点……ヘビヘビの実・幻獣種・モデル・ヴリトラ。別の所ではザッハークとも言われる蛇の王だ。」

 

ヴリトラかよ……確かロマサガ2だか3にいた画面一杯のでかさを誇るザコ敵だっけか?

 

「こうなったら微妙な手加減が出来ん。死んだら運が悪かったと思ってくれ。」

 

「上等だっ!」

 

勇気を振り絞りパイソンに斬り掛かるが……

 

ペシッ

 

巨大すぎる体にはたかれて地に叩きつけられる。

 

あのパワー、今まで見たい敵の中でも断トツだ……俺の半分、いや6割ってとこか。

 

「ちっ……ドンの一撃に比べりゃかゆいもんだぜ!」

 

「! ほぉー予想以上の様だな傾世のシオリは。この形態のおれ以上のパワーとは……ところで聞きたいのだが普通に動けるかね?」

 

「何言って……ぐぁっ……なんだ? 体が痺れ……」

 

「やっと効いてきたのか。図抜けた耐久性だな。地に叩きつけた時に速効性の麻痺毒の液をぶつけたのに。」

 

確かに液体吐いてたな。見切れなかったクリークの失態だ。

 

「ぐ、ぬ……」

 

「さて……いい加減終わりにしよう。我が締め付けに堪えられるかな?」

 

動けない標的にじわりと近づく大蛇。クリークの命は風前の灯か?

奇跡は起こらずなすがまま敵に巻きつかれる。

 

……どんどん顔が土気色になってきたな。

 

『バキバキバキバキィッ』

 

全身の骨が折れる嫌な音が響き渡る。

 

「…………」

 

ぐったりしてるクリーク。生きてるか?

 

「まぁまぁタフだったよ。生きてたらまた……」

 

その時いきなりクリークが立ち上がった。

 

「!?」

 

おどろきとまどっているパイソンの足元にスライディングを敢行する。

その結果なぜか巨体の蛇の体が転倒した。

 

「ぬあああっ」

 

続けてパイソンの胴体を掴み持ち上げた。

 

「なっにっ!?」

 

初めての経験なのか度肝を抜かれるパイソン。

 

「でやああああっ」

 

なんとそのまま持ち上げたままジャンプした。

数十トンはある巨体を……そこそこ腕力ついてきたな。

ジャンプした彼は両手両足を蛇の巨体に強引に引っかけスープレックスの体勢になり……

 

ドガアアアアッッ

 

脳天を地にたたき付けた。

 

「……驚いたな。あの姿のパイソンを持ち上げるとは……というか、骨バキバキじゃないの?」

 

よそ見する余裕のある処刑人が感心した様につぶやく。

 

「ふぃー……死ぬかと思った。」

 

ホンマにな。それに今のはDSCの成りそこないだ。完成させるには後ジャイアントスイングとバベルクランベルを繋げんとな。それよりも骨折れたのはひょっとすると……

 

「あ、さっきのは音真似っす。『バキバキバキィ』……どうっすか?」

 

上手い。つーかこの戦法はあれだな。『真・異種格闘大戦』出場者のヒクイドリの技だな。『騙し討ち』の本領発揮って所か。

 

 

「ハッハッハッハッ……やるではないか。」

 

何事もなく首を持ち上げる蛇の姿のパイソン。

 

「久しぶりだぞ。ルーキーでおれに感心させたヤツは……だが、ここまでの様だな。」

 

言い終わると同時にクリークがダウンする。やっぱな。

 

「全身骨折は免れたけど……それでも全身にゃ強烈な痛みが走ってやがる……」

 

立てないか。毒も中和したわけじゃないしな。この勝負はクリークの負け……だな。

 

 

 

次は……

 

「うおおおっっ! シャーク・オン・ダーツ!」

 

矢となって突進するアーロン。それを……

 

「ノーズ・フェンシングーッ!!」

 

マンモスの太い鼻が鋭い刃と化しアーロンを撃墜した。

 

「ぐわっ……クソッさっきからコイツは……化け物かよ!?」

 

アーロンとマンモスマンの戦いは一方的なものになっていた。

 

アーロンがあらゆる技を繰り出しても全ていとも容易く返される。あげくはあの恐ろしい鼻……ノーズ・フェンシングで貫通傷だらけだ。……身体能力は図抜けてんなやっぱり。しかも奴はまだあの牙を……

 

「ワハハハッその程度か! つまらん奴だ。もうそろそろ終いにしてやろう!」

 

パゴォとは叫ばないが……その笑い方は女だらけの麻雀漫画を連想するな。

 

で、マンモスマンの鼻が黒光りしていく。武装色か。

 

「ノーズ・フェンシング・60%!!」

 

スピードも増した一撃がアーロンに迫る!

 

「うおおおっとっ!?」

 

間一髪背面飛びでかわした! が……

 

「ビッグタスクーッ!!」

 

なんと二本の牙が伸びアーロンの顔面辺りに迫ってきた。

 

「クッくそったれぇー!」

 

なんとアーロンは自慢の口で牙の一つを受け止めた。もう一本は鼻辺りを掠めた……ってまずいなこの展開。

 

「ワハハハッ! それで避けたつもりかーっ! 死ねいっ! ビッグタスクドリルーッ!!」

 

とんでもない勢いで牙が回転しだす。その結果アーロンの歯が全て粉々に。鮫の特性で再生しても追いつかない。

 

「ここが貴様の墓場になるのだー!」

 

「ウギャアー! カシラー!」

 

そんなとこまで真似んでいい! ……結局ウォーズマンてマンリキ戦以後勝てなかったなぁ…………とアホな感想を抱きながらもマンモスマンをけっ飛ばす。

おおう……重いな。島食い並の重圧感じたぞ。

 

「うおおおっ!? なんてパワーだ!!」

 

「次は俺が相手してやろう。……が、とりあえずお前の仲間の戦いが終わるまで待ってろ。」

 

マンモスマンを牽制しつつアーロンに回復薬を施す。

 

 

 

次は……ボンちゃんとガゼル・ザ・ワイルドとか言う足長野郎。

 

……って辺り一面ズタボロだな。何があった?

 

「ハッハァッー! その程度かぁ? 久しぶりの足技の使い手なんだ。もっと楽しませてくれや!」

 

陽気なアメリカンの如き性格は嫌いじゃないが……強いな。あの強靭にも程がある両脚……あそこから繰り出される一撃には驚いた。

 

「うらぁーっ! 嵐の白鳥アラベスクッ!」

 

ボンちゃんが嵐脚による無数の蹴撃波を放つが……

 

「『赤』っ!」

 

ワイルドの脚が一閃されると……巨大な炎が脚から放たれ、無数の嵐脚を飲みこみボンちゃんに殺到した。

 

「ギャアアアアッ!?」

 

必死の形相で炎の波を避ける。

 

「おいおいそんぐらい受け止めてくれよ。」

 

無茶言うな。武装色の初心者じゃ軽く死ねる一撃だぞ。

しかしこいつ……ゼフのオッサンやサンジみたいな流儀でもあんのかね? 一切手を使わねーが。こいつも料理人か?

 

「料理人じゃねぇよ。傾世のシオリ。『ヤツ』が手を使わなかったからおれも使わなかった……それだけだ。10年以上ヤツとは戦ってないが……ヤツが引退したからと言って自分の戦法を変えれる程器用でもないんでな……手に覇気を纏って攻撃する技は一切持ってねぇ。」

 

ドがつく程の馬鹿正直野郎だな……いや、その強烈すぎる信念がこの強さを引き出したのか。

 

「潔良い野郎じゃなーい! こうでなくちゃだわっ! じゃああちしも全力でいくわよーう! 秘蹴っG線上のアリアッ!!」

 

ワイルドに感化されやる気全開になったボンちゃんが一発だけの嵐脚を放つ……いや、一発ではなく無数の蹴撃が一つに重なってるな。

 

「ほう! ルーキーにしちゃなかなかの圧力! だが! 『青』っ!!」

 

奴の脚からとんでもない量の水の大砲が放たれた。……ウォーターバズーカ並だな。つかどうなってんのこいつの脚?

 

「ギャアアアー!? ちょっちょっとぉーっ!?」

 

水に飲みこまれそのまま海に落ちたボンちゃん。

 

 

「おめでとう。この勝負はあんたの勝ちだ。……いずれ勝たせるけどな。」

 

「いつでも来いや。って伝えといてくれ。」

 

奴の言葉を背に受けつつボンちゃんを助ける。

 

 

 

次は……クロとスメラギ・ショウとかいう女か。

 

「武器は持っていないのか?」

 

「フフフ……気が向いたら見せてあげるわ。」

 

「……そうか。」

 

クロが残像を残す程の超スピードでショウを翻弄する。マッハ4は出てるかな? 半年前は1か2ぐらいだったのにスピードの成長率はとんでもないな。

そして隙だらけのショウに向かって……

 

「科負っ!」

 

パシフィスタ戦で披露したらしい、首を切り裂いてからの脳天突き刺しらしい技を放つが……

 

ギィンッ

 

武装色で阻まれる。

 

「かわすまでもない……スピード以外の身体能力、覇気共に貧弱だな……ウフフフフ……これは調教しがいのある……」

 

何やら物騒な事をつぶやくショウ。

 

「くっ」

 

自分の身に襲い来る未来を感じとったのか後ずさる。

 

「とは言え『今の』私ではお前を倒しきる術はない。」

 

「フッ四皇幹部らしからぬセリフ……む、『今の』だと? っ! そうかあの鳥……」

 

「この姿になると……手加減が難しい。非力だった体の反動でついやりすぎてしまうのでな。」

 

そう言う間にもショウの姿が変貌していく。

そしてさっき見た極彩色の巨大鳥の姿に。それはいいんだが鳥の名前が分からん。

 

「アマクサ・シオリ……貴様のリヴァイアサンには流石に及ばんが……この私のゾオンは! トリトリの実・幻獣種・モデル……ガルーダだ。」

 

ガルーダ? よくアニメやゲームで登場する鳥の怪物……いやそもそもの元祖はインド神話だっけか?

……鳥の姿になったショウから発っせられる威圧感……確かに幻獣種に相応しいぐらいだ。しかも全ての身体能力がありえないぐらい上昇してる。

 

「くっ……これは……」

 

顔面蒼白のクロ。……奇跡が起きても覆りようがない実力差を感じたか……

そこからは一方的だった。翼をはためかせるだけで地形を吹き飛ばし海流の流れさえ変えさせる力。今まで見たゾオンの中じゃ隙がねぇ程の完成度だな……

 

「そこまでだ。スメラギ・ショウ。」

 

倒れ伏すクロを庇うようにショウと対峙する。

 

「弱い状態のこいつを手に入れてもつまらんだろ? ……こいつはまだまだ強くなる。勝負は引き伸ばさせてもらう。」

 

「ぬっなんという覇王色の覇気……私が威圧されるとは…………良いだろう。だが次は手に入れるぞ! クロ様を。」

 

ん? クロ様? よく分からん奴だな……

 

 

 

次は……ベラミーとスナガとかほざくタイガーマスク……じゃない、タイガーザグレート。

奴は今までのベラミーの攻撃を全て避けずに受け止めていた。

 

「フハハハハッ! どうしたその程度か? これでは前座以下のレスラー並だぞ!」

 

誰がレスラーやねん。しかし……こんな所でプロレスをやるとは……なんてはた迷惑な奴。

 

「くっ、ちくしょう!」

 

ベラミーの全身から蒸気が立つ。

 

「ギア2……スプリングストーム!!」

 

上空から拳の雨あられが降り注ぐのを……

 

「ドラゴンスクリュー!!」

 

驚きの見切りでベラミーの腕を掴み……投げ捨てた。

 

「ぐはっ……」

 

バネなので地面に叩きつけられても効かないはずだが……覇気も同時に叩きこんだか。

 

「今まで珍しい能力のヤツらと戦ってきたが……今日のバネ人間はたいしたことないなっ!」

 

挑発も上手い。エンターテイナーとしても一流だ。

 

「くっ……こうなったら新必殺技だ! 当たりさえすれば……勝てる!」

 

ベラミーも負けじと返す。こう言われたらプロレスラーは受けざるをえない。

 

「うぉー!」

 

背後の小高い丘に登り……バク転を繰り返しながらスナガに向かって落下していく。徐々にスピードがついていき……スナガの手前5m辺りで全身をバネ状態にして大ジャンプを敢行した。

 

「むっ!?」

 

ベラミーの体が螺旋状になっていき、スナガに向け急降下。驚く彼を尻目についには螺旋状態で彼の所に着地。スナガの全身にベラミーが巻き付く形になった。

 

「これこそ! デビルトムボーイ! またの名を螺旋解体絞り!!」

 

スプリングマンに出来てバネ人間のベラミーに出来ない道理はない。かなり血ヘドを吐いたけどな。

それに奴は見た目、髪の毛はマスクに収納されてる。『あの技』をするにはマスクを脱がなきゃいけないはずだ。

 

「ぐぅ〜……とても素晴らしいフィニッシュホールドだ〜 見直したぜ。……相手がおれじゃなきゃ勝てたかもな!」

 

言い終わると同時にスナガの全身が膨張し始める。

 

「くっ……力で強引に剥がせる技じゃないんだぜーっ!」

 

更に締まりを強めるベラミー。

 

「我は……最強虎なり!」

 

「!? ぐわっ……」

 

ベラミーが弾き飛ばされた。一体どうやってとスナガを見ると……虎? しかし通常の虎なんか比較にならない程の巨大さだ。尻尾を除いても体長10mはある……

 

「ネコネコの実・幻獣種・モデル……白虎。」

 

白虎? 白虎ってーと確か中国の霊獣の四神……朱雀、青龍、玄武、そして白虎の事か?

 

「そう……虎の神、白虎。白兵戦でおれに叶う奴はそうはいない。」

 

……けっこうな圧力だ。この強さ、七武海級か?

ベラミーは……強引に脱出されたせいか全身ズタボロだ。死んではないが……しばらくは立てないな。

 

「タイガーマスク、お前の勝ちだ。」

 

「……スナガだ。」

 

 

 

次は……ゲーニッツとか言う牧師とルッチか……

 

「フフフ……まことに荒々しい闘気ですね。その気質、若輩にしては見事なものです。」

 

「……貴様もそう歳は変わらん様に見えるが?」

 

間合いを測りながらルッチが返す。

 

「それはそれは嬉しい事を。こう見えましても若作りしてましてね。それに……年甲斐にもなく心が荒ぶるのは実に久しぶりなのですよ。」

 

左腕は腰の後ろに回しながら右腕をスッと掲げる牧師。

 

「さて……始めましょうか。『よのかぜ』!」

 

右手指を振り上げるといきなりルッチの背後に高さ2m程の竜巻が発生した。

 

「!? チッ!」

 

慌てて剃刀でその場から離れるルッチ。その直後彼のいた辺りが竜巻によってズタズタに荒らされる。

 

「……」

 

そしてそのまま牧師の背後に……

 

「『ひょうが』。」

 

何やらつぶやくと牧師の姿が掻き消えた。

 

「! なっ……」

 

 

「フム……悪くない動きです。『ひょうが』と同等の動きを見せるとは……流石元世界政府の暗殺者ですねぇ。」

 

いつの間にか今度は牧師がルッチの背後を取っていた。

 

「くっ……嵐脚・乱!」

 

再び剃刀で距離を取り同僚のカク得意の嵐脚の乱れ射ちを放つが……

 

「フフ……『わんひょう とこぶせ』!」

 

さっきと同じ動作をすると今度は無数のかまいたちが発生。嵐脚全てを撃墜した。

ところがルッチはすでに牧師の懐に接近。あの構えは……

 

ゾワッ

 

「! 『そうかつさつ』!」

 

ルッチより速い動きで彼の首を掴み締め上げ更に……地にたたき付けた。

 

「グッ……ペッ!」

 

すぐに立ち上がり血の唾を吐き捨てる。

 

「鳥肌が立ちましたよ。なかなか面白そうな技をお持ちだ。」

 

「……貴様、いつまで手を抜いている? 武装色の覇気は使えるのだろう?」

 

「……フフフ……良いのですか? あなたの事を思って善戦したという事にしようとしたのに。」

 

「……」

 

「まぁお聞きなさい。私が心の赴くままに力を振るっては戦いと呼べなくなりますのでね……あたら前途有望な若者を潰したくないのですよ。……分かりますか?」

 

「舐められるなら死んだ方がマシだ……それに貴様を倒さなければ……アマクサに届かない。」

 

おいおい今は俺の事は忘れろよ。

 

「…………フ〜ム……」

 

牧師が俺をガン見する。こっち見んな。

 

「それは止めた方がいいですね。彼女は……『化け物』という言葉さえ不釣り合いな程の存在。あれ程のモノはあの女性……『救世主』以来ですよ。」

 

『救世主』? 誰の事だ?

 

「……関係ない。そんな事は……今は貴様を殺す。」

 

ルッチの姿が変貌していく。豹の頭をした人獣姿に。けど通常のより小さいって事は『紙絵武身』を使ってるか。

 

「ほぅ……レオパルドですか。あなたの性格上この上ない能力ですねぇ。」

 

パチパチと拍手する神父。嫌な性格しとるな……

 

「……本来ならこのままでも倒すのは容易いですが……少し世間という物を知ってもらいましょうか。」

 

微笑みを浮かべながら言い放つ。……ん?

 

「奇遇な事に私もゾオンでしてね……ただまぁあまりに強大な力のために滅多に使わないのですが……力を使ったのは初めてカイドウさんやシュラ君と戦った時だけでしてね。……君程度には見せるには勿体ないですが、まぁこれを機に身の程を知るのもいいでしょう。」

 

しつこいけどホントに慇懃無礼な奴だな。……む? どんどん圧力が増してきとるな。それに連れて牧師の姿が……これは……マジか!?

 

緑色に鈍く光る表皮、ドラゴン、もしくは恐竜の様なフォルム、体に比べれば相当小さいがそれでももの凄い圧力を感じる両腕、巨木並の大きさの尻尾。そして何より恐ろしいのは……8つの頭……ってこの姿ってまさか!?

 

「ヘビヘビの実・幻獣種・モデル……やまたのおろち。それが私の能力ですよ。」

 

やまたのおろちかよ! 頭部を除いても全高、体長共に10m近くある。超新星のXドレークの能力に似てるな。二回り以上サイズが巨大だが。つか残り7つの頭はどうなってんの!?

 

「…………」

 

ア然とした様子でドラゴンの姿になった牧師を見上げるルッチ。隙だらけだが気持ちは分かる。

 

「さて……硬直している暇はありませんよ。生を掴みたいのならば必死で抗いなさい。」

 

このゾオン……とんでもなく強いな。今のルッチじゃ……100%負けるな。それにしても、ヴリトラ、ガルーダ、白虎、そしてやまたのおろちか……スズメバチ以外はどれもヤバすぎる。しかし……それらよりも得体の知れないプレッシャーを放ってるのが……

 

 

 

最後は……ギンと修羅。

 

「れぅー どうしたのー?」

 

「……ゲフ……グハッ……」

 

大の字に倒れ伏し血溜まりを吐き出すギン。すでに戦える状態ではない。

 

「おっかしぃーなー!?見たトキからビビッと来たのに〜」

 

プンスカしてる幼女。かわいいな……全身が返り血まみれじゃなければ。

……しっかしこいつは……強すぎる。海軍大将すら霞む程のプレッシャーを感じるぞ。

 

 

 

で、現在クロ達は一人残らずダウンしている。危なかったのもいたが回復薬を飲ませたので今は全員命に別状はない。…………ま、こんなとこか。

 

「さすが四皇の一味、桁外れな強さだ。ところで第2ラウンド行ける?」

 

覇気を5割ほど解放すると……

 

「まだまだ暴れ足りんーっ! おれの相手をしろ!」

 

マンモスマンが掴みかからんばかりに俺に迫る。

 

「あっ……『鬼』さん、出てくるの早いよぉ!」

 

「げぇーっ!?」

 

急にビビるマンモスマン。つかあのチビッ子何独り言……

 

ゾワァッッッ

 

突如、辺り一帯を襲うシャレにならない程の強大な殺気。くっ……これはかなり……

辺りを見るとボロボロな姿のクロ達も圧倒的な恐怖に囚われている。どころか仲間であるショウ達も顔色が悪い。

 

「フゥ…………修羅よ。まだ甘いのう。」

 

いきなり口調が渋くなった修羅。その身からは赤黒いオーラが立ち昇っている。おいおいおいこれって……

 

「だが……この未熟者に間違いはなさそうではあるな。ヌハハッ……面白い!」

 

話が見えてこねぇな。さっきから何を言ってる?てかそれよりやっぱこいつは……

 

「その疑問は当然なり。摩訶不思議な魂を持つ怪物(もののけ)よ。」

 

「もののけとは言ってくれる……さっきから何が言いたいんだ? ……『拳を極めし者』……豪鬼!」

 

「! ……フム、豪鬼とな? 初めて聞く名だが妙にしっくりと来る……」

 

あれ? 人違い!?

 

「我に名はなかったが……その名、貰うとしよう。」

 

……う〜ん……推察すると豪鬼と同じ様な魂がこの修羅って娘に宿ってるって事か? つっても試してみないと分からんが。

 

「……で、どうする? やるか?」

 

「我が現に迷い出た以上……鎮める者が必要なり。うぬに頼むとしようか。」

 

相変わらず難しい言葉使いだな〜

ま、とにかくまずは……よく見て見極めんとなぁ〜

 

「……」

 

豪鬼は片足を下腹辺りまで上げ、両腕を小さく構えた。

 

「ぬぅん!」

 

残像を残したまま、片足を上げた姿勢のままで高速で滑る様に俺に迫る。

……実際目にするときついな……覇気を纏った残像とは……確か『阿修羅閃空』だっけか?

 

「拳銃・虎砲!!」

 

迎撃のため武装色を纏ったショートフックを放つが……

 

!? すり抜けた? 残像か! くそ、殺意の波動を纏われるとこうも動きが読みにくいとはな。

が、気を取られたのが致命的だった。不意に俺の真上にシャレにならない程巨大な圧力が生まれ「禊。」

 

…………

………

……

 

 

 

 

 


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