〜サイレントヒル・村外れ〜
「ここにいたかお前。」
白衣の男……ベガパンク改めアミバの助手が村外れの海岸にいた老婆に話しかける。
「お前か。ご苦労だったな。」
ダリアがいつもとは違う口調で返す。
「なに、天草四郎……いや天草詩織がどうしているか確認出来たのでな。大した事はない。」
「そうか。天草詩織は……順調にこの世界を満喫している様だな。それに……」
「うむ、『海賊王』、『狂姫』の魂との融合も今の所問題なさそうだ。このままのペースなら……あと半年〜1年といった所か。」
「フム……天草詩織に関しては我らの理想に近づきつつあるか。残り二人……いや、ごく最近もう一人も転生したか。」
「うむ。だが……赤子に設定してしまったのは思わぬミスだった。これでは間に合わないかもしれぬな。」
「だが彼女が持つ力……三人に劣らぬ。彼女がどこに行くかで……この世界の行く末が決まりそうだな。」
「そうとも限らんぞ。『王』になった少年が持つのは『絶対強運』であるし、もう一人『救世主』はこの星を……とにかく彼らのパワーバランスは非常にたゆたっている。」
「それでこそ我らの望みであろう。……まぁ4人目はとりあえず置いておくしかあるまいが。」
「そうだな。…………次は『王』の所に行くか。」
「うむ。」
老婆と白衣の男の姿が上半身裸、下半身は黒のタイツだけの中肉中背の男の姿に変貌し、更に消えていく。
そして、もうそこには何もなかった。
〜シオリside〜
アミバを連れ市街地に戻る俺達。
アミバを見たヒデイエとかはだいぶ怖がっていたが事情を説明すると大人しくしてくれた。
「まぁ確かに霧も怪物も消えましたが……」
しかし霧か……これは使えるかもな。それに……
「アミバ。後でお前に見てもらいたいもんがある。」
「な、何をだ?」
「そう怖がんなよ。お前にも関係あるもんだ。ぜひ改造してもらいたい。」
「か、改造ぉ? ま、まさか……」
技術者が入ったのは嬉しい誤算だな。後はワポメタルかな?ま、『これ』に関しては後々に回すか。
「にしてもダリア婆さんから貰ったアイテムのおかげで本気出さずに済んだぜ。後で礼を言わなきゃな。」
「ダリア? 誰なんですか?」
とクロ、更にヒデイエ。
!? えっ!?
「何言ってんだ。教会にいた婆さんだよ。」
「? 教会には……あの三角形の物体しかありませんでしたよ?」
「教会? 何年も無人ですが……」
クロとヒデー両方が有り得ない答えを返す。一体どういう事だ? 俺の勘違い……なわきゃないよな。
……分からんな。まぁ今は置いとくしかねーか。
「ところでこれから……どうします?」
「ま、しばらくは拠点の充実だな。それと……」
「「「うっ!?」」」
俺の顔を見ただけで血相変える皆。平気な面してるのはシリュウぐらいか。
「色々考えてるがまずは……特訓だ。ここに来るまで本格的な特訓が出来なかったからな。ここならじっくり出来るぜ〜」
全員が「え? 冗談だろ?」って顔になる。シリュウやCP9、レベル6囚人、元黒ひげクルーは分かってない顔してるな。彼らはスタミナ以外完成されてるシリュウ共々あんまり伸び代はないが無駄じゃないだろ。
「まずは体を鍛えるのに手頃な『六式』。これはルッチ以外まだまだ叩きこめる事ができらぁな。……そうだな。とりあえず覇気、悪魔の実の能力無しでルッチ級になってもらうか。数ヶ月〜半年ぐらいで。」
皆が阿鼻叫喚になるが無視。するとルッチがズイと前に出る。
「おれは何をすれば良い? ……どれだけハードでも構わん。おれを強くしろ。」
「クックックッ……良いんだな? 吐いた言葉飲み込むなよ?」
「っ……」
俺の覇気に押されるルッチ。
「お前には究極の体術『十殺元』を叩きこんでやるよ。『六式』を完璧に極めたらな。」
「とさつげんだと? 何だそれは……」
ワンピース2ちゃんスレでネタになったやつだよ。
「まだ知るには早ぇ。とりあえず道力が最低8000ぐらいになってからだな。」
数値を聞いて絶句するカク達CP9。
「8000とは……いくらルッチでも……」
「俺が鍛えるんだ。数ヶ月で到達『させる』よ。途中で死んでもしらんがな。」
「「「…………」」」
血の気が引いてるなカク達。
「あ、そうそう特訓以外の時間、遠慮なく俺を殺しに来い。しかも俺は反撃しない。見事な攻撃をした奴にはポイントをやる。」
ちょっとは俺も引き出しを増やさんといかんからな。身体的にはこれ以上強くはなれんし。
「殺しに……死んだらどうする?」
ルッチが殺気を込めて問い掛ける。
「そこら辺は気にすんな。……けどまぁ今のお前らじゃ100%無理だよ。……で、稼いだポイント次第で強力な武器、アイテムをやる。致命傷を一瞬で回復する薬、身につければ永久に自身のスピードを倍にする腕輪、一時的に全ての能力を高めるアイテム、能力者に特効効果のある武器、あぁそれに戦闘以外なら美味い食い物とか色々な。」
「「「…………」」」
景品を聞いて黙り込む一行。バスコショットとかは聞いた事ない酒らしき名前をぶつぶつ呟いてる。
そして………………後に分かった事であるが、嵐の前の静けさと言える半年が過ぎた。
〜頂上戦争から半年後〜
過酷な特訓……具体的には死ぬ直前まで追い込んで回復薬で強制復活の繰り返しだが。トレーニングというのは休養もしっかり取らないと意味がない。グラップラー刃牙のジャック兄さんみたいな例は例外中の例外だしな。
で、一行の道力は平均3000を超えた。ルッチは6000、カク、ジャブラは4000前後まで上昇した。
「よく頑張ったなお前ら。褒めてやろう。」
「何度三途の川越えたか分からねぇ……」
クリーク達は死にそうな顔でぼやいてる。ちなみにギン、ワポル、ペローナ、フォクシー、ブルーノ、ベラミー以外の皆が武装色の覇気に目覚めた。
ちなみにレベル6や元黒ひげクルーは元々覇気を使える。
まぁとにかく半年前に比べりゃ格段に強なったな。けっこう順調かな〜と思ったのだが、ふとしたきっかけでとある四皇の一味と衝突し全面戦争になった。その際シリュウ以外敵の幹部と戦った奴は全敗。四皇の恐ろしさを痛感した。それについては近々話すか。
〜とある四皇一味との戦争敗北後〜
「う〜ん、新世界の恐ろしさをこんなに早く味わえるとはねぇ〜。良い経験だったよ。」
「「「…………」」」
かなり落ち込んでる8人。その8人が誰かは後で話すとして……
「後一年半ある。それで追いつき追い越すぞ? 今回運良く誰も死ななかったが次もそうとは限らねぇしな。」
そういう訳で個別に鍛えていく事にする。
まずは……クロ。
「あの女……全てが桁外れでした……」
これでもかってぐらいに落ち込んでるクロ。
あの女……あのゾオンには驚いた。まさか神話の怪物がな……
「身体能力では一生越せんだろう。相手がゾオンではな。とすれば唯一勝ち目があるのはスピードだ。」
「ですが、私ですら追いきれませんでした……」
「あのスピードで空を飛び立体的な機動をされちゃあ無理ないわな。だが……打開策を思いついた。あの動きを捉える目を持てば良い。そこで……これだ。」
クロの目の前に一つの果物の実を差し出す。
「あっ悪魔の実!」
「図鑑で確認もした。色々考えた結果これがお前と相性が良い。……が、食うかどうかはお前に任せる。」
「…………」
次はクリーク。
「締め殺されるかと思った……」
「ウワバミに匹敵する巨体……しかも猛毒をも持つ。危険な奴だな……マークパイソンって奴は。」
あのオッサンが言ってた事が事実ならあの市長の兄って……マジかよ。しかも『あの口癖』まで言ってたもんなぁ……
「勝てるとすりゃあの締めつけや牙をも通さない堅さだな。……『金剛滅塊』伝授してみるか。」
「こ、こんごうめっかい?」
「後で説明するさ。クリーク……これを体得すりゃお前を傷つける事が出来る奴はそうはいなくなるはずだ。」
「っ……」
息を呑むクリーク。まぁ今までとは桁違いにキツイ特訓になるが。
次はギン。
ギンの相手……ありゃ桁外れに強い。俺以外で格闘戦で勝てる奴……いるのか? しっかしなんであのチビはギンを標的に……
「あの強さ……お嬢に匹敵するんじゃ……」
まだ顔がボコボコのギンがぼやく。回復薬で回復したのにまだ跡が残るとは……やっぱ『拳を極めし者』なだけはあるな。
「正直俺もどうしたらいいか分からん。お前じゃなくてもあのチビに勝てる奴が思いつかねぇ。けど……なんとか探してやる。お前が進化する方法をな……」
とは言ったが、最強の強さになれるアイテムだか悪魔の実なんて簡単に思いつかねぇな……どうするか……
次はアーロン。
「あの象野郎……めちゃくちゃな強さだった……」
ジンベエに足元どころか腰ぐらいまでの強さに到達したアーロンが瞬殺された時は度肝抜かれたな。つーかビックリしたよまさかあの『超人破壊師』がこの世界にいたなんて……しっかし奴の弱点……なんてあるのか? いや、確か奴は……
「一つ手を思いついた。……だがその前にお前には地上でも地中でも空中でも溶岩の中でも宇宙でもそして……極寒の地でも問題なく戦える戦士にしてやる。」
「!? ど、どこでも!?」
「かなりキツイ特訓になるがな。」
「瞬殺されたあの悔しさは簡単に拭えねぇ……あんな思いをするぐらいなら地獄だって見てやりますよ!」
よく言った。さ〜て忙しくなるな。
次はフィンガー。
「あの昆虫みたいなオトコ、危なすぎだわ……」
やっぱりいたなぁ昆虫系のゾオンが。しかも日本人にはお馴染みの……しかし奇しくも針での攻撃を得意とする者同士か……フィンガーにも『あの体術』の一種、『豪死閃』を体得してもらうか。
次はボンちゃん。
「あのワイルドなオッサン恐すぎるわよーう! 死ぬかと思ったわ! あちし!」
ボンちゃんの相手は恐ろしい程の足技の達人だった。しかも奴の旧敵があの赤足の……う〜ん、サンジを差し置いて戦っていいのかね? ま、それより対抗策は……思いつかんな……そう簡単に進化もしないだろうし……参ったなぁ。
次はベラミー。
頂上戦争前のルフィ並の強さに到達してたこいつをいとも容易く負かしたタイガーマスク……もどき。いや、カラー的にタイガーザグレートか? 奴はプロレ……格闘術の天才だな。どうすりゃベラミーが勝てる? ……王道には……邪道か?
最後はルッチ。
「…………」
「世界は広いだろ?」
「……」
ぐうの音も出ないか。あの風使いの神父……確かKOFのキャラだっけ……あんま知らんけど。しかもあの強大なパワーを誇るゾオン……強敵どころか天敵だな。
「おれは……おれの強さはこれが限界なのか……?」
呆然と呟く。落ち込んでるのは珍しいな。
「それこそまさかさ。さ〜て、そろそろかな。『十殺元』を教えるのは。そうだな……皆も来い。」
戦闘メンバー全員を呼び『十殺元』の講義を始める。
「十殺元は……六式の発展系体技6つと、難易度のさらに高い体技4つで構成される。
六式は500道力もあれば六王銃以外の全ての技を修得できるが、十殺元は最低でも20倍の50000道力は無いと1つも技を修得できない。難度の最も高い技となると120000道力以上を要する技もある。」
「ちょ、ちょっと待ってくれい。その数字はいくらなんでも……」
カクが血相変えてツッコミを入れる。
「ああ、冗談だよ。実際には10分の1ぐらいだ。」
「それでも最低5000、最高12000かよ……」
ジャブラがうめく。
「この十殺元……本来物理的に絶対に不可能だと思われることを可能にするには鍛えるだけでは不十分であり、修得には自然と心身を一体化させなければならない。ま、要するに見聞色の覇気だな。
で、その為、鍛え続けるだけで習得可能な六式と違い、非常に多くの道力を要する。じゃそれぞれの技術の解説いくぞ〜
『轟死閃(ごうしせん)』
鍛えた指を用いて、鉄であろうがダイアモンドであろうが、ありとあらゆる物質を貫通することができる体技だ。攻撃による凄まじいエネルギーが発生しその際轟音が鳴り響く。 自然と一体化するという面や速度、耐久面から見ても指銃とは根本的に異なる。基本的に防御は不可能だ。
『金剛滅塊(こんごうめっかい)』
打撃、斬撃、衝撃、自然系攻撃など、全ての攻撃を防ぐことができる最強の防御用体技。鉄塊と違い、身体の内部までも可能な限りの範囲で強化される。さらに自然と心身を一体化させたことにより衝撃はもちろん、温度や湿度、気圧などのあらゆる自然変化にも耐え、身体を通常の状態に維持する。十殺元の攻撃系体技は通常防御が不可能だが、この技だけは道力の差にもよるが例外とされてるな。
『裂爛脚(れつらんきゃく)』
音速の何百倍もの速度で蹴ることにより空間を斬り裂き、ありとあらゆる物質を分断する刃を繰り出す。 鉄やダイヤをもた易く斬り裂くほど威力は高く、通常防御は不可能らしい。
唯一の防御方法は道力の差にもよるが「金剛滅塊」のみとされている。
「もう一度待ってくれい。音速の何百倍と言われてものう……」
「冗談だ。実際はマッハ10ぐらいかな。道力も8000……今のルッチならもうちょっとで体得出来る。じゃ次いくぞ。
『破羅剃(ぱらそる)』
剃と違い、この体技は音速の倍以上の速度で移動することが出来る。自然の悟りと、想像を絶する力で瞬間的に地面を何千……ゴメン嘘。何百回も蹴ることで可能となる。
声よりも速く攻撃に到達してしまう為、相手は完全に瞬間移動と錯覚してしまうほどである。目や感覚で捕らえることは絶対に不可能だろーな。
攻撃を回避するときにも用いられるが、その回避率は『幻絵』にはやや劣る程度で相当高い。」
「げんかい?」
「後で説明するよ。
『新月歩(しんげつほ)』
空中移動にも関わらず剃の速度を圧倒的に超える為、移動が全く見えない。その名の通り、まさに新月(見えない)と言えよう。
この体技は自然界の空気や風を完全に知り、一体化した者のみが修得できる。
『新月歩』を用いれば大陸間の移動も容易である。
『幻絵(げんかい)』
紙絵の比にならない程回避率が高い体技。自然の悟りを解放することにより、攻撃の際に流れる風を感じ取り、粒子の一つ一つまで完全に見分けて、あらゆる攻撃を避ける。
さらに想像を絶する速度・機敏・柔軟さの作用で残像が残るため、その結果相手を惑わすことも可能。」
「粒子ってなんなんだ!?」
「気にするな。
『内蓮撃(ないれんげき)』
十殺元の中でも難易度が高い部類の体技。一瞬にして相手の内部に強打を数百回与えて、ほぼ確実に仕留める事が出来る。
外傷でも非常に威力の高い 『十殺元』の攻撃系体技があれば不要な技と思われるが、この体技は自然の悟りを開いたことにより自然系能力者や再生を可能とする対象にも有効である。ま、覇気を絡めば……ロギアには特効的なダメージだな。
自然の悟り……要するに見聞色が開かれてなければ使うことは絶対不可能だ。基本的に防御は不可能とされてるな。
『絶拳波(ぜっけんは)』
十殺元の中でも難易度が高い部類の体技。
音速の何百倍……じゃなくて何倍もの速度で拳打を繰り出し、空気と風を味方に付けることで、軍艦砲を遙かに超える威力を持つ圧縮された空気の砲弾を放つことが出来る。
一撃の攻撃力は裂爛脚に劣るが、こちらは連射が容易な上、武装色の覇気を開いたことによりロギアや再生を可能とする対象にも有効である。その威力はまさに想像を絶する程でありダイヤをも粉砕する。通常防御することは不可能である。
『極感(きょっかん)』
自らの感覚を極限まで高める体技。この体技は人体に眠る第六感を限界まで高めることが出来る。
これらは戦闘においても非常に有用であり、災難からも逃れることが出来る。
さらに見聞色の覇気よりも優れた効果を持ち、相手の数百手先が読めるらしい。まさに神秘の体技といえよう。
難易度が高く、最低でも10000道力は必要とされている。
10個目、『解放元(かいほうげん)』
自らの全潜在能力を解放し、全ての戦闘能力を倍以上に上げる体技。さらに身体の各部を自在に操れるようになり、その自由度や強度は生命帰還を遙かに超える(界王拳みたいだな……)。
難易度が奥義の次に高く、修得するには12000道力は必要と言われている。
で、最後、十殺元究極奥義……『十神衝(としんしょう)』
攻撃体技4種、防御体技2種、移動体技2種、潜在系体技2種で構成される、『十殺元』全ての体技を限界まで極めた者のみが修得できる奥義。
六式奥義の六王銃などとは比べ物にならない威力を持つかいぞ……ゲフン、神技。武装色と見聞色を両方均等に練り込まないと発動しないが……発動すればあらゆる防御をも貫く。」
「…………」
内容を聞いてダンマリしてる一行。
「……そんなものが本当に体得できるのか……?」
六式の専門家であるカク達がうめく。まぁ気持ちは分かる。
「実際俺は出来るよ。」
ウソップの村で練習したしな。まだ実戦で使える程の安定さはなかったけど。
「本当に強くなりてぇなら……ルッチ、お前には全部体得してもらうぜ。もし体得できりゃあ敵はいないだろうさ。」
「……いいだろう。いくらでも地獄を味わってやる。」
燃えとるな〜さすが戦闘狂や。
〜それから更に1年5ヶ月後〜
様々な敵と出会い屈辱や挫折を味わった皆は1年11ヶ月前とはまるで別人の様な強さに到達した。特に東の海の四人は傾世の一味四大幹部と恐れられる程だ。
ま、その強さは後々語ろうか。まだ他に語る事があるからな。
ファラオ、バサラ、シロウ、ベラ、アヤや傘下に入った超新星達の事やヘルズベアーロボ、クロやアーロン達の元部下の奴ら、魚人島探訪だけでなく四皇との抗争……特にその一人『百獣の』カイドウ達との因縁に、天竜人デイフレアやフレア率いる七英雄、革命軍にいた超規格外の化け物女など……想定外の事が山ほど起きたからな。