ONEPIECE世界を過去キャラと満喫   作:一匹犬

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24話「静岡(後編)」

〜サイレントヒル、住宅街〜

 

 

〜シオリside〜

 

 

集落の長だったらしいヒデイエの家でタムロする俺達。彼の心境としてはDQNに家を乗っ取られたみたいなもんだろうな。前世の俺なら逃げ出しとるわ。……ま、それはそうと……

 

「まずはそのダリアとか言うおばさんち……教会だっけ? そこに行ってみるか。皆は待機しといてくれ。……クロ、付いてきてくれ。難しい話だったらお前に丸投げすっから。」

 

「ハッ!」

 

「いいのかそれは……」

 

エネルがツッコむがスルーする。

 

 

 

 

で、二人で霧の中を進むが……しっかし比較的マシな住宅街でこの濃さか……こりゃ意外に手間取るかもな。

 

「あっ雪が降って来ましたね。確かこの島は冬島ではないのに……」

 

確かにいつの間にかそこそこの勢いで雪が舞っている……う〜ん、ますますらしくなってきやがったな……

 

 

ヒデーの家から徒歩数分……まぁ俺達の歩行スピードが早すぎるだけだが。数分で教会の前に到着。なんの躊躇もなく入口の扉を開き中に入る。

 

 

そこにショールを被った、パッと見50〜60代ぐらいの女性がいた。う〜ん、この顔は……

 

「あなた達が来るのは分かっていたわ。旋歩占いに出ていたからね。」

 

考え事してると唐突に語りかけてきた。何? 何占いだって?

 

「待っていたのよ。この島の呪いを滅ぼしに来たのでしょう? 私には全て分かっているわ。」

 

この島の呪い……この婆さんには理解出来てる現象って事か? つか時々首をコキっと鳴らしたり目を見開いてガン見してきて怖ぇんだけど。

 

「闇雲にあがいた所でその願いが成就する事はないわ。辿るべき道があるのよ。」

 

「辿るべき道……? さっきからいったい何を?」

 

流石にクロも困惑する。

 

「フラウロスに秘められた隠者の道よ。」

 

「は? フラウロス?」

 

! これは、やっぱ……

 

「フラウロス……静寂の牢獄……宵闇の壁を打ち砕き泥土の怨念を妨げるもの。」

 

「さ、さっきから何を訳の分からない事を…………あ、お嬢様はお分かりに?」

 

「……ああ。……いや、まだ断定できねぇ。」

 

ゲームと言ってる事がほとんど一緒だ……こりゃ……マジでサイレントヒルの世界に……

 

「きっとこれが必要になるわ。」

 

いきなりダリアお婆さんが三角形の物体を投げよこした。

 

「ここから湖を西に迂回し、丘陵地帯を越えたらこの島の唯一の山があるわ。そこに全てが待っている……」

 

喋るだけ喋って足早に俺達の前から姿を消した。

 

 

 

「……理解出来ない言葉を一方的に喋ってさっさと消えてしまいましたね……何だったのでしょうか……」

 

ダリアお婆さんのキテレツぶりに硬直していたクロがやっとこさつぶやく。

 

「まぁ……行きゃあ分かるさ。ヒデイエの家に戻るぞ。」

 

……で、帰還……しようとしたが。

 

「あれは…………犬?」

 

ちょっと体色が普通と違う犬や白亜紀にいそうな翼竜……サイズは翼を除けば人間の子供ぐらいはある。それと大の大人ほどの猿? の群れがヒデーの家を取り囲んでた。……まるでゾンビ映画のラストで主人公らが立て篭もる建物に殺到するゾンビ軍団みたいだな。縁起でもねぇ……

 

「お嬢様どうし「メイルシュトローム!」……おお、一撃で……」

 

とりあえず家に被害が出ない程度の出力で家にたかってた内の数匹を津波で飲み込む。……お、奴らの体が蒸発してくな。モリアのゾンビと似たような弱点か。

とりあえず中に入り状況を確認……というか皆は馬鹿騒ぎしてて無視してたらしい。ま、シリュウが言ってたが雑魚だしな。

 

「あ、カシラ〜お帰り……ってなんだこりゃ!?」

 

外の様子に気づいたアーロンがビックリしてる……暢気だな〜ま、今はそれよりも。

 

「これから俺は敵の拠点に攻め込む。何人か付いてきてくれ。あ、アーロンはここの守りを頼む。奴らには海水ぶっかけりゃどうにでもなるぞ。」

 

「ウッス! 任せてください!」

 

アジト制圧チーム編成は俺、クリーク、フィンガー、それに頭を使う場所があるといけないので引き続きクロにも頼む。残りはアーロンを中心に休憩がてら周囲の警戒とCP9と連絡、連携するよう指示した。

 

そして俺達制圧チームはダリアお婆さんに教えられたルートを進む……と湖が見えてきた。と言っても濃い霧で全貌は見えないが。……ここで西に迂回か。ノンビリ観光してる場合じゃないのでさっさと進む。

 

 

 

 

しばらく進むと湖の西端に到着。辺りは丘陵地帯の様だが……しかし、それよりも。

 

「なんかさっきから耳鳴りが……」

 

皆が訴えるが確かにさっきから耳障りな金切り音が延々と鼓膜に響いてくる。……ん!? なんか気配が生まれたな。……だんだん近づいてる。これは……大きいな。何だ?

 

「あっ! あれは……翼竜……いや、蛾!?」

 

確かに蛾だった……が、通常のより遥かにデカく気持ち悪いとしか言えない様なシロモノだった。

体長は10mぐらい、羽を広げると30mはある。こいつ……サイレントヒルに出てきたボスだな。とは言っても本物より遥かに巨大だが。

ま、この程度の大きさなら敵じゃ……

 

バサッバサッ

 

いきなり巨大蛾が羽ばたく……と、羽から鱗紛が大量に舞う。素早いクロとかはかわすが何人かは浴びてしまう。

 

「グヘッ……こ、こりゃ毒だ!」

 

かつてMH5という猛毒ガスを所持していて詳しいのかクリークが血相を変える。確かに毒は厄介だが……

 

「後で毒消しをやる。チンタラせずに潰すぞ。」

 

ところがぎっちょん! 何人かが急によろめいたりしだした。これは……三半規管をやられたか?クロでさえまともに立てないでいる。……さっきから鳴ってる金切り音。これか。発生源は……あの尾っぽか。

 

「あの尾っぽを破壊するぞ。」

 

虫のくせにこちらの意図を察したのか皆に指示を出した途端蛾が尾っぽの部分から2mほどの長大な針を生み出して襲ってくる。……が海王類に比べれば大した事はなく毒鱗粉も問題なく回避し……

 

「針を扱う敵に尻込みする訳にはいかないわね! 15連スティンガー……アンタレス!!」

 

鉄塊と指銃を重ね凶悪な針と化した腕を猛スピードで蠍座の形に計15回放つ。15撃目は蠍座のアンタレスの部分だ。どこぞの蠍座の人みたいだな。とにかく蛾はフィンガーに全身を貫かれついにくたばった。

 

「やっぱエグいな……」

 

「何言ってんの。クリークちゃんには全然通じないじゃない。」

 

「そりゃ腕と同じ大きさの凶器が襲ってきたら防御するだろ……」

 

「防御して防げる類いのモノではないがな。」

 

「ま、クリークちゃん以上にシオリちゃん堅いけどね。……それにしても頭がフラフラしてたから命中するかどうか不安だったけど良かったわ。」

 

「そこら辺は見聞色の覇気を鍛えりゃ鱗粉もたやすく回避出来る。ま、特訓あるのみだな。」

 

特訓と聞いて血の気が引いてる一行だが今は先に進むか。金切り音もやっとこさ止まったし。と、ところが!

 

「うおっ!? 蛾がまだ生きてる!」

 

なんと起き上がり仲間になりたそうにこちらを見ている……という事はないが穴だらけの身体の傷が再生し塞がっていく。

 

「ちょっと嘘でしょ……」

 

む……しつこいな。何か強力な武器はないか……

 

「ドン!こんな所に手頃な丸太が!」

 

クリークが幅2m、長さ20mぐらいの丸太を引きずってきた。

 

「て、手頃?」

 

クロがあんぐりしてるがお前も持てるよ。ま、それよりも。

 

「でかしたケンちゃん! ……じゃないクリーク!」

 

丸太を掴み武装色の覇気を込める。これで丸太はありとあらゆるモノを破壊する最強の武器に早変わり。つーか鈍器持ったの初めてやな。

 

「行ってこい大冥界!! 三舞野ホムーラン!!」

 

襲い掛かってきた蛾に向け丸太をフルスイングすると無事命中。当然蛾は耐え切れず吹っ飛びお空のお星様に……

 

パンッ!!

 

あ、爆発した。

 

「フンッ汚い花火だぜ。」

 

締めのセリフを決める。

 

 

 

 

 

 

やっとこさ蛾を潰し先に進み続ける……辺りを見渡すと山の麓の様だ。霧も相変わらず深い。と、その時!

 

「「「なっ……なんだこの景色は!?」」」

 

いきなり辺りが真っ暗になり地面が血溜まりと化し、更に今までなかったはずの金網のフェンスが現れていた。フェンスも血まみれだ。

 

「こ、これは……ボン達が言っていた世界なのか!?」

 

急に目の前に生まれた世界に戸惑う一行。

 

……ん? あれは……

 

「なにかの建物ですね。こんな恐ろしい場所に一軒家とは……」

 

怪しさ全開だな。しかも何かモダンチックで幽霊とか出そう。……出そうなのはゾンビか。ま、まごまごしてても始まらない。さっさと突入するか。

 

 

 

建物内部に入る俺達。相変わらず血と錆にまみれて鼻をつく匂いが漂う。丸太は当然デカすぎて持ち込めないので泣く泣く置いてきた。この戦いにはついてこれそうにないからな……嘘だけど。

 

「ホントにワケが分からない光景ねぇ〜どうやったらこんな事が出来るワケ?」

 

フィンガーがぼやくのも分かる。まず常人には理解出来んわな。考えられるのは……

ひとつ、人の手によるもの。

ふたつ、悪魔の実によるもの。グラグラとか映画のフワフワみたいなトンデモなのがあるんだ。それに匹敵する様な危険な実もあるんやろ。

みっつ、マジで別の世界から引っ張りこんできた。

 

……俺としてはふたつ目と思いたい。第一、再現するにしろ、『呼び』出すにしろ人の手でこんな事を起こせる奴……ヤバすぎるだろ。

 

ま、とにかく俺達は道中色々立ちはだかる謎に対しては主にクロに頑張ってもらい攻略し、先を進んでいく。そして……

 

 

「ここが終点だな……この扉の先に何かが……」

 

無かったら思いっきり無駄足だけどな! とにかくボスなり手がかりなりある事を祈ろうっと。

つか人間の気配を一つ感じてるしね。大丈夫だろ。

んで、扉を開け中に入ると……

 

「フハハハハッ! よくぞ来たぁ! 傾国のシオリ!(キリッ」

 

いきなり響く馬鹿げた高笑い。おいおい誰か知らんけど準備良いな。しかしこの部屋の奥……黒い靄が掛かってるがなんだ? あっこからえげつねぇ障気が……あれは魔法陣か?

……ってなんじゃあ!? あの顔……北斗の拳のトキ……あ、違うな。あいつ……思い出した! アミバじゃねぇか!

 

「なんでアミバがこの世界に……」

 

「ん〜? 何を言っておるのか知らんが俺は! この世界が愛し、神が愛した! 史上空前の大天才!ベガパンクなるぞ!(キリッ」

 

……いちいちドヤ顔がウゼェ…………ってこいつがドクターベガパンクぅっ!? マジかよ……想像と違ったなぁ……ま、いっか。今はとっととこいつを倒して島を平和にせんとな。

 

「悦に浸ってるトコ悪ぃが……今すぐ島を元に戻しな。さもないと……」

 

「フン……すぐ暴力で解決しようとするとは。これだから野蛮人の猿は(キリッ」

 

フゥ、やれやれと肩を竦めるベガパンク……いちいち腹立つな。

 

「パッと見あんま強そうに見えねぇが……」

 

「フンッ見るからに脳筋だな! 貴様らみたいな凡愚がこのおれ様を倒そうとするなど……愚の骨頂!(キリッ

貴様らではこのロギア系『キリキリの実』を食べた霧人間であるこの天才ベガパンク様には勝てんわ(キリッ!」

 

ああ、だから(キリッ ってしてたのか。……ってこいつはアホか。自分の情報をペラペラと……しかも武装色の覇気を知らねぇ……ワケねぇよなぁ世界一の頭脳らしいし。何か策があんのかねぇ? ま、ロギアらしいしとりあえずは様子見……

 

「他の者はともかく、傾国、いや傾世のシオリ……貴様を正面から相手取れるとは思ってはいないさ(キリッ 貴様の相手は……七英雄の『聖女』と『禁断の地』の置き土産(キリッ !」

 

七英雄だぁ? おいおいロマサガまで混ざってんのかよ!

 

「いでよ! 『悪魔』よ!」

 

ゾワッ

 

!? この殺気は……何者だ!?

 

この部屋の闇が漂っていた辺り……床に描かれた魔法陣から何かが生まれてくる。身体は人間……いや、もっとデカイな。3〜4mはあるか。それに全身に黒い毛が生えてる。ただ頭が山羊だが。てかこの怪物ってどっかで……あ! バフォなんとかってソロモンの悪魔だっけか。しっかしなんつー殺気の塊だ。この濃さは普通の人間じゃ耐えられんぞ。

 

「さあ行け!『イケニエ』は目の前の女だ!」

 

チッ……なかなかやってくれるじゃねぇか。しかしあの山羊の圧力は……ちょっとだけマジでやるか。

 

「残りの雑魚共はこのおれ様が直々に相手してやろう(キリッ !」

 

俺を山羊に任しベガパンク?がクロ達と対峙する。う〜ん、この覇気なら……

 

「クリーク、お前はこないだ覇気を覚えた。それならロギアにも攻撃を当てる事が出来る。なんとかしてみろ。他の奴らはクリークをサポートだ。」

 

「ウッス!」

 

気合いを入れ槍を構えるクリーク。クロ、フィンガーも臨戦体勢だ。

 

「この間覇気を覚えただとぉ〜!? そんなひよっ子がこのおれ様に勝てると思ってるのか!?(キリッ」

 

激昂してるな短気な奴……

 

「……杓死・上技!!」

 

叫んで隙だらけのベガパンクに向かいマリンフォードでお披露目した超速の移動攻撃技を放つクロ。続くフィンガーもベガパンクに迫り……一撃を入れた。

 

「やったか!?」

 

「あれ? この感触はっ……」

 

「フハハハハッ無駄ぁっ!! ロギアであるこのおれ様に普通の攻撃が通じるか(キリッ !」

 

「ぬりゃあ!」

 

哄笑をあげたベガパンクに最後はクリークが槍を振り下ろす。

 

チッ

 

むっ? 服が……どうやら武装色の覇気を纏えるのはハッタリではないか……だが、フ、フハハハハッ! その程度ではおれ様を倒すには1000回は攻撃せんと話にならんぞぉ(キリッ !」

 

化学者のくせに無駄に鍛えてんな。けど俺の敵じゃないがな…………あいつらには格上だけど。

 

「今度はこちらの番だ……おれ様は戦士でも兵士でもない。なにも正面から挑む必要はなぁい! 『水隠れ』(キリッ !!」

 

ベガパンクをかんなり濃い霧が覆う。水分を伴った霧がベガパンクを包んだ途端奴の気配がかなり薄らいだ。……見聞色を使わな見つけられんか。

 

「ミストブレスッ!!」

 

戸惑うクロ達に更に追い打ちを掛ける様に虚空に霧で出来た竜が生まれ口を開きブレスを吐いた。

 

「ぐわああっ!?」

 

吹っ飛ばされる三人。

 

「ぬ……粘つく? くっ呼吸もしづらい!」

 

霧だしなぁ……ただのブレスより厄介だな。

 

「フハハハハッ素人がロギアに勝てる訳がなかろう! 身の程知らずがぁ(キリッ !」

 

その後も水隠れで度々姿を消しブレスで三人をいたぶっていく。このままでは負けるが……どうやらクロのあの表情。何か攻略の糸口を掴んだか?

 

「朧げだが……何故かヤツのいる場所が分かる様になってきた……」

 

「!? マジかよ!」

 

! おっクロの奴見聞色を体得したか?

 

「耳を貸せ……奴を倒す。これしきの試練越えねばお嬢様についていく資格などない!」

 

急にどうしたんや、えらいやる気になっとるが……ま、お手並み拝見といくか。

 

「さっきから何をコソコソしているのだ! いい加減くたばれい(キリッ !」

 

「……」

 

クロがその場で猛スピードで回転しだした。まるで竜巻だな。

 

「ぬ、な、あ!?」

 

急にうめきだすベガパンク。

 

「霧は風に弱い!」

 

何ジェロニモみたいな事言ってんだ? ま、確かに霧状態のベガパンクの姿がどんどん広がっていく。その代わり奴が発する生命力が辺りに散り散りになっていってる。

 

「い、いかんこのままでは分散してしまうっ!」

 

薄まった霧が一カ所に集まりだし人の姿になっていくのだが……

 

「大人しくしてなさい……」

 

むんずとベガパンクの両肩を掴んだのはフィンガー。お、彼女は武装色に目指めたか。

 

「なっ!? うわああっ!?」

 

身動き一つ取れないベガパンク。そういやちょっと前からうっとおしいドヤ顔が出来なくなってるな。

 

「よっしゃ離すなよフィンガー! ぬぇいっ!!」

 

ガァァァン!!!

 

「へぶぅ!?」

 

クリークの両拳を組み合わせての振り下ろしがベガパンクの脳天に突き刺さるとたまらず吹き出し失神した。

 

 

 

「フゥ……ロギアに勝てた……」

 

「ようやったな。ナイス連携だ。」

 

一息ついた彼らをねぎらう。

 

「シオリちゃんは……あら、勝ったのね。」

 

「まぁ…………なっ!?」

 

「えっ!?」

 

魔法陣が光り出した。そして……魔法陣の中心から続々とさっきと同じ奴が大量に沸いて来る。

 

……て事は本物の悪魔ではなくコピーとかクローンとかか? の割にゃいっちょ前の殺気だったが……ま、発生源は分かってるから無駄なあがきだな。

 

「フンッ!」

 

手刀で魔法陣を切り裂く。これで出てこれない……ってなんじゃあ!? 魔法陣まで再生されていきやがる。う〜んこれじゃきりがない……あっそうだ!

 

懐からダリアお婆さんから貰った三角形の物体『フラウロス』を取り出す。

さ〜てと…………どう使やいいんだ? とりあえずは……魔法陣の中央に投げ込んでみるか。

 

ポイッとな。

 

放り投げられたフラウロスが魔法陣に落ちるとすぐに光り出した。すると……

 

「おお、魔法陣が消えていく……」

 

山羊頭も魔法陣のあった所から沸いて来る事はなくなった。続いて既に出現し残っていた山羊頭達を駆逐していきやっと解決。しかも辺りの光景も元に戻っていき血と錆で包まれた世界は消滅した。……しかしモンスターはともかくこの世界を作り出す現象……危なすぎるな。ま、とにかく全部解決したと思われたのだが……

いきなり目の前にブラックホールみたいな形の物体が現れた。

 

「なっ!?」

 

再度ビックリする三人。そんな彼らを尻目にブラックホール?が収縮していき……ついには消滅した。そしてそこには…

巨大なオートバイと2mはある厳つい顔の巨漢が片膝をついてうずくまっていた。……全裸で。

……ん? アレ? あの顔ってまさか……

 

「シュ、シュ○ちゃん……だと?」

 

シュ○ちゃんでこの格好、ポーズ……まさか!? タ、ターミネーターだぁ!?

まさかターミネーターまで混ざってるなんて……いくらなんでもカオスすぎだろ。

 

「……現在地……北緯38度、西経22度……『偉大なる航路・楽園(パラダイス)』内、サイレントヒル。ベガパンク044ラボ。転移成功確認。ターゲット…………反応確認。これより任務を全うする。」

 

玄○ボイスのターミネーターがどっかの自爆少年みたいなセリフを吐く。

 

「何者だ? T-800もどきさんよぉ……」

 

クロ達を下がらせ自分が前に出る。こいつ……武装色の覇気を纏ってるとはな……

 

「……音声録音完了……マリンフォードでの音声と一致。『傾世のシオリ』と確認。」

 

ホントにロボットみたいやな。いちいちT-800のモノマネしやがって。

 

「守秘義務がある。その問いには答えられない。」

 

「任務って言ったよな。対象はこのベガパンクか……始末でもしにきたのか?」

 

「……う〜ん。」

 

海楼石製の縄でふん縛られてたベガパンクもどきが起きた。

 

「よう。おはよう!」

 

「! う、うわぁ〜! もう勘弁して……ってギャーT-8000だぁ〜殺されるぅ!!」

 

こいつも知ってんのか。しかしこの怯え様は……

 

「さて、どうする? ターミネーター。」

 

「……『傾世のシオリ』と交戦するプログラムはされていない……お前達と交戦する意志はない。但しベガパンク044を抹殺する任務を妨害する意志を見せた場合……排除する。」

 

「へっそんな奴好きにしたらいいさ。」

 

「ギャー!? お願い! 助けて〜!」

 

ん? 今044って言ったよな。まさかこのベガパンクは……なら。

 

「…………いや、気が変わった。こいつは渡せねぇな。」

 

俺の言葉を聞いて喜ぶベガパンクもどき。

 

「理解不能。そちらにメリットはない。交戦すれば『傾世のシオリ』の戦闘力を考慮するとサイレントヒルの被害は甚大になる可能性……99.9998%。無駄な行動と思われる。」

 

……こいつ、やっぱくまと同じサイボーグか? もしくは本物みたいに完全なロボット……

 

「どうする? 力尽くでやるかい?」

 

ターミネーターだろうが俺ほど強いって事はねぇだろ。本物より数10倍強くない限り。

 

「……任務変更。『傾世のシオリ』を無力化する。」

 

ふん……言ってくれるな。それじゃまずは小手調べといこうかね?

 

「ウォータージェット1000加圧!」

 

指先から水のレーザーを放つ。

 

「! ……」

 

避けるか。動態視力、反射神経はまずまずか。ならお次は……

 

「ジェット10連射!!」

 

両手指全てから放つ。

 

「むっ!?」

 

数発避けたが残りの2、3発は避けれないようだな。

 

ギュイイインッ!!

 

妙な音がしたと思ったらジェットが敵を貫通していた。……ところが貫通した場所が液体状の金属の様な動きをしている。

 

「! これは……リキッドメタルだか水銀……液体金属か!? って事は800じゃなくてT-1000か!」

 

「傾世のシオリがなぜTシリーズを把握しているのか原因不明だが……T1000は数百年前の型番だ。……おれは人工悪魔の実・人工自然系『メタメタ』の実の水銀ロボットだ。型番はT-8000。」

 

は、はっせんて……あれよりだいぶ進化してんのか? てか、じ、人工悪魔の実だぁ?

 

「その人工悪魔の実ってのは……ベガパンクが作り出したのか?」

 

「……」

 

図星っぽいな。しかし、さてさて……水銀か……ひょっとすると思ったよりまずいかもな……

 

「……」

 

様子を伺ってると敵が動き出した。奴が背からショットガンらしき銃を取り出す。……晴矢みたいな奴だな。あの銃は……劇中でも使ってたウィンチェスターM1887か?

 

こちらが銃について考察してると撃ってきた。たかが銃が効くと……このプレッシャーは……覇気か!?

 

「よっとぉ!」

 

寸でかわす。そういや頂上戦争でも黄猿がベックマンに銃突き付けられてたな……弾丸にまで武装色を込められる奴はなかなかいないと思ったが……

 

それからも次々と銃火器を取出し俺に向けて発砲してくるが……

 

「遅すぎるんだよ。弾丸のスピードじゃ俺にはかすりもしない。」

 

「……」

 

ん? 奴の右腕が変形してきた……って今度はガトリングガンかよ!

あれも劇中で使ったM134か。1秒間100発撃てる機関銃……まさか液体金属で銃を作り出すとは……って撃ってきたよ!

 

ダダダダダダダダダダダダッッッ!!!

 

全弾俺に命中。

 

「お、お嬢様ーっ!?」

 

「……もう終わりか?」

 

煙幕が晴れ奴の姿が見えるが弾切れの様だ。ま、千発以上撃ってたからな……

 

「……予想を遥かに上回る武装色の覇気……戦闘続行は分が悪いか……」

 

奴も攻撃手段がネタ切れなのか大きな動きを見せない。と、その時……

 

 

 

プルプルプルッ!

 

! この音は……電伝虫?どこからだ?

 

「…………」

 

T-8000が銀色に輝く何かを腹から出した。その何かが徐々に姿を変えていく。あれは……電伝虫?水銀の中でよく死なないな。どうなってんだ?

 

「……」

 

T-8000が受話器を取る。すると……

 

『いや〜T-8000君〜そっちの状況はどうだい〜?』

 

「やっぱTシリーズか? どうやってターミネーターなんか作れたんだ?」

 

『! その声……君が天草詩織君かい。それはそうと…… 君はもしかして……『あちらの世界』の人間かな?』

 

!? あちらの世界だと? ……まさか現実世界の事じゃ……

 

「「「あちらの世界???」」」

 

クロ達は何の事か分からず困惑してるか。

 

「……なんでその事を知ってる? つーかアンタはまさか……」

 

『うん。僕の名前はベガパンク。そこの偽物のオリジナルだよ。』

 

「うぅっ……」

 

身を竦める偽物。……脳天気な喋りだが天才らしいし油断できねぇな。

 

『なんで知ってるか?って問いだったね。いやね、知り合いにフレア君って子がいてね。彼もそうらしいんだよ。いやあ初めて聞いた時は驚いたね〜』

 

フレア? FFの攻撃魔法の名前……いやそれ以前に太陽の……

 

「フレアってのは誰だ? おっさん……」

 

『慌てなくても直に会えるさ。君に興味津々だったしね。いや興味があるのは僕もだけど。』

 

……ベガパンクと知り合い。更に仲良さそうって事は……

 

「世界政府関係者か? そいつは。」

 

『会ってからのお楽しみだよ。あ、そうそう彼は強いよ。君と同じ能力を持ってるからね。』

 

同じ能力!? ……身体能力か悪魔の実か……ま、どうせ聞いてもはぐらかして答えないだろうなこいつは。

 

『という訳でT-8000君。それは彼女にくれてやろう。それを使ってどんな事をしてくれるか楽しみだしね。じゃあ天草詩織君。いつの日か直接会える事を楽しみにしているよ。』

 

「ふん……モテる男はつらいなぁ……」

 

『!? ……へぇ……なるほど。じゃT-8000君。』

 

「任務了解……帰還する。」

 

……帰るか。ま……大人しく帰ってもらうしかないね。

 

T-8000がバイクに跨がるとこいつが現れた時と同じ様に超小型のブラックホールが発生しこいつをバイクごと飲み込み……ブラックホールが消えた時にはそこには何もなかった。

 

「…………ま、なんやかんやあったが無事終わったな。」

 

「お嬢様……その男を一体……」

 

「何、色々と使えそうなんでな。死なすにゃ惜しいだろ。」

 

「なっ……このおれ様をこき使うつもりか!?」

 

「さっきの奴にやられてもいいのか?」

 

「ぐぬぬ……」

 

「何、悪い様にはしねぇよ。……あ、そうだ。お前の名前はアミバな。」

 

「へ? なんでそんな……おれには……いえ、なんでもないですよ!?」

 

さて……これから忙しくなるな……拠点の充実、戦力増強、仲間の強化、二年後のストーリーに対する対策。何から手をつけるかねぇ。

 

 

 

 

 


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