22話「静岡(前編)」
〜頂上戦争終結から数日後、女ケ島〜
〜シオリside〜
相変わらず続くどんちゃん騒ぎ……原作でも厄介なイベントである頂上戦争を解決し今までの鬱憤を晴らすかの様に女ケ島で連日連夜の宴会を繰り広げる俺ら。
最初俺の仲間の男達が上陸する事に難色を示していた二ョン婆さんやら九蛇の戦士の中でも堅物の、頬のこけた厳つい姉さんとかがいたがハンコックに言い寄られては成す術などあるはずがなく無事事なきを得た。
……で、ハンコックに飯をあーんされているルフィや皆……俺の部下にレベル6の囚人達、CP9の奴ら。あいつらも想い想いに好き勝手やって過ごしている。特にバスコショット大丈夫か? 俺が見ただけで何十リットルも飲んだような……後はルッチは馴れ合いが嫌いだからか一人でいる事があるが……時々俺に挑戦的な殺気を飛ばすんだよなぁ……しゃあないから暇ん時相手してやるかぁ。
「ところでシオリさん……これからどうするんじゃ?」
苦手な酒をちびちび呑んでた俺にジンベエが尋ねてきた。
どうって……ずっと裏方で頑張ってたからしばらくは羽を伸ばしてーんだけど。それを聞いた彼は……
「呑気ですのう……いや、流石と言うべきか……アンタはあの戦争で……いやそれ以前にも各地で暴れよったんですぞ。海軍は間違いなく死に物狂いでアンタの首を取りに……いや海軍だけでなく海賊共もですじゃ。今現在四皇は別としてもシオリさんの同期である超新星達を初め新世界に棲まう者達からも狙われるじゃろう。」
……シャンクス、白ひげ以外よう分からん四皇はともかく超新星、新世界の猛者共ねぇ……確かにウゼェな。だがそれ以上に面倒なのは…………天竜人共だ。奴らとお守(も)りの世界政府……敵は多いな。
……今の俺のポジションは強烈な力を持ってはいるが、たかが『個』だ。『数』とぶつかり合ってもじり貧だしホントめんどくさいな……まぁ色々考えて二年の内にやる事はあるんだが……
「まずは……拠点探しか。」
根無し草じゃ野垂れ死にするしな……まずはしっかり拠点を構えんと。ま、イワさんにも言ったがそこそこ候補は搾れてきてはいる。
「どこなのですか?」
いつの間にか俺の背後にいたクロが聞いてきた……けっこう気配の消し方がサマになってきたな。
「今日の宴会が終わったら皆集めて会議するか。ルフィ! お前もレイリーさんとの修業そろそろ始めろよ?」
原作と違って大した怪我はしてないからな。今すぐにでも修業は開始できる。
「おう! 強くなるぞぉ!!」
とは言っても二年だけじゃな……大将とか四皇に勝てるとは思えねぇが……主人公だからな。とことん鍛えてやるか! ……レイリーさん+その他でな!
……で、翌日。
「ハンコック。俺らもそろそろ出発する。アジトが決まったら連絡入れるから。」
「うむ。そなたは親友じゃからな。困った事があればいつでも頼りにしてくれてよいぞ。」
「クックックッ……助かる。」
「ホホホ……それはこちらの台詞じゃ。そなたに教わったテクニックでルフィを……クフフフ」
……ハンコック自身ウブだからなぁ……しかも相手はニブチンで枯れてんじゃねぇの? な程のルフィだし……まぁ別にカップルになってもならんでもどっちでもええけどな。
ルフィ&レイリー、ハンコック達と別れ海に出る俺ら。出港して間もなくニュース・クーを受け取り最新の懸賞金額を知ったが……10億とはねぇ……確かにジンベエが言った様にノンビリしてる場合じゃねぇな。楽園はともかく新世界の情報は分からんし楽観出来んな。ま、とにかくそういう対策はアジト作ってからだな。
……とにかくひた走る我らの船。目的地は昨晩した会議で決まっている。その場所とは……
「カマバッカ王国、凪の帯の女ケ島、そして聖地マリージョアの三点を結ぶ地域の中心にある島……ですか。随分と見晴らしが悪いですね。」
クロのセリフ通り目の前の光景に立ちすくむ俺ら。島まで目と鼻の先なのに島の全容が確認出来ない。濃すぎる霧によって。
「不気味な島だな……幽霊とか出そうだぜ。」
クリークがぼやくが確かに薄気味悪い。……んだがこのふいんき(ry ってどっかで……なんだっけかなぁ……
「今さらこの程度で尻込みするお前さんじゃねぇだろ。さっさと上陸しようぜ。」
「まぁ……な。じゃ、まずは何班かに別れるか。一塊で行動しても効率悪いし。」
シリュウに促されるが……この島はパッと見、女ケ島よりも大きい。あんまチンタラやってられんな。そこで班を3つに分ける。俺に東の海の4人+ウルフ組、ワポルからペローナまでのグランドライン組、それにシリュウ&元黒ひげクルー組だ。CP9には船番を頼んだ。
「一般人は襲うなよ。後々面倒だから。」
「分かってるよ。ストレスはお前さんに解消させてもらってるしな。」
聞きようによっては誤解を受けそうなセリフだが、単に喧嘩をしてるだけだ。一方的ではあるが。
こうして解散する俺達。しかし現実世界と違って携帯みたいな連絡手段が電伝虫のみってのは不便だなぁ……携帯もどきとか作れんかな……
しばらく進むと民家がちらほらと見えてきた。……家はレンガで出来てるか。ウォーターセブンぐらいの文明レベルか? しかし人の気配はするが……
「どうにも妙ですね……生気が感じられない。ゴーストタウンの様です。」
まだクロ達は見聞色は素人以下だな。エネルやシリュウ辺りなら何かに気づけるが…………集落をある程度進むと人の気配を発見した。
「アンタら……何者だ? まさか観光客か?」
40代ぐらいのオッサンが恐る恐るといった感じで家から出てきて話しかけてきた。
「いや…………ああ、観光客というより何気に立ち寄っただけだ。」
「はあ……それは運が悪かったなぁ……」
? 聞きようによっちゃ悪役が言いそうなセリフだが……
「この島は……呪われた島なんだよ。」
呪われた島ぁ? えらい大事だな。……ま、事情を聞いてみるかね。
島民の話を要約すると……数年前までは静かな島だが数年前に一人の男が訪れた事により状況は一変。恐ろしい力によって恐怖に支配された島に変わり果てたと言う。……この恐ろしいほどに濃い霧。この霧が想像を絶する程の不可思議な現象を引き起こしているらしい。その現象とは……
その時電伝虫が鳴った。シリュウ組からだ。彼らの報告を聞くと……
「異様な姿の化け物が現れる?」
そう、オッサンの証言もそれだった。ま、弱かったらしく返り討ちにした様だが。
オッサンの話では島の中心に行くほど霧が濃くなり……現れるらしい。その化け物達が。島民やシリュウ達が確認出来たのは犬と、大の大人程の体長の翼竜、猿。その3種全てに共通しているのは……体が腐敗しているという事。ゾンビか…………ん? って事はモリアか? 確かスリラーバークも霧に守られてた様な……もしくは奴関係か……とにかく情報が足りねぇな。
しっかしこの状況なんかで見た様な……数年前のゲームで……なんだっけ?
「お前らは何もしなかったのか? 海軍を呼ぶなり、よその島に引っ越すとかあるだろ。」
「…………え〜と海軍に取り次いでも何故か応じてくれないんです。それで結局何組かはここから離れてしまって……」
…………この反応。やっぱ事前に下調べした通りか。この島の人間達の正体は……さて、ならまずは彼らの心を解きほぐすのが先決だな。………………よし。
「俺達は海賊だ。」
いきなり正体を明かすと案の定アタフタしだしたオッサン。
「落ち着け。犯罪者以外の一般人からは奪略はしねぇよ。それよりも……この事件解決したらこの島を貰うぜ。」
「!? そ、それはあまりに……」
面食らうオッサンだがここでカードを切る。
「アンタらは……流刑民だろ?」
「!!? ……う、な、なんの事やら……」
「とぼけんで良い。海軍や政府によって島流しになった者達、あと様々な理由で故郷を追われた者達の末裔だ。アンタらは。」
しかしイワさん……ホントになんでも知ってるな。革命軍侮りがたしってか。
「……なぜ分かったと聞くのはよしましょう。意味のない事だ。……しかし、それを知っていながらこの島で何をする気なんだ?」
「海軍、政府は俺の敵だ。倒すためには色々必要でな。アジトが欲しかった所なんだ。この事件を解決した後……俺がアンタら全員守ってやる。」
「……信じていいのか?海軍に売り渡すなんて事は……」
「そんな事は絶対にしない。」
「……このままではどうせ滅びを待つばかり。託しましょう。私はヒデイエ。この島に来た先祖の名を受け継いだ者です。」
ヒデイエねぇ……どっかで聞いたような……
「この現象については集落外れの教会にいるダリアさんが詳しくだろう。ちょっと奇行癖があるが……」
ふーん後で訪ねてみるか。あ、そういや……
「数年前この島に来たって男……誰なんだ?」
「詳しくは分かりませんが……確かベガバンク……パンクだったかな? 」
!? ちょっ! おまっ! ……マジですか!?