ONEPIECE世界を過去キャラと満喫   作:一匹犬

73 / 99
20話「激闘の後……」

 〜ギョンコルド広場〜

 

 

〜シオリside〜

 

 

「マスタァ〜〜!」

 

天、というか上空から入ってきたマザーバンガードから舞い降りてきたのは背に天使の様な翼を生やし、透けてるんじゃないかと思うぐらいの薄い純白のドレスを纏った、ブロンドの髪、瞳も金色の美女だ。

客観的に見てもその美貌はハンコック級かそれ以上。……ただし巨大なバズーカを背負っているのに目をつぶればだが。

サンジもこの美女を見た瞬間我を忘れ、バズーカを見た途端正気に返っている。

 

「シ、シオリさん……こ、このべらぼーにお美しいレディは一体……」

 

「部下のベラだ。異名は『堕天使』、懸賞金は3億だ。まだそんなに暴れてないから金額は低いがな。まぁ、背のバズーカは……気にするな。」

 

「いや……気にするなって言われても……ていうかなんでピカピカに光ってんの?」

 

ナミ達は引いているが、この男は……

 

「お美しいレディ! ああ、なんて神々しいお姿……まるで……そう! 天使の様だ! 私は世界中の美女を守るために生きてきた孤高の戦士サンジと申します。ぜひあなたのお名前を……」

 

ギクッ……時々鋭いなこいつは。というか人の話聞けよエロコック。

 

「え? 変な事言う人だね! おもしろーい! あ、ベラはベラだよ!」

 

キャッキャとはしゃぐベラ。

 

「…………」

 

ベラの外見としゃべり方のギャップに面食らってるな他のメンツは。

 

「ベラ……お美しい名だ……」

 

それからもサンジがなんか口説いてるが何があっても墜ちないからな残念だけど。あ……サンジが鼻血噴いて倒れた。さっきも鼻血を大噴出してたしな……将来が不安だなぁ……

 

「おい。誰か輸血しといてやれ。」

 

近隣住民に話しかけるとルフィ達にサンジの血液型を聞き何人かが血を提供してくれ、チョッパーが輸血作業に取り掛かる。

 

「……サンジ……再会してから今までだけで体中の血が入れ替わるほどの量が出たんじゃないかな……」

 

チョッパーが呆れてる……マジか。うーん、これを機に真人間になってくれれば良いが……

 

「改めて見ると感慨深いのぉ……二年前までは人間と魚人間での輸血は禁じられておったからのう……」

 

ジンべエが感無量な感じでつぶやく。彼には魚人島で尽力してもらったな。ホント良い人すぎる。

 

「そういえば海の森でそんな事言ってたな。なんで今は大丈夫なんだ?」

 

「そりゃあおぬしら……海神様……シオリ殿の鶴の一声じゃもん。対面するまで新聞や映像電伝虫での情報しか知らなかった彼女……その真の姿を生で見た時の衝撃たるや……今まで生きてきた人生では最大級じゃったもん。」

 

もじゃ王が答える。王子達も同意してるな。

 

「二年の間に色々やらかしてる様だな? それにクロの部下やワポルの家来もいなかったはずだ。」

 

相変わらずゾロが噛み付いてくる。コイツや他の皆もファラオの回復技や回復薬で元気になった。

 

「まぁ、とある『目的』のために年がら年中あっちこち飛び回ったよ。そのおかげでこの大所帯だ。」

 

「どっかに戦争でも仕掛けかねねーな……」

 

意外にフランキー鋭いじゃないか。とは言え……仕掛けるのにはまだまだ規模が足らんがな。

 

「……あら、そういえばその背中……あなたもスカイピア出身なの?」

 

一方ではロビンがベラに尋ねてる。

 

「スカイピア? ベラはマザーバンガードだよ!」

 

「「「???」」」

 

そりゃその一言じゃ分からんだろうな。ベラの名の由来はクロスボーンガンダムのベラ艦長……もっとぶっちゃければガンダムF91ヒロインのセシリーだ。外見もなぜか瓜二つだったので名付けた。しかしモデルが貴族令嬢なのにコイツはどうしてこうなった……

 

「……(あら? そういえばマザーバンガードの船首像って黄金の女神像だったような……)シオリちゃん、この船の船首像取り外したのかしら?」

 

ロビンがかつて女神像が鎮座してあった辺りを見て問う。

 

「クックックッ……それは後のお楽しみだ。……あ、ベラ、少ししたらベアー号で魚人島海上まで行っていてくれ。アプー達なら大丈夫とは思うが念のためな。」

 

スモーカーはともかくたしぎと弥七がいるからな……手間取るだろう。

 

「はい! わっかりましたぁ〜♪」

 

「えぇぇ〜!? もう行っちゃうのぉ〜?」

 

いきなり復活し、さらに滝涙を流すサンジ。コイツの体も実に不思議だ。

 

「チェス、クロマーリモ、彼女を頼むぞ。」

 

「「ハッ!お任せください!」」

 

 

 

一方、ロビンの表情が硬直する。……とある人物を見て。

 

「彼は……ロブ・ルッチ!?」

 

船から降りてきた一団の一人を見てロビン、あとフランキーが仰天してる。

 

「海の森で言ったろう。彼らも仲間にしたとな。」

 

「…………」

 

絶句してるな流石に。

 

 

「フン……ニコ・ロビンか。」

 

ルッチがこっちに来てロビンと対峙する。

 

「……私を捕まえる気……はなさそうね。一体何があったというの?」

 

「……おれ達は世界政府から切られた身だ。もうお前に用はない。」

 

「おれにもちょっかい出す気はねーんだな?」

 

「ああ。…………しかし……おれの記憶ではまだかろうじて人間だったはずだが……ついに人間をやめたか。」

 

「そんなに褒めるなよ。気持ち悪いぜ〜」

 

「!? …………」

 

ルッチまで呆れさせるとは恐るべし変態。そこに……

 

「野良猫が来たか。毎度毎度ご苦労な事だな。」

 

「何か言ったか? 牙を抜かれた飼い犬。」

 

話しかけて来たバサラと悪態をつきあうルッチ。全くこいつらは……顔を合わすと毎回これだ……今は私との戦いもあってバサラが万全じゃないから仕掛けはしないが。一方では……

 

 

 

「無様だな……お前達。」

 

船から降りてきたクロがクリーク達に駄目出しをしている。さっきまでニャーバンブラザーズと何やら打ち合わせしていたが。

 

「お前……そりゃ色々制限あんだからしょーがねぇだろうよ……」

 

何事もなくあっさり元気になっていたクリークがげんなりして返す。

 

「でも5割は出してたぜ。前よりは良い成績なんだがよ。」

 

「麦わらの一味もいたのだから当然だろう。」

 

アーロンの言葉を一瞬で切って落とすクロ。お前は部活のマネージャーか?

 

一方ではニャーバン達がウソップと話してる。

 

「二年前ん時はシオリ……さんの所にいなかったよな? お前ら。」

 

別に呼び捨てでいいぞウソップ。

 

「そりゃあな。あの『頂上戦争』が起きるまでノンビリ東の海にいたし。あれでクロ船ちょ……クロさんの居場所が分かったぐらいだし。」

 

「その後大頭の命を受けたクロさんがおれらと部下の皆を尋ねて来たんだよ。」

 

シャムの言葉をブチが続ける。ブチは前は太っていたが私が扱きすぎたせいで痩せて身長も何故か2m近くになった。もう誰これ状態。

 

「クロさんも前ほど冷酷じゃなかったし、おれらももう一旗挙げたかったから部下にしてもらったんだ。」

 

「へー」

 

ウソップとニャーバン達…どっちが上かな? ウソップが二年前ゾロ級じゃ危ないだろうな。

 

 

 

 

「クリークのアニキは防御力だけだからなぁ……」

 

相変わらずの自由人なギンがクリークと話してる。

 

「うっ!? 痛いトコ突くなよギン……」

 

「クスクスクス……」

 

ギンがトンデモな強さを手に入れ、色々あって傾世のシオリ海賊団第二船団であるクリーク海賊団を抜け微妙な関係になった二人だが、まぁそれは二人に任すしかないだろう。

 

「ドン〜ギンさん〜おれら先に船に乗ってますんで〜」

 

クリークらと話してたパールがベアーマシンを再び駆動している。

 

「おう! 今日は宴らしいから船員全部連れてけよ! 副船長よ!」

 

「了〜解〜」

 

パールやサーキースなどのヘルズベアーマシンパイロット達はベラと共に船にマシンを収納しに行った。

 

 

「フェフェフェッ! まぁおれ様がいなかったんだししょうがあんめえよ!」

 

「一度でもドンにビーム効かせてから言えよ……」

 

割れ頭が空気を読まず相変わらず偉そうに言うがクリークにツッコミを入れられる。とそこへ……

 

「あなたもお美しい! 私の(ry……」

 

今度はポルチェちゃんやペローナにちょっかいかけるサンジ。少しは自重しろ。

 

「も、もう〜何よアンタは〜?」

 

「ホロホロホロ〜相変わらず下品だな〜」

 

……そのうち犯罪起こしかねんな……早く二年前の彼に戻ってもらわんと……

 

「オヤビーン! 私達も先行ってるねー」

 

サンジから逃げる様にポルチェちゃん達もフォクシー海賊団達と共に船に戻っていった。

 

 

 

「確か……『黒足のサンジ』だったか……下半身を制御出来んとは……見苦しいイキモノだ……そういえばギン、お前と戦ったらしいが?」

 

ニャーバン達が船に戻ったので暇になったクロがギンに話し掛ける。

 

「……今は弱ぇな……せいぜい中将級だ……もっとも条件付きで強くなるがな。さっきも圧縮版のカラミティウォールを切り裂きやがったよ。」

 

「!? 成る程……そういうお前は懲りずにお館様に挑戦したのだったか?」

 

「ケッ! 俺の事はどうでもいいだろう。テメェらにゃ関係ねぇこった! そもそももうお前らレベルのヤツらにはそそられんからな。」

 

獰猛な笑みを浮かべるギンだがクロはアッサリとスルーしている。

 

 

 

 

 

 

とにかく、(みんなにとっての)激闘は終わった。城に戻って宴でもするか……ONEPIECEの話のシメと言えば宴だからな……

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後、竜宮城・牢獄〜

 

 

 〜ホーディside〜

 

 

忌ま忌ましい人間アマクサ・シオリに破れて一体どれ程の時間が過ぎた? なんで他のヤツらがいねぇ? それにこの異常とも言える体の倦怠感は……一体全体何がどうなってやがる……

 

「起きた様だなホーディ。気分はどうだ?」

 

! ア、アマクサ……よくもぬけぬけとっ……しかも王族共まで……

 

「まだ噛み付く気概はありそうだな。そこら辺はまぁ見事だと言っておこうか。……で、どうする?」

 

どうする? 何がだ……?

 

「このまま朽ち果てるか。私に従う振りをして私の命を狙うか。好きな方を選べ。」

 

なっ……従うだと!? ふざけた事を……

 

「デッケン含めお前の仲間全員はもう決心したぞ。私の部下になる事をな。」

 

!? そんな馬鹿なっ!? クソッ……それ程までにリヴァイアサンの支配力は……

 

「どうした? 黙っていては分からんぞ?」

 

駄目だ……このままでは『ヤツ』に殺されるっ……

 

 

 

〜回想〜

 

 

「貴様か? このおれに会いたいと言ってきた愚かな人間……は……!?」

 

ここ魚人島の一つ『アトランティス』……第二の隠れ拠点に突如現れた、黒いシャツを着た痩せぎすの白髪の人間の男……刃物の様に恐ろしく尖った顎、鼻に相対する者を見透かす様な眼光っ……

ちょっと摘んでやるだけで折れそうなほど華奢なナリなのに……なんでだ!? この圧倒的な恐怖はっ……

 

「ククク……怖いのか?ホーディ・ジョーンズ。」

 

クッ……怖いだと? 戯れ事……いない!?

 

ざわざわ……

 

「まぁ、そう気張るなよ……」

 

!? 背後にっ!? 一体どんな手品をっ……

 

「別に変わった事はしちゃいないさ……単にお前がオレを見失っただけだ。ま……今日来たのは驚かしに来た訳じゃあない。……天草詩織……っと、こっちじゃアマクサ・シオリっつうのかね? 確か。ヤツが今回動くらしくてね。ちょっとお邪魔しようと思っただけさ。」

 

アマクサ・シオリ……聞いた話じゃあの伝説の海神を名乗ってるそうだが……ヤツが魚人島に来るってのか!? マズイ……今の戦力じゃあの『傾世のシオリ海賊団』には……

 

「とりあえず……そうだな。5万ほど兵隊貸してやるよ。好きに使ってくれ。」

 

「5万!? ……一体何を企んで……いや、そもそも貴様は何者なんだ?」

 

おれでも分かる……コイツには……為す術なくやられるという事実が……

 

「何者? う〜ん……そういやこの世界に来てからそこまで深く考えなかったなぁ……あの時確かに自ら命を絶ったはずなんだが……再び意識が覚醒した時は柄にもなく焦ったよ。しかもあのジジイと戦ってた頃まで若返ってこんなファンタジーな世界で第二の人生を歩む事になってさ。ククク……」

 

何を言ってるんだ? この世界?

 

「おっと、悪い悪い。アンタには関係ない話だったな。さて…………どうする? オレの話に乗るか反るか。」

 

…………こうなりゃ掴めるものはなんでも掴んでやる……例えコイツが悪魔だったとしても……

 

「分かった……その援助受けよう……ところで……アンタは誰なんだ?」

 

「誰……ねぇ。……そうだな……とりあえずレッド……ツリー……なんか語感悪いな。…………『レッド』とでも呼んでくれ。」

 

「……分かった。申し出感謝する……」

 

そしてヤツは再びいつの間にか姿を消した……

 

 

 

 

 

 

「頭領。あんな魚人……利用価値があるのですか?」

 

「ククク……何、ただの挨拶さ。天草へのな。一年前、興味があったし会ってみたが……ヤツはオレを知ってる様だったんでな。いきなりフルネームで絶叫された時はこっちも驚いたよ。ま、色々あるが……オレは好きに生きるだけさ。(何かの間違いで再び人生やり直す事になったからには……色々経験するのも悪くないかもな……)…………さて、ワノ国に戻るか。」

 

「ハッ」

 

 

 

 

〜回想終了〜

 

 

 

 

「ヤツに……殺されるっ……」

 

「ヤツ? ……ああ、アカ……レッドとかほざいてるヤツか。……確かにアレは危険だな〜 あの悪魔の如し知謀に加えてあの強さ……どこの魔改造だよ。全く……あのいたずら好きな神様共め……ほとんどこの世界、ただのONEPIECEじゃなくなってるな……竜王とかうしとらとかターミネーターとかカオスすぎるだろ。」

 

……コイツもあのレッドと同じで分からん事をほざいてやがる……ワンピースとは確か人間の海賊王が見つけたとか言う財宝か?

 

「……で。どうする? 今すぐ老衰で死ぬよりは私に助けてもらった方が良いと思うが。」

 

老衰? 一体何の事を……

 

「はひゃふひゃひほひっひゃっひゃひょ(アマクサシオリっさっさと)……!?」

 

なっ……これは……体中が……年寄りみたいにっ!?

 

「ESの副作用だ。ネプチューンの話だと玉手箱の真の効果らしいが。剛力を得る代償として使用者の若さを奪う禁断の宝……」

 

そ、そんな馬鹿な……これでは何も出来ん……

 

「……が! 一つだけ治す手段がある。何人か渋っていた他のヤツらもこれで私に忠誠を誓った。」

 

こっ……この体を治す……だと!?

 

「『万能薬』! これさえ使えば元通り! 副作用も一切なし! の秘宝だ。」

 

そんな馬鹿な話が……ば、万能薬なんてモンがこの世に……

 

「どうする? 別に忠誠を誓えとは言わない。チャンスがあれば殺しに来てもいいし失敗しても咎めない。何度でも挑戦可だ。」

 

…………ここは膝を折るしかないか。死んでは元も子もない……

 

「それに私のとりあえずの目的は天竜人の駆逐だ。」

 

!? 正気か? この世のゴミ共の象徴……ヤツらを…………そうだな。問題は天竜人共を滅ぼしてもらってから考えればいいか。

 

「……ひゃひゃっひゃ……ひひゃひゃひょひゅひゃひひゃひょう(分かった。貴様の部下になろう)」

 

そして薬を飲む…………うぅっ!? 体が元にっ……!?

 

「……とりあえずは従う。だが忘れるな! ヤツらを滅ぼしたら次はお前らだ!」

 

「一つ言い忘れてしまったんだが……ESはもうこの世にないんだ……まぁ頑張れ。としか言えんな。」

 

…………え!?

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。