ONEPIECE世界を過去キャラと満喫   作:一匹犬

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19話「天地魔闘(後編)」

 〜ギョンコルド広場〜

 

 

 〜シオリside〜

 

 

「なめやがって……」

 

大ダメージを負っていたゾロが前に出てきたがまだふらついてるな。

 

「やれやれ……マジカルヒール!」

 

見兼ねたファラオがゾロに傷を癒す回復技を掛ける。

 

「うっ!? …………傷が治った……?」

 

「えぇーっ!? なっなんなんだぁー!? どういう薬を使ったんだよ!」

 

医者からしたらポーションとか回復魔法は理不尽の塊だろうな。二年でどれくらい医術の腕上げたか分からんが。

 

「ぬしはそこそこ期待できそうなのでな。脱落される訳にはいかん。」

 

驚くチョッパーをよそに勝手に仕切る大将。

 

「……すまねぇ。」

 

「それはいいんだけど……あんな早くなったらアンタはともかく私達の攻撃当たらないんじゃない?」

 

「まぁ雷速の私と普通に組手ができるからな……スピード、スピードに対する反応は新世界でも最強級だ。だがシオリは敵に背は向けない。受けてくれるさ。」

 

ナミの問いにエネルが答える。

 

「じゃあ、そろそろ本番と行くか。右腕も動く様になったしな。……まずは覇王色……5割!」

 

放たれた覇気が一行を襲う。

 

「うぅ!? 今までとはケタ違いだ!? ……ってありゃ!?帽子がねぇ!?」

 

「ウソップ。のんきに解説している暇はないぞ。」

 

彼の背後に現れ帽子を奪った。エネル以外見えなかった様だな。

 

「な、なんて速さだ……確かにさっきまでそこにいたのに……」

 

「黄猿じゃないが、やはり戦いにおいてスピードは重要だ。鈍い奴は何も出来ずに脱落していくぞ?」

 

「……私から行こう。」

 

のの様棒を携え前に出るエネル。

 

「いきなり超音速バトルをする事になるが……まぁいいか。」

 

刀は抜かず素手で様子見するか。

 

「行くぞ!」

 

言うやいなや視界から消えるエネル。

 

雷速……すなわちマッハ440(ちなみに黄猿の光速はマッハ880000ぐらい。……なんであのスペックであのザマなのか理解に苦しむ。)ほどなので私よりはるかに早い……が。

 

「くら「甘い。」っ!?」

 

背後に現れたエネルを逆に捕まえ、地に叩きつけ…ようとすると再び逃げられた。

 

「なんで雷の早さに反応出来るんだ……」

 

呆然とつぶやくウソップ。

 

「見聞色の覇気の扱いにも自信があるのでな。」

 

エネルの見聞色は更に上だがそれを逆手に取りあえて相手の土俵に登り裏をかく。

 

「ならば……6666万Vッ!!」

 

私から距離を取ったエネルが背の太鼓を二つ叩くと……虎や狸、尻尾が蛇など、幾つもの獣が混ざった形容しがたい姿の獣が具現化していく。

 

「雷神獣(ヌエ)ッ!!」

 

有名な古い伝説の獣である鵺が具現化し私に向かって飛びかかってきた。

 

「雷切っ!!」

 

雷を斬る奥義……確かガープの副官ボガードさんも使えてたか? ワノ国にしか伝わってないはずの奥義なんだが……あの人も何者なんだろうね。

とにかく雷を斬る奥義で鵺を両断する。

一方のエネルは気が気ではない。雷を斬るという事は自分も斬られるからな。

 

「さて、まだやるかい?」

 

「やるしかなかろう。」

 

エネルが応え、更に他の者も奮起して私とやり合っていくがもちろん掠りもしない。……場の空気に絶望という二文字が浮かぼうとした時……

 

「うわ〜やっぱりめちゃくちゃ早ぇ……まいったな〜」

 

そう言うルフィだが、大胆不敵な笑みを浮かべている。

 

「なにせお前は何度も私の強さを経験したからな。そろそろお前も真剣にやれ。」

 

「……分かった! みんなは下がっててくれ。」

 

皆を下がらせルフィが『あのポーズ』を取る。

 

「……ギア、4(フォー)……」

 

「ルフィ。それは今後の冒険まで温存しておけ。負担が馬鹿にならんからな。」

 

「う、分かった……じゃあ、ギア3!」

 

ルフィが骨風船を発動させ……

 

「筋肉大移動!!」

 

巨大化した右腕が縮み逆に左脚が巨大化した。更に同じ事を続け両腕両脚だけでなく頭、胴体まで巨大化した。何度か見たがロボを超えるまでに巨人化できる様になったか。

 

「「「ええぇっ〜!?」」」

 

ルフィの巨人化に仰天する皆をよそに、さっそく仕掛けてきた。

 

「武装色! ゴムゴムの……ギガントピストル!! ……と槍っ!!」

 

パンチとキックの連続技が迫るが……

 

「武装色。」

 

自分も強化し受け止める。

 

「まだまだ甘い!」

 

受け止めた脚を抱えそのまま持ち上げ地面に叩きつける。ロボよりは軽いな。

 

「うっ……ゴムゴムのっ」

 

私から離れて反撃しようとするが……

 

「カイザーダルフィン!」

 

少し本気を出した一撃なので5m程にまで巨大化したイルカがルフィの体に命中しふっ飛ばした。

 

「こうなったら……ギア2!!」

 

巨人状態にギア2を重ね掛けする。まぁスピードアップはするだろうが……

 

「I am the bone of my sword……」

 

「ゴムゴムの象(エレファント)ガトリング!!」

 

巨人状態で更に腕が巨大化かつ黒色に硬化、しかも武装色込みのが放たれた。ルフィの奥の手の一つだな。

 

「うおおおお〜!? ルフィのヤツこの島壊す気か〜!?」

 

フランキーが頭抱えて叫ぶ。

 

「良い技だ。当たれば4〜5億クラスでも危険だろうな。……私には効かんが。」

 

あとクリークが本気で武装硬化を兼ねた『鉄塊』にも完封されるだろうな。

 

「さて、こちらも準備が整った。……unlimited blade works!!」

 

さりげなく私の周りに無数の水の刃が生まれた。数は……800本ほど。それが意志を持つかのごとく動きだしついには物凄いスピードで対象に襲い掛かった。

無数の巨拳と水の刃が激突する。一発の威力はルフィの方がだいぶ上だが手数は10倍以上こちらが上。さてさて、どうなるか……

 

「うおおおおっ! ……ハアッ! ハアッ!」

 

あ、息切れしたな。無防備になった彼に刃が迫るが間一髪体が縮み運良く回避できた。

 

「次はおれが行くぜー!」

 

クリークが突っ込んできた。……あの構えは『アレ』か。あの返し技試してみるかね……

あえて無抵抗で捕まり逆さの体勢にされ彼に担がれる。私の頭は彼の左肩に固定され、更に両脚の脛辺りをそれぞれ掴まれ開脚させられる。

まぁスパッツ履いてるから問題はないが……サンジとかがただ事じゃなくなってたりしてる。

 

「きゃっ(棒)」

 

恥ずかしそうにぶりっ子するが……

 

「!? アレ!? あっさり技に入れた? ……ってどうしたんスかドン!? 女の子みたいな声出して……気持ち悪いっスよ!」

 

クリークにドン引きされた。……気を取り直した彼は高くジャンプする。

 

「ドン直伝……マッスルバスター!!」

 

「! あの固め方だと首折り、背骨折り、股裂きの要素があるわ。決まったら死にかねないわね。」

 

関節に詳しいロビンが解説してる。一方の私らは上空から落下中。

 

「クリーク……この技を授けたのは私だが、実は返し技があったんだよ!」

 

「なっなんだってー!!?」

 

どこぞのナワヤさんみたいな驚き方をするクリーク。

 

「キンに……マッスルバスターはいわば……数字の6! 6はひっくり返ると9になる!」

 

「きゅ、9? い、一体どういう……」

 

答えとして極めが甘い両脚を掴まれたまま横回転させ錐揉み状態に持ち込む。するとたまらず手を離してしまうクリーク。その彼の手足を取り今度はこちらがマッスルバスターの体勢になる。

 

「んなぁ!? あっさりぃ!? う、動けねぇっ!」

 

腕力では途方もない差があるからな……

 

「キンに……マッスルバスター返しぃ!!」

 

バキィィィッッ!!

 

その体勢のまま地に激突させた。

 

「ぐっ……へっ……」

 

たまらずダウンするクリーク。並の者なら両脚、背骨、首が粉砕骨折するんだが……ここまで頑丈になるとはなぁ……見たとこ一カ所の骨折もない。が、クリークも脱落。

 

「ちなみに、マッスルバスターを力で返すには10倍ぐらいのパワー差がないと無理だ。」

 

「なるほど……全く参考にならないわ。」

 

眉一つ動かさないロビン。まぁプロレス技なんか彼女の技の参考にはならんわな。

 

「次はおれらが行くぜ!」

 

「えぇーい! おれ様に指図するでないわ! 変態めが!」

 

お前も変態だぞワポ公。とにかく変態と罵られて嬉しそうな将軍とロボが再び攻めてきた。……と思ったら私から10mは離れた辺りで立ち止まった。何か打ち合わせでもしてたし……面白いのが来そうだな。

 

「将軍ふん縛り(ジェネラルチェーン)!」

 

「ヘルズチェーン!」

 

二本のワポメタル製の鎖が飛んできた……のをワザと受け止める。両腕に絡み付いたな……動きを封じるつもりか。

 

「今だ! 将軍砲(ジェネラルキャノン)!!」

 

将軍からとんでもないエネルギー量の衝撃波が放たれた。

 

「いっけぇぇぇい! ハイメガキャノン!!」

 

ヘルズベアーロボのくまの帽子を模した頭頂部が展開され中から砲頭が出現し……大質量のエネルギー波が放たれた。元ネタはもちろんZZガンダム。……しかし将軍もハイメガキャノンみたいな大出力ビームを搭載していたとは……とのんきに考えてる間にも二つのエネルギー波が迫る。直撃したら……ちょっと痛いな。

 

「制極界。」

 

つぶやいた途端二つのビームがねじ曲がり上空へ軌道を変え天に消えていった。

 

「「「なっなんだぁ!?」」」

 

訳の分からない現象に度肝を抜かれる全員。

 

「『制極界』……奥の手の一つだ。まだ詳細は言えんがな。武装色をそこそこ使えば防げたが……サービスで見せてやった。」

 

この技の元祖はあの天下のスーパースターKENZAKI JUNだし。つくづく原理が分からん、あの世界の技は。

 

「一体何をしたんだよ……」

 

ウソップは流石に緊張の糸が切れそうだな。無理ないが。

 

「さて……」

 

グワァッッ!!

 

両腕に絡み付いた鎖を引っ張りロボ二体をこっちに引っ張りこみ……将軍を蹴り倒し、ロボの頭を掴み地面にめりこませた。

 

「将軍、ロボ脱落だ。」

 

クリークに続いてこれで三人。……ん? 寒気?

ふと両脚を見ると凍りついている。あの二人の仕業か。

 

「流石はシロウ。しかしブルックも仲々気配を消すのが上手いな。」

 

二人共氷の剣術の使い手な事はある。が……

 

「ヨホホホッ褒めてくださりありがとうございます。ですがそれよりもパンツを見せて頂ければ……」

 

「ブルックさん! くだらない事言ってないで行きますよ!」

 

「何をおっしゃるんですか!? 全くくだらなくないですよっ」

 

バキッ

 

脚を凍らせていた氷を力ずくで破壊しついでにブルックを張り倒す。

 

「その前に……こっちの番だ。アクアセイバーッ!!」

 

「! に、二刀流……ですか。」

 

左手に月下美人。右手にアクアセイバー。

 

「来い。」

 

二人が攻めてくるがそれぞれ月下美人でシロウ、アクアセイバーでブルックを相手取る。

 

「どうした? 止まって見えるぞ!」

 

「こうなれば……仁王剣(ショックブレード)ッ!!」

 

! おっと、いきなり剣聖技を出すか。シロウの刀の氷輪丸から衝撃波が放たれるが……

 

「音速剣!!」

 

音速に到達する剣撃を放ち相殺。

ブルックには……

 

「濁流剣っ!!」

 

アクアセイバーが小型の津波を生み出しブルックに迫る。更に自身も追撃してこの技は完成する……がモーションが大きいから避けられたか。

私から距離を取った二人だが……

 

「「はあああああっっ」」

 

……凄まじい凍気だな。……!? 空が……吹雪?

 

「「エターナルフォースブリザード!!!」」

 

相手は死ぬ。……冗談は置いといて。吹雪が竜巻になって私に迫ってきた。

……この二人が協力すると自然現象さえ操るか。よく見ると巨大な氷の柱すら無数に生まれている。普通の者じゃ簡単に死ねるな。

まぁ氷柱はジェットで相殺。竜巻も普通の人間を細切れにする程度の殺傷力じゃ私には薄皮一枚傷つけられん。そして吹雪に紛れて私に接近してきた二人を捕まえる。

 

「あっ!? ヤバいですよ! 私死ぬかもー! もう死んでますけどヨホ」ボッコンッッ!

 

拳銃・虎砲でブルックをバラバラにする。手は抜いたから骨自体は砕けてはいない。

 

「……仕方ない。僕も本気で行くか。」

 

シロウが無数の残像を作り出した。

 

「十連飛水断ち!! 十連十文字斬り!!」

 

おいおい、容赦ないな。十人に分身してからの飛ぶ覇気の斬撃に上段、中段の二段斬りの計二十連撃が殺到するが……

 

「竜巻真空斬り(スパイラル・ソニック・ブレード)ッッ!!!」

 

シロウの攻撃を超音速の竜巻状の斬撃で撃墜。シロウも流れ弾を回避しきれず攻撃をくらいノックダウン。これでシロウ、ブルックも脱落。

更に私の近くにいるのはナミ、ロビンか。腕にエネルギーをため……解き放つのは!

 

「カラミティウォール!!」

 

圧縮版ではなく通常の広範囲版だ。逃れる術はない。

 

「ちょ、ちょっと……キャー! キャー!」

 

慌てるナミ。ロビンは諦めている?

 

「させねぇ!」

 

サンジが間一髪間に合い悪魔風脚でウォールを切り裂いた。ふむ、やるな。

 

「よし、今のうちに……」「何が今のうちになんだ? 今度は本気で行くぞ?」うぅっ!?」

 

「カラミティウォールッッ!!」

 

ギンに放ったのと同じ圧縮版だ。さっきの蹴り程度では脚がズタズタになるぞ?

 

「くっ……こうなったら……」

 

サンジが二人を下がらせ一人立ちはだかりウォールを見据える。

 

「…………」

 

サンジがいつもの様に悪魔風脚にするため脚と地面との間で摩擦を起こすがその時間がいつもより長い?

 

「超悪魔風脚(シュぺール・ディアブルジャンブ)!!」

 

サンジの脚が青い炎に包まれた。……炎の色が青色という事は……凄まじい熱量に達しているな。

 

「二人には傷一つつけさせねぇ!!」

 

青い炎の蹴りがウォールを切り裂いた。ウォールはそのまま消滅。……これは驚いた。まさか力技で破るとは……しかし。

 

「ぐぅ……」

 

ダウンし利き脚を押さえるサンジ。相当負担が強い様だな。

 

「二人共下がって!」

 

ロビンが前に出て負傷したサンジ達をかばい……

 

「千紫万紅・巨大樹……『ストンプ』!!」

 

ロビンの頭上に巨大な二本脚が現れ私に向かって踏み付けを仕掛けてきた。

 

「逸ったな。防御に専念すれば良かったものを。……む!?」

 

これは……ナミの雷雲?

 

「私も無視しないでよね!雷雲の罠(サンダートラップ)……二連結(ダブル)!!」

 

上からストンプ、左右から電撃の雲が襲ってきたが……

 

「ウォータートルネード!」

 

竜巻で雲を消し飛ば……後ろ?

 

バリバリバリッ!

 

更にもう一つの雷雲が私の背後に現れ直撃した。更にロビンの踏み付けをまともに食らう。

 

「殺ったー♪」

 

ゾワッ

 

「ナミ! 今すぐそこから離れてっ!!」

 

ストンプが落ちた所から平然と立ち上がる私にいち早く気づいたロビンが血相を変える。

 

「えぇっ!? 生きてるっ!?」

 

過激な娘だ。やれやれ、少し痛い目に遭ってもらうか。

 

「カイザードラゴンッッ!!」

 

カイザーシリーズ新作の、全長およそ10m程の水で出来た巨大な龍を作り出す。カイザーシリーズは基本大出量の水の突撃技だがこれは噛み付きの効果もある。鉄板くらいなら簡単に噛み砕く威力だ。

 

「ちょっちょっとぉっ!?」

 

「まだ……だっ!」

 

右足を引きずっていたサンジが今度は炎化した左足でドラゴンを両断しようとするが……

 

パチンッ

 

私が指を鳴らしドラゴンをただの水に戻した。

 

「!?」

 

「メイルシュトロームッ!」

 

「「「!!?」」」

 

津波があっさり三人を飲みこんだ。これで三人共脱ら……! アーロンが助太刀に来たか。

 

ナミ、ロビンを救助したが二人とサンジは伸びてるようだな。

 

「次はアーロンか。」

 

「カシラ……行きますよ!」

 

陸地ではアーロンの強みが発揮出来んが、まぁ今回は別に良いか。

 

「拳銃・螺旋掌打っ!」

「拳銃・虎砲っ!」

 

二つの1インチのパンチが放たれるが相殺された。ふむ、なかなか強くなってきたな。なら……

人獣形態になり下半身を蛇にする。

 

「! マズイ!」

 

慌てて私から逃げるアーロン。さっきまで彼がいた地面が細切れ……いや、消滅する。

 

「武装嵐脚……蛇々馬・乱。」

 

通常のより武装色を込め、更に手数が十倍はあるので脚が当たった所は文字通り『消滅』する。広場の一部だけがぽっかりと巨大な穴が出来ているが埋めればいいだろ。

 

「どうした? 逃げ回っているだけじゃ勝てんぞ?」

 

「く……じゃあっこれなら!!」

 

アーロンが高くジャンプする。

 

「鼻の100万パワー+歯の100万パワーで200万パワー!! いつもの2倍のジャンプがくわわって200万×2の400万パワーっ!! そしていつもの3倍の回転をくわえれば400万×3の、カシラ……アンタをうわまわる1200万パワーだーっ!!」

 

ウォーズマン理論を私に叩きこまれたアーロンの奥の手が放たれた。形としては鮫・ON・トゥース(歯車)に近い……が、鼻と噛み付きは同時に出来んから200万じゃないだろ。それじゃせいぜい各600万だ。というか数字は私の適当な入れ知恵だが。

 

とにかく私に最初に迫ってくるのは歯の方。噛み付いて相手を捕まえてからの鼻による刺突だろうな。

 

ハムッッ

 

「ウゥッ!?」

 

噛んだ途端うめくアーロン。せいぜい甘噛みレベルだ。まぁ初めて会った時よりはるかに強いが。それよりも歯が右腕から抜けず焦ってるな。

 

「……」

 

左手に覇気を込め振り放つと鼻辺りに命中。

 

「ぐわっ!?」

 

鼻が折れるがこの低度の怪我なら自力で治せるだろ。それより人獣形態での新必殺技で沈めてやるか。

 

「伸びよ! 斬艦刀(嘘)!」

 

下半身の尾が伸びアーロンの首に巻き付きそのまま体ごとスピンして首をひねった後、片足を掴んで投げ飛ばし、頭から地面に叩きつけ、同時に膝関節を破壊する。決まると全身バラバラになる程の激痛が襲う。

 

「これぞ、エアスピンドライバー!」

 

「ぐへっ……」

 

エアマスターの主人公の必殺技を再現したが……キン肉バスター並にエグイな。アーロンは頑丈だから脱臼低度ですんだが。とにかくアーロンも脱落。

 

「ふむ……だいぶ数も減ったな。ではそろそろ……終局と行こうか。」

 

「うっ!? 天地魔闘の構え!?」

 

ギンを完封した構えに気圧される一行。

 

「目の前で対峙するから分かる……こりゃ異常だ。まるで大口を開けたドラゴンの鼻先にいる様だ。」

 

ゾロがうめくが、この世界にドラゴンなんているのか? 答えは……いるんだよなぁ……実際にこの目で見たからな。しかもそのドラゴンの能力者まで存在している。

 

「さぁ、一人ずつとは言わない。何人でもまとめて来るがよい。」

 

「……なぁ、あの技に弱点とかあるのか?」

 

「……ある。と言いたいが、皆目見当もつかん。」

 

チョッパーとファラオが話しているな……よし。

 

「実はな、チョッパー……天地魔闘には一つ、大きな弱点がある。」

 

「「「!?」」」

 

いきなりの暴露に驚く一行。

 

「だが……発見できるかな? 出来なければ、お前達の実力では…………全滅だ。」

 

「うっ……」

 

プレッシャーがかかったな……まぁどうにでもなるか。現時点で残ったのはルフィ、ゾロ、ウソップ、チョッパー、エネル、ボン、バサラ、ファラオか。微妙な所だな。

 

「……チョッパー。まずはおれらが突っ込む。分析頼むぞ。」

 

「ゾ、ゾロ!? そんな……アレは半端じゃなく危険だ。シオリの事だから命までは取らないだろうけど、それでも……」

 

「分かってる。あのギンてヤツの受けたダメージ……並のヤツがくらったら一貫の終わりってのはな。」

 

お前のタフさは並じゃないが。

 

「フ……酔狂なヤツだ。ならおれも付き合ってやる。」

 

バサラがガルム人獣形態になる。

 

「ムヒョヒョ……なかなかどうして見上げた心意気ようぬらは。」

 

ファラオも前に出る。

 

「まずはお前らか。……悔いのない様思い切り来い。」

 

「(超破壊力の手刀、全てを返すカウンター、水の大砲……どれも厄介だが……おれは手刀を受け持ってやるか。)」

 

「行くぞ……二人共。」

 

バサラの合図で私に向かって来た三人。

 

「地獄爪殺法ッッ!!」

 

バサラの巨大な刃と化した爪が右腕を狙ってきた。

 

「大辰撼ッッ!!」

 

ゾロの聞き覚えのない名前の居合斬りが左腕を。

 

「タイガーランページッ!!」

 

超エネルギーを纏ったファラオが体当たりを仕掛けてきた。

 

「天地魔闘ッッ!! ……飛燕剣……抜刀霞切りッッ!!」

 

左腕の月下美人から放つは超速の抜刀術。

 

「なっ!?手刀じゃね……ぐあああっ!?」

 

まずはゾロの上段斬りを下段からの斬り上げで弾き返し……

 

「無空波ッッ!!」

 

「ぐはぁっ!?」

 

次に、右腕を狙ったバサラの爪をまとめてへし折りそのままボディに一撃を当てKO……無空波は本来一発限りの両刃の剣だが体力バカの私にとっては屁でもない。

 

「水流葬送っ!!」

 

更に、エネルギーの塊となって突っ込んできたファラオを水で包みこみ……圧殺。くどい様だが手は抜いたので粉々にはなってない。

 

「うぅっ……あの三人がっっ」

 

「いや、それよりアイツ……さっきと違う技を……」

 

あっさり撃退された光景を見て硬直するウソップとチョッパー達。

 

「……馬鹿の一つ覚えみたいに同じ技を使い続けたら攻略されてしまうさ。数ある必殺技三つをいくつも織り交ぜれば……まさに攻略不可能の超奥義となる。」

 

というかバーン様は原作であの技使いすぎだ。

 

「…………? (あれ? シオリ、どうしたんだ? なんで追撃を……)」

チョッパーが何か思案してるな。それより今天地魔闘を受けた三人は……

 

「フ……ファラオ、バサラ、ゾロも脱落か。」

 

「何言ってんだ……?」

 

! おいおい、ゾロはまだいけるのか。とんでもないな……

 

「うっ……やべえまた襲って来るっ」

 

ウソップが慌てる。

 

「大丈夫だよ。シオリがあの構えをしてる限り絶対に自分からは攻撃してこないよ。あれはそういう技なんだ。」

 

「「…………」」

 

あえて何も語らない私の仲間達。もちろん彼らは詳細を知っているからな。

そしてチョッパーは分析を続ける。この技は受けの奥義。簡単に言うと返しの技の極限だと。相手に先手を打たせた所で攻・防・悪魔の実の力の三大超必殺技を叩きこむ必勝の奥義だと。そしてそれを放つのに膨大なエネルギーも消費すると。

 

「……二度見ただけでこうも見極めるとはな……やっぱりチョッパーは愛いやつだ。間違いを犯しそうだよ。」

 

「どういう間違いだよ!?」

 

「流石のツッコミだが……ウソップよ。お前にはまだ何も見せてもらってないぞ? 私をがっかりさせるなよ?」

 

「……」

 

しかし……ウソップは必死に自分の気配を殺してるな……何か企んでるのは確かだが……まぁ見聞色を使う様な野暮はしないでおくか。

 

「それだけじゃない! ……あの技を使った直後、お前はちょっとの間だけ動けない!」

 

ウソップに集中していた私にチョッパーが言い放つ。

 

「! そこまで見切るか。……本当にたいした奴だ。……だが、私の奥義の秘密を見抜いた所でどうなる?」

 

「…………」

 

残り人数はわずか。仮にカウンターで三人脱落したとして残りはたった三人。それだけで私にクリーンヒットを与えられるかどうか……

 

「んがーはっはっはっ! いよいよもって正念場ねい! ここはあちしに任せてもらうわぁ!」

 

ボンが前に出てきた。島に来る前からの変身のしすぎで体力回復のため今まで控えに回っていた様だが……復活した様だな。さてさて……何で来るか……やはりここは……

 

「変身よう!」

 

クルッと一回転して目の前に現れたのは……この私、アマクサ・シオリ。流石に月下美人は持ってないが。

 

「えぇっ!? シオリになれるんならなんでさっさと……」

 

「しょうがなーいのよーう! アマちゃんになれるのは三分だけなんだから使い所が難しいのう!」

 

三分とかどこのウルトラマンだ。とは言え戦いにおいて三分というのは意外に長い。

 

「アマちゃんに変身しちゃったら後はガス欠しちゃうからその時はよろしくねい!」

 

私の声でみなに言い残し、私に突っ込んできたボン。

確かに厄介だ。バズーカやジェットなどの水の技は使えないがそれ以外は完璧に私と同等だからな。

 

「「はぁっ!!」」

 

迎撃するため一旦天地魔闘を崩す。そこへボンが殺到し、両者の拳が、脚がぶつかり続ける。その余波で辺りの木々や岩などが消し飛んでいく。……こうして見ると私だけ本当にDB世界の住人みたいだな。まぁ他にも地球に影響を与えてしまう様な奴らはいるが……例えばフレアとか『あの女』は大陸一つふっ飛ばすしな……

 

「しかしどうする気だボン? 彼らに私達の間に入れる程の余裕があると思うか?」

 

「んー……そうねい! なら、強行突破よう!」

 

ボンの右手に強烈な武装色の覇気が。これは……

 

「カラミティエンドッッ!!」

 

水を使わない唯一の超必殺技を放つボン。水の技を使えないからおのずと次の手が読みやすいな。

 

「ならば……フェニックスウイングッ!!」

 

互角のパワーだがなんとか手刀を弾き返した。しかし……

 

「「うおおおーっ!」」

 

ゾロとエネルが襲いかかってきた。

 

「奥義……六道の辻。」

 

ゾロの超速の居合斬りと……

 

「ショットランサーッ!!」

 

エネルの雷速の槍の連撃が同時に迫ってくる。

 

「武装色っ! 無空波ようっ!!」

 

再びボンも復帰し、拳銃最強技を放つ。……これは中途半端な技では押し負けるな。

 

「伸びよっ! アクアセイバーッッ!!」

 

水圧の刃……しかも超特大のを作り出す。

 

「薙ぎ払えっ!!」

 

鞭の様な軌道を描き二人に迫る水の柱……『星薙の太刀』。頂上戦争で見せた奥の手の一つだ。まぁかなり出力は抑えたが。

ゾロの居合とエネルの連撃、ボンの拳はそれにあっさりとかき消され更にそのまま三人を両断……する所で間一髪エネルが二人を救出した。

 

「ぐ……む……」

 

エネルは巻き込まれたからか立てない様だな。ゾロもついにダウンしボンも変身が解けた。これで三人も脱落……ん? この気配は……ウソップ!?

 

「くらえっ! 必殺緑星『デビル』!」

 

全長5mはある緑色の食虫植物が生まれ私に絡み付こうとしてきた。確か鼻がナミと再会した時に使ったやつか。というかその鼻の姿が見えない。そこそこ……いや、『隠れる』という点ではかなりの実力だ。

いい加減しつこく絡んでくる食虫植物を真っ二つにしたのは良いが鼻の気配が消えた。私が見失うとは……これは『知らない』なぁ……そういえば見聞色の覇気も使えるし……原作とは違うのか? ……! この気配は……

 

「衝撃狼草(インパクトウルフ)!」

 

!鼻が姿を見せたが、正面からとは舐めた真似を……当たればそこそこの破壊力らしいのでとりあえず避ける。

 

ボヨンッ

 

? むっ狼草が……あれは確か……

 

「トランポリアだ! いっけー!」

 

ジャンプ台みたいな花が空中に咲きそこに狼草が当たり跳ね返る。……跳弾とは……

 

ドォン!!

 

背中に命中する狼草。……意識外からの攻撃とは……やるねぇ。けど!

 

「裂爛脚っ!」

 

嵐脚の上位技を放ちウソップを薙ぎ倒す。直撃したら即死しかねないがなんとか致命傷は免れた様だ。

 

「チョッパー!畳み掛けろぉー!!」

 

「行くぞぉぉぉっ刻蹄『椰子』ッッ!!」

 

モンスター形態のチョッパーの掌底が私を宙空へふっ飛ばした。がお返しとしてバズーカを放ちチョッパーもノックアウトする。

 

「ルフィ〜〜!!」

 

ボロボロのチョッパーが叫ぶ。

 

「武装色硬化っ……ゴムゴムのっガトリングッ!!!」

 

さっき私と単身やり合ったせいか疲労混狽しているルフィが残りの力を振り絞る。……ふむ。

 

ズガガガガガッッ

 

「「「やったー!命中したぁ!」」」

 

全弾命中し倒れる私。…………

 

「勝ったのか……?」

 

座り込んで肩で息をしてるゾロがうめく。

 

「よいしょっと。」

 

「「「!?」」」

 

あっさり立つ私を見て仰天する一行。クリーク達はやっぱりかという表情。

 

「……色々甘い所はあるが……まぁ合格だ。真っ当な戦いなら四皇幹部とも戦えそうだな。」

 

「……ダメージは、ねぇのか?」

 

ダメージを負い、立つ気力もないゾロが這いずって私に聞いてきた。

 

「5割の力だからな。まだまだ余裕がある。」

 

「…………」

 

「しかし、麦わらクルー達、皆なかなか良い所を見せてもらった。修業をつけてやったルフィはもちろん、相変わらずの理不尽なタフさを見せたゾロ、女性を守るという信念を見せつけたサンジ、容赦ない精神を見せてくれたナミにロビン、それに相手の作戦の上を行くウソップ、相手を攻略する知恵を発揮したチョッパー……文句なしだ。」

 

「……ふぅ〜」

 

安堵したのか皆が地に腰を降ろす。

 

「これにて魚人島の乱、集結。さぁ宴をやるぞ。竜宮城でな…………ん?」

 

「なっなんだぁ!? なんかこっちに来る!」

 

何かの気配を察知したウソップが上を見る。彼に倣って……というか何が来るかは分かっているがな……

 

『マスタァ〜〜ッッ!!』

上空から響き渡る脳をとろかす様な美声。

 

「なっなっなぁっ……あれは…………天女ぉ!?」

 

サンジが目からハートマークを飛び出させ興奮のあまり鼻血を噴出する……大丈夫か?

それよりも上空から我が母船マザーバンガードと、黄金に光り輝き白い翼を背に生やした超絶的な美女が舞い降りてきた。

 

 

 

 

 

 


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