〜ギョンコルド広場〜
〜ナミside〜
アーロン……勝手に正体ばらしちゃって……全く。……っと! おじいちゃんや王子さん達もいい位置にいるわね。
それに……あれがシオリの部下達かぁ。乗り物に乗ってるヤツらってどっかで見覚えある様な気がするけど、降りてる三人は……なんかすごいわね。ブルックみたいなのもいるし。
「なっなぜアーロンが二人も……一体どういう……こっちのアーロン……さんは何者……いや、どっちが本物なんだ!?」
さすがにパニクってるわね〜 ホントにアイツの能力デタラメすぎでしょ……
「おれが本物だぁ! 偽物野郎め! これでもくらえ! 魚人空手! 6000枚瓦中段蹴りぃ!!」
ホーディとかいうヤツ近くの方がシャーリーさんの近くにいた方に襲い来る。
ゴウッッ
……蹴りを放って出せる音じゃないんだけど……
「うるせぇ! こっちが本物だ! 魚人空手! 6000枚瓦中段蹴りぃ!!」
ゴウッッ
シャーリーさん側のも全く同じ轟音を立てた蹴りを放つ……と。
ドガガガガガァァァ!!!
二人の蹴りが衝突。その余波が衝撃波を起こし周りの数百人をもふっ飛ばす。
……とても足同士がぶつかって出せる音じゃないんだけど……それにしても、全く同じだもんねぇ〜 何をどう鍛えたらああなるのかしら?
「「ギャー!?どっちも化け物だ〜!!」」
二人の蹴りの衝突の余波からかろうじて逃れた何百人かがうめく。
「ちっ、しつけぇな! 偽物野郎! 鼻銃・怒理流……回転率120%UP!!」
ホーディ側のが鼻を中心に身体全体を超高速回転させていく。ま、まるで光の矢ね……
「しゃらくせぇ! 本気で死にてぇ様だな!」
一方のシャーリーさん側は身体全体を限界までねじ曲げ引き絞ってる……
「……鼻牙突……零式!!!」
ギュオオオオ!!
うぅ!? シャーリーさん側の方も……なんて圧迫感……!!
ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインンン!!!
お互いの鼻が激突し火花がとんでもない勢いであがっていく……んだけど、激突地点がズレたのか鍔ぜり合いが突然終わりを告げそれぞれが勢いが止まらず数百メートルは突き進む。……その際斜線上にいた数百、いえ、千人はいたわね。……一人残らずふっ飛ばされた…………まるで海列車にはねられたみたいだわね……
その後も周りを巻き込む規模の目茶苦茶な戦いが続き述べ3000人以上は吹っ飛んでるわね。
しかも全くの互角……あのホーディとかいう魚人、すごいマヌケな顔になってる。
「いい加減しつこい野郎だ! なら、これならどうだ! 水心……群鮫ぇ!!」
シャーリーさん側のアーロンが水で出来た鮫? を何匹も作り出しホーディ側に放った。
「言ってくれるじゃねぇか!後悔するなよ! 水心……ムラサメ……って、水を使う技は使えないのよーーう!!」
「ハア!? なんだぁ!?」
ホーディを始め彼の仲間らの目が点になったわね。
「な……なんだ? その言葉使いは……」
「んがーはっはっはっ!! アーロンBの正体はこのあちし! 『変幻擬態……略して変態』のボン・クレー様よう!」
「「「えぇぇ〜〜!? なんだこの変態ー!!?」」」
……オカマを知らないヤツらがびっくりしてる……確かに初見だとキッツイわよね〜
「なななな……アーロンが……き、貴様……やはり傾世のシオリの幹部の……ボン・クレーだったのか……初めの直感に従うべきだったか……
だがどういう事だ!? マネマネの実は姿しか変えれないはず……一体どういうトリックだ!?」
「んがーはっはっはっ!! 『完全無欠の模倣(パーフェクトコピー)』……よう! 左手で触った事がある人達そのものになる事が出来るのよーう!」
「そんな無茶苦茶が……」
「アマちゃんに徹底的に鍛えられたからねい! ……なんか黄色だのバスケ漫画だのがどうのこうのって言ってたけど……」
バスケってどっかの島で流行ってるスポーツだっけ……にしたって反則すぎでしょ! なんか色々制約があるみたいだけど。
「な、なぜわざわざ我々に近づいた? 何がしたかったんだ!? お前ら……」
まだ呆然としてるわね。無理もないけど……
「クリークちゃんも言ってたけど……この島のイベントはぜ〜んぶアマちゃんがプロデュースしてるのよー!」
初めて聞かされた時はふざけすぎって思ったけどね。ホントにアイツ……
「プ、プロデュースだぁ? あの人間は何をする気だ……」
「それをお前が知る必要はねぇよ……ホーディ。」
シャーリーさん側……つまり本物のアーロンが悠然とホーディに歩み寄る。
「ううっ! くっ……ハチさん、クロオビさんにチュウさん……それにマクロ一味……まさかアンタらもか!? 魚人としてのプライドを無くしちまったのか!?」
「チュ! 悪く思うなよ〜 一目あの人見たら本能が理解しちゃってさ〜」
「エイヤ! 愚問だな……我が空手は海神様の為にある!」
「…………」
なんかしゃべらないハチ。どーしたのよ? なんかタコの人魚のおじさんばっかり見てるけど。
「ぐぬ……いや……1番許せねぇのは……アーロン……アンタだ! 幼かったおれ達に人間に対する怨念、憎悪を植え付けた張本人が下等生物である人間と仲良しこよし……無様にも程があるだろう!!!」
うん。確かにそれだけは同意だわ。
「確かに……無様と言われても否定は出来ねぇなぁ……
きっかけはカシラ……伝説の海神を生で見ちまった事だとはいえ……事実その後に人間達の仲間になっちまったからなぁ……」
「海の神なんぞ……しゃらくさい!! そんな迷信を盲信する貴様ら全員……一人残らず海の藻屑にしてやる!! そうだ……いい事を教えてやる! ……10年前、オトヒメを殺したのは……おれなんだよぉ!! ジャハハハハ!!」
「「「知って(まし)た。」」」
あらあら王族達と島民達の見事なハモリね。
「ハア!!?? な……どういう……何の冗談だ……し、知ってただとぉー!?」
仰天しっ放しねアイツ……可哀相すぎるわ。
「海神様に聞いたんじゃもん。わしとしてはなホーディ……二年前のその時……今すぐ貴様を殺してやりたかったが……お前の兵力……すなわち人間に反旗を翻す者達を一カ所に集める良い機会と知らされてのう……我慢に我慢を重ねたのじゃもん!」
ホントにシオリって何者かしらね? さっきの時に聞いてもはぐらかされたし……
「け、傾世のシオリは……リヴァイアサンの様な姿になれるとは言え人間だぞ! なぜ下等生物に媚びへつらう!!」
「一目会えば分かる……」
そろそろかしらね……
「蜃気楼(ミラージュ)解除!!」
「うわあ!? いきなり女が出てきたっヒ!?」
「キャー!?あれは海賊船かー!?」
手がいっぱいあるでかいのとかわいいおチビちゃんが驚いてるわね。
「き、貴様らは……麦わらの一味に……ジンべエ、雷神エネル、悪食王ワポルだと!? け、傾世の一味が……まさか最初からここに……」
「麦わらの皆さん! ヤツらの海獣共は我々に任せろ! 幹部達の相手を頼む!」
「おう! 分かった!」
フカボシちゃんの指示でルフィ達と私達はホーディ達に向かう。
「「「うお〜麦わら達〜頑張れ〜!アーロンさん達も手加減してあげてね〜」」」
いよいよ新魚人海賊団てのと戦いが始まるわね〜
〜数時間前・海の森〜
「ルフィ、それに麦わらの一味であるおぬし達に話して、そして謝まらなければならぬ事がある。」
ジンべエがそう切り出した。アーロンを東の海に解き放ったのは自分だと語る。
その彼にサンジ君が詰め寄る……けど、大丈夫だから私は……
「ずいぶん酷い目にあわされたのじゃな……」
「えぇ……何があっても今更アイツを不憫だとは思わないわ……なんでか知らないけどシオリの部下になってたし……けどさっき……ホーディとかいう魚人の所にいたわ……」
「なっ……何じゃと!? ……一体どういう事じゃ……」
そこで、アーロンがシオリに悪魔の実を食べさせられたらしいという話をする。
「!? シオリさんがそんな事を!? う〜ん……言ってた事が違うのう……彼女はアイツを地中でも空でも溶岩の中でも体が凍る程の極寒の地でも宇宙とかいう空間でもどこでも戦える無敵の戦士にすると言っとったんじゃが……」
「「………」」
包帯とエネルがなんか微妙な表情してるけど……何よ? エネルが包帯の肩に手を置いたりしてるし。
「アーロン? アイツなら」ドゴッ!
エネルが何か言いかけたワポルの脳天に肘打ちを落とした?
「邪魔したな。続きを。」
「う、うむ……」
改めて過去この島に起きた事やジンべエ、アーロン自身の事を語ってくれた。
それにこの島の二人の偉大なる先人であるオトヒメとフィッシャータイガーの事も。……ホントに色んな事情が複雑に絡み合ってるわね。
「とにかく……アンタがアーロン一味の黒幕じゃなくて良かった……だってルフィの友達でしょ?」
「!? ウ、ウム……そうじゃが……しかし……」
「アンタが謝る必要はねぇ……全てはおれ自身の罪だ……」
ん? 包帯がいきなり割り込んできて……え!? 包帯を取っていくけど…………なっ……そんな……
「「ア、ア、ア、アーロン〜〜!?」」
……なんとなく……そうじゃないかな〜とは思ってた……けどなんか性格が軽かったから自信なかったのよね……
「ア、アーロン……おぬしなぜここに……今回の件一体どうなっとるんじゃ!?」
「それもこれももうすぐ分かるさ。直にここにカシラが来る頃だし……だから来るまでに色々身辺整理しとかねぇとな……」
「身辺整理じゃと!? おぬし何を考えて……」
「その前に……色々聞きたい事があるわ。……お城にいたアーロンはなんなの?」
あの時包帯のアーロンはいたし……思いつくといえばバロックワークスのオカマぐらいだけど……
「あれはボン……お前らにとっちゃMr.2ってのが分かりやすいか? アイツだ。」
やっぱり……あ、でもあの突撃技とか使ってたけど……確かマネマネって外見だけじゃ……
「ああ、カシラの地獄のシゴキの結果進化したんだ。格下なら24時間、おれの様な同格なら1時間、ジンべエのアニキや麦わらの様なちょい格上なら30分、大将とかの格上なら10分間、カシラの様な超格上なら3分間だけ同じ強さになれる。」
「「「…………」」」
ちょ、ちょっと冗談でしょ? 何その反則……
「今回の麦わら達へのドッキリを思いついたらしいキッカケがボンの進化だったからな。」
はあ? ドッキリぃ!?
「ドッキリってどういう事よ! シオリは一体何がしたいのよ!?」
「だからそれは来たら直接言うと思う……それよりナミ……」
「な、なによ……やる気? 私だってけっこう強くなったんだから!」
「いや、おれはお前に危害を加える事はもうねぇよ…………その逆だ。」
!? な、なによ……神妙な顔して…………逆?
「おれは……お前やお前の村を苦しめた……極めつけは親のカタキだ……おれの命……好きにしてくれ。」
!? なっ……コイツ……ホントにあのアーロンなの!? し、信じられない……
「カシラに会って尽くせて、同胞である魚人達の事も安心して任せられる……正直おれがいなくても影響はねぇさ……」
「…………」
「……ナミさんが直接手をかけるわけにはいかない。おれが代わりに……」
「ありがと、サンジ君。でも大丈夫だから。……アーロン……」
魔法の天候棒を振りかざし『突風(ガスト)ソード』を起動させる……
アーロンは微動だにしない……本当に……死を……覚悟してる……?
私はそんな彼に向かいガストソードを振り下ろした。
ザシュッ!!
「「「!!?」」」
「な、なぜ……」
ソードはアーロンに当たらず地面を裂いた。
ガストソードを外されたアーロンが呻く。
「復讐の繰り返しなんて……悲惨なだけ……誰かがいつかは断ち切らないといけないわ……
それにアンタもシオリのおかげで改心したようだし……」
「う、うおおおお…」
号泣するアーロン……これで良いのよね……ベルメールさん……母さん……
「よく決断してくれたな……ナミ……」
!? その声は……
「「「シオリ!?」」」
後頭部になんか3歳ぐらいの小さい子をひっつかせた金髪のカツラを被った怪しいサングラスが現れた……って、あれ?