〜シャボンディ近海の海底〜
〜返り血のコリブーside〜
はえ〜 海牛止まってくれ〜! 兄助たすけねぇといけねぇのに〜 あんなすっごい悪そうなヤツらのトコに置いてけぼりにしちまった〜
ひどいコトされないでくれよ〜 だいたいなんで急に逃げたんだ〜?
どうしよお〜……あれえ? 誰だあ〜アイツゥ〜
「モオオオオ〜!?」
海牛にはねられちゃうぞ〜? あの包帯だらけの人〜 ……ケガ人かなあ〜? あ〜海牛まだ暴れてる〜
「……止まれ……モーム。」
な〜んかカッコイイ声の人だな〜ゴッツイ体だけどお〜
「モオオオ!!」
「おれだ……」
「!? モ〜♪ モ〜♪」
はえ!?
「あんなに簡単にとめちゃった〜誰だ〜?」
「……海賊カリブー、コリブー兄弟の片割れか……お前が知る必要はねぇよ。さっさと行っちまい……いや、悪いが乗せてもらうか。おれも行きてぇトコがあるんでな。」
「はっはえっ!」
なんか知んないけど逆らえないような〜
とにかく〜兄助〜今〜助けにいくぞ〜
〜ナミside〜
……さっきは驚いたわね。まさかアーロンの所のモームに会うなんて……
ハチに会わせたい所だけど……そんな暇はないしね〜そもそもレイリーにも聞いたけど一年ぐらい行方不明らしいし……
それはそうと……ルフィ達は相変わらずおバカさんねぇ…
だいたい何よ炎分ソードって! それにムカつく顔で茶すするし、ふてぶてしさが増してるわ……
……っとと、あれが『下降流のプルーム』…とてつもなく巨大な滝だわ……ウソップの言う通り底が全く見えないし……ヘタな行動一つしただけで一発アウトね。
……あら?なんか動いた……!? ちょちょっと! なによアレェ!!?
「うわああああククククラーケンだあああ〜!?」
ウソップやチョッパーが絶叫。私もしたいんだけど。
「うほぉぉぉ! かっけぇぇぇ! あっいい事考えた! アイツ手なづけよう♪」
キャ〜〜!! なんて怖い笑顔〜って、その笑顔どっかで見たような……どこでだっけ?
「けど問題はここが海の中って事なんだよな〜」
「違う違うあの大きさが問題……いや大問題だ〜」
うん。ウソップの言う通りだわ。
「いや〜? あんぐらいの迫力のヤツなら島のヤツらでなれてるし、シオリに比べたらかわいいもんだぞ〜」
いやいや、あんな非常識持ち出さないでよ。
「テメェ〜〜! シオリさんよりあんなバケモンがかわいいって、ケンカ売ってんのかあ!!?」
サンジくん……一体2年の間に何が……どんな所で、どんな修業したのか聞いても教えてくれないし。
「兄助〜助けに来たぞお〜」
あら? さっきの船……かしら? 性懲りもなく来たわね〜 モームも正気に戻ってるし。
というかこの長い舌の変態うるさいわね〜いっその事外に投げちゃえば? ……って、あ! アイツらの船が……クラーケンに潰された!!
「おおおお〜!? コリブゥゥー!? なに簡単にやられちまってんですかぁ〜!!?」
ムカつく喋り方ね……!? 船から誰か出てきた! 誰!? 海中でもそのままって事は魚人?
全身包帯で……2m50㎝はあるわね……けど、どっかで見たようなフォルムな気が……
「モーム、お前は帰ってろ。」
「モオ〜〜」
やけに寂しそうね……というかどっかで聴いたような声……
と、アタフタしてる内にフランキーじゃない方の変態の提案でルフィ達にシャボンコーティングを施す。これで勝てる!
「お願いだから船に近づけさせないでよ! アンタ達!」
「んナミすわ〜ん! 行ってきま〜〜すっ!!」
とにかく三人とクラーケンの戦いが始まったわ。時折来る巨大なタコの脚をフランキー、チョッパー、ロビンが防いでくれた。その隙にルフィが……
「ギア3!……『武装色』硬化!!」
ちょちょっと! 何なのあのバカでかい手が黒くなってる!? ……どんどん非常識になっていくわね〜ルフィったら。
けど、海中だからか手間取ってる……無防備なルフィのカバーにサンジくんが入り……ゾロも…
「うおっ!? なんだテメェは!?」
包帯の人が立ちはだかった?
「…………」
「なんか言いやがれ!(……ナニモンだ? いや……コイツ強ぇ……)」
ゾロとにらみあってる……うかつに動けないって事は強いのかしら?
……って、あ! タコの脚がルフィに!?
「…………」
包帯の人が……水を掴んだ!? どういう原理なの!?
「人魚柔術(マーマンコンバット)……ウルトラマリン!!!」
!? 包帯の人が水を離すと巨大な水の奔流が生まれてクラーケンの脚を弾いた!
「うわっ! ジンベエみてぇな事してんな!」
ルフィが驚いてるけど……ジンベエって確か……
「ちっ……付け焼き刃じゃさすがにネプチューンみてぇな規模のは作れねぇか……」
ネプチューンって誰!? いやいややっぱりこの声どこかで……って、あ! ルフィ!
「ゴムゴムのぉ〜! ……象銃!!!」
ドゴオオン!!!
「うわあ〜〜!? ぶっ飛ばしたあ〜!?」
すっご〜い! 2年前よりめちゃくちゃ強くなってない!?
「ありゃ、ルッチのヤツより打たれ弱ぇな。」
え? それって確か……
あれ?タコの口からなんか出てきた……サメ? いやだけど、あんなに大きいのは見た事ないわ……それに……あれって服着てない?
「! メガロか?」
と、包帯。……あ! メガロドンって種類だっけ!
あ、サメがもうどこかにいったわ……一方のルフィは……
「よっし! クラーケン! 言う事聞け〜!」
ちょ、ちょっとこんな動物が言う事聞くわけ……聞いちゃった〜!?
「フン……さすがだな。」
包帯の人……ルフィを知ってるの?
「よし! お前の名前はスルメだ!」
いや、ちょっと……
「イカみてぇな名前じゃねぇか! これからイカの名前で生きていくタコの人生考えたれ!!」
さすがウソップ。一つのツッコミに詰め込むセリフ量がハンパないわ。私じゃ一息で詰めこめるの半分ぐらいだし。
「ちょうどいいな……おれも魚人島まで乗せてくれねぇか?」
怪しさ全開なのに図々しいわね……
「なんで顔隠してんの? 私達に見せられないワケでもあるのかしら?」
「…………時期が来たら見せる。それまで待ってくれねぇか?」
時期? とにかく信用出来ないわね。悪意は感じられないけど……
「おお、いいぞ。なんか悪ぃヤツじゃねぇみたいだし。」
「ちょっと、ルフィ……」
また勝手に決めて……まぁ万が一が起きても男連中に任せとけばいいか……
「アイツ……なんか……」
ゾロ、サンジくん、ウソップが不思議がってるけど逆にチョッパーやロビン、フランキー、ブルックは何の警戒もしてないわね……どういう事?
謎の包帯男を加えた私達はスルメに運ばれて下降流を降りていく。
気持ち悪い変態は縄でがんじがらめにした。
「うう……ここここが深海……なんておっかないトコだぁ……しかもさみぃ〜」
服着なさいよウソップ。たくましくなった肉体見せつけたいのは分かったから。
「だいたい7000メートルぐらいまで潜っちまった……外に出たら魚人でもないかぎり死ぬぞ。」
寒くないのかしらフランキーは……まぁ元々変態じみてたからいっか……
「大量に強ぇ気配があるが……こうも暗いとな……」
気配を感じるって……すご「「ああ、感じるな」」
ルフィとサンジくんも!?
「それって覇気という技能……だったかしら?」
ロビンは知ってるんだ。さすがね。
「ああ、レイリー達にみっちり鍛えられたぞ!」
「おれは鷹の目のトコに飛ばされて……稽古つけてもらった。」
「おれは…………うぅ……お、思い出しただけで……おのれイワ! エリザベスめ!」
ホントに何があったのかしら? ……なぜか決して知ってはいけない気が……
「あっ! 見聞色の覇気ってのならおれも使えるぞ〜」
えぇ!? ウソップも!?
「オメェら、修業の成果はあった様だな。おれも負けてらんねぇぜメカ!」
「メカが付いた!?……うん! フランキーなら合体ロボとか作れそうだよな〜?」
「おうともよ! いずれスーパーなモノを見せてやるぜ!」
ロボットって……そんなデタラメで非常識な……
「賑やかだな。お前らんトコは……うちの所と似てるぜ……」
包帯男……そういえばいたんだっけ。
ん? ……うちの所って……コイツも海賊なの!?
とまぁマッタリ進んでたんだけど……
「あ! なんだあの光!?」
「! 急上昇しろ! 今すぐだ!」
包帯男の言葉を受けてルフィがスルメに指令を出す。
「「うわっ! でっかいアンコウ!」」
間一髪食べられる所をなんとか回避。……その後も包帯男の指示で安全圏を進んでいくんだけど……ホントに何者なの?
途中、ワケの分からない巨大なオジサン(のわりにはかわいい声だったけど)に襲われたりそのオジサンと一緒に噴火した海底火山から逃げたりとんでもない目に遭ったわ。……フゥ魚人島に着く前から疲れるわね〜
「お前ら、海淵に着いたぜ。」
海淵って確か……海溝の底だっけ?
「んで……あれが魚人島だ。」
!? あれが! ……めちゃくちゃ大きなシャボンに包まれた島……空気はありそうね。
「ん? 何人か近づいてるな……」
ルフィ達が見た方向を見ると……何かが迫ってきた……って……えぇ!? なんで海中にキリンとかがいるの?しかもものすごく大きいし……
「あれはああいう海獣だ。」
と包帯。やっぱり海の生物に詳しいわね。
「何を人間なんぞに従わされてんだ!クラーケン!!」
!? 誰よ!……わったたっ…!? ちょっとスルメいきなり捨てる事ないで……!! あっアイツらが目の前まで来た!? あの位置に陣取られたら魚人島に入れない……!
海獣は全部スルメ並に巨大でしかも6頭も……それによく見たらそれぞれに乗ってるヤツらもいる…………えっ!? アレは……
「アーロンのマーク!?」
「…………」
ん? 包帯のヤツ……なによ?
「お前達、麦わらの一味だな? ……かつてアーロン一味の野望を踏み潰した海賊。
それだけなら単純に敵だのに……アーロン一味の幹部のハチさんを助けたとも聞いている……」
「…………ハモンドか。」
知り合いなの? あの姿は多分……ハモ。隣は……タコの人魚?
「アンタは……同胞である魚人に見えるが?」
「ああ、一応魚人だ……」
な〜んか歯切れが悪いのよね〜コイツ……
「本当に扱いに困る! 答えてくれないか! お前達は我々魚人の敵なのか味方なのか! 『新魚人海賊団』に降伏するか否か!」
ヤバいわね。ここは……
私の提案でサニーのクー・ド・バーストで魚人島に突っ込む事になった。
とにかく気取られない様に……
「クー・ド・バースト!!!」
海獣の攻撃をくぐり抜け魚人島に突っ込む。
うっ! コーティングが……! それにまだ……お、溺れ……!? アイツは……包帯? 包帯がロビン、フランキー、ブルックを掴んでさらに私を……
……………………
〜魚人島・魚人街ノア〜
〜???side〜
「船長! あの麦わら達がやって来ましたっ! ……ですが無茶苦茶な手で魚人島に突っ込み振り切られちまいましたが……」
ハモンドか……ふん……どうやら煙にまかれたようだな。
「ほう……! 麦わらのクソ共か!!」
猛ってるな……アーロンさん。
「チュ! 久々だな〜」
「エイヤ! 今度は! 負けん!」
「ニュー! やっぱり麦わら達とは仲良くできないニュ!」
幹部さん達も気合いが入ってるな……ん? そういえば……アーロンさん……
「アーロンさん……なんでバブリーサンゴを…?」
まるで人間みたいじゃねぇか……
「おおホーディ! 聞いてくれるか! これはおれが傾世のシオリを見限ったキッカケになった理由でもあるんだ!」
傾世のシオリ……嘘か真か、あの伝説の海神リヴァイアサンの化身と噂されているが……
馬鹿馬鹿しい! たかが人間が神を騙るな! 絶対に殺してやるぞ!! このおれの手でな!!!