〜海軍本部マリンフォード〜
〜王下七武海・鷹の目のミホークside〜
全く……今日は驚愕の連続だな。アマクサ・シオリの乱入……それだけで全ての流れが変わった。
一つ一つの策が見事に海軍を引っ掻き回す……ヤツはこの時に備え長い間潜伏していた様だな。
さらにヤツは神々しい威圧感を放つ海獣に変身した……東の海で感じた気配と同じだが……あの時とは次元が違うな……これが本気という事か。
そのアマクサに大将達が総攻撃を掛け、おれも7、8割ほど力を出したが……全く堪えないとはな。
これでは戦いとすら言えんな。まさにドフラミンゴが言う様に詰みだろう。
その後間髪を入れず白ひげ、アマクサ、雷の男の四連撃が襲い掛かってきた。
なんとか見切れたが……能力者はひとたまりもなかったか。
光速の動きを誇る黄猿はもちろんだが処刑台近くにいたドフラミンゴ、ハンコック辺りは難を逃れたがセンゴクと青キジが重傷を負い、赤犬は戦線離脱の様だな。
アマクサは初めから赤犬だけを標的にしていた……殺気が尋常ではなかったしな。理由など知りようもないしどうでもいい事だが。
この戦い、もはや勝負あったな……だが、剣士として生きてきた自分にとって……このまま尻尾を巻いて逃げるという選択肢はないのでな。……死と隣り合わせのいくさ場に向かうとするか……
と、アマクサに向かおうとした……その時。
「げっ!? 鷹の目ぇ!?」
この闘気、何者だ……!? 東の海で潰したドン・クリークだと? 短期間でこうも成長するとはな……フ……面白い…………ん?
「逃げぬのか?」
「……ここで逃げたら結局は前と同じだ。どうせなら華々しく散ってやらぁ!!」
「よく吠えた! ……餞別に本気で斬ってやろう」
愛刀に強烈な覇気を纏わす。
「うっ!? なんだぁこの殺気はっ…………!? なんだ!? 刀が光ってる!!」
!? ……まさか覇気を体得したのか? ……これは評価を改めねばならんな。
「……硬度5・金斬……金色夜叉!!」
強者にしか使わぬ黄金の覇気の斬撃がヤツを斬り裂いた。
〜ガープside〜
「……………………!? むっ! ……戦況は……どうなっとるんじゃ!?」
シオリの一撃で昏倒していたわしは目を覚まし、なんとか回復してきたが……
この惨状は……まさかあのシオリがやったっちゅうんかい……ここまでしてのけるとはのう…見事なまでの非情さじゃ……それを見切れんかったわしも衰えたという事か……コビー達は……遠くの方で伸びとるのう……運良くヤツらの攻撃から逃れられたか……ボガードが助けてやっとるようじゃな……
「おっ! 英雄ガープに……『みじん斬り』のボガードかい……」
むっ……この殺気は……
「ぬしゃあ……シリュウか……この裏切りもんがよくのこのこと来たもんじゃの?」
「ケッ……減らず口は流石だなぁ……さて大物食いと決め込むか……」
「……中将は先に行っていてください。」
む……ボガード……しかしいかにお前でも……
「足止めぐらいは出来ますよ……」
「フン……言ってくれるぜ……まぁ下手な中将よりは骨があるのは分かってるがなぁ……」
流石はシリュウ……見抜いておるか……
「……『雨の』シリュウ……来い。」
「フン……さぁて……とことん殺り合うかぁ……」
ぬ……ヤツの刀が赤く……いきなり能力を使いよったか……
「血線!」
「短冊斬り。」
ヤツの刀から赤いレーザーらしきものが放たれたがボガードはこともなげに斬り捨てたのう。
「おおう……覇気で固めた血を斬るか……流石だねぇ。少し手抜きしすぎた様だ。」
「……やはりな。噂通りの能力の様だ。ブラブラの実の血液人間。」
初めて聞いた時は何の役に立つんじゃ? と思ったが……ヤツの戦いを見たらそんな愚かな疑問は吹き飛んだな。ヤツは……
「ククク……流石に知られてやがるか……まぁどうでもいい事よ……少しだけ力を入れてやるかぁ……血煙!」
むおっ……辺り一帯に赤みがかった霧が……おそらくあの能力か……
「……流し斬り!」
ボガードの剣撃が霧を斬る……が再び霧が一つになりおる……
「図抜けた技量だが……それだけじゃな……覇気の強さは……おれの方が上の様だ。……って事は分かってんだろ? この技が発動した以上、一ヶ所でも傷が出来ちまったらオメェの負けが確定しちまうってなぁ……」
確かにのう……ボガード以上の覇気使いなんぞそうはおらんのじゃが……シリュウはその数少ない一人……やはりわし……
「中将……二度は頼みません。先に……」
オオオオオッッ!!
なんじゃ?この歓声は……ふと歓声がした方に目をやればルフィが妙なハサミ男が作りだした即席の橋を登っておる…
くっ……えぇ〜い! 迷ってるヒマはないわい! すまんボガード!!
急いで妙な橋に向けジャンプする。
「フン……邪魔は消えたな。じゃあ殺るか……」
「…………」
ボコォォ…ン!!
うむ、上手く壊れずにすんだようじゃ。不退転の意思を込めルフィの目の前に立ちはだかる。ボガードの方は……任すしかあるまい……
「! じいちゃん!? そこどいてくれ!!」
ぬ! 孫……倒せるのかわしは……じゃがわしは……それでも海兵じゃあ!!
「ここを通りたきゃわしをぶち殺してでも通らんかい! 麦わらのルフィ! それがお前達の「骨風船! ……ゴムゴムのぉぉぉぉ! 巨人のJET砲弾(ギガントジェットシェル)!!!」
!!?ぬっ!?なんという圧力!! だが若憎に負けるわけにはいかん!
「大鉄拳!!!」
ドゴオアアァァ!!!
むう!? わしの一撃を押し切るとは…………見事な一撃じゃ……迷いを払うとこうも強くなるか……ルフィよ……
〜麦わらのルフィside〜
エース! 助けるぞ待ってろ! ……くっそ〜ギア3使っちまったから体が縮んだままだ〜
「麦わらのルフィ〜死になよ〜」
げっ!? ピカピカのヤツ!
「神の裁き(エル・トール)!!」
おぉ!? おれをなんかが通ってったぞ!? エネルかぁ!?
「ぬっ! ……また君かい。つくづく邪魔を……」
「これだけお膳立てしてもらって、助けられなかったでは済まさんぞ麦わらのルフィ!! シオリの期待に応えてみせよ!!」
「分かった!!」
「ぐ……執行人! エースを処刑しろ!」
大仏のオッサンが怒鳴った。くっそ〜させねぇぞ!
ドクン……
「やめろおっ!!!!」
ドンッ!!!
あ、ありゃ? エースを斬ろうとしたヤツらや周りのヤツが倒れちまったぞ? けど、今はそれより!
「ぐ、マジか……」
ボロボロの青キジがなんか言ってるけど関係ねぇ!
「ル、ルフィ……お前……」
「エ〜〜スぅ!!」
ハンコックにもらったカギで手錠を外したぞ!
「……全くお前は……昔からそうさ。おれの言う事もろくに聞かねぇで無茶ばっかりしやがって!」
「うるせぇ! もうおれは一人前の海賊だぁ! 助けたいから助けただけだぁ!!」
「へっ……全く……(成長したなぁ……)最後まで気ぃ抜くなよ!」
「おう!!」
〜『黒ひげ』マーシャル・D・ティーチside〜
ゼハハハハ!! 長い年月、雌伏の時を耐えいよいよこの時がやってきたぁ!
オヤジの元でヤミヤミの実を手に入れる機を待ち、見事に入手成功した!
だが……これだけじゃあ完璧とは言えねぇ。オヤジ……いや、白ひげのグラグラの力……これも手に入れりゃあ間違いなくおれの天下だ!
そのためにゃあ一つのミスも許されねぇ……ラフィットやオーガーなどかなり使える部下共がいるが、もう一押し必要だ……
そこで目をつけたのはインペルダウン。その中でもレベル6といやぁ存在すら公にできねぇ最悪最凶の囚人達……
コイツらを手に入れる事ができりゃあ白ひげを倒せる!
そのために七武海の称号を手に入れたんだからなぁ!
悪魔の実の力を過信したエース隊長をぶちのめし見事七武海となったおれは堂々とインペルダウンに入れたワケだ! そして、レベル6の囚人共を解放しようとしたんだが……
牢獄の大半が水没してやがった……一体何があったってんだ?
まぁいい……噂の巨大戦艦とかいうのはいなかったが、大酒のバスコショット、若月狩りのカタリーナ・デボン、悪政王アバロ・ピサロを手に入れられたんだからな!! 天がおれに味方しているのを感じる!!
そんなワケでもうインペルダウンには用はねぇ! さっさとマリンフォードに行くとするか……
んで、到着したが……すげえ戦いだなぁ! どいつもこいつも必死こいて……特にマルコ共が必死すぎるのが泣けてくるぜ。笑いすぎてよぉ〜
しかし……あの傾国ってのはとんでもねぇバケモンだな……ヤツの力で海軍共がエライ目にあってせいせいするぜ!
傾国もいずれは片付けるが今は無理だな……新世界での最大の敵になりそうな予感がするぜ!
だが悪魔の実の能力者である限りおれには勝てねぇ!
……! 白ひげめ! 吐血して辛そうだなぁ……傾国の方もすぐには駆け付けられねぇぐらい離れてるし……ここだぜ!
「ゼハハハハ!! 久しいな! 死に目に会えそうで良かったぜオヤジィ! それは末期の酒かぁ!?」
「ティーチ……」
うずくまったままだな……立てねぇとはいい感じにダメージが溜まってそうだぁ……
さっさとぶっ殺して世界をアッと驚かせるショーを見せてやる!
おっと……どうやってここに来れたかセンゴクの野郎が問い詰めてるのをラフィットが答えてるな。
ゼハハハハ!ラフィットの能力はホントに使えるぜ! それにしても……
「エース隊長ぉ……まだ死んでなかったのかぁ!? そのまま退散するのか? 腰抜けの集まりじゃねぇか! オヤジの腰巾着共がよお! しょせん過去の遺物だなあ!」
「! ティーチィ! 取り消せぇその言葉!!」
処刑台から麦わらと一緒に来やがったか……能力をいただいたら真っ先に始末してやるか!
「ゴミ山の大将共々おめでたいヤツらだぜテメエらは! ゼハハハハ!」
「『白ひげ』はこの時代を作った大海賊だ! おれの青春の全てだぁ!」
「アホかぁ!!」
!? 傾国がエースを殴り飛ばしたぁ!?
「う……シ、シオリ?」
「あんな安っぽい挑発に乗ってんじゃねぇ! この戦争がなんで起きたのか……理解してんのか!?
もう双方に甚大な被害が出てんだ! もしここでやられたりしたらてめぇはそいつらに償えんのか!!」
「!……悪い……けど、オヤジを……」
「んな事をいちいち気にする男じゃねぇってのはお前らが一番知ってんだろ。
黒ひげのはただのガキの癇癪だ。相手にする価値もないんだよ。」
こっこのガキ!?い、いや傾国やエースなんかどうでもいいんだ! 白ひげの能力を手に入れられたらいつでも消せるんだからな!
「ティー……チィ……」
「ゼハハハハ! 今トドメを刺してやるぜ!」
「サッチの無念……オメェを始末してケジメをつける!」
「死にかけの体でよく吠えるぜ! 闇穴道(ブラックホール)ぅ!!」
「なっなんだ!? 黒ひげから黒いナニカがっ!?」
烏合の衆は黙ってろい! このヤミヤミの力でトドメを刺してやるぜぇ過去の骨董品よぉ…
「…………!」
おおっと! 振動パンチなんざ効かねぇんだよ!
「おれの前では『悪魔の実』の力は全て無力になるのさぁ! おとなしくくたばりやがれぇ!闇水(くろうず)!!」
「むぅ……振動を?」
「ゼハハハハ! もう地震は起こせねぇぞ! オヤ「そうかい……だいたい分かった……じゃあ、とっとと消えうせろティーチ!!」
!? なにを言って……ん!? そういやなぜ死に体のコイツがこうも動け……「フン!!」
「!? ぎゃあああ!!?痛ぇ! ちくしょおお!」
薙刀が刺さりやがったぁ……バカな! ありえねぇ!? この力……まるで全盛期の……
「ガベッ!?」
ちょっまてなんだこの腕力は……てっ手を離せ首が「……過信……慢心……軽率……全てがお前の弱点だ。」
「オイやべろぉ! オヤヂィおれは息子だど本気で殺す気」ドゴォン!!
「ぎゃあああ!? 何が……一体なんだってんだぁ!?」
「ああ……今の白ひげな……生命力満タンでしばらく『無敵』なんだわ。
俺の秘蔵のアイテムでなぁ……お前にグラグラの実の力、与えるわけにはいかねぇんでな……」
!? ハア!? なんで無関係のコイツがそんな事を知って……ってヤベェ殺される!! あっそうだ!仲間に……
「早くおれを助けろぉっ!!!」
早く助けやがれ役立たずかよ! くそったれが!
「! 船長を助けるぞ!」
と、とにかく一刻も早く逃げ……
「ぬぅぅぅぅん!!」
「「「ぐわっ!!?」」」
くそっ白ひげの振動パンチが皆をふっ飛ばしやがった!
「クックックッ……イワさん、ウルフパ〜ス♪」
「分かったチャブル! んぅ〜ナ! パァァース!!」
「わったっつったっ」
なっなんだ傾国の野郎何を受けとったんだ!?
「エース! オーズにコレ飲ませろ! エクスポーションだ!」
「あ、ああ!」
エースの野郎がオーズとやらに駆け寄っていきやがる……
「母ちゃん?」
「よ〜し……ストレス発散してこい! 『うちでのこづち』!」
なっなにが! さっきから何をしてやがる!? ……傾国がなにかで人形の頭を叩きやがったが……!? 人形がどんどんでかく……っアレはまさか巨大戦艦……サンファン・ウルフだと!!? なんでアイツが傾国に……まさかおれはアイツに……
「白ひげ……トドメ刺したい気持ちは分かるがちょいと待ってくれ。ちいとばっかり俺もヤツに用があるんでな……」
「お前の事だ……えげつねぇ事考えてんな?」
!?ヤツがリュックから取り出したのは悪魔の実…!? ま、まさか!?
「や、やめろお! 傾国ぅ!」
グラグラの実を食わなきゃ……他のじゃダメ「がっ!?」
なっなんて怪力だ! 赤髪や白ひげなんて比べものにならねぇぇ! いくらなんでも異常すぎる!? アッアゴが砕けちまうぅ!?
「じゃあゆっくり味わってくれ。何、おそらく心臓が二つあるんだから多分死なねぇだろ……」
!? バッバカな!? なんでソレを…
ゴクンッ!!!