〜海軍本部・マリンフォード〜
〜元帥・仏のセンゴクside〜
いよいよか……我々海軍の正義と誇りを賭けた一大事。白ひげ海賊団二番隊隊長『火拳のエース』の公開処刑。
……当然、白ひげはやってくるだろう。姿を消した様だが必ずな。
そして、間違いなく過去にもそうはない規模の戦争になるだろう。
その際、条約によって我々海軍と共に戦う戦力として王下七武海の力を借りる事になったが……
モリアが詳細不明の大怪我で脱落、ティーチに到ってはなぜか連絡がつかんとはな……
それに加え、インペルダウンでは麦わらのルフィが潜入したという。しかもなぜか傾国のシオリまで現れおったらしいが。
……傾国のシオリ…クザンの推薦も有りクザンと互角に戦った事から七武海勧誘の話もあったが…ティーチが加入…いや、それ以前にエニエス・ロビー襲撃、PXシリーズ略奪で立消えになっておったな…
その傾国のシオリと共に軍艦を奪いこちらに向かっておるとはな。しかしどうやって正義の門を……
……色々不安要素はあるが一つの策も失敗する訳にはいかん。
火拳のエース。こやつは今すぐ死ななければならん! あの男の血を引く以上は……
…………あの男は嫌いではなかった。海賊のくせにガープともケンカ友達の様であったし、実際お互い若い頃は敵同士なのにわしとも何度か飲んだ事もあった
だが、人格は別にして『ゴールド・ロジャー』という海賊は政府にとって生かす事ができなかった存在だった……
……さて、そろそろか…
電伝虫を取り、この処刑の意味を世界中に伝えていく。
「お前の父親は!……『海賊王』ゴールド・ロジャーだ!!」
Dの名は伝えてはいけない。あくまで、ゴールド・ロジャー……のまま死んだのだ。ヤツは。
わしが伝えた途端大騒ぎになる広場、そして世界……当然か。
経緯を話し白ひげの事で噛み付いてくるエースを論破し、決意を表明する。
「だからこそ今日! ここでお前の首を取る事には大きな意味がある! たとえ白ひげとの全面戦争になろうともだ!」
ウオオオオオッッ〜!!
士気が上がる我が軍。そうだ。少しでも勝率を上げるには迷いを払拭せねばならんのだ!…………ところが!
伝令兵から正義の門が開けられたという信じがたい報告を受ける。
さらに白ひげ傘下の海賊共達が突然現れおった。
報告はなかった……まさか!?
マリンフォード湾内海底から巨大な泡が無数に……そう来たか! ヤツらコーティング船で!
「うわああああ〜モビーディック号が来たぁ〜!!」
巨大なるヤツらの旗艦モビーディックが3隻の白ひげの船と共に現れ、旗艦から一人の男が威風堂々とゆっくり姿を現した。
さぁ……腹括っていかんとな。
〜???海底〜
〜大海賊『白ひげ』エドワード・ニューゲートside〜
「オヤジ!もうすぐマリンフォードだ!」
「おう。オメェらも気ぃ張っとけよ!」
「うっす!」
今ん所問題ねぇ様だな……
しかし……息子を止められなかったおれぁとんだ間抜けだなぁ……
アイツに余計な気を使わせちまったあげくこのザマだ。父親失格だぜ。
だが、死んでも助けるぜおれはよ……それがオヤジと呼んでくれたオメェに唯一出来る礼だからよ……
それと、そんなおれのわがままに息子達だけでなく、共に同じ道を歩む同志達にも助けの手を借りちまった。
……ヤツらも命の限り守らねぇとな。グララララ!
「オヤジ…この前来たあの女…ホントに信用出来るのかな?」
「グララララ…大丈夫だ。マルコ達にも同じ事言われたが、それはおれが保証する。」
『よぉ……エドワード・ニューゲートぉ。いや……エド』
「なんだぁ? オメェはなぜその呼び方しやがる? ハナッタレの娘っ子が…………」
グララララ! まさかあんな事があるたぁな……長く世の中生きてきたが……分からねぇもんだ。
「オメェら非戦闘員は中で待機。もし船が危なくなったら別の船に移れ。」
「しかし、モビーディックは……」
「確かに船はおれらの家だ。が、家は人がいてこそのものだ。死ぬ事は許さねぇ。」
「オヤジ……」
「……よし、マリンフォードに着いたな。行くぞ!オメェら!!」
「おう!」
「聞こえるか!?マルコ!ジョズ!気合い入れてけよ!!」
『おう! まかせろ(よい)!!』
んで、浮上……外に出ると……おおう、すげえ光景だなぁ。うじゃうじゃとまぁよくやるぜ……
「グララララ! 何十年振りだ?センゴク……おれの愛する息子は無事なんだろうなぁ!?」
「!? オ、オヤジィ!!」
「グラララ……ちょっと待ってな……エース!!」
そんな悲痛なツラすんなよ。オメェは何も気にするこたぁねぇんだからよ。
さぁて……いっちょ仕掛けるか!
能力で大気に働きかける。これで開戦の狼煙の準備は終わったな……ん!?
「何で見捨ててくれなかったんだよぉ! おれの身勝手でこうなっちまったのに!!」
そうだな。みすみすオメェを行かせたちまった……おれの罪だ。
「いや……おれは行けと行ったはずだぜ息子よ。」
おれの言葉にマルコ達も賛同してくれる。
思えばコイツらも大きくなったもんだ。これならもう……
……っと、そろそろだな。
マリンフォード全域を揺るがす地鳴り。このグラグラの実の力の真骨頂だ。
巨大な津波が二つばかり生まれマリンフォードを襲う。これに対処出来るのは青キジの若僧ぐらいだろ。
さ〜て上手い具合に足場を作ってくれるかねぇ〜?
〜七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴside〜
世界最強と言われる古い時代の伝説の男白ひげ。
その『息子』の火拳のエースの公開処刑……こんなのはそうそう起きねぇ最高のショーだ!
政府は三大将を含めた屈強な精鋭が集う完璧な布陣。
更におれら七武海をも呼びつけやがったぜ。といってもティーチとやらはサボり、モリアも情けねぇ事にルーキーごときにやられる始末。
ハンコックはさっきからなんかソワソワしてやがるし、そして……くまだ。
こんなおれらに頼ってるようじゃ先が知れてるなぁ! フッフフフ!
で、ヒマこいてると白ひげ共はコーティング船で現れやがった。
こんぐれぇ予想しとけよ智将(笑)さんよぉ……
……おーおー白ひげ共ときたら…実に泣ける家族愛じゃねぇか……たまらねぇな本当に……
今すぐ全員惨たらしく殺したいぐれぇだよ。
ま、こいつらはどーでもいいんだ。
1番重要なのは……これから訪れる新時代を誰が切り開いていくかだ。
台風の目。ソイツは必ずこういう舞台で現れる! この最高に居心地が良い地獄の様な戦場でなぁ……
しばらく眺めてたらジジイめ、とんでもない事しやがるぜ。
おーおー、あんな馬鹿でかい津波を起こすとはこりゃあ……死ぬなぁ。青キジの大将がいなけりゃ。
つくづくとんでもねぇバケモンだぜぇ……あの津波を凍らせた大将もなぁ……もしやっこさんと戦う事がありゃあ…骨が折れるなぁ…
しばらくザコやオーズとかいう大巨人と遊んでたが、とんだ期待ハズレだったなぁ……手応えがないにもほどがあらぁ……しかし。
フッフッフッ……フフッフフフッ!! たまらねぇなぁ。ここは特等席もいいトコだ……色んなヤツらが決死で戦い、散っていく……なんて面白ぇんだ! ここはよぉ……
「何がおかしい!? ドフラミンゴ!」
お〜コイツは13番隊隊長の『水牛』アトモスさんじゃね〜かぁ〜
「何がおかしいかって!? この! 時代の真ん中にいる感じさ!
フッフッフッ! 今、この場所こそ『中立』だ!」
デカブツをテキトーに『力』で遊んでやる。
「海賊が悪? 海軍が正義? そんなもんはいくらでも塗り替えられてきた!」
そうさ。力を持てなかった昔のおれは地獄を味わった!
「平和を知らねぇガキ共と……戦争を知らねぇガキ共との価値観は違う!」
平和を知らねぇ……フフフ もちろんそんな事はおれに限った事じゃねぇ……
この世の人間全てに平等に降りかかる運命さ!
それに勝てるヤツが……勝者が……
「正義は勝つって!? そりゃそうだろ……勝者だけが正義だ!!」
んな事ぁ誰でも知っとかなくちゃなぁ……これからはよぉ……
〜???〜
〜道化のバギーside〜
よぉ!おれ様はバギー! いずれ海賊王になる男だぁっ♪ この戦争で名を挙げるぜぇ〜コイツらを利用してなぁ〜!
特に傾国のシオリ! コイツさえいりゃ怖いモンなしだぁ! さぁ頑張ってくれよぉ? おれのためによ!
「え〜やだよ〜自分でやれよ〜『生きてる事が赤っ恥』じゃなかった……赤っ鼻のバギーさんよぉ〜」
誰が赤っ恥じゃあゴラァ! って……ハア? なんでおれの考えてる事が……
「何さっきからアホな事口走ってるのカネ! 現実逃避したい気持ちは分かるがなんとかするんだガネ〜〜!」
……そう、おれたちは今空を飛んでいるのさ。地上に向かって。
「落ちてるともいうな……」
と、やたらガタイが良い坊主。コイツよくツッコむんだよなぁ〜って……
「テメェはなんでそんなに落ち着いてんじゃコラァ!」
あと数秒で弾けたトマトになっちまう! マジで!
「鼻が赤い分他の奴より豪華な赤色に染まるんだろうなぁ……」
なんでそんなに邪悪な笑みを浮かべてんの? このオッサン!? 怖いよ!? しかも空飛んでねぇか!?
「おれも砂化すりゃなんて事はねぇな……」
なんで落下中に優雅に葉巻吸ってらっしゃるの!?
「俺も飛べるがこの程度の高さなら激突してもダメージはたいした事ないから安心して逝ってくれ♪」
何サムズアップしてんじゃあ!! テメェだけクソ強いからって余裕こきやがって〜アマクサめぇ〜
「赤鼻のぉ…少しは落ち着かんかい。」
テメェとアマクサだけ泳げるからって調子乗りやがって魚人野郎めぇ〜〜!
「あああああ〜……あ、おれゴムだから大丈夫だ!!」
「むぎわっらァァ〜〜〜!!?? そもそもテメェの提案に乗ったからこうなったんじゃーー!!責任取りやがれー!!」
全く……マリンフォードの前の門に面してる辺り一帯の海ががいきなり凍ってから全てが狂っちまったんだ。
妙に巨大な揺れが起きたと思えばいきなり発生した高波にさらわれそうになる所だったし。海面に叩きつけられるのか! って思ったらこの有様だ。
しかもここで麦わらの馬鹿がトンデモ作戦を言い出しやがって……
凍った波をこの軍艦で滑り降りる。ナイスアイデアだ!
おれを中心に軍艦にくっついてる氷をみんなで外す事になったんだが加減を間違えやがって! 絶対アマクサがオーバーキルだった! いやマジで!
あ〜あ……このまま氷の地面と情熱的なキスをしてこの世とオサラバしちまうのかな〜
「このまま落下したら軍艦が潰れちまうな。もったいねぇ。
……うん、ジョズが開けた穴もちゃんとあるし……いっちょやるか!
おい、おめぇらどっか捕まっとけ。船が半回転すっから!」
ハア!? 真っ逆さまになってるこの船がぁ?
「コラー! アマクサぁ!何呑気な事抜かしてんじゃボケェ!」
とうとう現実に耐えられなくなったのかな……
おや、アマクサが船の端に立って、逆さまのまま……地面に向かって腕を突き出しやがった!?
「よいしょっと……超! かめは……じゃねぇや。……ウォーター……スーパーバズーカ!!!」
アマクサが地面に向かって馬鹿デケェ水を撃ちやがった次の瞬間!
船が半回転しやがったぁ!?
「今更驚けねぇな……さっきのを見たら。」
何まったりしてやが……
ドッッ……パァァァン!!!
おおおお!? 下は海だったのかぁ!? 船の周りのヤツらがすげえ騒いでやがるぅ〜
「まさかこんな着地をするとはのう……さすがじゃ。」
何やら準備運動をし始めましたよジンべエさん。
「さあ〜〜て者共……気合い入れてけよ〜♪」
さっきのシリュウとかいうオッサンよりはるかに怖い笑顔を浮かべるアマクサ……
よよよよよよし……ここでおれは英雄になるんじゃあ!!みんながおれを指指して喚いてやがるし……おれが注目されてるぅ!!
「あっあれは……クロコダイルだぁ!?」
「革命軍のイワンコフもいやがる!」
「そんなっ!? 七武海のジンべエまで!?」
「ありゃ超新星の麦わらと傾国だぁ!?」
「後ろに極悪囚人共と極悪看守長のシリュウまでいやがる!」
…………おれもいるんですけど……
ハア……